一日を変えるカクテルを   作:水崎涼

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グリフィン・ストリーミングチャンネル!

 

 

 12月17日

 

 

 

 ラジオ局の音楽を極小音量で流しつつ、私は去年使ったクリスマスグッズで室内を彩る。

 彩ると言っても、手のひらサイズのクリスマスツリーに、くたびれたサンタ人形くらいのもの。もちろん、グッズとしての人形のほう。

 世の中がこんな風になる前はきっと、季節行事のラッシュで町は活気付いていたのだろう。中央区なら今でもイベントが催されている、とは聞いているが。こんな端まで恩恵は届かない。

 冬はどこもかしこも凍てついて。

 いつでもどこでも真っ暗で。

 車の走行音さえもない。

 

 

 

「ども~。MDRのスリリングな戦場配信を毎日お届け、今日の生放送は特別編でお送り中! 本日最後は。お酒を飲む所、と言えば、もうわかった人もいるかもね。そう、ここだ! ってタイミングで看板を写そうと思ったんだけど、ないじゃん、看板」

 

 

 

 夏の蝉かと思うくらい、急に五月蠅くなった。

 声は、壁を隔ててすぐの場所から発せられている。元気というか、喧しい感じの少女の声。ここらでお酒を飲む所、と言ったら、店舗登録しているのはうちくらいである。

 すると、声の主であろう人型が、ひょこっと窓から顔を覗かせた。鮮やかな赤色と青色という、素晴らしく色合いの違う虹彩異色の瞳と目が合った。そして彼女は中にいる私ではなく、どこかへと目線を向けてしゃべり倒す。

 

「あ~でもここだわ、中身が完全にそれだ。おっと、どこかの眼光のやべぇアサルトライフルみたいに、洋服脱いでハバネラダンスはしないからね。そう言うネタを見つけたら、グリフィンタレコミ掲示板によろしく! 前置きはこんくらいにして、寒いしちゃっちゃと入るかな。ほい、こんばんわ。はい、いらっしゃいませ!」

 

 過去現在未来において、一番やべぇ方が来店する気配です。

 間を置かずして、店の扉が開かれた。

 非常にゴテっとした黒基調の洋服にはピンクのラインが入っており、それだけで異彩を放っている。来店したというのに人の目を確認する動作も寄越さず、彼女は手にした個人用端末のカメラを自身に向けながら、まだまだトークを続ける所存のようだ。

 お客様のはずなのに、行動がお客様じゃない。こんな時、私はどんな顔をしたらよいのだろうか。

 

「大通りをくいっとスラム街に逸れた陰気な場所にある、グリフィンで二番目に注目を集めている絶妙なバーだ。基地のと合わせて二つしか認知されてないけどね。残念ながら内装は小綺麗、ドローンは飛んでないし激辛チキンバーの匂いもしないや。スプリングフィールドのカフェが近いかな、好きな奴は好きそうだよね、リーさんとかG36Cとか。いえ~い、二人共見てる~?」

 

 扉外の言葉通りならMDRという名の彼女は、店の中ほどで、くるりと一回転する。

 衣服の一部同様、銀髪も一房ピンクに染め上げられ、ゴテゴテに装飾された上着パーカーは服も喧しいというか。その内側も、いろんなものを入れられそうなポケットがいくつも付いている。かように着膨れていたが、体のスタイルは非常によろしいようで。

 さて。モシン・ナガンさん以来、私は客人の手荷物に視線を這わせるようになった。人間と人形の区別は意外とつかなかったりもするが、民需人形と戦術人形の区別は、そのほうがはかどるのである。MDRさんは銀塗りの固そうな縦長のケースを肩から背負っていた。キャリーバッグならこんな持ち方はしないので、銃を入れる専用のケースで間違いない。

 衣服に指定のない女性で人形で銃、つまり彼女は戦術人形だ。

 そんな彼女は、飲食店に入っておいて着席をするでもなく端末を眺めて満足そう。

 

「よしよし、来場者数は上々だね」

「あの」

「ところでこのカクテルバーにはひとつ、いわくがある。某掲示板からのタレコミ情報だ。それは悲しい物語かもしれない。なんとこのお店は」

「あのぅ‥‥‥」

「しっかしこの店、普通、マジで普通。どこを突っ込めばいいんだよ。困るなぁ」

 

 ようやくまともに目線が向いてきたが、すぐに端末へ。困っているのは私のほうです、とは返さないでおく。なんだかストリーミングで配信されてるみたいだし、五月蠅いバーメイドがみたいに広まったらマスターのお店が台無しだ。このお店のタレコミ情報とやらも気になるが、彼女と話したら疲れそうだし、話せるだけの意識も向けられていないというか。

 私が無反応を返したせいもあって、極めてつまらなそうなMDRさんはしかしさっと気合を取り戻す。

 

