保健室の奥が病棟になっておりそこの中の一つに入った。文香は一行を見るなり目を見開いて驚いていた。
「陛下!?爺上父上まで…皆さんも、お揃いで…」
百之助はおもむろに近づきて文香の抱いていた子をを見ながら愛おしそうに言った。
「抱いても良いか?」
「はい…兄上…」
素直に抱いていた子を百之助に渡した。その子はすやすやと寝ていたのでとても可愛いかった。
「可愛いな…性別はどっちだ?」
「女の子です。それと…この子マギが使えるみたいです。」
「そうか…で?名前は?」
「決めてません…兄上が決めてください。」
「では、七々で」
「そんなあっさり…」
あっさり名前を決めた百之助に梨璃が何か訴えてきた。
「死んだ姉上の遺言でな…まあでもいいじゃないか」
「いいと思います。」
「文香ちゃんまで…」
「照久、抱いてみる?」
「良いのか?」
「さっき自分で言ったこと忘れたか?」
「そうであるな…」
そう言いながら七々を照久に渡した。
「確かに愛おしいと感じる。…そこのお嬢抱くかえ?」
と隣にいた夢結に聞いた。
「そうさせて頂きます。」
そんなこんなで七々は、リリィ達に変わる変わるたらい回しにされている間に百之助が切り出す。
「七々の父親は?分かってるのか?」
「はい…でもお教えする事はできません…」
「なに?何故だ!?」
「流された…私の責任ですから…」
文香の目には涙が流ていた。
「父上!爺上!今すぐ退室を!」
「どうしたのじゃ?」
「言いにくいのでしょう…後でお教えしますから…」
「しかし…」
そこで助っ人が現れた。ここの医者で先生でもある山田先生と生徒会の祀が来たからである。
「親御さんですか?お話が…」
「…分かりました。」
四人が退室する。
「で?教えてくれるか?」
「嫌です…」
そこで照久が痺れを切らした。
「上官命令である。言え!」
一瞬固まったが観念したようで…
「久仁殿下です…」
「何!?」
流石にこれには動揺を隠せなかった。ここの全員が…
「てことは…七々ちゃん…内親王殿下!?」
丁度、二水が抱いていた所で爆弾が投下されたことで全員が動揺していた。
「あの愚弟!…許さぬ…」
「陛下…落ち着いて…」
「止めるな…首を飛ばさねば気が済まぬ!」
と出で行こうとしたので全力で止めにかかった。(その時、七々は文香の腕に返されていた。)
「文香…それは事実か?」
「はい…」
「陛下嘘は言ってないです。異能で確認しました。」
「あい分かった。…やはり殺す…」
「まぁまぁ…落ち着いて…過ぎた事ですから…」
「卿は、憎く無いのか?」
「そんな事はないです。可愛い妹ですから…」
「そうか…安心した。」
「はぁ…こりゃ大変だ、俺の首も飛ぶ…」
「何故だ?」
「ちょっと耳を貸してください。」
「ああ…」
「件の親王殿下に文香を護衛に付けたのは私ですから…」
「そうであるが…しかしだな…どう考えても愚弟が悪い訳で」
「責任は私が取らされるでしょう?」
「そんな事はない…そもそも卿の所属する軍隊は防衛軍とは違い、私の直属の部隊だ。責任を取るなら私だ」
「いや…それは流石に…」
このままでは拉致が開かないのでひとまず陛下が謝ることとした。
「文香嬢…愚弟が…した事については、私が代わりに謝罪する。
すまなかった…」
「陛下!?頭を上げて下さい…!」
山田先生が戻ってくるまで陛下はひたすら平謝りをしていた。