管理局世界の人々~Force編 おもちゃ箱~   作:ゴケット

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解答編です

皆さんの予想は当たったでしょうか?


04フェイト執務官の後輩 A

(まず、どのような人物が被害にあったのだろうか?)

 

 被害者の体型は?

 掛けられた額縁や、家具や衣服のサイズでわかるように、ミッドチルダの平均身長からみると、小柄な体系である。

 

 被害者の住んでいたのは?

 比較的狭小な住宅が密集し、店舗等が混在する混在住宅地の共同住宅は、常に防災、防犯上の問題を抱えている。そのなかでも、監視カメラのない共同住宅となると、低所得者向けの住宅で、エリーという老人は高収入とはいいがたい。と、思われる。

 

 被害者の暮らしぶりは?

 最近、引っ越してきたばかりであり、本人の証言にも有ったように、近所に頼りになる友人はいないようだ。

 写真立てや玄関の子供の書いた絵がある所を見ると、子供か孫は居るが離れて暮らしているらしい。

 当座の金はあるらしく、引っ越しを期に、値の張るアンティーク家具とハイブランドの商品を何点か購入している。しかし、日用品には金を掛けていない・・・?金を掛けることが出来ないらしく、リーズナブルな価格の化粧品を使っている。

 

 以上から、被害者は高い賃金の定職に付いておらず、支援者がいるわけでもないが、最近、まとまった金が入ってきたことが伺える。

 

 

(・・・、次、加害者側でわかることは、何かしら?)

 

 犯人が行った器物破損は?

 玄関に飾られていた絵画は当然ながら複製画である。教科書にも載っている絵画の本物が、一般人が所持できるわけがない。それの破損。

 Fu〇k me落書き、壁紙の張替え料金分の破損になるだろうか?

 ダイニングの食器棚。柔らかい合板で作られているために、買い替えなければいけないかもしれない。

 寝室の枕。寝室は派手に散らかって見えたが、破損させられていたのは枕だけ、枕自体も手ごろな値段のフェザーの枕だ。

 

 犯人の体型は?

 玄関の落書きの高さで、おおよその背丈がわかる。大抵の人間は目線の高さで文字を書く、170cmの高さで吊るされた絵画の下部にしか、文字がかかっていない所をみると、155cm~160cm程度の身長のものが書いたことを示している。

 刃物でモノをあちこちを切りつけている。が、机やベットをひっくり返すなど、力が必要なことをしていない。このことから、体力のない者の犯行と推測できる。

 

 犯人の知性は?

 Fu〇k meの落書きは血気盛んな10代から20代の若者をイメージさせる。が、彼らが好んで使う言葉は、Fu〇k youである。

 更に、若者が衝動的に行った器物破損事件で狙われるのは、より情緒的なモノを狙う傾向がある。被害者の家の中にあるものでは、子供が描いたであろうと容易に推測できる絵や家族の写真が、真っ先に狙われているはずである。しかし、床に落とされたり、倒されてはいるが、壊されているわけではない。

 

 つまり、犯人は経済的にも精神的にも被害者にとって、替えの利かないものを理解しており、それを傷つけない。体格はかなり小柄な男性、又は女性であり。尚且つ、若者文化に明るくないものが、それの真似をした。と、言うことになる。

 以上、フェイトやその副官シャリオから、教わったり、資料を読んで勉強した捜査の基礎知識に従ってのティアナの分析である。

 

 あくまで状況証拠ではあるが、ラーメン店の下働きフリントとはかけ離れた人物像である。そして、子の人物像にバッチリ当てはまってしまう人物がいる。

 動機も存在している。詳しい内容は確認できないが、損害保険の契約内容によっては、個人単位では結構なお金が動くことになる。

 

「これって、つまり、・・・。」

 

 ティアナの目がつり上がっていく、ファンとフェイトは同情的のようだが、名誉というものはいちど傷つけられるとなかなか挽回できないものである。

 この犯人は赤の他人を逮捕させてしまうことになるとは考えていないのか?あるいは、住居侵入は起訴されても殆ど罰金刑。器物破損も示談してしまえば大した事はないと甘く見ているのかもしれない。

 過去の経験が蘇り、ティアナが憤りを感じ体を震わせて考えの続きを口に乗せようとした。

 

(エリーという女性が、保険金目的の為に打った狂言なのでは・・・)

 

 ティアナの様子を見ていたフェイトが遮った。

 

「落ち着いて、ティアナ。この映像でわかるのは、あくまで状況証拠・・・」

「その通り、私は犯人の体格を指摘するだけでも、検事に逮捕状を出させないことが出来そうだけど」

 

 ファンの弁護士としての、仕事はこれで終わりのはずだった。が、声を潜めてフェイトに向かって続けた。

 

「高級家具にハイブランド商品を買った金も、損害保険で得た可能性が高い」

「やっぱり前がある・・・、それとも、最初は本当に偶然?」

「どうだろうね?引っ越して来たのなら、疑いを躱すためか、本当に損害があったのか・・・、両方あり得る」

 

 エリーがこの地区に転居してくる前に似たような詐欺行為で金を得たのか?それとも、偶然の事故で入ってきた保険金に目がくらみ魔が差したのか?

