グレイフィアを家に泊めた翌日。
僕はリアスから生徒会に頼まれたプール清掃が終わり次第、オカルト研究部だけでプール開きをするから来て欲しいと連絡が来た。リアスの頼みを拒否る理由も無いし、大丈夫だろうとは思うけどリアス達が変な事をしないように教師として一応監視しないといけないから行く事にした。
ただ、プール開きに生徒会が参加しないのは良くないと思って、椿姫に生徒会メンバーもプール清掃とプール開きに強制参加だからとソーナへ伝えるように頼んだ。
椿姫に連絡してから学園に向かうと、校門の前にリアス、朱乃、朱雀が既に待っていた。僕に気づいた朱乃が嬉しそうに笑みを浮かべながら、僕の方に走ってきて胸に飛び込んできた。胸に飛び込んできた朱乃を受け止め、朱乃を抱っこをしながらリアスの居る所へ向かった。
「突然走り出したと思ったら…何をやっているのよ朱乃?」
「少しは慎みを持ちなさい。翔様は私の婚約者なんですよ?」
「それは姫島家から朱雀姉様を守る為のブラフ。それに、翔兄様と混浴したんですからこれくらい良いではありませんか?」
朱雀と朱乃が火花を散らしている他所に、僕はリアスに今日のプール清掃とプール開きに生徒会メンバーも参加させる事にしたと伝えた。生徒会やオカルト研究部のメンバーが集まるまで、僕達は校門前で他愛のない話をしながら待っていた。
10分位経った頃に他のオカルト研究部メンバーや生徒会メンバーがゾロゾロとやって来た。オカルト研究部も生徒会もそれぞれメンバーが全員集まったのを確認してから、学園の中に入った。
みんなには先にプールの方へ向かってもらい、僕は職員室へプールの更衣室、用具室の鍵を取りに行った。
鍵を取ってからプールへ向い、更衣室と用具室を解放した。
「さて!!プール清掃の為に動きやすい格好をしてもらうけど…清掃で魔法の使用は禁止だからね?オカルト研究部も生徒会も同じ悪魔同士なのにあまり交流が無いから、双方で協力し合いながら清掃にあたってもらうよ!!」
リアスとソーナ、朱乃と椿姫と朱雀は幼い頃からの付き合いで交流はあるが、他の眷属達はそこまで交流が無い…。だから、僕はオカルト研究部だけでやる筈だったプール清掃とプール開きに生徒会を参加させた。
〇
翔の一声でオカルト研究部と生徒会による合同プール清掃が始まった。普段からそこまで交流が無く、あまり話してこなかった眷属達だったが、翔が与えた切っ掛けで和気あいあいと楽しそうに会話をしながらプール清掃をしていた。大人数で行われたプール清掃はあっという間に終わり、清掃に使った道具を片付け、プールで遊ぶ為に更衣室へ水着に着替えに向かった。
「おお…。五条先生って着痩せするタイプなんですね」
「どうしたの一誠?僕の裸をみたってしょうがないよ?」
「いや…脱ぐまで細マッチョかな〜って思ってたんすよ。そしたら服の中から出てきたのはバキバキの筋肉に下半身にはキャノン砲が…」
「まあ、それなりに鍛えてるからね。それよりも早く着替えなよ」
一誠は自分の股間を見ながら負けた…って弱々しく呟きながら海パンを履いた。祐斗や元士郎からはどうやったらムキムキになれるか教えて欲しいと翔に頼んだりと男子更衣室は賑やかだった。
「聴きました椿姫?」
「ええ…兄様がキャノン砲の持ち主…」
「「貴女達は何をやっているのよ…」」
「私は実物を見ていますので、貴女達の様に想像なんかしませんわ」
壁に耳を当て、男子更衣室の会話を盗み聞きしている双方の
〇
水着に着替え終わり、再びプールに戻った。
