アサルトリリィと呼ばれた男   作:岡村優

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32話

数日後、一柳隊はアールブヘイムのノインベルト戦術を見せてもらうため、とある建物の屋上に来ていた。そこにはパラソルやら椅子やらテーブルやジュースまで置かれていた。

 

「オイオイ…天葉、遊びに来たんじゃないんだぞ…」

 

「良いじゃない、そこまでヤバイのは来ないんだし?」

 

天葉の答えに呆れた百之助である。

 

「アホか、起きたらどうするんだ?」

 

「その時は…他のレギオン呼ぶかな…」

 

「アールブヘイムが敵わないってどんな状況よ…」

 

夢結は、そんな事は起き無いと考えていた。

 

「いやいや…最悪の状況を常に考えとかないともしもの時死人が出るぞ?」

 

「白襷隊出身者の実体験は説得力が凄くあるわね…」

 

「一応元、槍の穂先だったんでね…俺がいたポジションが一番戦死者が出る所だから…よく分かるんだ。」

 

「あははは…」

 

天葉は、百之助の言葉に笑うしかなかった。

 

「あの…ここで見学ですか?」

 

と、梨璃が聞いてきた。

 

「ええ、私達の戦闘を見学するなら、特等席でしょう?」

 

「あの夢結がシルトの為に骨折りするなら協力したくもなるでしょう。」

 

「アッハハ、貴方夢結をこんなに可愛くしちゃうなんてあなた一体何者なの?」

 

天葉と依奈は、どこか嬉しそうだ。

 

「え?私はただの新米リリィで…」

 

「有難う、天葉。」

 

どうやら夢結は、恥ずかしくなったようで梨璃の言葉をぶった切った。

 

「気にしないで?貸しだから。」

 

「ノインベルト戦術を見たいんでしょう?お見せする暇もなく倒しちゃったらごめんなさいね?」

 

百之助は、異能でヒュージを識別していた。

 

「そいつは無理だな…あれ、レストア。」

 

「本当に?」

 

「ああ…だが…なんかヤバそうだ…」

 

そう言いながら、異能を限界まで引き上げる。ヒュージの内部構造にある物を見つけた。

 

(あれは…まさか!)

 

「天葉!行くのを待て!…アールブヘイムだけでは対応できん!」

 

「どう言う事よ?」

 

「夢結?一つ聞きたい…お前のダインスレイブ…今どこにある?」

 

「それは…お姉様が持って行ったわ…」

 

「なるほど…じゃああのヒュージは、君にとって…仇と言う訳か…」

 

「なぜ?」

 

「あのヒュージ…君のダインスレイブでマギを操ってやがる。…つまりノインベルト戦術が無効化される可能性がある。」

 

「何ですって!?」

 

これには全員が戦慄した。

 

「最低でもマギスフィアが3つ必要だな。」

 

「なんて…事。」

 

何か思いついた伊吹が聞いてくる。

 

「百之助、あの大砲ならヒュージネスト破壊出来るから抜けるんじゃないか?」

 

「確かにあれならフルパワーなら抜けるだろうが…問題は、直撃させたら校舎が吹き飛ぶぞ?何せ核弾頭並みの破壊力だからな。」

 

「何それ?」

 

天葉がそれは何かと聞いてくる。

 

「これさ。」

 

空間収納から自身のチャームを取り出す。そこに現れたのは57mm対艦ライフル砲、武御雷だ。ついでに砲弾も3発ほど出す

 

「何それ!なっが!!」

 

流石に8m近い砲身を持っているのでとてつもなく長い。

 

「ちょっとノインベルト戦術の威力で撃って見るわ」

 

地面に置きうつ伏せになる。

 

「実弾発射モード!」

 

そう言うと武御雷のバイポッドからパイルドライバーが発動、本体を固定する。そして薬室を開き砲弾を放り込み、ボルトを蹴り飛ばして装填する。すると砲弾にマギをチャージしノインベルト戦術と同等の威力の砲弾になった。その上で余剰砲身…二枚のレイルがマギによって展開される。

 

「全員!耳を塞げ!!」

 

全員が耳を塞いだのを確認し、トリガーを引く。すると砲弾が砲身内を加速し、余剰砲身で更に加速され砲口初速8000Mで射出された。更に砲身が50mm後退しその勢いでボルトが後退、そのまま勢いよく薬莢が排出される。

 

「ドゴォーン!!」

 

効果はいかに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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