アサルトリリィと呼ばれた男   作:岡村優

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34話

「今から作戦を開始する!!」

 

了解とばかりに全員の、チャームが発光。それを見た百之助は、武御雷を発砲。今回は遅延信管では無く衝撃信管だ。

 

ドゴーン!!

 

砲弾が敵に向かって飛翔し、着弾。直ぐに信管が発動。さっきより大きい爆炎と砲声が響き渡る。

 

ドカーン!!

 

すると敵のマギリフレクターを完全に破壊する。そのままアールブヘイムがノインベルト戦術を開始、伊吹と文香は、敵を牽制する。頃くして敵の増援が到着。数およそ200

 

伊吹は空中で停止し敵を睨む。

 

「百之助の読みが当たったな…やはりこのチャームを使うならこれでしょ」

 

そう言いながらピットを分離攻撃体制に入る。

 

「乱れ撃つぜ!!!」

 

敵の攻撃をシールドピットで防ぎながらライフルピット及びウィンチェスターライフルで攻撃する。

 

ガンガンガガガン!ターン!カチャン!ピピピューン!

 

 

「絶対敵に、回したくないね…」

 

「同意するわ」

 

天野と依奈が伊吹の一方的な戦闘に絶句する。

 

一方文香は、全身を赤く染め上げ、縮地で全力加速…出鱈目な機動で動き回りながらヒュージに斬りつける。

 

「ハアアアアアアアア!!」

 

「こっちもおかしいのだけれど…」

 

「すごい…」

 

夢結と梨璃も文香の戦い方に圧倒されていた。

 

 

そうこうしている内に、亜羅揶がフィニッシュショットを決めた。そして待ってましたとばかりに伊吹は、切れ目からダインスレイブを引っこ抜いて百之助に向かってぶん投げる。

 

「百之助!受け取れ!!!!」

 

 

「ナイスだ戦友!!」

 

百之助は、受け取った。

 

その時手負いのミドル級ヒュージが天葉に砲撃しようとしていた。

 

すぐさま軍刀を抜刀。天葉に向かって叫ぶ!

 

「天葉!後ろだッ!!」

 

その声で天葉は、その方を見るが間に合わないと思い恐怖で目を瞑ってしまった。

 

「畜生め!!」

 

百之助は、縮地の上位レアスキル…神速を使い4キロ以上あった距離を一瞬で駆け抜け、砲撃と同時に下段から砲弾を切り上げるが。刀身が限界であったのととっさであるのでマギの供給を怠った為に刀身が折れ。自分の脇腹に直撃した。

 

「がは…!」

 

そのまま1メートル殆ど吹き飛ぶ。

 

「百之助!?」

 

天葉は、直ぐに駆け寄る。見れば百之助からは血が大量に出血しており…手のつけようが無かった。

 

「…そ…ら…は…無事…か?」

 

「ええ…ええ…無事よ…」

 

「なら…いい…」

 

そう言いながら百之助は、大粒の涙を流している天葉の頬に手を当てる。

 

「泣く…なよ…笑って…くれ…」

 

ドカーン!!

 

一柳隊がレストアを撃破した様だ。

 

徐々に人が集まってくる。皆、そんな…嘘…て感じの顔をしていた。生き返るのを知っている人以外。

 

「後…10分…ぐらい…で…お迎え…来るかな…?」

 

「そんな事…言わないでよ…お願いだから…死なないでよ…」

 

「天葉…諦めろ…もう無理だ…助からない…」

 

と言いながら伊吹が天葉の肩に手を乗せるが…

 

「なんでよ!せっかく…甲州撤退戦で生き延びたのに!こんな…こんな事って…」

 

そこに追い打ちをかけたのは文香だ。

 

「兄上言い残すことはありますか?」

 

そう言いながらHK45を構える。

 

「今…まで…お世話に…なり…ました。戦友…諸君…あっち…で待ってるから…」

 

文香はそのまま引き金を引こうとする。

 

「やめて!」

 

と百之助を庇おうとする。他のメンツは放心状態でついて行けていない。

 

構わす引き金を引く。

 

パン!

 

頭を貫通し百之助は、息絶えた。

 

「なんで…自分の兄を撃てるのよ!」

 

「兄だからです。…それに戦場では介錯しなければ苦しみ続ける事になるんですよ!…苦痛を与えるのがお望みですか!?」

 

天葉と文香の言い争いに全員が釘付けである。だからこそ気付かなかった。

 

天葉の頬を百之助がつねった。

 

「よお!心配かけたな!元気か?」

 

「は?え?…は?」

 

皆絶句である。知ってる人以外、絶句である。

 

「なんだよ…みんな揃って豆鉄砲を食らった鳩みたいな顔しやがって…たかが一回死んだからって死ぬとは限らんのだぞ?」

 

「いやいや…その理屈はおかしいぞ百之助。」

 

「そうかな?」

 

「お前が特殊なんだよ」

 

「それもそうか!」

 

天葉を抱きしめ安心させようとする。

 

「すまんな…心配かけて。」

 

「う…わあああああ!」

 

涙腺が崩壊したのか大声で泣き始めた。他の娘たちも。

 

暫くは百之助は、全員から抱き締められるという体験をした。

 

 

 

 


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