ー 翌日、共用スペースにて ー
百之助、夢結、楓、高嶺がお茶会をしていた。
「……相変わらず仲がよろしいですこと…」
楓の目線の先には百之助が夢結の膝で爆睡していた。しかもとても気持ち良さそうに緩みきった顔でだ。
「ふふっ。ここまで気を許して寝てる姿は珍しいわ。夢結さん、相当好かれてるわね。」
と、小さい頃を知っている高嶺ですら珍しそうに百之助を見ていた。
「ええ、…もっともここまで至るまで色々とあったけれど、それでもこの人を愛してるわ。」
そう言いながら夢結は百之助の頭を撫でる。
「取り敢えずその話は置いておきまして。それより、叶星様はいかがいたしましたの?」
「ガーデンへの報告で席を外しています。すぐに戻るかと。」
「なるほど…お二人はいつも一緒のイメージでしたから、高嶺様の横に叶星様が居ないのは不思議な感じですわ。」
「ふふっ。それほどいつも一緒にいる訳ではありませんよ?小さい頃は逆にそこで寝てる百之助と一緒にいる事が多かったもの。」
と、昔を思い出しながら言う。
「ですが、お二人は幼馴染で、進学もずっと一緒でしたのでしょう?御台場女子から移られたのもお二人揃ってとお聞きしております。」
「ええ、そうです。腐れ縁…と呼ぶには長すぎるかもしれませんね。」
とそこで楓が切り出した。
「高嶺様…失礼だと思われましたら無視して頂いて構いません。お聞きしたいことがあります。」
「…何かしら」
高嶺には、思い当たる節があるようで身構えていた。
「高嶺様は身体に不調を抱えているのではありませんか?特にマギに関わる部分で。」
「……」
「楓さん、本当に失礼よ。」
夢結もこのことに関しては理解していたし、楓が言うのももっともである。何せ、最悪生死を分ける状況下で格段に生存率が下がる可能性があるからだ。
「申し訳ありません。ですが、今回の合宿の最中に特型ヒュージが現れた場合、グラン・エプレにも協力をお願いすることになるでしょう。」
一拍おいて息を整えたあと続けた。
「わたくしは一柳隊の司令塔であると自負しております。ですから指揮下にあるリリィの正確な戦力分析は必須ですわ。まあ…把握出来て無い方もいらっしゃいますが…」
そう言って楓は百之助を見る。確かに百之助の戦力としての分析はほほ不可能に近いのだ。実際不可能と言われた事を平然とやってのける百之がは分析不可能であることは周知の事実である。
「皆さんと生きて帰る…それだけは是が非でも成し遂げなければなりませんわ。」
約1名ほど死んでも戦うのが居るが割愛する。
「流石ですね…百合ケ丘は。いえ、【百合ケ丘の至宝】と呼ばれる楓さんが特別なのかもしれませんね。」
「高嶺さん…」
「楓さんの仰る通りです。私は数年前の戦いで致命的な傷を負い以来、マギの受容量が大きく損なわれる後遺症を抱えております。」
「…エーテルを損傷したのかよ…」
と、そこで百之助が起きてきた。
「聞いてたのね…」
「まあな、まあ…薄々気づいてた、夢結も、俺もトミーも。ちなみにエーテルっていうのは身体を這う血管みたいなもので、これを損傷すると高嶺みたく受容量が減ったりするんだ。まあ、代替出来るけどな。」
そう言って空間収納から小さな箱を取り出した。中には赤い宝石のついた腕輪が入っていた。
「…これは?」
「周囲のマギを勝手に浄化した上で吸い上げて身体の代わりに溜めてくれるという優れ物だ。…安心しろ後遺症とか代償とかないから。」
「…貰っていいのかしら?」
「やる。ただし、こいつは試作だ。過信するなよ?」
「分かったわ」
「まあともかく、どうせおまえの事叶星しか知らなかったんだろう?黙っといてやるよ。ふたりともそれでいいな?」
「ええ。」
「はい。」
「ま、後のことは楓に丸投げすればよろしい。と、言う訳だよろしくな楓」
「承りましたわ」
「ふふっ」
と、そこで叶星が帰ってきた。
「どうしたの?みんな揃って笑ってるけど」
「気にしなくて良いこともあるんだよ。か、な、ほ。」
「余計気になるじゃない。」
「あ?俺の幼少期どんだけ迷惑をかけたかって話だ。…丁度いい、お前しか知らない俺の話してくれよ」
「…貴方ね…」
この後、中々に盛り上がったことは想像に難くない。