「しょうがない、こういう時は体を張るものと相場は決まっている。フォロワーを増やすには盛り上げていかないとね。よしバーテンダー、世界一まずいカクテルを一杯頂戴!」

「バーメイドです」

 

 居座る気満々に着席するMDRさんへ、私は冷ややかな視線。

 カクテルは、おいしさと嗜好へのマッチを目指す品である。世界一まずいカクテルなんてものは、レシピにもならずに永遠の彼方へ消え失せる運命である。需要がないんだから、店に並ぶわけがない。

 まさか、サンダーさんの「幸せな気分になれるお酒」のさらに上を行く注文をこの短期間で受けるとは。もう、何が何やら。

 

「なぜ、一番まずいカクテルなんです?」

「一番刺激があって、一番ネタになるから。それ以上でも以下でもなし」

「芸人根性。しかし、一番まずいものと言われましても。おいしさを追求する類なので」

 

 先の通り、そんなものは用意していない。

 ただ、作るのは簡単だ。ようは、明らかに相性の悪いお酒同士を過剰なまでに種類を用意し、後先考えず適当に混ぜればよいのである。銘柄品一つ仕入れるのも大変なご時世であぁ、なんというお酒への冒涜行為。

 

「まぁまぁ、適当に作っていいから」

 

 嘆く私と、あっけらかんとするMDRさん。温度差がひどい。

 私にはお客様をもてなす責務がある。お酒さん、どうか安らかに散ってください。どこへ向けて祈ったらいいかわからぬ気持ちを抱えつつ、私は世界一まずいカクテルを生み出すべく、メジャーカップを取り出す。

 するとMDRさんは私の手元に、端末のカメラを向けてきた。今度はカクテルを作る手元をクローズアップするようだ。遠慮とか許諾とか、そう言った単語が世の中には存在したはずなのだけども。

 

「え~、店内撮影は特に咎める気もないのですが」

「ここのバーメイドさんは恥ずかしがり屋、と。あとで送信しとこ」

「本当、自由ですね」

「バーメイドさんも好きにしていいよ。あ、撮影は首から下だけにしてるから。希望があれば顔も映すけど、どうする?」

「いえ、結構です」

 

 最低限の気配りはできるようで。本当に地面すれすれの。

 私は手近にあった品を手にしていく。もうヤケだ。お望み通り、この棚にあるお酒を端から全部使ってやる。

 という訳で、バイオレットリキュール・ジン・ラム・ホワイトキュラソー・ポマック・ブランデー・ウォッカの瓶を掴んでは、全部20mlに計量してオンザロックでビルド。ビルドとは、材料をグラスにそのままグラスに注いで作る方法だ。だってこのカクテル、ブレンドしようがシェイクしようが変わらないと思うし、そこまで手間暇かけたくないし。

 計量したのは、カクテルらしさの演出はそこはかとなくしておく為。MDRさんの後ろには、多数の来場者さん達がいらっしゃる。皆お客様だ。

 私の手近にある品には、直近で使ったものを手の届く小棚に並べるのが癖だ。同じカクテルを二杯目ご指名された時や、続けて来店された時に素早く提供する為である。こんな事をしたら本来はどこに物があるのかわからなくなるけれど、うちの店は客人の数がお察しなので。

 それに個人的に、思い出に浸る為でもある。たとえば脇にあるクワスを眺めれば、自然とSVDさんの顔と彼女達との一夜が想起される。このクワスは好意での頂き物なので、今回のカクテルに利用するのはやめておいた。

 そう、どのお酒にも思い出が付属してくれる。ジンにラムはサンダーさんの時。ポマックらはモシン・ナガンさん達の時。ちゃんと覚えている。

 ‥‥‥はて。

 バイオレットリキュールにホワイトキュラソーは、私はいつ誰にどのカクテルとして利用したものだったか。ホワイトキュラソーはモシン・ナガンさんへバラライカを供する時に使ったが、その際にもこの棚から取り出したのである。以前から出していた、という意味だ。

 この二種は、使ったなら覚えていられる範疇の利用頻度。特にバイオレットリキュール。ここに置いておくからには、サンダーさんの来店よりは以前の話で、しかし一ヵ月以内くらいの出来事のはずなのだが。

 まぁ、今は良いか。

 私は世界一のカクテルを、MDRさんの目の前へ差し出した。名状しがたい色となった名もなきカクテルさんは、既に毒々しさを放っている。ラムの風味でウォッカのアルコールが感じられるのだろうか。バイオレットとホワイトと各種茶色が混ざったこの色で。ビルドなので素材が混ざり切っておらず、色合いも若干マーブル模様。

 芸人は、カメラ外では素になる。MDRさんは思いっきり顔を引きつらせてカクテルを眺めていた。予測できた未来だろうに。

 しかし芸人。端末カメラを引き戻して、陽気顔を視聴者へプレゼント。

 

「どれだけデンジャラスかいってみよ~、ほい!」

 

