アークナイツRPGをエンジョイプレイ、DLCを添えて   作:エヴォルヴ

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白金の指輪

プラチナで作られた指輪。リングの裏には名が刻まれている。送り主がカランド貿易や、イナム商会などを頼って購入した品であり、彼の想いが詰まった品でもある。
指輪の彫刻は勿忘草。それは彼の想いなのかもしれない。


幕間 終わりはきっと、そんなものだった。

 目覚めた時、俺は密林の中にいた。……どうしてここにいるんだろう? 俺は……確か……DA-001に搭乗して……駄目だ、思い出せない……俺は……というかDA-001とは……誰だ? 俺は……誰だ? 識別番号……識別番号? 何だそれは? 

 

『おはようございます、パイロット』

 

「! ……あんたが……DA-001か?」

 

『はい。私はAI搭載二足歩行型兵器タイタン、DA-001です。お忘れですか、パイロット』

 

 何も思い出せない。俺がそう呟くと、DA-001は考えるような音を鳴らして、しばらくしてから音声を発した。

 

『その方が幸せなこともあります。ティタン、それがあなたの名前です』

 

「ティ……タン……? そうか……それが俺の……それで、ここは……!?」

 

 誰かがこちらへやって来た。褐色肌にフード……それに不思議な装飾……この密林に住んでいる原住民だろうか? 

 

『原住民のようですね。挨拶してみましょうか。ここがどこか分かるかもしれません』

 

「あ、ああ……えーと……君は……誰だい?」

 

「? 何を言っている?」

 

『おや、言葉は通じないようですね』

 

 ボディランゲージを使って交流を試みたが、全くの無反応……というよりかは興味と好戦的な視線がこちらに向けられている。……嫌な予感がする。

 

(背丈は大きいが、私と同い年かそれより少し上……強いな……ガヴィルと同等……それ以上だ。──面白い)

 

「──あー、DA、あれはここら辺の挨拶か何かか?」

 

『現実を見ましょう、パイロット。あれはファイティングポーズです』

 

 だよな、と呟いた俺のすぐ横を風が通り抜けた。恐ろしく速いパンチ……山勘で回避したが、回避しなかったら確実いいもの喰らっていただろう。

 

「中々やるな」

 

「何を言ってるのか分かんねぇ……DA、解読頼んだ」

 

『了解しました、パイロット』

 

 拳が飛ぶ、避ける……繰り返すこと数十分。DAが言葉を解読するまで時間を稼いでいると、拳を振るう少女が訝しむような表情を浮かべて俺を見た。

 

「戦わないのか?」

 

『解読完了。お待たせしました、パイロット。お嬢さん、こちらに戦う意思はありません』

 

 驚いたようにDAを見た彼女は、俺とDAを交互に見て首を傾げる。容姿が相まって可愛らしい。

 

「お前達は誰だ?」

 

『私はDA-001。そちらが攻撃した男性は私のパイロット、ティタンです』

 

 何を言っているのか分からない、といった表情をヘルメットの下で浮かべていると、DAからのメッセージがヘルメットに送られ、何を話しているのか何となく理解した。

 

「なぁDA、この子に助けてもらうことって可能か?」

 

『パイロットがあなたへ救援を要請しています。どうでしょう? こちらは技術などを提供する代わりに、あなたは私達を助けるというのは』

 

「……住む場所がないが、いいのか?」

 

 あんなに小さな少女が密林で一人……!? いや、もしかしたらそういう部族なのかもしれないが……放ってはおけない。人として……? 俺は本当に人なのか? 

 そう思った瞬間、手首にドロリとした感覚を覚えた。何だと思って見てみると、真っ白な液体が……これは……何だ? ……血……なのか……? 普通血は赤いんじゃないのか……? 

 

「俺は──一体、誰だ? いや、違う! 俺は何だ!?」

 

 脳裏に浮かぶのは断片的な記憶。実験、フラスコ、試験管、新しい生命──デザイナーベビー。

 

「ぁ、ああ……あああああああ?!」

 

「あ、おい!」

 

『申し訳ありません。パイロットをゆっくりできる場所まで運びます。案内していただけますか?』

 

 

 

 ──────────────────────────────

 

 

 

 ……懐かしい夢を見た気がする。俺が初めて彼女と出会った時の夢……だった気がするが……どうだったのだろうか? 

