百之助は目を覚ますと辺りを見回した。
「保健室…か…」
説明しておくと百合ヶ丘を初めとするガーデンの保健室はほぼ大型の病院に匹敵する設備と人員が揃っており。ほぼ全ての治療を受けることが可能である。
「百之助、起きたのね…」
そう言いながら入ってきたのは秦祀、生徒会のメンバーである。
「おう…死にぞこなったがな。」
祀は、呆れたように百之助を見る。
「はぁ…船坂の人は皆嬉々として死地に立つけど取り憑かれてるのかしら?あなたの妹も妊娠した状態で戦っていたし…さっき生まれてたけれど…」
「………………………………………………今なんて?」
「貴方の妹さっき子供を産んだわよ?」
「…何にも知らないんだが?」
「そう…後で行ってあげたら?」
「そうする。所で夢結は?」
「懲罰室自分で入ったわよ?」
「いつまでだ?」
「何時でも。」
「分かった。今から行ってくる。」
「本当は安静にしててと言いたいところだけれど…いいわ」
「済まない。」
祀が出ていったので着替えて懲罰室に向かう。中に入るとベッドに座って夢結が静かに泣いていた。
「ゆーゆ…」
「嫌…来ないで…」
拒絶されたが無視する。
距離を詰め強引に顎を持ち上げる
「…!」
目が泣き晴らして赤くなっていた。
「藍色の綺麗な瞳だ。…俺は好きだ。ゆーゆが。」
「恋人を殺そうとする様な女の何処が良いの…?」
上目遣いがとても可愛らしかった。刀やら銃やらを置き夢結の隣に座り、抱き締めながら頭を撫でる。
「それはね、ゆーゆ。手の感触、肌の温もり、抱き心地、サラサラした髪、心臓の鼓動、唇の感触、ちょっとした仕草、表情一つ一つが全て愛おしいのさ…君のシルトに嫉妬する程に…」
「…///!」
この時点で夢結の顔は林檎のように赤く熟れていた。額にキスをし、ベッドに押し倒した。
「ああ…夢結…今すぐに襲ってしまいたい…」
百之助は、夢結の腕を押さえつけ、唇を重ね舌を差し入れ口の中を蹂躙する。暫くして唇を離すと、惚けた顔をしていた。耳元で囁く。
「愛してるよ夢結。君は一生、死ぬまで可愛がってあげるからね?」
「あ…う…う…///」
夢結は、このプロポーズ紛いの言葉の為、思考が停止してしまい。顔を赤く染め上げ百之助を見上げていた。
余談ではあるが後でこの事に関して夢結は、こう回想している。
ー恥ずかし過ぎて死にそうだった。だけど、とても嬉しかった。とー
その様子を見ていた三人組がいた。ここは誰も入る事が許されない領域だ。
「ふふふ、百之助、男になったわね。」
そう言うのは赤い髪と目を持った少女だ。
「ベアトリーチェ…今はそれどころではないでしょう…」
苦言を言うのは金髪碧眼の少女。
「良いじゃないハインリヒ、そう思わない?」
「そう思いますが…ジャンヌは、どう思いますか?」
話を同じ金髪碧眼の少女に聞く。
「そうですね…成長したと言うことでしょう」
「ですがこれから人類は神々との全面戦争になるでしょう。その時は我らも動かねばなりません。」
「そうですね」
「そうね…」
「夜々の後継、百之助…また逢える日を楽しみにしています。どうかその時まで壮健なれ…」
三人が何者かは本人達と百之助以外はまだ知らない。