レギオン名は一柳隊に決まり、日々訓練に明け暮れていた。
「疲れた…」
「おいおい…軍人が何言ってる…」
「だって久しぶりにトミーと立合ったんだもん…」
「そうだな…」
と百之助と伊吹は、木陰で休んでいた。
「所で…」
「何?」
「何故膝に仔猫が居るんだ?」
百之助の膝の上に白い子猫が乗っていた。
「母猫がヒュージにやられてこの子が残ったんだよ…で、懐かれてる…」
「まじか…と言うか…小さすぎない?」
この子猫は手のひらサイズであった。
「生後3日だ…」
「まさかの生まれたて…」
「寮で育ててやりたいけどこればかりは…」
「難しいよな…」
「仕方がないから玄関にダンボールの箱で飼ってるんだけど…夜は心配でな…」
「わかる気がする。」
そこに同じレギオンメンバー達が寄ってくる。気配を察知した子猫は百之助のポケットに隠れる。
「あらら隠れちゃった…」
「何をしているのよ…」
「木陰で休んでる。」
「お兄ちゃん…隣いい?」
「構わんぞ?」
雨嘉が右隣に左側に夢結が座る。
「結局ほぼ全員揃うのかよ…」
「所で先輩、なんで哺乳瓶持ってるんだ?」
哺乳瓶を見て聞いてくるのは安藤鶴紗である。
「あー…鶴紗手を出せ。」
「?いいけど…」
その上にポケットから子猫を取り出し鶴紗の手に乗せる。
「ちっちゃい///」
「生後3日の赤ちゃんだ、大切に扱えよ?」
「猫の赤ちゃんそこまで小さいのは見たことないわよ…」
「そうか?」
「あら可愛い!」
「ちっちゃい…」
と神琳と雨嘉も釘付けである。
「珍しいな母猫は?」
「梅、昨日のヒュージに押しつぶされてた。」
「まじか…」
「名前は何ていうんですか?」
「決めてないぞ梨璃、[鷗外]て呼んでたけど。」
「お前絶対、高瀬舟読んでただろ…」
「そうだな…読んでた…でも何で分かった?」
「昨日お前の机に置いてあった、しかも出版当時の古いやつ」
「何でそんなに古いの持ってるのよ…」
「実家の倉庫にあった。」
「ええ…」
「まあ、博物館級の代物だからぞんざいには、扱えんけど…」
「お前が使ってる武器も博物館級なんだが…」
「言われてみれば確かに…けど一番頑丈なんだよな…」
「40式歩兵銃は?今日使ってないけど…」
「今度使うさ、今はまだ使う気にならないな」
「そうかよ…」
「所でグロピウスは?」
「工廠科」
「なるほど」
「所で先輩、この子猫はどうするんだ?」
「寮の玄関で飼ってる」
「良いのか?それ」
「良いんじゃね?寮母さんとかいないし」
「限りなく黒に近いグレーでは?」
「そうとも言う!」
今日も百合ヶ丘は、平和である。