アサルトリリィと呼ばれた男   作:岡村優

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31話

レギオン名は一柳隊に決まり、日々訓練に明け暮れていた。

 

「疲れた…」

 

「おいおい…軍人が何言ってる…」

 

「だって久しぶりにトミーと立合ったんだもん…」

 

「そうだな…」

 

と百之助と伊吹は、木陰で休んでいた。

 

「所で…」

 

「何?」

 

「何故膝に仔猫が居るんだ?」

 

百之助の膝の上に白い子猫が乗っていた。

 

「母猫がヒュージにやられてこの子が残ったんだよ…で、懐かれてる…」

 

「まじか…と言うか…小さすぎない?」

 

この子猫は手のひらサイズであった。

 

「生後3日だ…」

 

「まさかの生まれたて…」

 

「寮で育ててやりたいけどこればかりは…」

 

「難しいよな…」

 

「仕方がないから玄関にダンボールの箱で飼ってるんだけど…夜は心配でな…」

 

「わかる気がする。」

 

そこに同じレギオンメンバー達が寄ってくる。気配を察知した子猫は百之助のポケットに隠れる。

 

「あらら隠れちゃった…」

 

「何をしているのよ…」

 

「木陰で休んでる。」

 

「お兄ちゃん…隣いい?」

 

「構わんぞ?」

 

雨嘉が右隣に左側に夢結が座る。

 

「結局ほぼ全員揃うのかよ…」

 

「所で先輩、なんで哺乳瓶持ってるんだ?」

 

哺乳瓶を見て聞いてくるのは安藤鶴紗である。

 

「あー…鶴紗手を出せ。」

 

「?いいけど…」

 

その上にポケットから子猫を取り出し鶴紗の手に乗せる。

 

「ちっちゃい///」

 

「生後3日の赤ちゃんだ、大切に扱えよ?」

 

「猫の赤ちゃんそこまで小さいのは見たことないわよ…」

 

「そうか?」

 

「あら可愛い!」

 

「ちっちゃい…」

 

と神琳と雨嘉も釘付けである。

 

「珍しいな母猫は?」

 

「梅、昨日のヒュージに押しつぶされてた。」

 

「まじか…」

 

「名前は何ていうんですか?」

 

「決めてないぞ梨璃、[鷗外]て呼んでたけど。」

 

「お前絶対、高瀬舟読んでただろ…」

 

「そうだな…読んでた…でも何で分かった?」

 

「昨日お前の机に置いてあった、しかも出版当時の古いやつ」

 

「何でそんなに古いの持ってるのよ…」

 

「実家の倉庫にあった。」

 

「ええ…」

 

「まあ、博物館級の代物だからぞんざいには、扱えんけど…」

 

「お前が使ってる武器も博物館級なんだが…」

 

「言われてみれば確かに…けど一番頑丈なんだよな…」

 

「40式歩兵銃は?今日使ってないけど…」

 

「今度使うさ、今はまだ使う気にならないな」

 

「そうかよ…」

 

「所でグロピウスは?」

 

「工廠科」

 

「なるほど」

 

「所で先輩、この子猫はどうするんだ?」

 

「寮の玄関で飼ってる」

 

「良いのか?それ」

 

「良いんじゃね?寮母さんとかいないし」

 

「限りなく黒に近いグレーでは?」

 

「そうとも言う!」

 

今日も百合ヶ丘は、平和である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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