 

「起きたのかテュール」

 

「……ああ、おはよう、フリント」

 

 ベッドの横で笑っている彼女がいた。温かい……ああ、違う……俺が冷たくなってきているのか……きっと、彼女はそれを分かっているはず。笑ってくれているのは、俺に気を使ってのことだろうか? 

 

「フリント、あのさ……」

 

「いい。何も言わなくても」

 

 手を握ってくれている彼女は、首を横に振る。……懐かしい記憶を夢で見たからか、彼女の献身っぷりに少し笑みが溢れてしまう。

 

「何で笑うんだ?」

 

「ああ、ごめん……夢を見たんだ。昔のこと……初めて君と会った時の……」

 

「随分懐かしい夢だな」

 

 彼女も懐かしそうに笑った。……こうして昔のことを思い出すのは昔はそれほど怖いものではなかったが、今は凄く怖い。もしかしたら、走馬灯なのではないかと思ってしまうから。手を握ってくれている彼女と別れなければいけない時を迎えて……駄目だな。嫌なことばかり想像してしまう。

 

「DAは?」

 

『通信機能回復を確認。おはようございます、パイロット』

 

「おはようDA。俺は何時間寝てた?」

 

『約2時間です。パイロット、今日は彼女に贈りたいものがあったのではないのですか?』

 

 そういえば、そうだった。DAに言われて思い出した俺は、ゆっくりと起き上がり、部屋の机の中に仕舞っていた黒い箱を取り出す。

 

「……その、クマール」

 

 ピクリと彼女の体が動く。二人きりか、俺、彼女、DAの三人しかいない時だけ、本名で呼び合うことにしている俺達……結局俺は彼女の名前を大事な時とか、彼女に言われないと呼べないんだが……

 

「……何だ? テュール」

 

 テュールという名前……ティタンではなく、テュールという名前は、クマールやイナム、ズゥママ……ガヴィル、トミミ、そしてDAやあの密林の皆が頭を捻って付けてくれた名前だ。

 

「その……これ……受け取ってくれますか……?」

 

「! これは……」

 

 箱の中にあったのは、指輪。リングの裏にはクマールと俺の名前が刻まれている。

 

「受け取ってくれるか、というのは……そういうことでいいのか?」

 

「……言わせないでほしいかな……」

 

『パイロット、さすがに甲斐性なし過ぎると思いますが』

 

「なら、代わりにお前が付けてくれ」

 

 ナノマシンを介して通信してくるDAの鋭い言葉に膝を折りそうになりながらも、クマールの薬指に指輪を嵌める。そっと手を離そうとしたが、彼女はそれを許さず左手に指を絡めてきた。

 

「えーと……?」

 

「立つのもやっとだろう? 休むといい」

 

 ベッドに腰掛け、クマールの膝の上に寝かせられた俺は、目を閉じて、口を開く。

 

「なぁ、クマール」

 

「何だ?」

 

「俺は……楽しかったよ。……そりゃあ、人殺しは気が狂いそうになったけどさ……」

 

 なぜか、聞こえるはずのない声が聞こえた気がした。神様ってやつかね? 奴さんが俺を迎える準備でも……いや、これは……──そうか、神様ってやつが頑張ってくれてるらしい。

 

「──そうか」

 

「でもさ、それでも……クマールやDA達と……部族の皆と飯食ったり、ロドスの男衆で遊んで怒られたり、レユニオンの連中と分かり合うことができたり……凄く……楽しかった」

 

「……そうか」

 

 視界がぼやける。音も、ぼやけてきているような気がする……

 

「なぁ、クマール」

 

「──何だ?」

 

「駄目、かなぁ……?」

 

 ボロボロと涙が流れ始める。流れることがなかった涙が、感情のダムが決壊したように、濁流となって流れ始めた。

 

「今更、だけどさぁ……まだ生きていたいって、望むの、駄目かなぁ……!」

 

 体の寿命を延ばしていたであろうナノマシンの動きが、ゆっくりと止まっていく。まだ、まだだ……頼む……まだ、伝えきれてないんだ。

 

「クマールと、まだ一緒にいたいって思うのは……駄目かなぁ?」

 

「いいに決まってるだろう……」

 

 クマールが何かを言ってくれた。ああ、もう聞こえない……

 

「……大祭司のじいさんがさ……言ってたんだ……人がいつ、死ぬのかって。銃に撃たれても、剣で斬られても、毒を盛られても、人は死なないんだってさ……人に、忘れられた時……人は死ぬんだって……」

