アサルトリリィと呼ばれた男   作:岡村優

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7話

一通りの訓練を夕方までやった後、夢結と百之助は寮に戻る所であった。

 

「なあ、夢結…シュツエンゲルの契りをもう交わさないのか?」

 

「ええ…」

 

「そっか…」

 

暫く歩いていくと梨璃と楓と二水(この時二水の事を百之助は知らない)が歩いてきた。

 

夢結は、会釈して通り過ぎようとしていたが梨璃は、何かを伝えようとしていた。

 

「あっ…」

 

夢結が通り過ぎたあと梨璃から声がかけられた。

 

「まっ…待って下さい。」

 

夢結は足を止めた。

 

「夢結様!…私とシュツエンゲルの契りを結んでください!」

 

夢結の手は握り締められていた。

 

「私…夢結様に助けて貰って…夢結様に憧れてリリィになったんです。」

 

「誰に憧れるのかはあなたの自由だけれど、それと私のシルトになるのとではなんの関係も無いわ。」

 

「それは…」

 

「貴方とシュツエンゲルの契を結んでも、私の作戦遂行能力が低下するだけよ。それが貴方の望み?」

 

これには百之助も動揺を隠せない。楓が怒って近づいて来るのを手で静止し。夢結に問う。

 

「そこまで言わんでも良かろうに、素直に嫌だと言えば済むことだろう?」

 

梨璃の耳元で囁く。

 

「梨璃、素直に言えないんだよあいつは、本当にシュツエンゲルの契を結ぶ気があるか?あるなら説得するが?どうだ?」

 

「はい…」

 

「了解した。」

 

夢結を後ろから抱き締める。

 

「なに…」

 

「なあ…俺のシュツエンゲル…覚えてるか?」

 

「ええ」

 

「実は俺より戦力としては劣っていたんだ。」

 

「!?」

 

「でも、心が強かった…絶対に諦めなかった…どんな絶望的な状況下でも気丈に振る舞って周りを鼓舞し続けた…散るまで…最後まで…」

 

さらに強く抱き締める。

 

「死ぬときこう言ったよ…夢結ちゃんとお幸せに、だと…」

 

「なんで…」

 

「知るかよ…お前が辛いのは良う分かる…俺とて無くした身だ…だがな、梨璃に当たるのは筋違いだろ…それに…お姉様方はとても良くしてくださっただろ…受けたものは他の人に還元せねばならんよ…これは実の姉二人の言葉だかな…」

 

「そう…でも、私には…」

 

「成せばなる…俺のお姉様の言葉だ。俺も手伝ってやるから…な?それにあの娘は心に入れても痛くないぞ?保証する。」

 

「貴方は?結ばないの?」

 

「言われたら受けるさ…ただ俺の戦闘技術は、人殺しの技だから教えられんがな…」

 

「分かったわ…」

 

「なにがだ?」

 

「貴方を信じてみる。」

 

「そうか…」

 

夢結を放し向き合わせる。

 

「貴方の申し出を受け入れましょう。」

 

「え…」

 

「私が梨璃さんの守護天使、シュツエンゲルになる事を…受け入れましょう」

 

「夢結様」

 

「貴方にも付き合ってもらいますよ?百之助?」

 

「了解した。俺の剣にかけても。」

 

「そこまでしなくても…いいわよ」

 

「いいや…焚き付けたのは俺だからな…姉上に申し訳ないしな。」

 

「そう…」

 

 


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