女子達はまだ水着に着替え終わってないようで、プールには女子達の姿が無かった。僕らメンズは女子達が着替えている間に、一誠達は準備運動、僕は持ってきていたビーチチェアを日陰に設置していた。
【おまたせしました!!】
ビーチチェアで手足を伸ばして寛いでいたら、プールの入り口から女子達の声が聞こえてきた。
女子達も水着に着替え終わって戻ってきたみたい。
僕も生徒達の元へ向かうと、朱乃と椿姫が僕に向かって走ってきた。二人が僕の前まで来ると、朱乃と椿姫は声を揃えながら水着の感想を僕に聞いてきた。
「二人とも似合ってるよ。あんなに小さかったのに今じゃこんなに綺麗に成長しちゃって…」
「あ、あの!私はどうですか?」
「ん?小猫か。うん、小猫も似合ってて可愛いよ」
「ほ、本当ですか!!」
感想を聞きに来た小猫にもちゃんと答えてから、生徒達に僕の元に集まってもらった。ただ、ゼノヴィアは着替えに戸惑っているらしく、先に遊んでもらっても構わないと伝言をアーシアが預かったみたいだからプール開き宣言を始めた。
まあ、硬っ苦しいプール開き宣言なんかせずに、普通に怪我には気をつけるようにと注意だけしてプール開き宣言を終わらせた。
皆がプールに入っていくのを確認してから、僕はビーチチェアで寛ぐに向かったのだが…小猫から泳げないから泳ぎの練習に付き合って欲しいと頼まれた。
「ゆっくり力まずに足を動かしてみて」
「は、はい…」
僕もプールへ入り、小猫にバタ足を教えていた。
小猫は本当に泳げないようで、僕は小猫の両手を引っ張りながらバタ足の練習をしてるんだけど、僕が突然手を離さないかを不安げに聞いてきたり、手を強く握って離さないように必死だった。
「小猫〜?そろそろ壁際だから止まるよ」
「ぷはぁ…。練習に付き合ってもらいありがとうございます…」
「困ってる生徒に手を貸すのは僕の役目だからね!」
結構泳いで息が上がり始めている小猫に、ビーチチェアの横にあるクーラーボックスにドリンクがあるから、好きなドリンクを選んで少し休憩を取るように伝えてプールから上がった。
「まだゼノヴィアは着替えに戸惑ってるのかな?」
水着に着替えに行ってから、未だに戻ってこないゼノヴィアが少々心配になった僕は女子更衣室前に向かった。女子更衣室の扉を軽く叩き、外からゼノヴィアに声を掛けた。
『すまないが五条先生、中に入ってきてくれないか?中々ビキニの紐が上手く結べないんだ』
「別に良いけど、アーシアとか呼びに行って来た方がいいんじゃない?」
『いや、折角遊んでいる所を邪魔したくない。五条先生にお願いしたい』
着替え終わっていない女子が居る更衣室に入るのに気が引けてたんだけど、ゼノヴィアが入ってきて欲しいと許可を出している以上、仕方なく女子更衣室に入った。
女子更衣室に入ると、僕に背中を向けているゼノヴィアの姿が目に映った。本当にビキニの紐に苦戦していたみたいで、後ろを向いたゼノヴィアに紐を僕に預けるように言って、紐を結んであげた。
「ありがとう五条先生」
「いいよ。それより、早くプールに戻りなよ?みんなもゼノヴィアを待っているし、教会にいた頃で遊べなかった分を楽しんできな」
僕はゼノヴィアにそう言いながら、女子更衣室を出ようと扉に手を掛けた。女子更衣室の扉に手を掛け、開こうとしたらゼノヴィアが僕の腕を掴みながら待って欲しいと言ってきた。
まだ、何かあるのかと尋ねたら…。
「五条先生……私と子作りをしないか!!」
「は?」