 フェイトには判断が付かなかった。ファンも同意見で、互いに確かめる方法を提案する。

 

「引っ越し前の住所がわかれば、事故か事件の記録が残っているかも・・・」

「保険に入っていたなら、所得控除を調べれば分かるかもだ」

「それもいいね。結果は教えてあげられないけど・・・、ちょっと、問い合わせてみる」

 

 フェイトが愛機バルディッシュを操作し、クラナガン区役所への資料閲覧を申請し始めると、ティアナが口を開いた。

 

「あの、お二人とも、どうして、この女性に同情的なんですか?」

 

 ティアナの感覚では、状況証拠だけとはいえ、保険金詐欺を働こうとしていた疑いのある女性に同情的には成れない。

 それに後は陸士部隊の仕事でもある。広域次元犯罪でもないので、犯行の分析結果を指摘し、捜査を見直すように伝えれば、本局執務官としての義務は十分果たしている。

 詐欺の嫌疑がかかれば、損害保険にも再調査が入るかもしれないが、それは自業自得というものだ。

 

「んー、動機かな?」

「動機?」

「写真立て、見た」

「私ぐらいの子でしたね?」

「玄関にあった子供の絵の額縁の劣化具合を考えると、子供の頃から可愛がっている孫ってところかな?」

「そういうふうに見えましたね」

「でも年頃になって、どう接していいのかわからないってところじゃないかな?」

「ああ、なるほど、ハイブランドのバックで孫の気を引いたってところですか・・・」

 

 エリーの部屋の中に、ハイブランドのショッパーだけが遭った意味が分かった。中身は孫に送ったのだろう。

 孤独な老人が孫の気を引くための金欲しさに行った犯行と考えた、フェイトとファンは犯人に同情してしまったようだ。

 

「保険会社相手に詐欺行為となると、実刑は確実。家族との縁も切れてしまうかもしれない」

 

 詐欺の実刑なら数年は懲役刑を受けるだろう。

 エリーの子供がどのような人物か分からないが、孫に悪影響があるといって、エリーから離れてしまう可能性もありうる。

 しかし、ティアナは思う。

 

「エリーという人物は、今回の件で他人を巻き込んでいるんですよ」

「うん、その点については、許されるものではないだろう。虚偽申告に問われるだろうな」

 

 虚偽申告罪は虚構の犯罪又は災害の事実を局員に申し出た者に適用される罪で、拘留、または、科料が科され、しっかりと前科が付く。

 今後の保険の審査なども厳しくなるので、今後、詐欺行為をするのは難しくなるだろう。

 ・・・が、詐欺で逮捕、起訴となると、刑務所に入ることで家族を失い、家族を失ったことで寂しさからまた犯罪に手を出してしまう悪循環が生まれる可能性もある。

 

「孤独な老人の再犯率って、高いんだよね」

「今回は実刑にしない方がいいと?」

「少なくても、誰も幸せにならないね。」

 

 悪循環が生まれてしまうくらいならば、今のうちにエリーが踏みとどまれるように促すべきだ。ファンがそう思っていることは、ティアナにも理解できた。

 

(人を憎まずに罪を憎め)

 

 ミッドチルダに伝わることわざだ。そして、このファンという男はそれを実践しようとしているらしい。

 ティアナがこの軟派に見える男を再評価していると、フェイトがバルディッシュを操作する手を止めた。表示された空間モニターの情報に目を走らせると、安心したように息をついた。

 すかさず、ファンが聞いた。

 

「どお、不審な点はあった?」

「それは・・・、・・・ファンには、公開できません!!」

 

 さも当然のように聞いてきたファンに一瞬答えそうになってから、ファンが民間人であることを思い出したフェイトが言った。執務官の権限で調べたので、正規の請求や申請がないと公開してはいけない情報もある。

 しかし、

 

「でも、・・・うん」

 

 フェイトは微笑みながら頷いた。

 その様子から、懸念していた。エリーがこの地区に転居してくる前に、保険金詐欺を働いた可能性はなかったのだろう。察したファンも頷き返す。

 その後の話は比較的に簡単に話が進んだ。ネブラスカ、チュマシュの二人の局員に、プロファイリング結果を伝えた。本局執務官のプロファイリング結果は、なかなかに説得力を持ったようで、局員たちはエリーを問い詰めた。場合によっては詐欺未遂に当たることを伝えると、エリーは発言を撤回した。

 曰く、保険金詐欺を狙ったものではなく、引っ越しで環境が変わったことでのストレスが原因で部屋のモノを壊した。住居侵入のあった哀れな老人を装えば皆が同情してくれる。と、思ったとのこと。

 このエリーの発言に、チュマシュは大変憤慨し、更に問い詰めようとしていたが、それはネブラスカが押しとどめ、フェイト達の予想していたように虚偽申告で連行して行った。

 エリーが連行されていく前、ティアナはエリーに声を掛けた。

 

