ある日、百之助に、大きな荷物が届いた。送り主は、船坂景である。
「何が入ってんだこれ…」
「分からん…」
伊吹には、手伝ってもらう為に来てもらっていた。
「でかいな…」
「銃にしては長すぎるし、刀にしてもこれはおかしい…チャームは使わないから除外だ。」
「とりあえず開けてみるか…」
「だな…」
と、二人でダンボールを開けた。すると大小2つの風呂敷に包まれた物とガンケースが出てきた。
「ガンケースは後回しにするとして…この2つは何だ?」
唸っていると伊吹がダンボールから手紙を見つけた。
「百之助。手紙があったぞ!」
「どれどれ…」
手紙は2通ありどちらも百之助宛であった。
1つ目は船坂大将からで、梨璃に守り刀を渡してほしいとのこと。
2つ目は天野海軍中将からで、妻が亡くなったのでその旨を娘、つまり空葉に、伝えて欲しいとの事だった。
「何方も…言いにくいな…しかも丸投げ…」
「そうだな…」
「梨璃に付いては、一柳陸軍中将に聞かないことには言えんだろうし…天葉は、滅茶苦茶怒られそう…」
「やるしか無いだろ…」
「だな…」
翌日、講義が終わった後、天葉に声をかけた。
「天葉…ちょっといいか?」
「ん?どうしたの?」
「二人だけで話を…」
「嫌よ。アールブヘイムのミーティングルームに来て。」
「…分かった…でも…後悔はするなよ…」
「分かった。」
そう言って自室に戻り例の箱(大きい方の包み)を空間収納に格納した。そして、軍刀を下げた。
直ぐにアールブヘイムのミーティングルームに行った。
コンコン
「どうぞ。」
と中から天葉の声がしたので入室する。
「失礼する。」
入ると全員が揃っていた。
「で、何のよう?」
「実はだな…これを天野海軍中将から渡すよう言われたんだ…」
そう言いながら空間収納から包みを出す。
「えらく長いね。」
「言いにくいから…開けてくれないか…頼む…」
そう言うとテーブルに置いた。
「百之助、貴方大丈夫?」
「なんとか…これきついんだよ…頼む…開けてくれ…」
「分かった。」
そう言うと天葉は、風呂敷を開けその中の木箱を開けた。そこには一振りの刀が入っていた。
「…これ…お母さんの…リリィ現役時代の刀…なんで…!」
「先月…亡くなられたそうだ…」
「うそ…嘘よ!」
「本当だ…現役時代に受けた傷と、ブースタードラッグの乱用により身体がズタボロだったんだよ…」
百之助は、顔を直視出来なかった。でも分かっていた…泣いていることには…
「ブースタードラッグって…貴方が使ってた奴…」
「1世代前のだがこれで合ってる。」
百之助は、ポケットから注射器を取り出して見せた。
「なんで…貴方にお願いしたの…」
空葉は、声が震えていた。
「夏には会えなくなる可能性があるからだ。」
「え?」
「防衛海軍は天野中将率いる第2艦隊を持って、ヒュージネストに攻撃を仕掛ける…何処かは言えない。」
「無理よ!リリィですら無理なのに!!」
「だから…俺にお願いしてきたんだろう?…帰れないから…そして…愛する娘に顔向け出来ないから…」
「軍人って…何でそうなの!?…何時もそう!…何で…」
「自分の一所を懸命に守り抜くために…愛する物を守る為に…祖国をまもりぬくために…その為なら命すら投げ捨てる。それが軍人と言う生き物だ。」
「…貴方もそう?」
「今更だ…この身はいつ死んでもおかしくない…いつ死んだって良い…それで何かを守れるならば…それで良い…それに…戦場は…俺にとって故郷だ。」
「貴方…狂ってる!…可笑しいわよ!?」
「俺は所詮戦争屋…人殺しだ。だから死んだって誰も気にしないし、寧ろ罵る奴も居るだろう。それで良いんだよ。」
「あの…百之助様?…リリィでは無いのですか?」
と恐る恐る樟美が聞いてくる。」
「ああ…突撃擲弾兵…まあ…リリィの事だが…俺は軍人だ」
これには全員が絶句した。
「そもそも白襷隊は全員が軍人だぞ?俺のシルトも含めて…」
「そう…なんですか?」
「大勢失ったし、大勢殺した。…俺達は本来、リリィを狩るためのリリィだ。だから人殺しは沢山やった。…これからもそうだろう…」
「そんな…そんなのって…あんまりです!!」
全員が涙ぐんでいた。
「君たちはこちら側には来るなよ…それだけは…やめてくれ…」
「天葉…」
「何よ…」
「この前の続きたが俺が戦死したらその時は、笑ってくれ…君の泣き顔は見たくない。と言うか…百合ヶ丘のリリィ全員だけど」
「嫌よ!…何で…何で…そんな…そんな事言うのよ…」
「俺は戦う事しか出来ないから…それで悲しむ人が少なくなればいい」
「貴方の事で悲しむ人は入らないのね!?」
「知るか…誰も困らんだろ…」
「顔も見たくない!!出てって!!」
「分かった…じゃあな戦友さらばだ…」
そう言って百之助は出て行った。