「聖書の神が死んだと聞かされ、生きる希望を失った私を励ましてくれた。チョロい女かもしれないが、五条先生に励まされ生きる希望を持てた時、好意を抱いてしまった。五条先生と子作りをしたいと平然と言ったが、内心はすごくドキドキしている!」
とりあえず……僕は深呼吸をした。
微かに頬を赤く染めているゼノヴィアを見て、邪な気持ちで言った訳じゃないことを理解した。僕に近づいてくる女の八割は、僕の事をアクセサリーにしか思ってない奴らだった。残りの二割はゼノヴィアの様に僕を『最強の五条翔』では無く一人の男として見てくれる。
「ゼノヴィア…僕は「まだ返事はしなくていい」ゼノヴィア?」
「こんな事を言ったが、私達は出逢ってからまだ日が浅い。だから、私の事を知ってもらってから子作りをしよう!!」
「はあ…こんな事言われちゃ断れないよ。なら、もう1つ条件を付けようか?」
「条件とは一体?」
「ゼノヴィアが駒王学園を卒業して、まだ気持ちがあればしようか?教師がこんな事を言っちゃダメだけどね?」
ゼノヴィアと卒業後に気持ちがあればって約束をして、今度こそ更衣室を出ようとしたら、更衣室の扉が勢いよく開けられた。扉を勢い良く空けて入ってきたのは、朱乃、小猫、椿姫の三人だった。
「今、いい事を聞きましたわ…。確かに学園を卒業すれば、私達は翔兄様の生徒では無くなる…。でしたら、翔兄様!!私達もゼノヴィアちゃんと同じ約束をしたいですわ!!」
「私も朱乃も小猫ちゃんも翔兄様の事をお慕いしています」
「三人ともマジ?」
「「「マジです(わ)!!」」」
ゼノヴィアの告白で結構お腹いっぱいなのに、追加でおかわりが来た気分だ…。だけど、俺には一誠の様に「ハーレム王に俺はなる!!」って度量は無いと思う。
「翔兄様?もし、翔兄様がこの場で全員を振っても、翔兄様が受け入れてくれるまで翔兄様の元から離れる事は絶対にありません」
三人とも真剣な眼差しで僕を見ていた。
此処で逃げてたらこの子達の決意と勇気に泥を塗る事になると思う……。だから、僕は一年経っても気持ちが変わらなかったら気持ちに答える『縛り』を結んだ。
「もし、みんなの気持ちが変わらなかったら……一誠の様な度量は無いけど幸せにするよ」
「私達は翔兄様と居られるだけでも幸せです!ですので、変に気負いしなくても、私達は勝手に幸せになりますので安心してくださいませ」
女の子ってマジで逞しいなぁって思いながらプールへ戻った。
プールに戻ると、一誠の取り合いをしているリアスと夕麻がオーラを全開に放出しながら睨み合っていた。
リアスと夕麻がキャットファイトをしている近くではソーナが結界を貼って、アーシアとミッテルト、椿姫を除く生徒会メンバーで水泳バレーで遊んでいた。
リアスと夕麻の仲裁に入ろうと思ったけど、そこは一誠に丸投げして、ビーチチェアでゆっくりしようと腰掛けた。
「朱乃達から聞きましたわ」
「朱雀…」
「朱乃達の気持ちに答えるのでしたら、私の気持ちにも答えてくれますよね?」
「朱雀は僕なんかで良いの?数人に言い寄られて、丸め込まれた男だよ?」
「翔様ならきちんと平等に愛してくれると思っていますし、それに翔様と一緒になれるなら気にしません。ですから、翔様がハーレムを築き上げても許せます」
やっぱり女子って凄いと思う…。
ハーレムなんてラノベで読んで憧れた事があるけど、実際に自分がなるなんて夢にも思わなかった。五条悟の様に『俺様、天上天下唯我独尊!!』ってなれないけど、好いてくれた子に失望されない様に頑張ろうと決心した。
〇
