アークナイツRPGをエンジョイプレイ、DLCを添えて   作:エヴォルヴ

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角笛を鳴らすのだ。
あ、私ランサーです。ガンランサーもやってます。よろしくどうぞ。


幕間 狩人、方舟に来たりて

 それは、あり得ない存在だった。

 巨大で、銃弾すら弾く鎧のような甲殻を持った巨体を持つ竜。シエスタの火山へと赴いていたロドス・アイランド一行は、ポンペイを討伐するためにやって来たが、そのポンペイは既にその竜に討伐されていた。

 その風貌に驚愕しながらも応戦したが、銃弾や弓矢は弾かれ、エンカクやヘラグ、シルバーアッシュといったエリートオペレーターの全力攻撃すら効いているようには見えない。アーツも当たっては蒸発するか表面が焦げるのみで終わる。

 

『グォオオオオ!!』

 

 恐ろしい咆哮と共に放たれた熱線は、すんでのところで回避した重装オペレーターホシグマのすぐ横を通り、簡単に岩盤を溶解した。

 

「ドクター、これは撤退した方が……」

 

「ああ……全員、撤退! 負傷者を庇いながら──!?」

 

 その指示を出した瞬間、ドクターの横を風が通り抜けた。巨大な槍と盾を構えて突撃していったそれは、鎧竜の甲殻をいとも容易く貫いて怯ませる。

 

「ん……? 何か堅いな……上位個体か? ──そこにいる民間人達、さっさと避難してくれる? 邪魔!」

 

 ドゴォッ!! と凄まじい音を立てて鎧竜の攻撃を防ぎ、お返しと言わんばかりに強力な突きを浴びせかけ、周囲に凄まじい吹雪のような冷風を起こす。

 

「さっさと離れるっチャ!」

 

「あいつが本気で暴れられないンバッ!」

 

「ンミャウ。怪我人はネコタクで運ぶニャ。ガンガン運ぶニャ」

 

 突然現れたのはあの鎧の男だけではない。ドゥリン族くらいの背丈で不思議な仮面を被った小人と、喋る猫も現れ、負傷者をどんどん車輪の付いた担架に乗せて運び出していく。

 

「き、君達は……?」

 

「んなこといいからさっさと離れるンバッ!」

 

 青い仮面を被った小人に催促され、何が何だか分からないうちに避難を促されていくロドス・アイランドのオペレーター達。避難が完了したのを確認した鎧の男は、やっと本気でやれると呟き、鎧竜グラビモスと対峙する。

 

「チャチャー、カヤンバー! いつもの頼むよ!!」

 

「任せろっチャ! 激しいノリノリ×ドンドンのダンスを見るがいいっチャ!!」

 

「任せるンバ! 華麗なギンギン×マカマカのダンスを見るがいいンバ!!」

 

 チャチャとカヤンバと呼ばれた小人は、摩訶不思議なダンスを踊り始め、踊りきった後鎧の男の体に力が漲り、彼が握る武器……【イディオクラウン】が近くの溶岩を急激に冷え固まらせる程の冷気を放つ。

 

「サンキュー二人共!」

 

 上段突き、凪払い、カウンターからの鋭い突き。あの堅牢な甲殻をいとも容易く貫き、破壊する。勿論攻撃のいくつかは喰らっているが、G級個体と呼ばれる歴戦のモンスター達の素材で作られた鎧に傷は一つもない。熱線すらも防いでしまう盾と彼の筋力には驚きしかないが、彼の故郷では大体の攻撃は防げるのが普通なのだ。

 ただし、例外は存在する。例えば奈落の凶星(オストガロア)のビーム砲とか。古龍はやはり格が違う。

 

『グォオオオ……!!』

 

「ようやく弱ったな。タフだなぁ……特殊個体か? こりゃ龍歴院に調べてもらった方がいいな。よし、決めた」

 

 捕獲しよ。そんなことを簡単に言ってのける彼は、ポーチから取り出した小さな地雷? を地面に埋め込む。するとその地雷? はバチバチッ! と凄まじい電流を放ち始め、それを踏んだグラビモスの体が麻痺したように動かなくなる。よしよし、と頷いた彼はすぐに真っ赤な玉をいくつか投げつけ、そこから麻酔の効果がある煙が立ち上ぼり、グラビモスが力尽きたように倒れた。

 

「毎度のことだけど、麻酔玉ってヤバいよなぁ……こんな巨体でも眠らせるんだから。ま、とりあえずクエストクリアかな」

 

「終わったっチャ?」

 

「終わったンバ?」

 

 チャチャとカヤンバが両手に鉱石やらを抱えて歩いてきた。

 

「それどうした?」

 

「忘れたっチャ? こっちの鉱石や野草を研究材料にしたいから採取してこいって言われたのっチャ」

 

