管理局世界の人々~Force編 おもちゃ箱~   作:ゴケット

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84バチェロレット・パーティー(アリサ&すずか)

 

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「3人とも、なんで、おっしよーと関係を持ってんねん?」

 はやてがそれを口にした途端、

「…なんでこうなったのかしらね。…本当に」

 アリサは、おでこが急に重くなったかのように、両手で支え重さに耐えるようにうめき声を上げた。

「…困っちゃうよ…ね?」

 なのはは当惑の苦笑を漏らした。

「ふふ、わたしは結構いいと思っているけどね」

 しかし、すずかだけは、上機嫌に笑いながら続ける。

「それに、アナタの出身の世界だと、お嫁さんは3人までOKみたい」

「OKて、いや、そういう文化もあるかもしれへんけど…(あ、呼び捨てなんや…)」

 ニコニコと笑いながら答えるすずかに気おされ、はやては助太刀を求めてなのはとアリサに目線を投げたが、二人ともまだ懊悩していた。

「フェイトちゃんやったら、どう思う?」

「ムリだよ。…わたし、要らないんじゃないか。って思っちゃう」

「そうやな、私も独り占め出来へん男は、ちょっと…」

 はやてとフェイトがそんな会話をしていると、間に挟まれていたアリサが顔を上げた。

「わたしだって、そう思ってたわよ!!…しかも、あいつ、パッと見、普通の癖にぃ~」

 身悶え頭を搔き毟りながら、エイブラハムを貶すアリサ。つやのある金髪が跳ね回るのを見ながら、

「普通に見えるところが、アナタくんの怖い所だよね…」

 苦笑を消さずに、なのはが続く。

「顔の傷がなきゃそうかもね。技術と経歴は結構すごいと思うけどね」

 すずかが笑顔でエイブラハムのプロフィールを口にした。

 

氏名:エイブラハム・ハーベイ(友人に名乗る名前は、アナタ)

出身地 :管理外世界「マガフ」

現住所:ミッドチルダ北東部

職歴・勤務先:民間警備会社「グリズリーAPC」(最高評議会調査室のダミーカンパニー)

資格:大型自動車免許/大型特殊自動車免許/1級船舶免許/大型二輪免許/情報処理系の資格複数(ITストラテジスト、情報処理安全確保支援士など)

魔法術式:現代ミッドチルダ式 陸戦Bランク

趣味・特技:プログラム組立・解体、暗号解読、武芸全般

身長・体重:171㎝、71kg

家族構成:一種の重婚的内縁(なのは、アリサ、すずか)、すずかとの間に娘あり

その他:管理外世界「マガフ」の内乱の際に孤児になり、NGOキャンプ、研究施設?を経由して、後にマガフ暫定政府になるゲリラ部隊に拾われる。内乱平定後、民間軍事会社「静かなる蛇」に所属。師匠に当たる女戦士イレインの死去を切っ掛けに、フリーランスとして各地を転戦。この頃(新暦64年の春~夏頃)、神埼玖遠の墓参りに地球に訪れている。現在、民間警備会社「グリズリーAPC(arms&personnel carrier)」に入社。

 

「すずかちゃんは…、おっしよーと…、子供までつくってん…」

「うん、ちゃんと生んで、育てているよ?」

 話を聞いた当時の衝撃を思い出し、途切れ途切れに言うはやてに、すずかはそれがどうかしたのかと答える。それを隣で見ていたなのはは、すずかの姉月村忍が兄の恭也との関係を語ったときに似たようなことを言っていたのを思いだした。が、