 私には、味覚センサーをオフにするかを含めて相当覚悟を決めたようにしか見えないが。ともあれMDRさんはロンググラスを掴んで、一息で飲み干した。舌の上に居座る時間を極力短くする為に違いない。

 なんとまぁ、形容しがたい辛そうな顔。スオミさんらと比べてではあるが、お酒自体を飲み慣れていない印象もある。

 だが彼女は、どこまでも芸人だった。

 

「ぷっは~! 不味い! もう一杯!」

「そうですか、では」

「あ、ちょっと待って。次はバーテンダーのお勧めにしとく」

「私のお勧めですか。では、先ほどのカクテルをもう一度」

「おーけー、話せばわかる。落ち着こう」

 

 二発目は耐えられないらしい。拒否っぷりが必死すぎる。

 まぁ、例え二杯目を出してくれと頼まれたとて、すぐにはお出しできない。今の一杯でポマックが完売だ。その時はその時で、適当に作るが。えぇ、いい加減な意味の適当で。

 

「それにしてもすんごい。おしとやかな私じゃ到底表現できない、お酒詳しくないから何の味かもわかんない。喉が痛いっていうか、うええ」

 

 空気の味を求めて舌を出す。どの口で自分をおしとやかなどと言うのか。

 彼女は目をぎゅっと閉じて俯いたり空を仰いだり、口をもごもごさせたりしている。それはそれは天にも昇る味なのだろう。そんな未知の世界は知りたくはないので私は結構です。

 

「次は新世界に行けると思いますよ。飲みます?」

「もう一度出したら、ネットに店の悪口書いて送信しちゃうぞ。これがこの店一押しのカクテルだって、写真付きで」

 

 嫌味を悪用されそうになる。過去に来店された戦術人形さん達は、素敵な側面を持って輝いていたのに。民間軍事会社の人形は変わり者、という噂を私は急に信じたくなってきた。

 MDRさんはひたすら逃げの姿勢。話を逸らしにかかってきた。

 

「そんなんより店の宣伝をしたいでしょ、したいよね、したいに決まっている。私の生配信に協力してくれたら、15秒のコマーシャル出演権を進呈しよう」

「既に散々撮影されているんですけれど。それに、宣伝は特には」

「ありゃ。目立ちたくないの? 人気店になりたくないの? 来月閉店とか困らない?」

「目指す方向性が違うので」

 

 チェーン店志望なんて話はマスターからは聞かなかったし、客寄せをしたいという願望もマスターから聞かれなかったし、マスターが飽きるまでなんとなく開くがモットーである。今は、この普通な毎日が続くよう願うのみ。

 ‥‥‥MDRさんはというと、信じられないそんなつまらないという顔をしていたが。

 

「G36に話しかけてる気分になってきた。メイドってつく奴は、ベースの設定値が同じなのかね。もっとノリよく行こうよ」

「ところで、配信への協力とは具体的にはどのような?」

「おっとそうだった。お酒あるところに情報あり、さぁ情報プリーズ。あ、情報料として注文しないとくれない感じ?」

「ここはバーであって、情報屋でも新聞屋でもありません。世界一まずいカクテルなら」

「それはもう天丼だ。兎に角おいしいのをくれ。まだ舌の上にもぞもぞが残ってるんだよ。甘いのでがっと流し込みたい!」

 

 彼女の舌が非常に危機的状況らしい。

 甘いもの。果物ジュースで割る、という種類のカクテルは数多いし、そういった種はお酒初心者にも勧められる飲み口であるが。MDRさんの窮状を鑑みるに、くどい甘さが舌に残る方がよいか。それでいて、口当たりの良いお酒。

 三秒ほど脳内検索をかけてから、所作に入る。使うのはスタンダードジェムソンに、チョコミントシロップだ。シロップは多めに調整。甘い酒の、甘いシロップで作るカクテル。

 わかりやすいチョコの香りに、MDRさんは表情を変えて「早く寄越せ」とばかりにそわついていた。

 

「どうぞ」

「よし飲むぞ!」

 

 MDRさんは一も二もなく飛びついて、くぅと喉を鳴らした。

 このわざとらしいチョコ味がたまらないぜ、とか言い出しそうな表情で噛みしめて。

 

「うっは、チョコだ。チョコがいつまでも口の中に残ってくれる。あぁ、助かった~‥‥‥おっと」

 

 落ち着くや携帯端末に目を戻したMDRさんは、何かに気づくとこちらに向き直った。

 端末画面も私が見えるように掲げられる。生配信に対する視聴者さんから寄せられたコメントが、掲示板にずらっと並んで今も増え続けていた。ほぼほぼは「私もチョコが欲しい!」とか「アレをもう一杯飲んで」とか、そんなコメントだ。そんな中から、MDRさんは目ざとく見つける。

 

