「あんたのところの副長さん?だったかしら、八つ上だったわね?」
「そうやな、美由希さんやアミティエさんと同世代になるはずや」
結婚式のパンフレットに載っている新郎新婦のプロフィールを見ながら聞いてきたアリサに、はやてが答えた。アリサとすずかは、ヴィルヘルムと今日挨拶を交わした程度の面識しかない。
すずかは、はやてと図書館の友として特に多くメッセージをやり取りしているので、はやて越しに人となりをある程度聞いていた。が、アリサは、顎からこめかみ辺りまでのヒゲが似合う、いい年の取り方をしている男。と、いう第一印象を持っているだけだった。
それをはやてに伝える。と、
「やめてほしいわぁ、ビルのやつ調子に乗ってまうやろ。あの髭かて、30過ぎて生やし始めて、最初の頃はフル・ベアードやったんや」
顔面の髭をすべて伸ばしたフル・ベアード。ヴィルヘルムは、そこからあえて口ヒゲを生やさないリンカニックと呼ばれる髭の形をしていた。どちらにせよ、体格が良くゴツゴツとした輪郭のヴィルヘルムに似合っている。
「はあ、…そっちでも、なかなか似合っているんじゃ…ない?」
「なにをゆうてるんや。口ひげがおうたら、チューするときに、こしょばいねん」
「あっそ(#^ω^)」
ナチュラルに惚気るはやてに、ピキる頬を鎮めようと米神を揉むアリサ。
今の会話だけでも、はやてとヴィルヘルムの関係がよくわかった。
「と、とりあえず、基本スペックから語ってもらいましょうか…」
氏名:ヴィルヘルム・チェスロック・ケーニッヒ
出身地 :ミッドチルダ南部
現住所:海上警備部幹部官舎(結婚後、はやてと同居の予定)
職歴・勤務先:海上警備部副指令(結婚後の状況によっては、退局も視野に入れている)
資格:大隊指揮官/税理士/行政書士/普通自動車免許/自家用操縦士技能証明(固定翼)/艦船操舵ライセンス(小型)
魔法術式:現代ベルカ式 陸戦Dランク(初等科のころ趣味の馬上試合の参加要件を満たすために取得。以降、昇格試験を受けておらず、実際の実力はA+~AAの間)
趣味・特技:馬上試合、銘酒コレクション
身長・体重:191㎝、82kg
家族構成:義母(父の後妻)、弟(異腹)
その他:学生時代から友人とベンチャー企業を立ち上げる。19歳の時、父に誘われ酒の味を覚える。この際「できれば管理局に勤めさせたかった」という言葉(理由は不明だが、これが遺言になる)を聞いて入局する。各世界の地上部隊を渡り歩き人脈を作る。
「何と言うかこう…、副業で稼いでいる小金持ちって感じね。婚活サイトにこんなスペック書いたら、サクラと思われそうだわ」
「ははは、まあ、確かにそうやな。小金は持っとるわ。投資でやけど」
プロフィールを聞いたアリサが言うと、はやてが笑いながら返した。
「あ、そう言えば、若年局員向けの資産運用の講師も務めていたよね。武装隊の新人の子も受けたって聞いたことある」
「職務に専念する義務違反になるから、副業の審査は厳しいもんね、管理局は…。武装隊は現役が短いって言われているし…、キャリアコントロールは、学んだ方がいいかも…。なのはみたいに、管理職の方にいける人はいいけど…」
魔法の世界でも、ライフプランは重要なのである。お金の大切さはどこも変わらないな。っと、思いながらすずかが聞いた。
「資格をみると、経済学をやっている人なのかな?」
「せやな、通ってた学校は経済学部っちゅう話やった」
「わぁ、お母さんたちが、安心しそうな三高さんだ」
「あはは、そう言えばそうやな!よし、「三平」「三優」「三生」より、人気ないビルを拾ったったって、今度言ったろ」
実に楽しそうに笑うはやてに、アリサは一言言ってやりたくなった。