 

「忘れない。お前のことは絶対に。ガヴィルやズゥママだってそうだろう。DAもな」

 

 手を強く握ってくれた。温かさを感じない。

 

「クマール」

 

「……何だ?」

 

「ちょっと……疲れた……十分だけ、眠らせてくれ」

 

「ああ」

 

 目を閉じて、浅く息をする。俺は……何か……残せたのかな……? いや、違う。これからもずっと、ずっと、クマールやDAと……皆……と……一、緒────

 

「──おやすみ、テュール」

 

 

 

 ──────────────────────────────

 

 

 

 ロドス・アイランドが現在停泊している場所から、少し離れた場所に、DA-001と呼ばれたAI搭載二足歩行型兵器タイタンが歩いていた。両手に抱えているのは、棺。ある程度の防腐処理が施されている遺体が納められた棺を抱えて、樹海を歩いている。

 

『……申し訳ありません、パイロット。本当でしたら、あの密林へと運びたいのですが、あそこまでは向かえないそうです。クマール、ガヴィル、ズゥママ、トミミも意見しましたが……』

 

 無理だった? 

 

『はい。申し訳ありません、パイロット』

 

 いや、いいさ。ケルシー先生や他の職員の言ってることも分かるよ。ちょっと残念だけどな。……この場所は、お前が選んでくれたのかDA? 

 

『いいえ、密林出身者や、密林へと行ったことがあるロドス職員他、あなたが捕虜にしたレユニオンメンバー達との協議によるものです』

 

 捕虜にしたやつらは元気か? 

 

『はい。あなたの葬儀にも参加し、酒を飲んで騒いでいました』

 

 遺言通りやってくれたんだな。ありがとう、DA。

 

『問題ありません、パイロット。相棒であるあなたの願いを叶えるのは当然のことです』

 

 ははっ、そっか。……こうして歩いてると、思い出すな、DA。お前と密林を歩いた時のこと。

 

『あの時はあなたが気絶してクマールも混乱していましたね。あれが馴れ初めとは』

 

 止めてくれよDA。そりゃあDAにもクマールにも悪いことしたけどさ。

 

『そうですね。……パイロット、ここがあなたを眠らせる場所です』

 

 ……ああ、いいな、ここは。水辺が近くて、滝もある……密林のあそこに凄く似てるな。

 

 

 棺を埋めていくDAには、何かが聞こえているようで、誰もいないというのに受け答えを行う。もしかしたら、かつての相棒をシミュレーションしているのかもしれない。

 

 

『……埋葬、完了しました』

 

 ああ、ありがとう、DA。…………ああ、そうだDA! 

 

『何でしょう、パイロット』

 

 クマールを、頼む。あいつはきっと……辛くても泣かないからな。コックピットとか防音だよな? ……とにかく無理させないでやってくれ。

 

『了解しました、パイロット。あなたの相棒にお任せください』

 

 自信はあるのか、DA? 

 

『信じて!』

 

 ……なら頼んだぞ、相棒。

 

『おやすみなさい、パイロット──いいえ、テュール。いつかまたお会いしましょう』

 

 巨人を操り、戦場を駆け抜けた男、ティタン。彼のことを語る人はロドスには多い。それらは全て武勇伝ではなく、彼がどれだけお人好しで、どれだけの人を救ったのか、笑っている姿はデータベースだけにしか残っていないが……彼のことを話す時、誰もが皆、どこか嬉しそうである。彼がどんな人物だったのかは……それが、答えなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ティタン君が死ぬ間際のガバリストの様子

「うぉおおお!!? 馬鹿野郎ティタン君死ぬんじゃねぇえええ!! 馬鹿野郎お前俺は(ティタン君生かしてハッピーエンドを迎えさせて)勝つぞお前!!(天上天下天下無双刀) スキルブーストで延命! アさんから渡されてた薬品も自動投与! ああ、ダメダメダメダメ! オニイサンユルシテ、まだ生きていたいって言ってる! オネエサンユルシテ、まだ生きてほしい! 太いシーチキン(ハッピーエンドの隠喩)が欲しい!! まだ死ぬんじゃねぇ!!」

さて、ティタン君の話には色々他のゲームなどのネタが入っています。ガバリストの記憶が正しければ3つ。探してみてもいいかもしれません。

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