アサルトリリィと呼ばれた男   作:岡村優

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35話

翌日、天葉の声が共用スペースに響いていた。

 

「百之助!貴方の事を教えてもらうわよ!拒否権は無いから!」

 

一人で緑茶を飲んでいた百之助は、溜息を尽きながら湯呑を置いた。

 

「ハァ…いつかこうなると思ってたよ…了解…でも、話せることと話せない事があるからな…そこは分かってくれよ?」

 

「分かった。」

 

百之助は、談話室の使用許可とアールブヘイム及び一柳隊全員を招集した。

 

「済まないな…全員集まってもらって…で、俺について話そうと思うのだが…まず俺の家の歴史から学ぶ必要があるな。」

 

「船坂家の?」

 

「そうだ…でだ、船坂といえば、俺以外で誰が出てくる?勿論歴史上での話だ。」

 

皆、それぞれ考え混んで難しい顔をしていた。夢結が直ぐに答えた。

 

「船坂徳永、陸上自衛隊幕僚長。約50年前ヒュージ出現のどさくさに紛れてクーデター…4.11事件を起こした人ね。最終的に自衛隊が国防軍に、皇宮警察から再編され、近衛軍になった事件ね。」

 

「正解だ。じゃあその人のご先祖は?」

 

「流石に誰も分からないわ…」

 

「分かった。…大日本帝国陸軍北支那方面軍司令官、岡村寧次陸軍大将だ。」

 

「は?」

 

「え?」

 

「ウソ…」

 

「苗字違うよね?」

 

と言うように全員が違う反応を見せた。

 

「苗字は、変えざる負えなかったんだ…A級戦犯だったから。」

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

「第二次世界大戦終結時、A級戦犯だったんだよ…だから名前を変えた。」

 

「そんな…」

 

雨嘉は、目を見開いていた。

 

「そして連合国側はこれをを手に入れたかったんだ。」

 

そう言いながら空間収納から一振りの剣を取り出し、机においた。

 

「これは…まさか…」

 

「そうだ天葉…神剣、天羽々斬だ。」

 

それを聞いたメンバーは、絶句した。

 

「それって…古事記に出てくるあの…天羽々斬ですか?」

 

聞いてきたのは、梨璃だ。

 

「そうだ、正真正銘、本物の天羽々斬だ。」

 

「…」

 

全員が息を呑み、そして驚愕した。まさか神話上の、武器が出てくるとは思わなかったからだ。

 

「船坂…いや、岡村家は先祖代々天皇陛下とこの国を敵対する人間や化外から、守護して来た。これからもそうだろう。そして戦って死ぬことはこの上ない名誉だとそう教えられて育ってきた。戦しか知らずそれ以外に生きる道が無かったから…」

 

「それで…死ぬ事が喜びだったのね」

 

「そうだ夢結…そして化外とは、昔のヒュージの呼び名だ。そして、太古の昔から人類の戦いは続いているのさ。」

 

「じゃあ…歴史が間違ってるの?」

 

「そのとうりさ。…そして、化外を生み出したのは神々だ。それに対抗する為にそれに敵対する神々がリリィを生み出した。その中から4人選び出しそれぞれに別の能力を与えた。それが[守護者]だ。俺はその内の一人、吸血鬼、船坂百之助と言う訳さ。…だから死ぬことが出来ない。そういう事さ。これ以上は話せない…」

 

「何よそれ!あんまりだわ!何で百之助に、そんな物を背負わせるのよ!」

 

「トミーもだよ天葉、こいつはその下の、[監視者]だけど。」

 

「二人とも!?」

 

全員が絶句した。伊吹が話を繋ぐ。

 

「元々俺はゲヘナが生み出した人工リリィだけどな?元々ただの人間だったぞ?…それに強化リリィをたくさん殺したしな、俺も百之助も…」

 

これには何も言えなくなった。

 

「とまあそんな感じだ。…まあ俺の吸血鬼としての力は、夢結一人に依存してるからなんとも言えないけど…」

 

「はい?」

 

「吸血鬼は、血を吸う相手が多いほど強くなれるんだよ。だがら、夢結一人で賄っているから夢結の負担が大きいのさ。」

 

「じゃあ私が立候補するわ。」

 

「天葉姉様がするなら私も。」

 

天葉と樟美が立候補したが、百之助は、顔を赤く染めた。

 

「なあ!?!?!?/////」

 

そしてそのまま突っ伏してしまった。

 

「百之助、お前ほんとに言うのは出来るのに言われるのは駄目なんだな…」

 

「うう…しゅみましぇん」

 

呂律も回って居なかった。

 

(駄目だこりゃ…)

 

「百之助の代わりに説明してやる。…天葉と樟美から求婚されたらしい…」

 

「え?」

 

「は?」

 

周りがざわめき出す。構わす伊吹構わす続けた。

 

「吸血鬼の場合、血を吸われると言うことは妻になるという事なんだよ。」

 

「「…////」」

 

 

「ありゃりゃ…」

 

「はわわわわ///」

 

「アラアラ」

 

皆顔が赤くなった。沈黙したが夢結が沈黙を破った。

 

「良いんじゃないかしら?法律は2年前に改定されて重婚可能になったのだし、勿論二人がそれで良いのなら…だけど?」

 

「「考えさせて(下さい)…」

 

と二人は考えることにした。そのまま話は、お流れとなった。

 

 

 


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