「視聴者から質問。『チョコのカクテル名を教えていただけますか』だってさ」

「こちらは『イン・ザ・グリーン』‥‥‥風、ですね。本来はジェムソンの中でもブラックバレルという、スタンダードより甘みが立っているものを使います。さらに自家製ジェムソンと掛け合わせるので、本物はもっと深い味になるようです」

 

 顔が見えないどなたかに向けて、私はカクテルを語らせていただいた。

 ジェムソンはアイリッシュウイスキーで、癖の少なさから愛飲家も多い。黒く焦がした樽、ブラックバレルで熟成させる事で甘みが増す。イン・ザ・グリーンはその昔、ウイスキーメーカー主催のカクテル大会に出品された一品だ。人間はこうして競い合い、磨き上げてきた。

 ブラックバレルがなかったので仕方なくスタンダードを使った。日々、完全再現が不可能なレシピが増えていくのは寂しいものである。

 投稿コメントに、「ご丁寧にありがとうございました」との返信が。配信主はごらんの有様だが、礼節ある視聴者さんがいらっしゃるようだ。

 

「これジルじゃないの? 仕事サボってるってボスにメール送っちゃうぞ、まぁいいや。で、私の本題なんだけど」

「情報が欲しい、とおっしゃっていましたね」

 

 頬杖をつきながら端末を眺め見る彼女へ。今のカクテル話の間といい、お酒に関するあれこれにMDRさんは興味を示していなかった。どうやらカクテルの質問は視聴者サービス、来店理由も取材のみの風情である。

 

「日々ここに収まっているだけなので、MDRさんが欲しがるものが出せるかどうか」

「出なくても気にしないから。バーメイドさんは、この一か月間くらいで汎用軍用車両を見かけたりしなかった?」

「汎用軍用車両?」

 

 警備隊の人が良く使っている車の事だろうか。確かに治安というか住民の素行は悪い方だと認めはするけど、こんな路地をわざわざ軍向けの車が走るとは。この細い路地にそもそも車があまり通らないし、多分見てないと思う。

 また唐突に物騒な。

 

「見てないって顔だね。じゃ、黒ずくめの怪しい人形に見覚えは?」

「どこがどのように怪しいかわからないと、お答えしかねるのですが」

「そりゃもう、見た瞬間にビビっとくる感じの怪しさよ。話しかけただけで撃ち殺されそうな」

「それだと、私はとっくに廃棄処分になってます」

 

 店員が来客に声をかけずに一体どうしろと。通りをすっと歩いただけならば、それはもはや記憶保存対象外である。

 黒い衣装、であれば以前のサンダーさんがそうである。しかし銃を取り出すにも同意を求めてきたし、怪しいとはかけ離れている。彼女はありえないだろう。目の前の彼女の方がよっぽど黒ずくめで素行のほうも。

 MDRさんの質問攻めは続く。

 

「バーメイドさん、私が来店した時に手荷物を確認したよね。民需人形と戦術人形の差はわかるんだよね?」

「はい。‥‥‥私、さっと目を通したつもりだったのですが。そんなに凝視してしまっていましたか」

「ちょっと目がしかめってた。バーメイドさん、カメラアイが不良品気味でしょ」

「その通りです。これは失礼を」

「こっちの職業病みたいなもんだから気にしないで」

 

 私が手荷物を確認したのは来店時、MDRさんが端末めがけてしゃべり倒していた時ではなかったか。それなのに私の視線やその意図にも気付くのか。しかも正鵠である。確かに、私のカメラアイは基準すれすれの品質だ。

 見ていないようで、アンテナはビンビン。これは戦闘化改造の恩恵というより、MDRさん個人のポテンシャルか。

 

「戦術人形がわかるなら質問を変えてみようか。過去一か月以内に見た、戦術人形の数を答えよ!」

「えっと、五人ですね。先々週くらいに一名様と、先週に三名様、そして今日ここに一名様」

 

 サンダーさん、モシン・ナガンさん、スオミさんにSVDさん。サンダーさんより以前は見かけなかった。そもそもの来店人数が少ないのだから忘れるはずもなく。

 するとMDRさんは大きくわかりやすくため息をついて、気だるそうに端末のカメラを自身へと向けた。

 

「私を除く四人が誰なのかは、外出許可的に完全に裏が取れてる。つまり、目撃証言なしってわけだ。企画倒れは予想通りだけど、しまらないなぁ。本当にさ、何かないの。怪しい集団直筆サインが入ったグラスとかさ」

「あるわけないです」

 

 食い下がるMDRさんにさっと答える。

 ‥‥‥いや。ないわけでは、ないのか。

 私は自身の胸ポケットに意識を向けた。誰かをもてなしたはずなのに誰なのかを覚えていない、名もない誰かからの、心のこもった謝礼が綴られた紙ナプキン。もしも筆跡の方がまた来店されても良いように、そっと仕舞ってある。

 謎のバイオレットリキュールにホワイトキュラソーはあるいは。また、来てくださるのだろうか。

 私がロマンへ心馳せる間に、MDRさんは突撃インタビュー終了を決めていた。話題がないなら、致し方なし。

 

