ー 二時間後 ー
一柳、グランエプレの面々は訓練をする為に浜辺に来ていた。(白襷隊は一柳隊に含まれる為、本来は呼称しないが指揮系統の問題から呼称する場合がある。)
「わぁぁぁぁっ!海だ、海だ、うーみーだー!」
「あ、灯莉ちゃん、急に走ったら危ないです……つ!姫歌ちゃんも注意して ーー」
紅巴が姫歌に助けを求めたが…
「海よ!海よ!ひゃっほー!」
「あ……あう……」
姫歌も灯莉とまったく同じ反応をしてしまった為、変な声が出てしまっていた。
「「ふふふっ」」
フィーネとマリアは面白過ぎて笑ってしまっていた。
「お二人とも海が好きなんですね。」
「都内に居ると中々海に行く機会がなくてねこういう海岸に来たのは久しぶりだわ。」
二水の問に叶星が答えた。そして周囲を見回して続けた。
「でも、この辺は、ヒュージの痕跡が多く残っているのね。見るからに激しい戦いがあったように感じるわ」
「私の故郷はここより酷く、完全に陥落してしまいました。あそこはもうヒュージの跋扈する土地ですから…」
確かに神琳の言う通り台湾は壊滅していた。そしてそれを聞いた面々がなんとも言えない感じになった。
「しかも米軍が空爆で耕したしな…大佐はあっちで元気にやってんのかね…」
「そうだな…元気だといいな…」
百之助は台湾奪還戦を思い出し、伊吹にしては珍しく弱々しい答えだった。
「…あの…伊吹様?」
神琳を伊吹は後から抱きしめ頭を撫で始めた。
「…いつか…取り返したいな…」
「…はい///」
空気を変えるために高嶺が切り出した。
「………郭神琳さんね。前回はほとんどお話できなかったけど改めてよろしくおねがいするわ。」
「はい、高嶺様。何卒よろしくおねがいします。」
「あぁぁぁぁぁ〜っ!郭神琳!」
「…はい?」
いきなりフルネームで姫歌に呼ばれた上に叫ばれたので少々戸惑ってしまった神琳である。
「あ、あなた、郭神琳じゃない!あの、【ワールドリリィグラフィック】の表紙を飾った郭神琳ね!」
「なんじゃか説明的じゃの〜」
「っていうか、ガーデンからずっと歩いて来たのに今更?」
ミリアムは微妙な顔をし、鶴沙は蔑んだ目で姫歌を見る。
「郭神琳!あなたは姫歌のライバルよ!」
「さとりより残念な子だねぇ〜」
確かにさとりより残念な子である。
「ライバル…ですか?申し訳ありません身に覚えが無いのですが…」
「あなたにはなくてもひめかにはあるの!アイドルリリィを目指すひめかより先にモデルデビューを果たすなんて…!」
そして神琳の観察を始めた。レビュー付きで。
「あ…でも確かにキレイね…。整ったお顔にエキゾチックな瞳、すらりとした手足…。写真で見るより実物の方が美しいわ。」
「えーと…ありがとう、ございます?」
「はっ!?ち、違うわ、その手に乗ってはだめよ、ひめか!だって可愛さでは負けてない…はず!」
勝手に乗って降りて面白い娘である。
ナデナデ…
「伊吹様…そろそろやめていただけると…」
「ごめんごめんついやっちまった。百之助のが移ったかね…」
「そうかこっち側の人間だったか」
「「ハハハハハハ!」」
二人揃いも揃って大笑いである。
「はいはい、ちゅうもーく!皆さん、今日は遊びに来たわけではありませんのよっ。ヘルヴォルと合流までに少しでも力をつけておきたい、そうおっしゃっていたのはどなたでしたか!?」
楓が張り切っている…そう、張り切っているのだ。
「えっと…楓だったと思う。」
「はい、そういう訳でこれより合同訓練を始めますわ!一年生は基礎体力を付ける為、海岸をランニング!上級生の方々は戦術理解を深めるシュミレーションを行います。」
「楓〜海の上走ったらだめなのか?」
「走れる人が限られていますでしょう!?」
「ですよね〜」
「はーい☆砂遊びしよう、砂遊び〜」
「分かってらっしゃらない方がいらっしゃいますわね!」
と、合同訓練が始まった。