「先方の体より大きな態度とるのはいいけど、クーリングオフされない程度にしときなさい」
「大丈夫や、ビルはそんな私にぞっこんやから。…少なくても、外見はそんなに好みやない。って、言いやがったわ。あんにゃろう(怒)」
アリサの言葉に調子よく合わせていたはやてが、言葉の途中でヴィルヘルムの発言を思い出し怒り始めた。
容姿だけなんて言われれば腹が立つが、容姿を褒められないのも腹が立つ。他のメンバーもそれに同調する。
「…お仕置きした方がいいと思うよ」
「へぇ、確かに舐めた発言ね」
「え、副長、そんなこというの?!」
「それは、酷いね」
順にすずか、アリサ、フェイト、なのはの発言だった。が、はやてはなのは以外の発言をスルーすると、なのはと自分の胸元を見比べる。
普段は互角ぐらいだが、プロゲステロンとエストロゲンの影響で、自分の格が上がっていることを確信してから。
「よし!なのはちゃんも、そう思うやろ!」
「んんん?その「よし!」は、どういう意味かな?」
なのはだけに対する自信をみせるはやてに、なのはは笑顔を見せて青筋を立てた。
すずか達もはやての態度で察しが付いた。
「ああ…、そうなんだ」
「バッカねー、男って」
「ふ、二人とも今のままでも、十分ある(平均ぐらいは)と思うよう」
フェイトは二人を宥めようとした。が、
「「フェイトちゃん(フェイト≫平均)は、黙ってて!!」」
「は、はい!!」
二人に吠えかけられ、尻尾を巻いた。
「くっそー、ビルのヤツめ。見た目だけで言えば、アインスみたいなわがままボディ、一択やからな~」
「良くないよねー、そう言うの」
はやてとなのはが、手のひらを返して同調し、友人たちの堂々たる胸を睨みつけた。
※諸説ありますが、すずか>アリサ≒フェイト>はやて=なのは、と、させていただきます。
アリサは、ルサンチマンを発露する二人に呆れたが、ふと先ほどはやての発言を思い出した。
「もしかして、さっき副長さんと会ったのが早かったらってのは、胸のサイズがもう少し小さかったらってこと?」
「違うわ!…いや、まあ、それも含めてもっと全体的なことや」
「ほう…」
「ほら、うち等小学校の頃から局で働いていたやろ。その頃、おうていたら、多分、ビルはこっちのことを恋愛相手として見れなくなんねん」
近所にすんでいるお兄さんと慕ってくる子供。という、保護者としての視点になってしまうらしい。
「あー、なるほど…」
「エリオとシャーリーより、離れているものね…」
アリサとフェイトは納得し、
「小学生と高校生くらいだもんね…(当時の美由希さんとユーノくんくらいの年の差か…、人×獣?いや、おね×ショタ?あ、副長さんとはやてちゃんなら、おじ×ロり?)」
すずかは納得したうえで、妄想を捗らせ、
「風芽丘学園3年と、海鳴中央1年ぐらいが限度だよね」
なのはは何故か頭に思い浮かんだシナリオルートを口にした。
「ん?なのはちゃん、えらい具体的な例やな?」
「あれ?なんでだろ?関西弁の女の子と、年上の男の人が、って思ったら自然と…?」
言ったなのは自身もよくわからずに発した妄言らしい。あまり気にしてはいけないことなのかもしれない。
「で、お互い恋愛対象になる年齢になった二人は、どう出会ったのよ」
「全然普通や。仕事の都合で、レティ提督に文官として紹介してもろて…」
「あ、その時の話は聞いたことあったよね?」
「うん、機動六課で副長のお休みの時に聞いた話だ」
なのはとフェイトの二人が、話を聞いた当時のことを思い出しながら言った。
つられてはやても、ヴィルヘルムの勤務中と休暇中の立ち振る舞いの差に、アタフタしていた二人の様子も思い出した。