「嘘情報をタレコミとして流すなんてあぁ、世間とはなんとおぞましいか。いいや、これはMDR様が出し抜かれたんじゃないからね。謎の黒集団がMDR様を持ってしても尻尾を掴ませない、超凄腕のせいだ。反論無用!」

「‥‥‥すばらしい自信で」

「噂のヤツらは結局現れなかった、ネタ的に大変残念だけど、今日はここで打ち止め。新しいタレコミ情報、どしどし送ってちょ。さってと、いい時間だね。特別編の次回は未定だけど、明日の出撃配信はいつも通りにするからね、配信開始通知を受け取るにはフォローを入れると便利だぞ。はい、おつおつありがとう! まったね~」

 

 愉快にピースサインを送った芸人は、コチリとボタンを一押し。配信終了する。ところで彼女の自由だとは思うけど、戦場の様子を生配信するって、大丈夫なのだろうか。いろいろと。

 ようやく騒々しさが去った。が、MDRさんはなおガシェットを弄りまわしている。ほれぼれするほどの入力の速さ、もはや体の一部。その音速で、掲示板に店の悪評を綴ってはいないと信じたい。

 彼女ならマルチタスクを余裕でこなせるようだし、話しかけてみようか。

 

「いつもこのような配信をされているのですか?」

「だいたいはそうかな」

「はぁ‥‥‥その、黒い探し人というのは」

「噂よ噂、都市伝説。にしてもカクテルって量が少ないね、一口で終わりじゃん。さっきのチョコの奴、もう一杯頂戴。大きいサイズで」

 

 配信が終わっても手で携帯端末を弄びながら。つまり主たる視線も、話す瞬間以外はたいてい携帯端末である。

 私はもう一度イン・ザ・グリーン風のチョコドリンクを、今度はたっぷり飲めるようロンググラスで用意して提供した。MDRさんはやはり洗い流したいというように、すぐに飛びつく。そんなに食いつくなら、ジェムソン増し増しで酔い潰してしまおうか。きっと静かになるぞ、と魔が差したが、ハバネラダンスを始められても困るので、もうちょっとだけ様子を見てみる事にした。

 話しても黙っても、彼女の方からネタを出すのは同じ。そして話す時は、ちゃんとこちらに向いてくる。

 

「タレコミ情報をちょっとばかり信用してやってきたんだよ。もう三週間以上前になるけど、この近辺で事件があってね」

「事件?」

「物資横流しで追放処分された元陸軍兵士、上にはきちっと元締めがいたんだけど。そいつらが三週間くらい前に、とある集団に襲われた。当事者のその後は聞かないほうがいい」

「承知しました。しかし物資横流し‥‥‥もしかして、先週あたりから物流が回復したのは」

「酒類は知らないけど、食品系をシメてたって話だね。調査担当はグリフィンじゃないけど、これくらいなら運送業系に配備されてる人形に聞けばすぐ話が聞ける。ここからが本番」

 

 真面目な話は真面目な顔で、しかし赤と青の瞳は愉快に揺らして、人差し指を立てて見せる。

 ‥‥‥ここまで破天荒な人でもちゃんとするんだな、と失礼ながら思ったことは黙っておく。

 

「襲撃をやったのは暗殺任務を請け負った、闇を駆ける黒ずくめの集団。例のあの小隊、その名を口にしてはいけない謎の戦術人形部隊である」

「というタレコミと。しかし戦術人形ですか。PMCの治安活動では、そんな事もしているんですね」

「してないから噂になるんだよ。G&Kの人形は、I.O.P.社がどの型番を納入してるか全部管理してる。で、G&Kでの活動は全部指揮官命令で行われる。戦うのが仕事なうちらは休暇申請か、突発時以外ではどこそこに行ってこいって言われないと、そもそも基地から出れない」

「そして今回の事件は突発的事態ではなくて、移動命令もなかったけれど、現場近くで戦術人形らしき影の目撃情報があったと‥‥‥それこそ、軍の人間部隊と見間違えたのではないですか。PMCの管轄外なら、自然そうなるのでは」

 

 二足歩行生命体と、二足歩行機械生命体。人間社会に溶け込めるよう容姿を整えられている我々と、遠目で仔細の判別は難しい。

 自律人形を戦術人形という形で投入しているのはG&K、グリフィン&クルーガーという民間軍事会社のみ。その所属のMDRさんが否定しているのだから、人形が犯人という線はあまりにも薄い。

 しかしMDRさんは人差し指を立てて。

 

「だから、噂だって。噂を囲んでワイワイやるのが楽しいの。まぁ実際、戦場で何度か不整合があってね、話がなかなか立ち消えない理由でもある」

「不整合ですか」

「おいおい、私から情報を抜き取ろうだなんてそうはいかないぞ。私はネット掲示板を荒らし、物議を醸して炎上はさせても、機密保守義務は守る。ま、小隊で電子戦担当をしてると、いち早く面白い情報が手に入るって話。危険手当として頂戴しないとね」

