管理局世界の人々~Force編 おもちゃ箱~   作:ゴケット

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前回忘れていたAI挿絵
比較的にプロンプト、いわゆる呪文のみで生成したカレン?とサイファー?

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100フッケバインとの戦闘報告2/2及び添付資料

 フォルティスの叫び声が響くと同時に、エイブラハムの体が痙攣し硬直する。

「くッ!」

 その隙に、カレンはエイブラハムの間合いから離れ、ページ達に自分の両腕を落させた。

「うぐ!」

 それに習うように、サイファーもニードルを眼球を周りの肉ごと抉り取った。

 エイブラハムが体を見下ろすと、背中から鋭い何かが入り胸を破って貫いていた。フォルティスの何かしらの能力らしい。

 貫かれた傷痕から漏れ出す液体。白濁色のオイルを見たカレンが言った。

「なるほど、確かにアナタを殺すことは出来なさそうね」

「ああ、何しろ、俺はここにいないからな」

 エイブラハムが遠隔操作しているCW-ADXアーマーダイン試験機を通じて答え、アーマーダインに顔についたカレンの血をなめさせた。

 

 

 

作戦経過:

ミッドチルダ標準時1308

■■■■■■は、ESC-αは効果が現れるまで1分前後の時間を有するが、有効性を確認。

フッケバイン側も、対EC薬剤に対して警戒を怠っておらず、特性を把握された可能性が高い。

 

 

 

「切られた場所が自己対滅を起こし掛けた。今のは何だ?毒?」

 カレンに切られた足を再生させたサイファーが立ち上がり、右目に手を当てたまま言った。

「恐らくサイトカインの類でしょう」

 背後からフォルティスの声。

「細胞の再生機能に過剰な命令を与えて自己対滅を促したってわけね。出所はエクリプスウィルス被検体の成れの果て…。悪趣味ね、管理局は…」

 カレンの指摘するように、マチェットやニードルに塗られている物質は、肉体修復機能が暴走しての「自己対滅」によって肉塊となったEC因子保有者より抽出されたタンパク質であり、最高評議会調査室では、エクリプスキラーサイトカイン-α(仮)と名付けられた。サイトカインとは細胞間の情報伝達を担うタンパク質であり、細胞の増殖、分化、移動、アポトーシスなどを制御している。

(武器に塗布する方法では、効果が出るまで1分近く掛かる。効果が心臓や脳に届く前に監部の周囲の肉ごとえぐり取れば、浸食を止めるのは可能。ESC-αの効力は十分確認したな)

 エイブラハムは攻撃の効果を確かめながら、操っているアーマーダインの顔をカレンに向けて言った。

「カレンと言ったな。管理局が悪趣味だという意見には、俺も賛成だ」

 エイブラハムは答え、自爆装置を起動した。途端、アーマーダインが爆発し、内部から大小複数の鏃が飛び出した。

 

 

 

作戦経過:

ミッドチルダ標準時1309

■■■■■■は、CW-ADXでフッケバインを引きつけ、CW-ADXの自爆に巻き込みました。

 

 

 

「っっっっっかっあ!」

 アーマーダインの自爆が巻き起こした煙がおさまり始めたころ、カレンの心肺が機能し始めた。喘ぐように呼吸を整えてから、体の具合を確かめる。

(体は動く。あの人型デバイスの自爆は、爆発自体の威力は大したことはなかった。だけど…)