「エリーさん、いいですか?」

「なんだい、あんた」

「わたしは機動六課のティアナ・ランスターと申します」

「それで、あんたはわたしの弁護でもしてくれるのかい?」

 

 皮肉たっぷりに言ってきたエリーは、根性曲がりの頑固者といった風体だった。しかし、ティアナは怯ますに続ける。

 

「いいえ。ですが、聞いてください。お孫さんには、もっと、思い出に残るものを渡してください。ブランド品なんて渡さずに」

「はあ!今日日の若い者は・・・」

「子供のころ、兄に安物の拳銃のおもちゃを買ってもらったことがあります」

「・・・」

「いまでも、大切にしています・・・」

「そうかい・・・、まあ、考えてみるさね」

 

 この会話をしているとき、ティアナの後ろで見守っていたフェイトとファンには、ティアナの顔は見えなかった。しかし、背中越しにもティアナが罪を犯したエリーに真摯に向き合っていることは伝わってきた。

 エリーを乗せた地上部隊の官用車が見えなくなって、ようやくティアナはフェイト達に向き直った。フェイトが思わず温かい笑みで迎えると、ティアナは顔を赤くしていった。

 

「すみません、出過ぎた真似をして・・・」

「ううん、いいと思うよ」

「君は執務官志望だったね。公正で思いやりのある判断のできる執務官になれる資質があるね」

 

 フェイトがティアナの行為を肯定し、ファンが何かを思い出すように目を閉じて言った。

 一息ついて、ファンは踵を返した。

 

「それじゃ、先輩。依頼人に報告もあるし、僕はここで」

「うん、・・・それじゃ」

「ティアナちゃんも・・・、スカリエッティ の影響で執務官試験は厳正化していく流れになっている。勉強は大変だろうけど、がんばって」

「ありがとうございます」

 

 第一印象と違いファンの送った応援に、ティアナの口からは素直な謝辞が出てきた。

 ふと、フェイトの口から声が漏れた・・・

 

「厳正化していく・・・か」

 

 ファンの言った通り、スカリエッティが起こしたテロ事件以降、事件捜査や法の執行の権利と高い権限を持つ執務官の能力向上が叫ばれている。執務官試験の見直しが行われるとの噂もある。

 しかし、試験の厳正化は執務官への道の門戸を狭めてしまう懸念にもつながる。当然、人手不足を助長させかねないので、引退した執務官への再雇用なども呼びかけられている。

 

「ファン・・・、」

 

 フェイトはファンに執務官に戻るよう言いかけたが、体のどこかに小さな棘が刺さって言葉を止めた。

 棘の痛みが、ファンが再雇用の誘いを断るだろうと、教えてくる。

 

「どうしたの?先輩」

「ううん、・・・なんでもない」

「・・・そう、じゃあ、今度、今日のお礼をさせてもらうよ」

「うん、待ってる」

 

 ファンが立ち去る後ろ姿に、フェイトが小さく手を振り見送ってから、エリオ達の所に戻ろうとすると、ティアナが目を見開いてフェイトを見ていた。

 

「ティアナ、どうしたの?驚いたような顔をして?」

「フェイトさん、あの人と・・・。その、えーっと、お付き合いしているんでしょうか?」

 

 ティアナが驚いている理由がのみこめなかったフェイトが聞くと、狼狽したティアナが言ってきた。

 

「え、何言ってるの?ファンは弟みたいな友達で、付き合っているとかじゃないよ?」

 

 小首を傾げるフェイトの様子を見って、ティアナは本気か?と、思ったが、フェイトの作った表情はあまりにキャロの作る無邪気な表情に似ていた。上司の世間知らずっぷりに驚愕しながら、ティアナは絞り出すような声を出した。

 

「多分ですけど・・・、今のデートの誘いですよ」

「・・・え!!!」

 

【挿絵表示】

 

 ティアナは、ファンに心の底から同情した。

 




 お付き合いいただきありがとうございました。
 管理局世界の人々 フェイト執務官編でした。
 ファン(苗字:黄)・ユーゼェァ (名前:雨泽)は、フェイトに似合いの人物ってどんな人間だろう?と妄想した際、フェイトのお相手として考えていたキャラです。なんだかフェイトって、フェイト自身が「守ってあげなきゃ」と、思っている相手に守られている印象があるんですよ。と、いうわけで後輩と言いつつ、執務官としては先輩、守り守られる立場のキャラを作りました。イメージ的には、EVE burst errorの天城小次郎と桂木弥生の関係を意識しています。
 ユーゼェァは、ミッドチルダの人には発音しづらいので、ファンと呼ばれている。
 ちなみに脳内CVは、「〇〇さん結婚したね!フェイトぱいせん!」とか、言いそうな人を想定しています。


面白かった、つまらなかった、正直な気持ちでもちろん大丈夫です。
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何卒よろしくお願い申し上げます。
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