「…お、おふ、そうやな…」

 はやては、自分の親友が自分よりも更に上の次元に立っていることに恐れ戦いていた。はやてに代わり、フェイトがなのはとアリサに聞いた。

「…えーっと、改めて聞くけど、二人はしずか(すずかの娘)のこと、どう思っているの?」

「前に言ったことがあるかもしれないけど、自分が生んでなくても、子供が増えていく感じ?ヴィヴィオを迎え入れた時と同じかな?」

「…悔しいけど、可愛いわ。4人で作った子供みたい…」

「そ、そうなんだ?…うーん、わたしもヴィヴィオにママって言われるのは好きだし…」

 少しだけ理解を示しそうなフェイトに、一人だけ低次元に取り残されそうになったはやては、慌てて話題の修正をした。

「そうや!3人とも、おっしょーと知り合ったのは、儀礼艦ベルソー拿捕事件の時なんやろ、そん時から、ええな。って、思ってたん?」

「最初の印象ってこと?ヴィヴィオ達が道でぶつかって怪我させちゃったって、連れてきたのがアナタくんだったから、優しい人で良かったーって感じ?」

「そうだね、雫も興味を持ったみたいだったし、面白い人だなーって思ったかな?」

 なのはとすずかが懐かしそうに笑いながらこたえたが、アリサがフンッ!と、鼻を鳴らした。

「あたしは何も思わなかったわよ。モブ!以上!」

 先ほど掻き毟った髪を整えながらアリサが断言する。

「それは、それで、かえって興味あるけどな?フェイトちゃんみたいに、なんや切っ掛けとかあったん?」

「あ…、事件の時、一時的に記憶を取られたって言ってたよね。それを取り返してくれたから…、とか?」

 はやてがアリサに質問し、フェイトもそれに続く。

「そうだったらしいわね。でも、その時の記憶なんてないの」

 手櫛で髪を梳き続けながら、アリサが二人の質問に答える。

「まあ、感謝はしているけど、記憶にないことで恋なんて出来ないでしょ」

 梳いた髪の感触に納得いったのか、最後に髪をサラリと跳ね上げてアリサは言った。

「つまり、他に恋するようなことがあったんだ…」

「うっ…!」

 フェイトが素直な感想を漏らすと、アリサは急所を突かれたようにうめき声を上げた。

「ふっふん!言うてみ、言うてみ…」

「…くっ!なんで、そこまで、言わなきゃいけないのよ!」

 顔を赤くしたアリサは拒もうとしたが、

「私とビルの赤裸々な話を聞いたんやから、皆んのも聞かな、つり合いとれへんやろ」

 言いながらはやては口元をニィッと吊り上げた。

「…あんた!」

 ここにきてアリサは、はやてがヴィルヘルムとの仲を赤裸々に語った理由を理解した。相手の事情を聞き出すのに、「私は言った!アンタも、吐け!」と、言う口実の為だったようだ。

