五条先生が提案した模擬戦を行う為に、球技大会の練習で使っていた旧校舎裏に来ていた。
少し離れた所で木場とゼノヴィア、俺は紫藤イリナと対峙していた。教会組が模擬戦を始める前に、ここに来てからずっと纏っていた白いローブを脱いだ。教会が白いローブを脱いだら、体のラインがはっきりと出るピチピチのエッチな黒い戦闘服姿になった。二人共けしからんオッパイの持ち主と思いながら眺めていると、五条先生が手を振りながら俺達の元にやって来た。
「模擬戦を始める前に!4人には必ず守ってもらう約束が一つだけあります!」
五条先生が俺達に守ってもらいたい約束は、模擬戦では何でもしていいけど殺しは禁止だという内容だった。流石に模擬戦で殺しに発展する事は無いって思ったけど、今の木場を見てると殺し合いに発展しそうだと感じた。五条先生はこの約束が守れない場合、それ相応の覚悟を持っておけと、とてつもない威圧感を放ちながらそう言った。
五条先生の放っている威圧感に否定なんて出来る筈もなく、俺達は首を縦に振って約束を守ると誓った。俺達が約束を守ると誓うと、五条先生から威圧感が消えて、何時もの五条先生に戻った。
「それじゃ!外部から見られないように結界を貼るね!」
────闇よりいでて闇より黒く…
────その穢れを禊ぎ祓え…
え…なに、そのカッコイイ呪文!!
五条先生は顔だけじゃなくて、声も滅茶苦茶カッコイイから、五条先生のイケボ呪文を聴いた瞬間、体中が痺れた。五条先生が呪文を唱え終わると、空に黒い何かが現れて、ドーム状に俺達の居る旧校舎裏を包み込んだ。
「この結界は『帳』と言ってね、外部から完全に僕らを隠す結界なんだ!だから、君達が派手に暴れても心配しなくても良いから、心置き無く戦っても大丈夫だからね〜」
五条先生は自分で貼った結界について、俺達に説明をしてくれた。結界の説明を終えた五条先生は、そろそろ模擬戦を始めるよって言ってから右腕を上げた。
「は〜い!両者見合って見合って〜模擬戦スタァァァァート!!」
勢いよく右腕を下ろしながら、五条先生は相撲の様なスタート合図を出して、俺と木場の悪魔組、ゼノヴィアと紫藤イリナの教会組との模擬戦が始まった。
○
模擬戦の合図を出してから、四人の模擬戦の邪魔をしないように小猫達が居る所へ下がった。模擬戦を始めて動きがあったのは、一誠と紫藤イリナだった。一誠が幼馴染である紫藤イリナに模擬戦を辞めないかと提案をした所、紫藤イリナは3流ミュージカル俳優の様な芝居がかった話し方で、聖剣の切っ先を一誠に向けながら、お互いが別の立場になった事を嘆いた。
「イッセー先輩の幼馴染さんは一体何なんでしょうか?」
「典型的な教会側のイカれた信者だね!何でイカレ人間製造場所である教会に居たアーシアは、こんなに純粋で優しい子に育ったのか不思議だよ」
「確かにそうですね…。あんなのが製造される教会にアーシア先輩の様な人が育ったのか不思議ですね…」
「あぅぅ〜」
僕と小猫はアーシアの頭を二人でヨシヨシと撫でながら、純粋で優しい子に育てくれた事に感謝した。殺伐とした裏世界に生きる僕にとって、アーシアは癒しになっていた。アーシアが純粋に育った事は、俺達だけでなくアーシアのお陰で今も生きられている堕天使組も感謝をしていた。
堕天使組も混ざってアーシアの頭を撫でると、アーシアは顔を真っ赤にしながら「えへへ」と嬉しそうに笑みを浮かべた。夕麻とミッテルトが可愛らしく笑みを浮かべているアーシアを二人で抱き締め始めた。三人の楽しそうな様子を見ているとリアスと朱乃がやって来た。リアスはアーシアの所に混ざりながら模擬戦を観戦し、朱乃は僕の隣にやって来て、僕の手を掴んで自分の頭に乗せた。
「アーシアちゃんばかり狡いですわ…」
「全く…」
