第一話 秘密
早朝、僕は寝室に鳴り響く目覚まし音で目が覚めた…。
目覚まし音を止める為に、ベッドから起き上がろうとすると誰かが僕の体の上に乗っていた。僕の体の上に乗っている人物には心当たりがあるが、念の為に顔だけ動かすと琥珀色の瞳と目が合った。
「にゃ〜。翔がもう少しだけ遅く目覚めたらキス出来たのに!」
「重いから早く退いてよ黒歌…」
「重くないにゃん!」
俺の体の上に乗っていた人物は、猫の妖怪でもあり転生悪魔でもある黒歌だった。黒歌は僕がイケイケの18歳の時に出会い、一時的に一緒に暮らしていた仲だ。ちなみに現在は、黒歌にある潜入任務をお願いしていて一緒には住んでいない。
体の上に乗っている黒歌に退いてもらい、朝飯を作ろうと部屋を出てキッチンに向かったら、食卓テーブルの上に朝食が作られて置いてあった。
「ふふん!翔の為に作っておいたにゃ!」
「見た目は美味そうだけど、味の方はどうかな?」
「昔と違ってちゃんと美味しく出来てるにゃ!!」
椅子に座り、黒歌が作ってくれた玉子焼きに箸を伸ばした。黒歌が作ってくれた玉子焼きを噛み締めると、口いっぱいに優しい出汁が広がり、お世辞無しで滅茶苦茶美味かった。玉子焼きを食べている僕の姿を心配そうに見ていた黒歌に、素直に美味しいと感想を言ったら、はにかんだ様な笑顔を浮かべた。
「おかわりはあるから、いっぱい食べて!」
「ハイハイ、頂くよ」
黒歌は俺が食べている姿を終始、ニコニコと笑みを浮かべながら見ていた。デザートには、黒歌が剥いた蜜柑を食べさせられた。
〇
「さて、どんな情報を持ち帰ってきた?」
「堕天使の幹部であるコカビエル、皆殺しの大司教の異名を持つバルパー・ガリレイが教会陣営が管理しているエクスカリバーを盗み出して駒王町に潜伏しているみたいにゃ」
黒歌が作ってくれた朝食を食べ終え、MAXコーヒーで一服をしながらソファーに座り、黒歌が持ち帰ってきた情報を聞いた。つい最近に堕天使の一件が片付いたばかりなのに、また堕天使絡みの事件が起こる事に溜め息が溢れた。この一件が片付いたら、あのプリン頭にマジビンタを食らわせてやろうと心に決めた。
「組織の方は何か情報はある?」
「今の所は無いにゃ。ただ、翔の首が欲しいって連中が多くてイライラするにゃ!」
「僕の首が欲しいねぇ…。最強の僕に勝てる訳無いのに何を言ってんだか!僕の首を欲しいって叶わない願望を言っている奴の頭の中、蛆が湧いてんじゃない?」
黒歌に潜入してもらっている組織の連中に対して笑っていると、黒歌は不安そうな表情で僕の元にやってきて僕の足に跨り、対面する形で座った。
「翔が強いのは知っているけど、やっぱり不安になるにゃ…」
「黒歌の不安は杞憂に終わるよ♪だって僕は最強だからね!」
黒歌の頭を僕の胸元に抱き寄せ、サラサラとして艶のある髪を優しく撫でた。黒歌の頭を撫でていると寝息が聞こえ、黒歌の顔を覗くと眠っていた。
「ありがとう黒歌…」
僕の胸元で気持ち良さそうに眠っている黒歌に対して、僕は感謝の言葉を呟いた…。今の体勢だと黒歌が目を覚ました時に、寝違えを起こす可能性があると思った僕は、黒歌をお姫様抱っこで僕の部屋のベッドに連れて行き、静かにベッドに下ろした。ベッドに下ろしてから毛布をかけてから、黒歌が起きないように静かに部屋を出た。
静かに部屋を出てスマホで時間を確認すると、家を出るには丁度良い時間になっていた。駒王学園に出勤する為にスリッパから靴に履き替えて外に出た。玄関のドアも静かに閉めてからキッチリと鍵を閉めて、駒王学園に向かった。
〇
「おはようございます!!」
「はい、おはよう!」
駒王学園に近づいてくると、登校している生徒達が元気良く朝の挨拶をしてくれた。次々とされる挨拶を返していると、校門の前に小猫の姿が見えた。小猫も僕に気づいて、折角校舎の中に入ったのに、わざわざ僕の元に来てくれた。
「五条先生、おはよ!?…うござい…ます…」
小猫の挨拶が何か変だと思ったら、小猫が僕の匂いを嗅いでいた。今の僕には小猫の姉である黒歌の匂いが付いていて、僕の体から黒歌の匂いを小猫は嗅ぎとったみたい。僕から黒歌の匂いを嗅ぎとった小猫は、目を潤ませながら僕に何かを聞こうと口を開いた時────。
「あら、五条先生おはようございます。小猫もおはよう」
「五条先生おはようございます!小猫ちゃんもおはよう!」
「おはようございます五条先生!小猫ちゃん!」
リアス、一誠、アーシアが挨拶に来てくれたお陰で、少しだけ気不味くなった雰囲気を消し飛ばしてくれた。ライザーの一件でリアスは一誠に惚れたようで、アーシアと同じ様にリアスも兵藤家に住み始めたみたいだ。
「今日の放課後なのですが、旧校舎が工事で使えないので一誠の家で部活を行おうと思っているのですが、良かったら来ていただけませんか?」
「行こうかな?今日は残ってする仕事は無いからお邪魔させてもらうよ」
兵藤家でオカルト研究部の活動を行うらしく、リアスから参加して欲しいと頼まれたから参加する事にした。リアス達が去ってから、小猫は俺から黒歌の匂いが着いていることへの追求するタイミングを失い、少し落ち込んでいた。
「小猫の疑問を今は答えられない。ちょっと待っててくれるか?」
「!? 分かりました」
小猫の姿が下駄箱から消えるまで見送り続けた。
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五条亙の過去編について
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