「…ッ!」

 あんたが勝手にしゃべっただけだろう。と、言えばそれで終りだと分かっていながら…。友人とは対等でいたいと思ってしまうのがアリサ・バニングスと言う女だった。

「分かったわよ。って言っても、大学の時にトラブルを幾つか解決してもらっただけよ」

 話し始めたアリサを見て、はやてどころかなのはが妙なニコニコ顔をし始めたので、アリサは二人を一度睨みつけた。

「大学のゼミで知り合った女の子に、女だけのグランピングに誘われたことがあってね」

「「……?」」

 聞きながら、はやてとフェイトは視線を送り合った。

 明朗快活でスッキリとした性格のアリサが珍しく憎々しげな語り草だったからだ。

「その子、学内で2番目の才女で、あんまり交流なかったんだけど、他にも知り合いがいたから参加することにしたの…」

 アリサは、いまいましいげに、上あごに付けた舌先を勢いよく離して音を立てるあまり品があるとは言えない動作、舌打ちをすると続けた。

「その子が出した車で、数人の女の子たちと山奥の会場まで出かけて、「さあ、そろそろ、夜も更けた」って、頃合いよ…」

「「……」」

 一度、言葉を切り、

「車に満席の男どもが、到着したってわけ。しかも、その男どもいい噂の聞かない連中よ」

「…え、それって!」

「……!」

 人気のない山奥に年頃の娘。そこに押し寄せてきた評判の悪い男たち…。この話を聞いて良い想像をする者はいないだろう。

「(懲らしめた)後で、その子に聞いた話だと、成績が首席だったあたしが心底気に入らなかったらしいわ」

 アリサは到頭、吊り上げた口元から犬歯を剥き出しにしてから言った。

「慎み深い日本人と違って、アナタならこの数でもお相手できるでしょうですって…!下品に笑いながら、あたしだけを置いて帰っていったわ…、あの女!」

 固唾を飲んで聞き入るはやてとフェイトの顔を見て、アリサはニヤリっと笑った。

「悪いんだけど、なんにもなかったわよ。その後すぐ、アナタが迎えに来て帰ったから」

「あ、な~んだ」

 ほっと息をついたフェイトだった。が、はやては、アリサの意味ありげな笑いの中に、惚気の緩みを感じ取った。

 はやてが、視線をすずかとなのはに投げる。

「その時、アナタがバイクのアクセルターンで、砂利を跳ね上げて男の子を追っ払った姿に、クラっと来たんだっけ?」

「わたし、この話、19回目」

 はやての視線に答えて、すずかとなのはが暴露する。

「な、…ちょっ!な、何言ってるのよ、そんなわけないでしょ!だいたい、アナタが来たのだって、拿捕事件後の影響の調査で監視していただけで…」

「魔法や管理局と関係のないことでも、飛んで来てくれたんだもんね。お仕事優先なら不干渉なのに…」

 管理局の立場と方針は、アリサも理解しているでしょう。と、なのは。

「そ、そうなのかもしれないけど…。男どもに追われていたあたしの元に着いた時だって、「門限はとっくに過ぎていますよ、お嬢様」よ!もう少し気の利いた台詞吐けって気がしない?」

「はいはい、その後、ちょっと落ち込んでいたアリサちゃんを連れて、朝日の奇麗な海までタンデムでツーリングしたんだっけ?不器用だけど、慰めようとしているのは伝わったんだよね~」

 なのはに続き、すずかも他に人には話していない秘密を漏らした。

「…ッ!」

 女の秘密は信用ならない。そのことを痛感しながら、アリサは話した過去の自分を恨んだ。

「じ、じゃあ、アリサは、その時、その…」

「そんなわけないでしょ!その時から、ちょっと意識し出したってだけで…、いきなり、そんなことしないわよ!」

 フェイトもかなり酔いが回ってきているようだ。酒だけではなく、場の空気にも…。心のタガが外れてきているのがいい証拠だ。

 それは、素面のはずのはやても例外ではない。

「じゃあ、いつなん?」

 はやてが更に追及する。と、

「それは、わたしに係わる騒動の時かな~」

 すずかが語り手として参戦した。

「お、確か、大学の卒業旅行で、ヨーロッパ旅行をした時の話やったっけ?」

「うん、月村の親族に安次郎って、おじさんがいて…」

 すずかが左上の方向に視線を向ける。その時のことを思い出しているのだろう…。

「EUの中で暮らしていて、あまり縁のない人だったんだけど…」

 すずかの眉が寄っていく、しかし、嫌悪している表情と言うより、幻灯のなかのぼんやりとした光景に何とかピントを合わせようとしているかのような顔だ。その様子から、すずかの中ではすでに興味が薄くなった人物だと言うことが分かる。

「そのおじさんが、折角ヨーロッパに来たんだから会いに来いって、すずかを呼び出したのよ…」

 おじの顔を思い出そうとしているすずかの代わりにアリサが言うと、すずかは安次郎の顔を思い出すのを諦めたようだ。

「うん、まあ、親戚だし、顔を出そうと思って、わたしだけで会いに行ったんだけど…」

(…確か、任侠映画の卑屈な中ボスとかに、配役されそうな人だったよね)

 安次郎の姿を知っているなのはが、その容姿をそう評価した。辛口になっているのは、事情を知ってしまっているからだ。

「勧められたお茶を飲んだら意識が遠くなって…。気が付いたら、よくわからない富豪のお爺さんと結婚させられそうになってたの…」

「「えっ!」」

 要約すると、事業に失敗した安次郎の借金の形代わりにされかかった話を、何でもないことのようにすずかは話した。が、当然ながら、はやてとフェイトは驚きの声を上げた。

 ひと悶着があったとは聞いていたが、そんなことになっていたとは…。

「あの時は、心配したのよ。約束の時間を過ぎても借りてたコテージに帰ってこないし、携帯にも出ない」

「ごめ~ん、意識がなくなる前、咄嗟にアナタに電話したみたいなんだけど…」

「折り返しても、電話に出ないって、あたしに連絡が来てね…。そっから、アナタも交えてすずかの大捜索よ」

「見つけてもらった時には、ウェディングドレスを着せられていたんだけどね~」

 ムスッとした顔で話すアリサに対して、すずかはニコニコと笑って、いい思い出だと言わんばかりだ。

「それで、アナタにウェディングドレス姿のまま連れ去ってもらったんだ~」

 顔を高揚させて、興奮気味に話すすずか。

 薬を盛られて、拉致されたことは、どうでも良いことのようだ。

「ビックリしたわよ。待機していたコテージにいたら、花嫁が来たんだもの…」

「うふふ、映画のヒロインになった気分だったわ」

 