少し拗ね気味の朱乃のリクエストに答えて、朱乃の頭に乗せられた手を動かして、朱乃の頭を優しく撫でた。頭を撫でてると、朱乃は昔の様に表情を緩ませて猫のように大人しくなった。
「はうぅ〜朱乃さんが可愛いですぅ!」
「確かに可愛いわね…」
「むぅ…」
初めて見る朱乃の表情にアーシアとリアスは可愛いと呟き、小猫は複雑そうな表情をしながら唸っていた。アーシアと朱乃に構っていると、一誠はようやく模擬戦をやる気になったのか赤龍帝の篭手を顕現させた。赤龍帝の篭手を顕現させ、拳を構えてやる気のある様に見えるのだが…一誠の顔はだらしなく鼻の下を伸ばしていた。
「あの顔は…絶対に
「教会の人、イッセー先輩は女の服だけを木っ端微塵にして丸裸にする技を持っているので気をつけてください…」
「小猫ちゃん!?敵に俺の必殺技をバラさないでよ!!」
「なんて最低な技なの!体だけでなく、心までも悪に染まっているなんて…私が浄化してあげるわ!アーメン!」
一誠は紫藤イリナの攻撃をギリギリ避けながら、赤龍帝の篭手の倍加を溜めていた。一誠が倍加を溜めているなら、目立った事は無いだろうと判断した僕は祐斗達の方に目を向けた。
祐斗は炎属性の魔剣と氷属性の魔剣を創り出し、ゼノヴィアは教会側から持たされた聖剣を構えていた。祐斗は
だが、祐斗の攻撃はゼノヴィアに当たる事は無く、祐斗の攻撃は全て受け流されていた。
「あの子…中々の逸材だね」
「翔兄様が初対面の人を褒めるなんて珍しいですわ」
僕がゼノヴィア対して思った事をボソッと呟いたつもりなんだけど、朱乃に声を拾われたみたい。実際ゼノヴィアは人間にも関わらず、悪魔で速さに特化している
「五条先生が太鼓判を押しているのなら、あの子を眷属に迎え入れたいわね」
僕が初対面の人を褒めている珍しさを朱乃がリアスに伝え、リアスはゼノヴィアを自分の眷属に迎え入れたいと言い出した。
「今度はこちらから行かせてもらうぞ!」
ゼノヴィアが祐斗の攻撃を受け流し続けていたが、今度はゼノヴィアが攻撃を仕掛け、聖剣で祐斗が創り出した魔剣に向けて一閃した。ゼノヴィアの攻撃を祐斗は魔剣二本で受け止めたら、魔剣二本が呆気なく破壊された。祐斗の魔剣二本を破壊したゼノヴィアは、持っている聖剣を天へ掲げだした。
「我が剣は破壊の権化!砕けぬものは無い!!」
ゼノヴィアは天へ掲げていた聖剣を地面へ振り下ろした。
聖剣を地面へ振り下ろすと、聖剣を中心に地響きが発生して、近くで戦っている僕とゼノヴィア以外が体勢を崩した。
ゼノヴィアの動きを見れたし、祐斗から一誠達の方にまた目を向けた。
一誠達は崩した体勢を元に戻して模擬戦を続行した。一誠は4回まで倍加すると、自分を強化させた。
力は格段に上がっているが…紫藤イリナに届いていなかった。力量をまだ測れてない一誠がそんな事に気付く筈もなく、紫藤イリナに
「ご、五条先生避けてくれぇぇぇぇぇぇ!!」
僕は突っ込んで来る一誠に対して溜め息を吐きながら、一誠の
祐斗と一誠の二人は教会組を相手に頑張って居たが、祐斗は何時もの冷静さが無く悪手を選び、一誠は力量の差で二人は敗北をした。模擬戦の勝者が教会組に決まり、模擬戦が終わった事で僕は帳を上げた。帳を上げ終わると教会組は駒王学園に残る理由も無く、この場を去ろうと正門に向かって歩き出した。
この場を去ろうとする前、ゼノヴィアは一誠に向けてある言葉を残した。
「忠告をしておこう兵藤一誠。白い方はとっくに目覚めている」
この言葉の意味が分からない一誠はちんぷんかんぷんだが、僕、朱乃、リアス、夕麻、ドーナシーク、カラワーナにはゼノヴィアの言葉の意味が分かっていた。ゼノヴィアはその一言だけ言うと、紫藤イリナと共に去って行った。教会組が去ってから暫くして、悔しそうに表情を歪めている祐斗も去って行った。
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