「危険手当?」

「メンタルマップを直接焼く攻撃には、支援砲撃も炭素繊維も無意味だからね」

 

 そんな話を、けろっとした顔でMDRさんは述べる。一番上手い人がサイバー戦を担当するだろうし、その人がやられてしまうようでは他の人形がいくら集まってもどうにもできない。

 私の視線やネットコメント拾いの手早さ、機密に触れそうだと即座に反応してシャットアウト。そんな仄めかしのせいか、単なる変な人で流せない感じがある。小隊の重要ポジションとも言えそうだし、この方、実は優秀なのでは。

 

「それで、誰かのスリーサイズみたいな話も手に入れるんですね。そう言う話はどうするんです?」

「ネット拡散、みんなでシェアする」

「ついでにモラルも守ってください」

 

 青息吐息ものである。やっぱりとんでもない人だ。私がもう一歩ふざけていたら、この店の悪評も簡単に流してくれたに違いない。

 

「謎っていうのは、一番食いつきがいい話題。私が懇切丁寧に用意した釣りスレよりも人が集まるってどういう事よ。あ、写真館の謎だけは勘弁ね! マジでひどい目に、いやその話もいい」

「MDRさんの醜態もシャアしたらどうですか」

「もうみんな知ってるよ、いいネタには違いない。んで、今日も『謎の部隊、その真相に迫る!』ってテーマでやってたわけ」

「今日『も』?」

「客入りがよければ連載する、当たり前じゃん」

 

 この店以外のどこかで自由奔放をやってきた危惧に対して、MDRさんはあっけらかんと。

 そして武勇伝がごとく得意げに、話し始める。

 

「第一回は、『戦地に自動人形を派遣してくれ』って、近隣の郵便会社全部に電話したね。そうしたら、凄腕の戦術人形がやって来ると言う噂でさ」

「なぜに郵便会社ですか。全然関係なさそうなのに」

「戦地から故郷に手紙を送りたい人間って大量にいるんだよ。今は配送業や代筆業を席巻してる、郵便会社所属の民需人形を使う例もあるらしいね。戦術人形以外で戦地を往来して怪しまれない人形って、それくらいだから。そしてとある郵便会社には必ずお届け物配達を遂行する、自力で脅威を排除できる郵便人形がいるのだ」

「その実は戦闘用人形。普段は民需型を装っているから見つけられない。なるほど‥‥‥好きな人は食いつきそうな話です」

 

 MDRさんの場合、ここに尾ひれをつけて誇大に騒いだんだろうなと容易に推測できる。既に、今の言葉のどこかに装着済みかもしれない。郵便会社さんにとってはいい迷惑だ。

 

「第二回の時は、『G11型自律人形買いたし』って書かれた新聞を見つける8時間耐久生放送。その電話番号にかけると、凄腕の戦術人形とコンタクトが取れるとか。ちな、145ドルで件の戦術人形に暗殺依頼ができるらしい」

「ワゴンセール並に安いような。それもタレコミ掲示板ですか?」

「もちろん。ネットは情報の宝庫だ!」

 

 きゃっほいと騒ぐMDRさん。

 これは高度な暇つぶしなのか、それとも結構真面目にタレコミ情報なんかを信じちゃっている類なのか。真意を測りかねる。

 おかげで振り切れっぷりから彼女は痛快に愉快で、話題は新鮮で、そそられる。いつの間にやら、私はこれまでの客人同様の物腰で話を聞いていた。

 

「で、第三回はネットの掲示板に『XYZ』の文字列だけを書いて送信して、雑談しながら反応を待つってのをしたよ。すると送信元を特定して、凄腕の戦術人形が救援に来るという」

「郵便会社に新聞と来て、ついに噂元のネット掲示板まで。XYZには、何か意味が?」

「プランAプランBとか言うじゃん? で、アルファベットの最後はZ。XYZとは転じて、『出来うる限りの対応は取った、もう後がないから助けてくれ』というSOS信号である」

「そしてどれも不発だったので、第四回の今日は、謎の集団の目撃情報を追い求めて、という具合な訳ですね」

「そうそう」

 

 徒労ですねと遠回しな弄りだったのだが、MDRさんには全く通じない。図太いというか、メンタルが強すぎる。

 MDRさんは、情報源であろう携帯端末をずっと握ったまま。既に配信は終了しているし、私への話題提供で眺める暇もないのに。カクテルを飲む時さえ片時も手放さない。電子戦担当と言うからにはサイバー系に強い、個人用端末はただの通信装置ではなく武器の一つだ。しかしそんなに大事なのだろうか。などと意識を向けてみて、気付く。

 随分と見慣れない型式だ。今やタブレット端末が主流なのに、二つ折りタイプの携帯である。

 

