アサルトリリィと呼ばれた男   作:岡村優

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40話

「所で百之助、貴様[守護者]になったのだな。」

 

「ああ。」

 

「夜々の後釜だな。と言うか喰ったのであろう?」

 

「いや?託されただけさ」

 

「そうか…」

 

ギンは一瞬、悲しそうな顔を見せたが直ぐに元の顔に戻った。

 

「所で貴方は人間ですか?」

 

そう聞くのは壱だ。

 

「その質問を待っとったぞ?答えは否、人では無いわ。」

 

「では…」

 

「この角で分からんか?鬼じゃ。」

 

そう言うと頭に付いた二本の角を指差す。これには、百之助と文香以外がポカンとしていた。

 

「正確には、人間と化外の中間じゃな。化外の、なり損ないじゃからの。」

 

「鬼ってもっと怖いのかと思った…」

 

「昔は人を食いよったぞ?効率が悪いからやめたらしいの。儂は食うたことないが。」

 

この言葉に全員が一瞬強張った。

 

「その…いつの話ですか?」

 

梨璃が恐る恐るギンに、問うた。

 

「500年前かの?正確には忘れたが、確かそれぐらいだったはずじゃ」

 

「そ、そうですか…」

 

その時、百之助の端末がなった。

 

ぴー

 

「はい、百之助です。」

 

『兄上、手荒いお客さんが来た。』

 

出たのは裕也だった。そのままスピカーにする。

 

『エレンスゲとルドビコの混成部隊、数は30。どうする?』

 

「な…」

 

「何で…」

 

これには全員が動揺する。

 

「天葉、梨璃。ここにゲヘナの強化リリィは居るか?」

 

「…言わなきゃ駄目?」

 

天葉は難色を示し

 

「いないと…」

 

「私だ。」

 

「え!」

 

鶴紗は梨璃の言葉を遮った。

 

「…分かった。」

 

取り敢えずいるのは分かったため指示を飛ばす。

 

「命令は2つだ。1つ目は全員生きて帰ってこい。2つ目は。生きてれば良い、全員生け捕りにしろ。そして、引きずって俺の前に全員連れてこい。…文香、娘を母上に預けて行って来い。」

 

「分かりました。」

 

『きついが分かったよ兄上』

 

「儂も行こう。」

 

「済まないギン。」

 

「構わんぞ」

 

そのままギンと文香は退室した。

 

「仲居さん。そこいる?」

 

「はい。」

 

「ひい爺様連れてきて!大至急!」

 

「分かりました。」

 

その後。6分後に船坂徳永、百之助の曾祖父が来た。勿論自衛隊の野戦服。及び装備でだ。

 

「百之助様。お連れしました。」

 

「お通しして!」

 

「百之助、久しいな…で何用か?」

 

どう見ても、60代で筋肉ムキムキの爺さんにしか見えないが。98歳である。

 

「ネズミが潜り込んだらしいです。」

 

「よほどの死にたがりじゃな…」

 

チャキン

 

そう言いながら89式小銃に弾を込めた。

 

「で?呼んだのはなぜじゃ?」

 

「雑談と護衛。」

 

「なるほど…儂以外で護衛に最適なのはおらんからな。」

 

「自己紹介してあげて。」

 

「相分かった…儂は、元日本国陸上自衛隊幕僚長、船坂徳永である。わかりやすく言えば4.11を起こし、南極戦役をくぐり抜け、数多の戦場で生き残ってきた人間じゃ。」

 

「…御幾つですか…」

 

「98じゃ、まだまだ若いのには負けんぞ。」

 

「…歩く軍神と言われてるぜ。…死にかけた事すらないから。」

 

全員絶句した。何せ生ける伝説である。

 

「この家には道場があるからの。手取り足取り何時でも指導してやろうぞ。戦場で生き抜く術をな?」

 

「末恐ろしいお祖父様ね…」

 

「夢結…同意するが…この人は、リリィですら勝負にならない。文字通り最強だ。」

 

「手合わせしてくれるんですか?」

 

そう聞くのは辰姫だ。

 

「何時でも掛かってきなさい。色々教えて信ぜようぞ。」

 

「凄い…英雄から教えてもらえるなんて…!」

 

二水は、リリィでは無いこの老人を。尊敬の眼差しで見つめている。…案の定鼻血が出ていた。

 

戦闘が終わるまで。昔話を皆で聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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