「あんときの二人の驚いた顔は、おもろかったなぁ」
「なに、なに、何があったのよ」
「面白そう聞かせて」
はやてがその時(ノッポの副長編「副長の休日」)のことを話すと、アリサとすずかが笑う。
「へ、へー、面白い。あんたの旦那になろうとするだけのことはあるわね」
「ふふ、そうだね、いかにも勤勉で生真面目な紳士って、外見だと思ったけど…」
「紳士、紳士やて!はっ、ビルの本性は、紳士どころか狂戦士や。その気になろうもんやら、動く物ならなんにでも襲い掛かって、生き血を啜るタイプや」
今までヴィルヘルムと面識のなかった友人達に、はやては熱弁をふるう。余りの熱の入れように、六課時代には事務処理で世話になっていた管理局員の二人は、普段献身的にはやてを支えているヴィルヘルムに同情した。なのは達が遠慮がちに、はやてを宥める。
「何もそこまで言わなくても…」
「う、うん、はやてちゃんも普段お世話になっているでしょう」
「世話になってるんは、勤務時間中だけや」
言いながらフン!っと、鼻を鳴らすはやて。
鼻息を荒くしたはやてに、アリサとすずかが含みのある質問をする。
「へー、勤務時間外は紳士とは、いいがたいってことね?」
「はやてちゃんは、その狂戦士を目の当たりにした時、どうだったの?」
「そうやな、ビルが本性剥き出しにしたんわなぁ。機動六課解散から1年ぐらい経ってからやったから、出会って三年強やな」
はやてが口惜しげに言って口をへの字に結ぶ。今にもハンカチを噛んで、キーッ!っと叫びそうな表情に、アリサは口元を緩めおちょくろうとしたが、すずかが自分の口元に人差し指を当てる仕草で止めた。
弄るのは話を聞いた後で…。と、言うことらしい。
「そんときは本局で部隊の立ち上げなんかを勉強させてもろてる時でな。ビルのヤツも本局への用事のついでに、私の個人オフィスに顔を出したんや」
他の四人がうんうんと頷いて、続きを促す。
「そん頃は、ちょう忙しいころで、連絡は取り合っていたんやけど。直接会うんわ2カ月ぶりやったから、なんやか盛り上がってしもて…」
言っているはやての口元が緩んでニヤけ始めた。つられて他の四人もニヤニヤと笑い始める。
「…そしたら、その、ガバっと…」
「ガバっと!い、いきなり!」
「んっ~!オフィスか~、うんうん」
「えー、勤務中に?!」
「そ、それは、服務違反じゃあないかな!」
興奮するアリサ。
共感するすずか。
動転するなのは。
平静を保とうと規則を持ち出すフェイト。
「気が付いたら課業時間が終わってたからセーフや。それにさすがに、そんなところでされたら、次の日から仕事が出来なくなってまうから、ここじゃ嫌やっちゅうたんやけど…」
「やめてくれなかった。っと」
目を光らせたすずかがすかさず合いの手を入れる。
「うん、ちゅうか、そのオフィス。仮眠室がある部屋やったから。こう、横抱き…、お姫様抱っこで…」
はやてが手の平を上にして、持ち上げるようなジェスチャーをつけながら説明し、すずかが捕捉する。
「ご案内されちゃったんだ~」
頭をかきながら、はやてが答えた。
「…はい」
「「「おおー!!」」」
三人があげた歓声が滑稽な残響になったころ、すずかがさらに踏み込む。
「で、どうだった?」
聞かれたはやてが口をωの形に変えて、もにょもにょと口籠ってから、意を決したように…、
「…殺される思った」
答えるはやて。
「いいガタイだとは思ってたわ」
「それに、年上さんだもんね」
「そっか、副長が…」
「は、激しいんだ…」
納得するアリサ。
感じ取るすずか。
慮外に思うなのは。
目を回しかけるフェイト。
「と、言うより、飛ばされる」
はやての捕捉に、女たちは甲高い声を上げた。