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「良く笑ってられるわね。あの後大変だったじゃない。結婚式のキャンセル代だの、相手に対して慰謝料だの…」

「そうだけど、私の自由意思で結婚に同意したわけじゃないし…」

 最終的に安次郎が責任を取らされることになった。

 ごつくて怖~いお兄さんたちに何処かに連れられて行く安次郎の映像を、エイブラハムがどこからか持ってきた所でこの話は終りのようだ。

「花嫁を連れ去るか~、映画なんかじゃ名シーン何やけどね~」

「双方の同意を得た後の結婚だと、幾つかの法に引っかかるね。略取、誘拐の罪かな?まあ、それ以前に、すずかが誘拐されているんだけど…」

 はやてと、フェイト、法律の番人が頬をかきながら言った。

「そうかもね。…で、折角、奪ってもらったんだから、最後まで奪ってね。って、責任を取ってもらったの」

 指を組んだすずかがなまめかしく微笑む。

 

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「「「「_ッ!」」」」

 それを見て4人が息を飲んだ。

 同性の彼女たちですら、色香にあてられて、自分を失ってしまいそうだ。

(こ、これはあかんな…)

 すずかの妖艶な姿に、はやては恐怖すら覚えた。男がこの空間にいたら一呼吸で致命傷になってしまいそうだ。

「ふふ、よかったよ。…ね、アリサちゃん」

 すずかが視線に蜜を塗ってアリサに投げた。その蜜には依存性のある毒が含まれている。

 アリサが、すずかからの視線を外せずに、みるみるうちに真っ赤になった。

「…え?」

 意味が分からず、フェイトが小首を傾げると、

「…ちょっと、声が大きかったみたいで…。アリサちゃんが心配して来てくれたの。見守ってくれていたんだよね…」

「え!そ、そこまでは、聞いてないよ!」

 なのはが驚いた声を出した。つまり…

「アリサちゃん、覗いてたん!?」

「…アリサ、…えっち…」

 はやても驚きの声を上げ、フェイトが小声でつぶやくように言う。

「なっ!…し、仕方ないでしょ!!夜に、隣の部屋で、あんな大声だったから、目が覚めちゃったのよ!」

 すずかと合流した晩、休んでいたコテージに響いた嬌声で、叩き起こされたらしい。

「ごめんね~。でも、その後のアリサちゃんも、結構、大きな声だったよ」

 赤面したまま反論を試みたアリサに対し、嗜虐的な視線を向けるすずか。

「え、え、え」

「その後って、その後って…」

「それは、まさか、さ、3ピ…」

 すずかの視線に反応したのは、むしろ聞いていたなのはとフェイトとはやてだった。

「そのまま、3人で延長戦」

 

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 すずかが言いながら、はやて達にも視線の蜜を投げた。なのはとフェイトが言葉を失い、はやてがすずかだけではなく、アリサに対しても戦慄を覚える。

「アリサちゃんに、そんな…癖が…。じょ、上級者!」

「あはは、そうだね」

「やかましい!癖はないわよ!」

 笑いながら肯定するすずかに、否定するアリサ。

「…でも、歴は?」

「…ッ!」

 しかし、はやてが問うと、アリサは言葉を詰まらせた。そのまま、アリサが恨みがましい視線をすずかに向ける。

「……あ、あ、アンタのせいで!アンタのせいで!あたしの歴はめちゃくちゃなのよ!」

「えー、アリサちゃんだって、途中から楽しんでたじゃない」

 やり合う二人に挟まれながら、はやてはふと思った。二人はほぼ同時だったようだが、なのはの時はどうだったのだろうか?

 はやての視線が、なのはのほうに向いた。

 




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