暫くして共に落ち着いた辺りで梨璃を呼び出し、百合ヶ丘の墓地に行くことにした。
「梨璃、今から墓地に行くからな。一応言っとくが霊感は無いよな?」
「無いですけど…何でですか?」
「リリィで霊感があると取り憑かれる可能性があるからだ。」
「そうなんですか!?」
「霊感がある場合…まあ神職関係者が大半なんだが稀にそうゆう人がいるからな。大抵はそういう人は巫女になるんだよ。」
「全く知りませんでした…」
「これは教科書やらには無いが…そもそもリリィとヒュージの戦いは何千年にも渡るんだ。」
「え?でも何処の国でも50年前からって…」
「妖怪とか魔女刈りとか陰陽師とか聞いたことない?」
「あります。」
「妖怪は、ヒュージ。魔女刈りの魔女とか、陰陽師はリリィだ。」
「そうなんですか!?」
「知り合いに錬金術士が居てね。その人に教えてもらったんだよ」
「私それ、初耳なのだけれど?」
「ほんとは教える気が無かったんだけど…なんとなく。」
「そう…」
話題を変えることにした。
「どっち先にする?」
「百之助の方が先よ…そのおかげで生き残ったのだから。」
「分かった。所で梨璃、甲州撤退戦は知ってるよな?て言うか居たよな?」
「何で知ってるんですか?」
「逃げてる時にお茶渡さなかったか?」
「あっ…受け取りました。でも髪の毛白くて長かったし、目は赤と青のオッドアイの人でしたよ?」
「俺だ。」
「ええええええええええええ!?」
「まあ異能やら、体質やら、レアスキルやらを使ってたから。分からんだろうが…俺だ。」
そのまま吸血鬼としての力を引き出す。すると髪が白く染まり、腰のあたりまで髪が伸びる。目は青くなる。
「コレが見たやつだろ?」
「はい」
直ぐに引っ込め、元に戻す。
「とまあ…そう言う事だ。着いた。」
見ればお墓がずらりと並んでいた。
「梨璃、俺は三人の姉を亡くした。まあレギオンの姉様方入れるともっと沢山なんだが…とゆうかここには俺の腹違いの姉妹達が合わせて30名近く眠ってるんだよ。」
「そんなに…」
「文香は40人て言ってたけど。俺が知ってる限りでは、約100名程腹違いの姉妹が居るんだ。殆ど戦死したか大怪我を負って入院して植物状態だが。」
「そんな…」
「後でとんでもない事言うから心の準備しといてくれ。」
「分かりました…」
まず右から4番目の墓に来た。そこには船坂奏と書かれていた。
「姉上、遅れました。」
そう言うと花を添え好きだった蜜柑を置く。そして手を合わせる。
そのまま右隣の墓の前に立つそこには船坂七々と、書かれていた。
「いつも膝枕して頂き有難うございました姉上。」
さっきと同じように花と蜜柑を置き手を合わせる。
そのまま右隣の墓に移動し花と蜜柑を置く。そこには、藤堂美炎と書かれていた。
「可愛がって頂き有難うございます。美炎姉様。」
手を合わせ最後に右端の墓に移動する。
「夢結。俺いた方がいい?」
「ええ」
「分かった。」
夢結は、花を添えた。そこには川添美鈴と書かれていた。
「私も貴方のように割り切れればいいのだけれど…」
「そんなもん慣れない方がいいに決まってる。本来戦争なんざ子供の出る幕なんて無いんだよ…今がおかしいだけで。」
「そうね…梨璃これを見て…」
「はい…」
夢結は首に下げていたロケットを開けるそこには写真が入っていた。
「この方が…お姉様のシュツエンゲル?」
「そう…私の…お姉様…」
「川添、美鈴様…」
「懐かしいな…面倒見の良い人であったけれど…」
「そうね…」
そうして墓地を、後にした。