夏休みが近くなったある日、共用スペースにて百之助は一柳隊の面々に提案をしていた。
「夏休み、何処か旅行行こうぜ?皆で!」
「いいですわね!」
「良いですね!」
「心が踊りますね」
「行きましょう!」
「良いなそれ!」
「いいの!」
「何処に?」
「良いんじゃないか?」
「いいと思います。」
と、大半がOKであったが。…夢結は、それに異を唱える。
「降りるわけ無いでしょう?私達はリリィよ?」
「手は打ってあるぜ?これだ。」
百之助は、懐から封筒を出し夢結に手渡した。そこには、長期の外出許可と書かれていた。
「どうやったのよ…」
「理事長代行に交渉したに決まってるだろ?」
当たり前じゃ無いかといわんばかりである。
「ハァ…何処に行くのよ…」
「それは今からに決まってるだろ〜?」
そこにアールブヘイムの主将たる天葉が便乗して来た。
「私達も便乗していい?」
「そんな事もあろうかと…用意したぜ」
百之助は、また懐から封筒を出した。
「流石百之助!抜け目ないね!」
因みに、百之助赤面事件(夢結命名)は、一旦保留したのだ。
「で?何処にする?」
そこに口を挟んだのは息吹だ。
「百之助の実家はどうだ?あそこなら訓練もできるし、風呂は温泉だし、近くの神社でお祭りあるし、良いんじゃないか?」
「確かに、生き残ってる姉上達は、ここの卒業生だしな…訓練も出来るな…でもど田舎だぞ俺の家…」
「田舎も何も、山一つ所有してるからど田舎なんだろうが。それでもその地域の土地全部所有してそれを貸してて金があるから家もでかいだろうが…俺、最初行ったときプチ要塞だと思ったぞ?」
「お褒めいただき光栄だが…何もないぞ?」
「オイオイ…お前のお母様も、リリィだろ?昔話してくれるんじゃないの?」
「いや…確かにそうだが…皆それでいいか?」
皆、頷いた。
「決まりね!」
「まじかよ…分かったよ…電話すればいいんだろ?」
そう言いながら本家に電話した。すると老人の声が聞こえた。
『もしもし?』
「お久しぶりです葉山さん。」
『おお…お久しゅう御座います。百之助坊ちゃま…爺は、今お声が聴けて感激しております。』
この人は先祖代々、船坂家に仕える執事だ。
「葉山さん。今年の夏休み、帰省しようと思います。ついでに20人ほど来ますがよろしいですか?』
『奥様に確認を取るので少々お待ち下さい。』
「分かりました」
『では、このままお待ち下さい…」
頃くして葉山さんが出て来た。
『ぜひ連れてくるようにとの事でした。』
「分かりました。」
『移動はヘリにしますか?それともバスにしますか?』
因みにどっちもも所有している。
「ちょっと待って下さい…」
『はいわかりました』
百之助は、全員にどちらにするか聞く。
「ヘリとバス…どっちがいい?」
「はぇ?」
「へ?」
「何故その二択なのよ…」
葉山さんは聞こえてたようで…
『オスプレイもありますよ?』
「オスプレイもあるってよ」
「いやいやいやおかしいでしょ!」
そう言うのは天葉である。
「流石に…グランギニョルの総帥の娘である私でもオスプレイは無いのですけれど…」
電話を、スピーカーにして聞く。
「他のは無いんですか?」
『他のですか…二式大艇は如何ですか?それとも戦闘機?はたまた戦闘車両ですか?』
「あのー突拍子過ぎてついて行けないんだけど…」
と天葉は天を仰いた。
百之助は、考えるのを辞めた。
「葉山さん。オスプレイでお願いします。」
『承りました。では、修了式が終わったあたりに向かいに行きますね?』
「はい、お願いします。では」
『はい、会える日を楽しみにしています。』
そのまま電話を切った。
「百之助…お金持ちだったのね…」
「そんなことはどうでもよくないか?」
「「「「「「「「「「「「「よくない!」」」」」」」」」」」
そういう事で決まった。