雷使いも異世界からやって来るそうですよ?   作:水槽のスイマー

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第九話

「生憎と店は閉めてしまったのでな。私の私室で勘弁してくれ」

 

あのカオスな状況になった後、俺達は白い少女改め白夜叉に連れられ“サウザンドアイズ"の支店の中に入れることになった。

その時、あの女性店員は俺をすごい形相で睨んでいた。

 

「もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えている“サウザンドアイズ"幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ」

 

「はいはい、お世話になっております本当に」

 

「その外門、って何?」

 

「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つ物達が住んでいるのです」

そう言って、黒ウサギは上空から見たであろう箱庭の図を書く。

 

「……超巨大タマネギ?」

 

「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」

 

「そうだな、どちらかといえばバームクーヘンだ」

 

「いや、ダーツの的とかどうだ?」

 

「それは、少し違うだろ」

 

「ふふ、うまいこと例える。その例えなら今いる七桁外門はバームクーヘンの一番薄い皮の部分になるな。更に説明するなら、東西南北の四つの区切りの東側にあたり、外門のすぐ外は“世界の果て"と向かい合う場所になる。あそこにはコミュニティに属していないものの、強力なギフトを持ったもの達が棲んでおるぞ……その水樹の持ち主などな。して、一体誰が、どのようなゲームで勝ったのだ?知恵比べか?勇気を試したのか?」

 

「いえいえ。この水樹は十六夜さんがここに来る前に、蛇神様を素手で叩きのめしてきたのですよ」

 

は?素手で叩きのめした?十六夜が?なんて規格外な野郎だ。

 

「なんと!?クリアではなく直接倒してきたとな!?ではその童は神格持ちの神童か?」

 

「いえ、黒ウサギはそうは思えません。神格なら一目見れば分かるはずですし」

 

「む、それもそうか。しかし神格を倒すには同じ神格を持つか、互いの種族によほど崩れたパワーバランスがある時だけのはず。種族の力でいうなら蛇と人ではドングリの背比べだぞ」

 

「白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったのですか?」

 

「知り合いも何も、アレに神格を与えたのはこの私だぞ。もう何百年も前の話だがの」

 

「へえ?じゃあオマエはあのヘビより強いのか?」

 

「ふふん、当然だ。私は東側の“階層支配者<フロアマスター>"だぞ。この東側の四桁以下にあるコミュニティでは並ぶ者がいない、最強の主催者なのだからの」

 

“最強の主催者"の言葉を聞き一斉に目を輝かせる、十六夜、久遠、春日部の三人。ずいぶんと好戦的な奴らだ。

 

「そう……ふふ。ではつまり貴女のゲームをクリア出来れば、私達のの区切りコミュニティは東側で最強のコミュニティという事になるのかしら?」

 

「無論そうなるの」

 

「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた」

闘争心を剥き出しにして立ち上がる三人。

ん?俺?俺は普通見物してたよ。

 

「抜け目のない童達だ。依頼しておきながら、私にギフトゲームを挑むと?」

 

「え?ちょ、ちょっと御三人様!?」

 

「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手には飢えている」

 

「ノリがいいわね。そういうの好きよ」

 

「ふふ、そうか。で?そっちのおんしはよいのか?」

こっちに話が回ってくる。

 

「その前に、黒ウサギの言う俺達を召喚したあるお方っていうのはお前のことか?」

 

「うむ、おんしら召喚したのは私だ」

 

「ほう?それは、俄然やる気が出てきたな。一発殴らせろ」

俺も三人のように立ち上がる。

 

「ふむ、おんしも参戦ということでよいのだな」

 

「ああ、瞬矢さんまでぇ~」

 

「さて、ゲームをやる前に一つ確認しておく事がある。

おんしらが望むのは“挑戦"か

もしくは、“決闘"か?」

 

白夜叉は、そう言いながら着物の裾からガードを取り出した。

 

直後、俺の視界が瞬時に目まぐるしく変化する。

様々な情景が脳裏を巡る。

記憶にない場所が流転を繰り返し、足元から俺達を呑み込み、

 

「……なっ………!?」

 

気付いた時には、白い雪原と凍る湖畔、そして水平に太陽が廻る世界に投げ出されていた。

 

 




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