「珍しい機種をお持ちですね」

「お、気付いてくれちゃった?」

 

 にしし、とMDRさんは端末を押し出しつつ白い歯を見せる。

 うれしかったのだろう。珍しくも邪気のない笑みが、なんだかまぶしい。

 

「配信遅延もなさそうでしたし、良く動きますね」

「改造して、中身は新しいのを詰めてるからね。ていうか、外も散々手を入れてるし。選び抜いたこの配色、このすべすべした手触り、パチンと閉じる音、低燃費・高演算、防水・耐熱・耐衝撃に破片防御。でも一番気に入ってるのは」

「何です?」

「ボタンの押し心地だ!」

 

 MDRさんが大きく弾ける。

 より良い使い勝手、時代に合わせたカスタムの変遷、新技術の投入、新スタイルのお披露目、新しい楽しさの提供。あらゆる電子製品に共通する。銃でさえ人間工学だとか何だとかで、より良くを追及するものである。と聞いた事がある。

 今時、個人用端末のボタンの押し心地が為に、スクラップ品一歩手前から新造同然に魔改造を施す人がいるだろうか。しかも、戦場を渡り歩く自律人形が、である。随分変わった方だとは思っているが、とことんまでに風変わりな方だ。

 

「その機種がいっとうお気に入りとか」

「好きなのは選んだけどさ。送信ボタンを押す時に、指で画面をペタリじゃ雰囲気も何もない。そうして巡り会った最高の感触。『自分は送信したぞ!』という実感が指先から伝わる達成感、わざとらしいバイヴレーションにはない指触りに牧歌的感覚。たまらないね」

 

 彼女はパチッと携帯を開いて、ボタン部分を指でなぞる。押しはしない。送信する時の為のとっておきだからだろう。それだけ気合を入れたのだから、達成感もひとしおか。自分の好きをとことんまでに突き進む、ボタンの押し心地一つでさえ刺激を追及する、その姿勢は評価したい。

 私自身、古い用具でこの店を守るバーメイド。グラスにメジャーカップにシェイカー、それらに触れているとほっこりとした気分になる。ちょっとだけ、似た所があるのかも。

 

「喉か湧いちゃったよ。バーメイドさん、適当に飲み物を頂戴。これ真面目に、おすすめとか。さっと飲めるのをお願い」

「わかりました。少しお時間を頂いてもよいですか」

「任せる任せる」

 

 舌には残るが喉にも残るチョコは、しゃべるには合わなかったらしい。お酒に指定がないあたり、やっぱり興味がないんだな。これほどの凝り性でお酒にハマってくれれば、良い話相手にもなるのにと、バーメイドとしては少々残念にも感じつつ。人の事は言えない。私も、銃への興味はほぼ皆無である。

 彼女の話題に合ったお酒を用意しよう。用意するのはラム・コアントロー・そしてレモンジュース。透明色の三種を、氷を加えてシェイクする品。

 携帯談義に話題を定めてMDRさんの趣味を語らせれば、実に濃ゆい話が聞けそうだが。私としては黒い探し人のほうが興味惹かれたので、話題は変えさせていただいた。

 

「その、謎の人形に本当に出会ったらどうします。自慢の携帯のカメラで撮影ですか?」

「まさか。クサくなった時点で尻尾巻いて逃げるよ」

「えっ!?」

 

 オッドアイに揺らぎなく、意外な答えを。反して私は驚きすぎて、取り出したシェイカーを落とすところだった。

 これまでの芸人根性は一体どこへ。

 

「ついに激写、とかやるものだとばかり」

「今回は相手が相手だ。そんな、戦地の戦車を眺めながら電話するみたいな危ない事はやらない」

「危ないんですか。ただ電話しているだけなのに」

「砲爆撃位置を知らせる敵方の観測員に見えるから、戦車砲弾が飛んでくるよ」

「な、なるほど‥‥‥」

 

 今まで尻尾も掴ませなかった謎の部隊と、カメラに収められるくらいの距離になっちゃったら銃弾が飛んでくるのは自明。それは危険すぎると、当たり前と言われれば、当たり前である。急にまっとうな意見が飛び出て、面食らったが。

 ‥‥‥それはつまり。MDRさんには謎の部隊の真相を暴くとか、そういう気概が。

 

「もしかして。真面目に探す気がないんですか?」

「ネタって言うのはね、ネタとして外から眺めるのが一番楽しいの。煽って燃やして楽しむ為のネタなの。今日だって、世界一まずいカクテルを飲みたがってる玩具がいたら、喜んでお譲りしてるよ」

 

 味を思い出したか、彼女は渋い顔を作る。そんな苦悩を相手に投げつける面について一切悪びれないのが、いかにもMDRさん。

 彼女にとっての面白おかしいを第一にしつつ、臭いをかぎ分けて、危なくない面白いネタだと判断したら自分でも突っ込む。確かに、同じ基地所属であろう戦術人形の仲間が何人も通った店で、配信という他者の目が多数ある中で世界一まずいカクテルを頼んで、劇物毒物混入品が出るなんて心配は無用である。