 忌々し気に胸に刺さっていた鏃を引き抜く、本来なら鏃程度の傷など見ている間に直っていくはずなのだが、今は直りが異常に遅い。間違いなくこの鏃の仕業だろう。

 他にも体に刺さっていた鏃を引き抜くと、カレンは立ち上がりながら言った。

「二人とも生きてる?」

「ええ、私はリアクトしていましたので…」

 答えたフォルティスは既にリアクトを解き、いつもの丁寧口調だったが、少しだけ声が震えているように聞こえた。あのエージェントに相当イライラを募らせているようだ。

「私もだ。右目以外は、な」

 サイファーも右目を抑えて立ち上がる。こちらは口元を緩めている。

 EC因子適合者になって以来久しく感じていなかった命の危機を楽しんでいるのかもしれない。

 サイファーは続けた。

「てっきり、自爆の時飛ばしてきた鏃にも、マチェットと同じ毒が塗られていると思っていたのだが…」

「だとしたら、全員自己対滅を起こしています。しかし、これはEC因子の働きを抑制しているだけ、効果だけなら他の対EC薬剤のようです」

 フォルティスが答えると、カレンも頷いた。

 抜いたばかりの鏃を玩びながら、カレンは考える。

(EC因子の抑制?それなら、あの短刀に塗って捕獲を狙い。それが不可能なら、自己対滅を促す薬品で始末を狙うのがセオリーでしょうに…。薬品が不完全で、何かが原因で化学反応を起こした?なら、そのエネルギーフィールドを展開して毒の効果を殺せる?)

「カレン、これからどうする?他の獲物を探すか?」

 サイファーの言葉にカレンは思考を中断させた。

 カレンはつまんだ鏃を振りながら言った。

「こんなものを持ち出している部隊がうろついているってことは、この間、アルカンシェルをフッケバインに防がれたことがショックだったってことよ。しばらくは、離れた管理外世界を楽しみましょう」

 フォルティスが自身の頬を叩き、呼吸を整えてから答えた。

「アルカンシェルを防げる程度では、管理局との正面衝突は不可能…。少し、慎重さに欠けました。一度、フッケバインに戻って物資を狙う場所を練り直します」

「それと、こいつのことを調べる必要が出てきたわ。それに…」

 カレンはそこまで言って言葉を切った。

(最高評議会は、私達(EC因子適合者)を殺せるという事例を欲しているはず。何処の誰かは分からないけど、「原初の種」を使ってEC因子適合者を増やしているヤツの手駒が事例になってくれたら、最高評議会も秘密部隊を使った直接的な関与を控えるはず…)

「それに?」

 カレンがこれからの算段を立てていると、サイファーが聞いてきた。しかし、まだ推測段階で、「原初の種」の所有者の駒が何処にいるのかも分からない。今はまだ話せる段階ではないと考えたカレンは陽気に切り返した。

「強盗犯や殺人犯で追われるのはいいとしても、露出狂として、管理局に追いまわされるのはいただけないわ」

 カレンが言いながら自分たちの姿を見下ろす。カレンだけでなく他の二人も前衛的な…、ほぼ裸に近い服装になっていた。

 

 

 

作戦経過:

ミッドチルダ標準時1316

ESC-αの想定外の問題により、フッケバインのA-1に至らず。

フッケバインの撤退を確認。

 

 

 

 フッケバインが去ってから一時間ほど、アーマーダインが自爆した爆心地の周囲の砂に、獣脚類の足跡が刻まれた。足跡の主の姿は遠目には見えなかったが、近くで目を凝らせば、電磁メタマテリアルが残す僅かな光の屈折を見ることが出来たかもしれない。

 光学迷彩で姿を隠したⅬ3Sは、ごく短い範囲にしか届かない信号を打った。すると近くから返答信号が戻ってくる。

 Ⅼ3Sはマニピュレータを伸ばすと、岩に突き刺さっていた。大振りの鏃を引き抜く。

 鏃には、カプセルが三つ収まっていた。カプセルの中身はフッケバイン3名の血液サンプル。エイブラハムが操るアーマーダインが体やマチェットに着いた血を舐めて回収したものだ。強硬偵察ように改良されたアーマーダインに搭載された機能で、口から飲み込んだモノをカプセルに保管。自爆の際は鏃に偽装して遠くに射出。後に回収する機能だが、サンプルの採取方法が気持ち悪いと不評である。

