OCGプレイヤーですがあんまり大会等行かないので、細かいルールミス等あれば申し訳ない。
いつもと変わらない朝だった。
「こらぁ、遅刻するわよ。早くしなさーい!」
「へーい……」
眠い目を擦り、ゆっくりと朝の支度を整える。
朝は苦手だ。思考がぼんやりするというか……どーにも自分の視点をどこか他人事のように考えてしまう。
「ほら早く早く!」
「ふぁーい……」
欠伸を噛み殺して返答する。
眠いのは夜遅くまでカードを整理していたからだ。
カード――と言っても、お店のポイントがついたり、銀行口座から支払いできるカードではない。
遊戯王デュエルモンスターズ。
俺が昔から愛してやまない、浪漫の詰まったカードゲームの事だ。
「ちょっと、足が止まってるわよー!」
「あ、ごめん」
母親から急かされながらリビングを出て、共に玄関へと向かった。
さっき朝食を取ったばかりだったが、あんまり満腹感はない。
俺はいつもよりぼんやりする頭で『今日の授業はなんだったかなー』と時間割を振り返っていた。
こうしている間にも母さんは俺の背をぺしぺし叩いて寝ぼけた馬を操縦するかのように玄関へと向かわせる。
別に学校へはまだ十分間に合う時間なのだが、母はいつもこうして俺を急かす。
少し鬱陶しい気はするけど……。
でもまあ、注意してくれるって事はそれだけ心配してくれてるのかな、なんて思う。
……ちょっと恥ずかしいけど。
「はいこれ、今日のお弁当」
「ありがとう」
弁当を受け取り、鞄に入れるとそれを肩から下げて立ち上がる。
靴を履いて、扉に手を掛けると、母から毎朝の定番である、お決まりの問答が始まった。
「弁当は持ったわね?」
「持ったよ」
さっき渡してくれたじゃん。
「筆記用具はちゃんとある?」
「あるよー」
正直、家で鞄から出した事はない。
「財布とスマホは?」
「だいじょーぶ」
学生証もバッチリ入ってる。
「あとはえっと……ノートや教科書は忘れてない?」
「大丈夫だって」
相変わらず過保護というか、心配性というか……。
オロオロする母親を横目で眺めながら、いつも通り「行ってきます」と言って扉を開けて――
「あっそうだ! “デッキ”はちゃんと持った?」
いつもと違う言葉を聞いて動きを止めた。
――デッキ? 何の?
デッキと言えば真っ先に思い浮かぶのはカードゲームだ。
俺がやってるのは“遊戯王デュエルモンスターズ”だけだけど、まさか学校にそんな物を持って行くとは考えられない。
「えーと……母さん、デッキって何?」
だから聞いてみた。
学校に持っていくデッキとはどういう物なのか。
この時の俺は、何かの言い間違いだと思っていた。
そして、首をかしげた母からは以外な返答が返ってきたのだった。
「やーねー、デッキって――デュエルモンスターズのデッキでしょ?」