 きちんと精査実行するだけの知性と常識は持ち合わせているわけだ。そう考えてみると、私の常套句である「バーメイドです」という訂正後はずっと、バーメイドさんと呼んでもらえている点にも気付く。礼節を出すところは出す人なのだ。

 まぁ、悦楽の為に常識の方は意図して足蹴にされているわけで。頭のいい人が知恵をつけるとこうなるのかと、感心すべきなのか呆然とすべきなのか。

 そんな彼女にはネタ提供を。私は、仕上げた白く透き通るカクテルを差し出した。チョコほどあざとい香りがないので、MDRさんは顔を上げて指を差し。

 

「これ、ちゃんと飲める普通の奴だよね?」

「看板を汚すような真似はしません」

「掲げる看板はなかったぞ」

「そういうお店ですから。どうぞ‥‥‥XYZ、です」

「ん、XYZ?」

 

 彼女は不思議そうな顔。

 始めて、MDRさんの意識を引けた気がする。

 

「はい。究極のカクテルとか、今日はこれでお終いとか、そういった意味を持つカクテルです」

「ほ~ん。皆考えるのは一緒なわけね。あ、普通にレモン味だ」

 

 MDRさんは手を伸ばしてカクテルを口にする。可もなく不可もなくな反応で、可もなく不可もなくな回答だ。

 

「究極のカクテルとか言うから、超おいしいのを期待したのに。普通」

「普通という名の幸せ、ですよ」

「現実がちょいと退屈すぎやしないかい。退屈な現実は刺激で吹っ飛ばせ! 気にする前にどんどん動け!」

「どうやら、MDRさんには世界一まずいカクテルが似合うようで」

 

 ゴテゴテした衣装、相反する虹彩異色、外は古いけど中は最新な個人用端末。つまらない現実は自分色に染め直す。それが彼女にとっての愉快な『普通』だ。そんな方には刺激のある、世界一まずいカクテルが。

 そう考えて、ふと思う。

 

「MDRさん。最初の、世界一まずいカクテル」

「どうしたの?」

「カクテルに名前を、付けてみませんか?」

 

 名無しは寂しい。

 不味いカクテルを用意してありますみたいなのはお店としてちょっと遠慮したいし、私ができるネタの提供だ。非常に怪しいけど一応は? 生配信でこの店が認知されたわけで? 宣伝用品として残しても損はならないはず。

 自分に似合うカクテルに、自ら命名する。

 MDRさんはけらけらと笑った。

 

「誰も頼まないでしょ」

「宣伝用品ですからわかりませんよ。あのMDRさんが世界一のカクテルを作った、とか、今日の生放送で出されたカクテルだ、みたいな」

「おっと気が変わった、記念カキコみたいでいいね! 『栄光は一瞬だが、忘却は永遠である』とか言うし、よろしいここに名を刻んでやろう。そんじゃあ」

 

 刺激あるネタだと感じてくれたようで。

 MDRさんはいくらか悩もそぶりを見せて、すぐに最初の一杯目に使った空のグラスを掴んで掲げ、高らかに命名する。

 

「『デンジャースカウター』、これで決定」

「危険がないかを調べる、ですか?」

「これはMDRさんお墨付きの世界一スリリングなカクテルだ。けど、どれくらい危険かは、飲んでみなきゃあわからない。知りたきゃ頼め、頼んで飲んでみろ、物事全て実行あるのみ! そして私に撮影されてくれ」

「良い宣伝文句だと思います。ところで、肝心のMDRさんの感想はいかがでしょう」

 

 世界一まずいカクテルに対するスリリングな反応は見たが、今一度宣伝用に尋ねておこう。と問いを投げかけると。

 MDRさんはデンジャースカウターのグラスを戻しつつ、その手で自分の携帯端末を大事に握りこむ。

 

「これよりやべぇ事態は、多分世界に一つしかない」

「伺います」

 

 MDRさんをして言わせしめる、これより危険な事態とは。

 彼女は、気合を入れて改造した携帯を私に突き出して見せる。よほど大事にしているのだろう。美しく磨かれ、手入れが行き届いた装置だ。

 

「マイ携帯を紛失した時!」

 

 携帯端末に魂をかける彼女は、あまりにも大真面目な顔でそう宣言するのだった。

 

 

 




 

 デンジャースカウター - $200

 バイオレットリキュール×2、ジン×2、ラム×2、ホワイトキュラソー×2、ポマック×2、ブランデー×2、ウォッカ×2をオンザロックでビルド。

 “これだけバランスがいいのだから、味もさぞかし‥‥‥『どれくらい危険かは、飲んでみなきゃあわからない』”
 宣伝用、エレガント、ヒリヒリ


 
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