『フッケバインの血液を回収』

『連中が自切した体はあるか?』

『黒こげでいいなら…。アーマーダインの残骸はどうする?』

『鏃だけ回収してくれ、鏃に塗布されていたESC-αの効果が出なかった理由を知りたい。そのほかは無用だ。大切な部分はどうせ復元不可能』

『敵に回収され、分析できるようじゃ自爆の意味がないからな』

『…が、念の為周囲を焼き払っておこう』

『了解』

 Ⅼ3Sが数度大きく跳躍して距離を取る。十分離れたところで、口についた主砲から数度砲撃を行ってその場を後にした。

『しかし、自爆時のESC-αはなんで効かなかったんだ』

『一人ぐらい急所に当たっていても、おかくないと思うが…』

『自爆時の熱でESC-αが変化したのかもしれない。所詮たんぱく質だからな』

『なるほど、その辺のレポートも必要だな。それ次第では、相手への対応がA-1から、BかCになるかもしれん…』

『ああ、面倒だ。雛形を出しておいてくれ…』

 

 

 

作戦経過:

ミッドチルダ標準時1417

フッケバインの血液サンプルを回収

作戦終了

 

損害状況:

 ■■■■■■、■■■■■共に負傷なし。CW-ADXアーマーダイン試験機、自爆により完全撃破(装備品、残骸はⅬ3Sの砲撃により焼却済み)、Ⅼ3S損傷なし。

評価:

 ■■■■■■は、キャラバンの防衛に成功し、敵の血液サンプルを入手。CW-ADXアーマーダインの戦闘データの更新。また、ESC-αの欠点と新たな活用方法(添付資料:新薬ESC-αの局所投与によるEC因子適合者に対する有効性の検討)を得た。

今後の課題:

 CW-ADXアーマーダインは通信環境によっては、レイテンシが長くなり高度な戦闘では被弾の要因になりえる。単機運用ではなく、当初のプラン通り集団運用を進言する。

 ESC-αの欠点を改良し、より確実に活用できるよう研究の必要がある。

 

 

 

添付資料

 

件名:EC因子適合者に対する新薬ESC-α局所投与の有効性の検討

作成者:■■■■■■

作成日:新暦80年■月■日

はじめに

目的

 本レポートでは、エクリプスキラーサイトカイン-α(仮)(以下、ESC-αと表記)の効果を報告します。

背景

 ESC-αとは、自己対滅によって肉塊になったEC因子保有者より抽出されたサイトカインに分類されるシグナル伝達物質です。ESC-αには、EC因子適合者に対して自己対滅を誘発させる効果があると予想されています。

方法

 ESC-αの効果を検証するために、EC因子保有者グループに対し威力偵察を行いました。威力偵察では以下の二つの方法でEC因子保有者グループへのESC-α投与を試みています。

 ①魔力駆動の兵器を使用した局所投与。

 ②ESC-αを塗布した鏃を爆薬によって射出した局所投与。

結果

 ①の魔力駆動の兵器による局所投与では、EC因子保有者の四肢に対する投与に成功。ESC-αの主作用である自己対滅を誘発させることに成功しました。薬効発現時間は個体差はあれど、5分以内に主作用が確認できました。

 しかし、EC因子適合者の薬効が現れた部位を切り落とすことで、自己対滅の拡大を防ぐことも可能だということが判明しました。

 ②の鏃による局所投与では、EC因子適合者の胸部に対して投与が成功。しかし、自己対滅の誘発を確認できず、EC因子適合者の負傷、肉体の欠損に対する修復能力を著しく阻害する効果に留まりました。

考察

 ESC-αは、EC因子保有者に対する殺傷に有効な薬です。しかし、熱に弱く特定以上の熱処理を受けると性質に変化が起こることが確認されました。

 熱処理後のESC-α(以下、ESC-αHD:ESC-α heat denaturationと仮名)のEC因子適合者の肉体の修復能力を著しく阻害する効果は、抗体生成の妨害にも有効と推定されるため、新たな抗EC薬品として利用可能と判断します。

今後の課題

 ESC-αの効果を確実にするため、白の香を利用しESC-αを熱から守り、EC因子適合者に投与する術式の作成を行う必要があります。また、ESC-αへの耐性ウイルスの出現を防ぐために、ESC-αの効果的な使用法を研究する必要があります。

 ESC-αHDは、EC因子保有者に対する殺傷を目的としない作戦に有効である可能性が高い。また、抗EC薬品は、友好的なEC因子適合者に対する緩和ケアにも不可欠な要素であり、より大規模な臨床試験を行う必要があります。




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