神様転生で貰った能力の事ではありません。
6話予定です。
32チーターをなのは達と絡ませてみた1
新暦78年の夏も終りに差し掛かったころ、無人世界カルナージ。
1年を通して温暖で豊かな大自然が広がっているカルナージだったが、その一角に先進世界の都市部にしか見られない建造物が密集している街がある。その建造物には人の気配がなく、通りにも人っ子一人いない…。ゴーストタウンではなく、レイアー建造物で作られた偽物の街、陸戦魔導士訓練場である。
空を見上げれば、エクシードモードのバリアジャケットに身を包んだ高町なのは。雲一つない空に白を基調としたジャケット姿は良く映えた。
その姿を憧れの表情で見上げながらトレーニングウエア姿のスバルが言った。
「ねぇ、ティア、今日の予定に模擬戦って入ってたっけ?」
「いいえ、なのはさんの呼んだ…、エイブラハムさんって人が飛び込みで参加になったからでしょ」
スバルの問いに、ティアナが答えると、足の屈伸運動をしていたエリオが続けた。
「明日やる練習会にむけての、お披露目だと聞いています」
「なのはさんは、Bランク位ですけど、変わった魔法を使いう方だと言ってました」
白銀の竜の傍らでキャロもエリオに続く。皆、スバルと同じくトレーニングウエア姿で、軽いウォーミングアップをしながらである。
「変わった魔法?レアスキル持ちなのかな?さすがなのはさん、いろんな知り合いがいるなー」
二人の話を聞いて、スバルが期待に胸踊らせ興奮気味の表情で言った。が、ティアナは首を捻った。
陸戦Bランク、数年前機動六課に配属されるころティアナ達がそう評価されていたランクである。現在のティアナ達のランクはAA~A+、はっきり言ってエイブラハムの方が格下である。
もちろん、魔導士ランクとは、「規定の課題行動を達成する能力」の証明であるため純粋な戦闘能力ではないのだが、ランクが上の魔導士を複数相手取って勝てる者はほとんどいない。恐らく初見では対応しづらいレアスキルを持っているのだろう。
ティアナは羨ましく思いつつも、冷静にこちらの戦力を最大限行かせる方法を考える。以前だったら、一般的なミッドチルダ式の自分と比べて嫉妬や、焦りを感じていたかもしれないが、ここ数年の実績が小心を押しのけてくれている。
「どんなスキルでも構わないわ。なのはさんに私たちの成長を見てもらうわよ」
「うん」
「はい」
「はい」
元機動六課のフロントメンバーの四人で、話していると空間モニターが開かれなのはから通信が入った。
「それでは、これから模擬戦を始めます。アグレッサーはエイブラハム…、アビー君ね。アビー君は、変わった戦い方をするから注意が必要だよ」
なのはの言葉の途中でもう一画面空間モニターが開かれ、敵役(アグレッサー)のエイブラハムの姿が映し出された。
「___ッ!」
その姿に四人とも息を飲む。
エイブラハムは、すでにバリアジャケットをセットアップしていた。ベルカ時代の軽装歩兵をイメージさせる服装に、カード型簡易デバイスフォルダーや複数のナイフをベルトで吊っており、右腿のフォルスターに回転式の拳銃型ストレージデバイスを収めていた。しかし、何よりもスバルたちの目を引いたのが、ストールの巻かれた顔だった。覆面のように巻かれた隙間から、周りに火傷の跡のような酷い変色のある右目が、こちらを覗いている。
宿泊ロッジで見かけたときにはなかった傷に思わず動揺してしまった。恐らく変身魔法の一種でキズを隠していたのだろう。画面の中のエイブラハムが軽く会釈をして、空間モニターを消した。
「…えっと、失礼な態度取っちゃったかな?」
「うーん、そうかもね…、まあ、あとで謝りましょう」
いいながらティアナが待機モードのデバイスを取り出すと、スバル達もティアナに続く、
「じゃあ、行くわよ。元六課フロント組!せーの!」
「「「「セーット!アーップ!!」」」」
リンカーコアから魔力がデバイスに吸い上げられ各々の魔力光に包まれる。
フロントメンバー達は誰かが、
「割り込み入力、セットアップファイル、強制停止」
と、呟いたように感じた。
魔力光が消え、ティアナが最初に感じたのは、太陽の陽気とそよ風が直接肌に触れる感触だった。手の中のクロスミラージュはカード型の待機モードのままだ。
「え?」
訳が分からず周りを見れば、スバルも待機モードのままのデバイスを持った右手を見つめている。その姿はバリアジャケットを着ていたが、上衣のインナーとホットパンツだけの姿で、ローラーブーツのマッハキャリバーが待機モードのため裸足だった。
「うわああああああああ!!!!」
悲鳴が上がった方を見れば、エリオがいた。こちらも上衣のインナーとズボンという姿で、顔を真っ赤にしてこちらを凝視している。悲鳴の意味を聞こうとしてエリオと目が合うと、エリオは慌てて背を向けるとしゃがみ込んだ。
「見てません…、見てませんから…」
懺悔のような、自分に言い聞かせるような、どちらとも取れる様子で硬く目を閉じるエリオ。とても話が出来る状態ではなさそうだ。
ティアナはふっとエリオが凝視していた自分の体が気になって見下ろす。
最高峰と言わなくても、なかなかに育ってくれた双子山。その山肌は執務官の激務にも関わらず、みずみずしさを保ち。その頂きには、奇麗な色をした頂上標石が鎮座している。