すずかがはやてを抱きしめ、
「頑張ったんだね。はやてちゃん」
「ありがと、すずかちゃん。でも、頑張ったんは、そこからや」
「ええ!」
「ふふふ」
「うん、うん」
「あうう」
Σ(゚Д゚)、アリサ。
(ΦωΦ)、すずか。
(`・ω・´)、なのは。
((( ;゚д゚)))、フェイト。
「あまりに、一方的やったんでな」
そこで言葉を切ってはやては続けた。
「夕食を挟んで、再戦を…」
「「「「おおー」」」」
ぐぬぬ。っと拳を握ってはやてが言うと、四人は驚嘆の声を上げ、キラキラ視線をはやてに向けた。
四人に視線を向けられたはやては
「…」
しばし沈黙した後、
「すいません。見栄を張りました。…まあ、食事前よりは善戦した。…とは、思うんやけど(なんや悟りが開けた気がしたんよ)」
はやての言葉の勢いが尻すぼみになった。聞いた四人は苦笑する。
「それは仕方ないよ、初めてだったんだから。(一回だと、気が昂ぶって、興奮が冷めないからね)」
「そうね、再戦を挑んだだけでも大したもんだわ。(身体を動かすのが億劫になるのよね)」
「はやてちゃん、そういうところでも、負けず嫌い何だね…(優しい気持ちになるんだけどな~)」
「それでも凄いよ。はやては…。(罪悪感でいっぱいになって、すぐ寝てしまうから…)」
皆はやてを宥めるような言葉を口にしたが、はやてには全員の認識が絶妙にズレているような気がした。
…が、今はたいした問題ではない。
「ま、もちろん、今は一方的なんてことはあらへんけどな。おかげで、こないな塩梅や…」
言いながらはやてはニヘッと、閉まりなく笑うとお腹をなでた。ヴィルヘルムには、3人という数しか教えていないが、全て女の子だということがわかっている。ヴィルヘルムとヴォルケンリッターはいろいろ名前を考えているようだ。
なかでも一番頭を悩ませているのがヴィルヘルムで、性別を知らない為男の子の名前も三つ考えているようだ。
名前のつけ方については、はやての考えているプランが一つあるのだが、もう少し黙っていようと思っている。
そのことを、同級生に伝えると、アリサとすずかが、
「相変わらずね、あんたは」
「ふふ、でも、ビルさんは楽しんでると思うよ」
と、言い。
「そうだね、二人はきっと喧嘩するほど仲がいい夫婦になりそう…」
なのはがそう言って、微笑む。
「ありがとう。なのはちゃん」
言いながらはやては四人の様子を伺う。フェイトとすずかは果実酒とワインを結構な勢いで飲んでいたし、アリサとなのはも二人に付き合って、ほろ酔いになっている。
そろそろ、今日話したことの責任は、お酒に持ってもらってもイイ頃合いだ。
「じゃあ、最後に…3人のことを聞こか…」
そう言った瞬間、普段よりもハイペースで飲んでいることで、下りかけていたフェイトの瞼が閉店時間を延長した。
「…。」
無言ながらも、フェイトは目を大きく開いて友人たちを見た。
はやてが質問を続ける。
「3人とも、なんで、おっしよーと関係を持ってんねん?」
大きさの話ですが、すずか>アリサ≒フェイト>はやて=なのは。
上記の根拠は、作者公式発言やサウンドステージネタによりますと中3時期は、すずか>アリサ>フェイト=はやて>なのは。と、いう情報を参考に、StrikerS以降の画像をもとにした私の説であります。
(はやて=なのはであっても、身長との比率を考えると、はやて>なのは?)
異説がある方は感想で教えていただければ幸いです。
面白かった、つまらなかった、正直な気持ちでもちろん大丈夫です。
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