雷使いも異世界からやって来るそうですよ?   作:水槽のスイマー

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第一話

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引き摺りこんだ挙げ句、空に放り出す何て!」

明らかに怒っている口調で言葉を発する気の強そうな少女に、

 

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだまだ親切だ」

なにやらぶっ飛んだことを言っているヘッドホンを付けた少年、

 

「……。いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

「俺は問題ない」

「そう。身勝手ね」

といった二人のやり取りを完全無視して、

 

「大丈夫?」

「にゃにゃ~にゃ、にゃにゃにゃ」

「そう。よかった」

と、マイペースに猫と会話(しかも、通じているように見える)をしている少女。

なんと、濃い人達か。

 

なんて思った後、俺はこの世界について考え始める。

 

さて、たぶんここが箱庭だよな?

けど、手紙で呼び出したくせに誰もいないんだ?

 

などと考えていると、ヘッドホンの少年が、

「たぶん間違いないだろうけど、一応確認しておくぞ。

お前らもあの変な手紙を読んでここにきたのか?」

と、聞いてきた。

 

すると、気の強そうな少女が少し不機嫌そうな口調で、

「そうだけど、まずはその“オマエ"って呼び方訂正して。

私は久遠飛鳥よ。以後気を付けて。」

いかにもプライドの高い高貴なお嬢様って感じの自己紹介をした。

 

続けて、久遠は、

「それで、そこの猫を抱えた貴女は?」

と、マイペースな少女に聞く。どうやらこのまま全員から名前を聞き出すつもりらしい。

 

「……春日部耀。以下同文。」

ほぼ名前しか言ってない。自己紹介としてそれはどうなのだろうか?

 

「そう。よろしく春日部さん。それで、そこの野蛮で凶暴そうな貴方は?」

彼女からヘッドホンの少年に対する悪意を感じる。

 

「高圧的な自己紹介ありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義者と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

と、まるでどっかの薬の使用方法みたいな自己紹介をした。

それに対し久遠は、

「そう。取り扱い説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

という皮肉で返すも、

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

と、楽しそうに笑って返す。

 

俺、完全に空気になっているなどうしようか?

一発ド派手に雷でも落としてみようか。

 

なんて、馬鹿なこと考えていると、

「で、最後にそっちの無口な貴方は?」

と、こっちに話が回ってきた。

 

「いや、別に俺は無口じゃない。ただ、話す機会がなかっただけだ。俺は雷堂瞬矢だ。よろしくな。」

 

「そう、よろしくね。瞬矢君」

 

「さて、自己紹介も済んだわけだし。そろそろそこの茂みに隠れている奴にでも話を聞こうか」

俺がそう切り出す。

 

「なんだ、貴方も気づいてたの?」

 

「そりゃあそうさ、俺の電磁波センサーは相手が生物であるなら絶対引っかかる優れものだ」

 

「へぇ、面白いなお前」

 

「そういうお前と、春日部だって気づいてたんだろう?」

 

「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?」

「風上に立たれたら嫌でもわかる」

 

「お前も面白いな」

 

など、軽い感じで話しているが 全員目が笑っていない。

当たり前だ。

問答無用で湖に落とされた上、しばらく放置されたのだ。

怒っていないわけがない。

 

しばらくすると、茂みからバニーガールが出てきた。

コスプレだろうか?

 

「や、やだなあ御四人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話しを聞いていだけたら嬉しいでございますヨ?」

 

「断る」

「却下」

「お断りします」

「拒否する」

 

息ぴったりに黒ウサギの願いをはねのける。

少なくとも俺は湖に落とされた恨みを晴らすまで話をきくつもりはない。

 

「あはっ、取りつくシマもないですね♪」

と、いいながら手を挙げて降参のポーズをとる。

 

春日部は黒ウサギの頭に生える耳が気になったのか、

その耳をがしりと掴んで、

「えい」

「フギャ!」

おもいっきり引っ張った。

 

「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」

「好奇心の為せる業」

「自由にもほどがあります!」

 

「へぇ、その耳は本物なのか?」

そう言うと、十六夜は黒ウサギの右耳を掴み、引っ張る。

 

「………。じゃあ私も」

と言って、久遠は左耳を掴み、引っ張る。

 

黒ウサギは左右に耳を引っ張られながら、唯一何もしていない俺にすがるような目線を向ける。

 

俺はそんな黒ウサギにニコリと笑いながら、

「次、俺ね」

と、言っておく。

 

黒ウサギの声にならない悲鳴が湖周辺に響きわたった。




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