「お前は忘れやすいからってことでアイシャやキャシーにワガハイ達が頼まれたンバ」

 

「うわ、信頼ないなぁ……」

 

 運搬用の飛行船が到着するまでの時間を、ハンターノートを見ながら潰していると、避難したはずのロドスオペレーター達がこちらへと向かってきているのが見えたが、彼は気付かないふりをしてハンターノートを読む。それに便乗してチャチャもカヤンバも鉱石や野草の整理をし始める。

 

「あの巨大生物を一人でやったのか……?」

 

「……シェンガオレンの進行時期はまだ先だよな? うん、まだ先だし、いざとなったらポッケ村のハンターに任せよう。彼ら腕利きだし」

 

「なぁ、君達は一体……」

 

「……あれ? カムラの里じゃあそろそろ百竜夜行か? 大丈夫かな……」

 

 何を聞いても無視される。一部のオペレーター達の視線が強くなった頃、気付いたように顔を上げた彼は、鎧の下で不機嫌そうな表情を浮かべる。

 

「何?」

 

「いや、君達は一体何者なんだと思ってね。──え、と?」

 

 突然鎧の男がタグを見せ、ドクターは困惑の表情を浮かべた。その反応に首を傾げた男は、納得したように頷き、口を開く。

 

「……ああ、こっちじゃギルカなんてないのか。ナルバ。一応G級ハンター。よろしく」

 

「G……? ハンター……?」

 

 無愛想な対応をしてくるナルバという男に、誰もが不審な視線を向けていると、ロドスオペレーターの一人が、声を上げた。それは仮面を付けた鬼族の重装オペレーター、ノイルホーン。その声は驚きに満ちており、誰もが彼に注目した。

 

「ノイルホーン、どうした?」

 

「あ、あんたもしかして……古龍討ちのナルバか……!?」

 

「ん? その恥ずかしい異名をなんで……って、んん? その奇面族みたいな仮面と角……もしや黒角少年か?」

 

 少し驚いたような声を上げたナルバの手を、興奮したように握ってブンブンと振るノイルホーン。

 

「やっぱり! 旦那、久しぶりだなぁ!」

 

「ああ、うん。黒角少年も元気そうで何よりだ。十年も経てば変わるものか」

 

「旦那は全く変わって──アダッ!?」

 

 その光景は周囲にいる誰もが困惑するようなもので、話が進まない、とノイルホーンの後頭部を刀の鞘で殴り付けたヤトウ。

 

「何すんだよ!?」

 

「周りが困惑してるぞ」

 

 ヤトウの言葉通り、オペレーター達は困惑していた。その反応に気付きながらも、ナルバは多くを説明するつもりはないといった対応を続ける。

 

「あー……悪いなドクター。旦那はちょいと特殊でさ。人と話すのがあんまり好きじゃないんだ」

 

「……違うぞ少年。俺はモンスターを私欲のままに手を出し、被害を出す連中が嫌いなだけだ」

 

 スヤスヤと寝ているグラビモスを一瞥して呟くナルバ。その瞳にはモンスター達への敬意があった。

 

「こいつらはそんなに狂暴じゃない。縄張りに入れば怒りもするがね。……ハンターズギルドからこの区域は──」

 

『ハンターさーん!!』

 

 突然、声が響いた。だが、その声の本人はどこにもいない。どこかどこかと探していると、上空からゴウン、ゴウン、と音を立てながら飛来する何かがあった。

 

「何だありゃ……!?」

 

「飛行機……? いや、違う……あれは何だ……!?」

 

 それは、巨大な飛行船。いくつもの飛行船の中で、一際大きな船から手を振る人物を確認したナルバは、それに大声を上げた。

 

「ハイメルー! 特殊個体のグラビモスを捕獲した! 大丈夫かー!?」

 

 ギィィィイン!! と人間が発していいような声ではない声が彼から発され、フェリーンなどの耳がいいオペレーター達は耳を塞いで悶絶する。

 

『え、本当ですか!? 貴重なサンプル捕獲ありがとうございます!!』

 

「感染してるみたいだけど、大丈夫かー!?」

 

『大丈夫です! 黒蝕竜のウィルスよりは恐ろしくありませんから!』

 

 その声と共に飛行船が着陸した。その複数の飛行船から研究者らしき人物達がぞろぞろと現れ、てきぱきと鎧竜を運び出していく。

 

「流石ナルバさんだよなぁ」

 

「部位破壊も比較的綺麗に破壊してくれてるから治りは早そうだな。問題はこのグラビモスをどこに放すかだけど」

 

 鉱石病に感染しているであろうその個体に、忌避感を見せることなく行動する研究者達。というかどこか楽しそうにも見える彼らを見て、オペレーター達は困惑を隠せない。

 