「_ッ!」
息を飲みながら、ティアナは気づいた。自分がショーツしか身に着けていないことに…。
咄嗟に両腕で胸元を隠すと、しゃがみ込みながら渾身の力で悲鳴を上げた。
「きゃああああああああああああ!!!!」
「ティアナさん!エリオ君も!」
キャロの声が聞こえる。ティアナが確認するとキャロも同じくショーツ姿だった。
成長の芽が見え隠れしてきている体のつるりとした卵肌を惜しげもなくさらし、こちらに近づいてきた。
「ティアナさん、大丈夫ですか?どこか痛いですか?」
キャロの天然が炸裂。悲鳴を上げて屈みこんだティアナを見て負傷したものと勘違いしたようだ。ズレた発言のおかげで、ティアナの羞恥と驚きのピントが少しずれ、冷静になれた。
エリオは弟みたいなものだし、六課時代に一緒に銭湯に入ったこともあるのだから…、ノーカン。と、気持ちを切り替える。
「キャロ、私は大丈夫よ。ちょっと驚いただけ」
言いながら、あ、かわいいローライズ履いてるわね。と、キャロにつられてズレた思考がティアナの頭をよぎる。
「そうですか、良かった」
いうが早いか、キャロはエリオの方に、ぺたぺたと裸足の音を立てて向かっていく。
ここでティアナは自分たちが攻撃を受けたことに気が付いた。
これは念話などの通信魔法を利用したウイルス攻撃。あのエイブラハムという魔導士はサイバー戦の達人と言ったところか。ナンバーズで言えば、NO.4クアットロのようなタイプ。きっと性格も陰険で姑息に違いない(偏見)。
確かに、相手の魔法プログラムに侵入し、クラッキングを行えるほどの技術を持っているものは、まず出会うことはない。JS事件の際もフロントメンバーでクアットロと対峙した者はいなかった。そういう意味での経験値で言えばこの模擬戦はかなり意味のあることだろう…。しかし…。
(さすがに、これはないんじゃない!?なのはさん!!)
こんな屈辱的なウイルスを送信してきたエイブラハムという男もそうだが、なのはに対する怒りもふつふつと湧いてきた。
(そもそも、セットアップ…、じゃないや、変身が終わる前に攻撃を仕掛けるのは、ズル(チート)じゃないの…!?
あの男、どうしてくれよう…!魔力資質的には後衛型、武装が多いのもそれを誤魔化すためのものでしょう。接近して包囲してしまえば…)
ティアナが報復方法を考えている間に、キャロの足音に気が付いたエリオが、しゃがみ込んだまま振り向きかけたがキャロの姿を確認して、すぐさま明後日の方向を向いた。
「うあっ!!キャ、キャロ!!」
「エリオ君は、大丈夫?立てないの!」
「十分立ってるから!いや、立てるから!」
「そこ、押さえているけど、痛いの?見せて!」
「痛いわけじゃないんだ!お願い、キャロ!そんな恰好で近づいてこないで!!!」
わかっているのか、いないのか?エリオにグイグイと体を寄せるキャロ。思春期に入った男子には辛い?状況にエリオが悲鳴を上げる。
エリオに助け舟を出したのはスバルだった。
「あー、おっほん」
わざとらしく咳ばらいをすると、二人に近づきエリオからキャロを引き剥がす。
「ほら、キャロ、こっち来て。エリオは、こっち向いちゃダメだよ」
「は、はい。もちろんです!」
スバルはキャロを連れて戻ってくると、白銀の竜、フリードに話しかけた。
「フリード、翼をこう私たちを包むようにしてもらっていい?」
フリードがその巨躯を使って、ティアナ達を覆う。竜の体で作られた天蓋は三人が入っても十分なスペースがあった。
「いいキャロ、ちょっとお話を聞いてね」
眉をよせ、立てた人差し指を教鞭のごとく振るって見せるスバル。
「…ギンねぇに、けっこうきつく言われているんだけど…、いいキャロ、男の子相手には、スキを見せたらダメだよ。…スキを見せると、男は基本的に、『女の子ならだれでもいい』から…、『近くにきてもいいよ』ってスキを見せてると、お互いにキズつけちゃうこともあるの」
「そーなんですか…」
「…そーなんです」
「え、ちょっと待って…、え」
スバルの言葉に実感を持てずに、曖昧な口調で返すキャロに、スバルが静かにしっかりと返した。
その様子に、今の言葉は知識だけでなく、経験としての重さを感じたティアナは焦った。ティアナは執務官試験から、マリアージュ事件まで、1年半の間スバルとは直接会う機会がなかった。
しかし、ティアナが執務官の研修や凶悪事件に追われている間に、この元相棒にいったい何があったのだろうか?
焦るティアナに、続くスバルの言葉が追い打ちを掛ける。
「ヴィヴィオは、そーゆーの結構、わかってる感じだけどな。さっき、なのはさんや、コロナと、そんな話……してたような」
「ウソでしょ、さ、先を越されてる…」
「わたしたち、世間を知らなさすぎるんでしょうか?」
初等科のヴィヴィオ達の名前が出たことで、キャロ達の心にも言葉が刺さった。特にティアナには効果がばつぐん過ぎた。
「あ、あれ?二人とも落ち込んじゃった…。悪いこと言っちゃった…?」
面白かった、つまらなかった、正直な気持ちでもちろん大丈夫です。
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