プール開きが終わり、部長達より早く着替え終わった俺は校門へ向かっていた。徐々に校門に近づくと、校門の前に五条先生と同じ白髪でサングラスをかけている男が居た。五条先生の血縁者かな?って思っていたら、白髪の男が俺に近づいて話し掛けてきた。
「良い学校だな──────兵藤一誠?」
「え…どうして俺の名前を知ってんだ?」
「俺はヴァーリ、お前とはライバル関係にある
「お前が白龍皇!?」
目の前に居る奴の正体が白龍皇と知った瞬間、思わず大声を上げて驚いちまった…。周りに誰も居ない以上、白龍皇に警戒していたら興味無さげな目で俺を見ていた。
「何をするつもりだい?」
「ここで赤龍帝の決戦を始めさせるわけにはいかないな白龍皇」
何処からか現れた木場とゼノヴィアがヴァーリの首筋に剣を向けた。二人に剣を首筋に向けられているのにも関わらず、白龍皇は慌てる様子を見せず、平然とした態度で口を開いた。
「止めておいたほうがいい切っ先が震えてるじゃないか…。それに、コカビエル如きに手こずって居る様な君達に俺は止められないぞ?」
白龍皇の言う通り、木場とゼノヴィアの剣先が震えていた。
「祐斗、ゼノヴィア剣を納めなさい」
「部長!」
緊迫した状況が続いている中、我らがリアス部長が来てくれた。部長だけでなく、朱乃さんや生徒会メンバーも来てくれた。部長は剣を収めるようにと木場とゼノヴィアに言い渡すと、二人は警戒をしたまま剣を納めた。
「白龍皇、何のつもりかしら?」
「別に戦いに来たわけじゃない、アザゼルの付き添いで来日していてね、ただの退屈しのぎさ。所で翔は居るか?」
「翔兄様に何の御用でしょうか白龍皇?」
「フッ…。元弟子が師匠へ挨拶するだけさ」
白龍皇が放った一言に、この場にいる全員が固まった。
白龍皇が五条先生の元弟子?それって滅茶苦茶強いんじゃないか!?
木場とゼノヴィアが剣先を震えさせる程の奴がライバルって…鬼畜すぎるだろ!!
俺は思わず心の中でそう叫んだ。
○
「まだ師匠と思ってくれて嬉しいね〜。それに、僕があげたサングラスをちゃんと付けてて、可愛いなヴァーリ」
「頭を撫でるな翔」
朱雀を除いたメンバーがヴァーリの発言に固まっていたところに、何処からかいきなり現れた五条翔がヴァーリの頭を撫でていた。
ヴァーリの頭を撫でている五条翔に、リアスは白龍皇が五条先生の弟子だったのかと尋ねた。五条翔はあっけらかんとした感じで白龍皇が弟子だった事を速攻認めた。
「あの時のヴァーリは滅茶苦茶可愛いかったな〜」
「うるさい!!」
ヴァーリが五条翔に拳を振るうが、五条翔が貼った無限によって拳が届く事は無かった。じゃれあっている二人のやり取りを見ていた一誠達は、五条翔とヴァーリが年の離れた兄弟に見えた。
五条先生とじゃれあっていた白龍皇は、この世界の強さランキングについて俺に話し始めた。この世界で一番強い奴が居たらしいんだが…五条先生が誕生した事によってこの世界で一番強いのは五条先生らしい。白龍皇は部長に俺を育てておくようにと言って、この場から去って行った。
「ヴァーリの言う通りだね。この先、ドラゴンを宿す者は必ず戦いに巻き込まれる…今の一誠なら犬死にするだけだから、ちゃんと強くなる様に頑張れよ?僕も出来る限りは協力するから」
「五条先生…俺と白龍皇の差ってどのくらいですか?」
「うーん…。一誠がLv5位に対して、ヴァーリはLv5000位だね!」
「れ、Lv5000…」
俺はなんとも言えない気持ちになった。
レベルがかけ離れたライバルとどう戦えばいいのか、どうすればそこまで強くなれるのか、そんな考えが頭の中を埋めつくした。
読んでいただきありがとうございます