「むむ? その服のマーク……ロドス・アイランドの皆さんでしたか!」

 

 ドクターの服を見て、子供が声をかけてきた。この飛行船にいる誰かの子供かと思っていると、その子供はニッコリ笑う。

 

「申し遅れました! ボクは龍歴院調査隊隊長のハイメルと申します! この度、ロドス・アイランド職員及び所属オペレーターへモンスター対処法を伝えに参りました!」

 

「モンスター……というのはこの巨大な生物ということでいいのか?」

 

「はい。ハンターズギルドから派遣されたハンターさん……ナルバさんと一緒に皆さんへモンスター達への対処法……特に逃走方法を教えに来ました」

 

 にこやかに話す彼の言葉に、一部のエリートオペレーターが納得いかないという表情を見せる。彼らにもエリートオペレーターとしての矜持があり、その矜持を傷付けられた結果の反応だった。

 

「勿論実力者がいるのは承知しています。ですが、モンスターはそんなあなた方でも対応が非常に難しい存在です。……どうか、被害を出さないために、ご協力お願いします」

 

 これが、極東よりも更に東に存在する大陸、そこに住まう者達との最初の邂逅だった。

 

 

 ──────────────────────────────

 

 

 某日ロドス・アイランドの庭園にて、彼は自ら調合した元気ドリンコを飲みながら、ハンターノートに記録を書いていた。

 

「狩人くん、お茶でも飲まない?」

 

「……ああ、パフューマーさんか。丁度元気ドリンコも切れたところだし、いただこうかな」

 

 ハンターがやって来てから早一ヶ月。この方舟に乗る者達がモンスターを私欲のままに欲する連中ではないと理解した彼は、ロドス職員と良好な関係を築くことに成功している。

 

「凄い量の記録ね。これ全部君が書いたの?」

 

「ええ、まぁ。何百年とハンターやってるから。……このハンターノートはまぁ……プレゼントされたやつ。友人からの」

 

 竜人……それも彼は特殊な古代竜人のハンターで、何百年という歳月を歩いてきた男。モガ村のハンターとなってからはモガとタンジアを行き来する日々を過ごし、奇面族やら何やらと出会い、帰る場所を得ていた。

 

「その人、今は?」

 

「あー……あいつは……まぁ、寿命で。俺よりも長生きするんだーって息巻いてた癖になぁ……」

 

「……ごめんなさい。辛いこと思い出させちゃったわね」

 

「いや、いいんだ。もう百年以上も前だ──?」

 

 お茶を飲んでいると、遠くから何かの気配を感じる。ロドス・アイランドの進行方向に、何かとてつもない怪物がいる。それこそ、古龍クラスの気配を感じた彼の表情は一気に引き締まった。

 

「……仕事か」

 

「狩人くん?」

 

「パフューマーさん、悪いけどお茶会はお開きだ。古龍クラスが進行方向にいる」

 

 そう言って彼はロドスに備え付けられている緊急通信回路を開き、叫ぶ。

 

「ロドス・アイランド各員に告ぐ。進行方向に古龍クラスの気配がある。被害が大きくならないように気を付けろ!!」

 

 通信を切り、背負っている武器を確認。問題がないことを確認したナルバは、外に出るための道を走る。

 

「進行方向にあった地形は……砂漠だよな? 砂漠で現れる古龍ってなると……限られてくるが……」

 

『────!!』

 

「!?」

 

 外に出た瞬間、月光と共にそれが目に入った。

 宝石を背負っているかのように輝く紫色の外殻、猛々しい二本の牙……それら全てが生物とは思えないほどのサイズを誇っている。

 

「おいおい……何てモンスターが生息してんだよ……」

 

 そのモンスターの名はジエン・モーラン亜種。普段地中深くに生息するモンスターが、浮上してロドス・アイランドの進行を塞いでいた。

 

「……立ち退いてもらいますかねぇ……」

 

 そう言ってハンターはロドスと並走していた船に飛び乗る。主を乗せた撃龍船はロドスとの並走を止め、風を受けながら加速していく。

 

「んじゃあ……一狩り行こうか!!」

 

 ハンターの戦いが始まる。後日、ロドスオペレーター達は語る。あの古龍とハンターの戦いは、三日三晩続き、あんな怪物を彼は一人で撃退させてみせたと。

 

 

 

 

 




撃龍船って陸上にも進行できるようになりそう。

狩りの描写はしないよ。これで終わりだよ。続きは自分で書こうね!!(他力本願寺)

ちなみにナルバさんの持ってるハンターノートは昔のオトモアイルーやキッチンアイルーから貰ったものです。
「旦那さんはボク達がいないとダメなのニャ。だから旦那さんよりもボク達は長生きするニャ!」
とは言われてましたが、ナルバさんよりも先に逝きました。ナルバさん、古代竜人だからね。
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