百之助は、先に風呂に入っていた。
この風呂はもはや銭湯のそれで有り、ここに湧いているのは本物の温泉だ。
「相変わらず広いな…何人入れるんだよ…」
そう言いながら風呂場の奥にあるドアを開け更に奥のガラス張りの露天風呂のような場所に出た。
「ここも変わらないな…月見えるし…」
「やぁ、百之助。久しぶり。」
「千夏姉上お久しぶりで…………………何で守護者が3人も居るの…」
百之助は、声のする方に振り返って…固まった。百之助によく似た女性の横には、ハインリヒ。ベアトリーチェ。ジャンヌ。がいた。
「貴方を含めて4人全員いますよ?」
「そうだね~ベアトリーチェ…」
「私も居るがな?」
「陛下…何故…居るんですか…」
「良いではないか。それにここは、落ち着く。」
「左様で…」
「こっちに来なさい。…百之助。」
「分かりました…」
百之助は、観念して千夏の横に座った。すると千夏に抱きしめられた。
「…姉上…苦しい…」
「我慢なさい。」
しばらくこのままであったがアールブヘイム及び一柳隊の面々が来た為中断した。一柳隊の面々は守護者3名を見て膠着した。
「はじめまして。船坂家長女、船坂千夏だ。よろしく。」
「千夏様!?」
依奈が目を見開き、驚いていた。
「あれ?知り合い?依奈。」
「天葉知らないの!?桜島防衛戦で活躍したリリィで、アルトラ級を撃破した立役者よ!?」
これには全員が絶句である。
「あ〜それ…百之助が大破まで追い込んで私が撃破しただけなんだけどなぁ」
と千夏は苦笑していた。
「あの時は武御雷。故障してたから大変だったな。」
「大変だったね〜一歩間違えたら全員が戦死してたけどね〜」
と、船坂姉弟はお茶を飲む老人のようにくつろいでいた。
「まあ…当時の白襷隊の面々は…甲州撤退戦で…戦死してしまったけど…そんなのは些細なことさ!戦場で死人が出るのは当たり前!悔いても仕方ないし、終わった事だから、前に突き進むだけさ!数多の戦場(いくさば)で散って逝った先祖や戦友…いや、英霊達の意思を継ぐために!前に進むのさ!!」
「貴方の家系は、可笑しいわね…どうしてそう…前向きなのよ」
と、天葉は苦言を言う。
「そりゃ…うちは戦しかないから。」
「そうだ。天皇家の懐刀、最強の将騎、最古の防人、神々の血を持つもの、夷狄を討つ一族の末…それが船坂百之助少将だ。」
そう言って風呂場中央の岩陰から陛下が出てきた。それを見た一部が青ざめた。
「貴方は?」
「この国で一番上に居るものだが?」
「………陛下、人が悪いですよ?」
「……は?」
「へ?」
「え?」
知らない連中は今なんて言った?という顔をした。
「私は今上天皇である…卿らの同級生である百之助は、私の友だ」
「「「「「「「「「「「「「ええええええええええええええええええええええええ!?」」」」」」」」」」」」」
びっくりである。
「百之助!陛下と友だちだったの!?聞いてないよ!!」
そう言いながら天葉は百之助の頭を揺らす。
「天葉、揺らすのやめろ…小さい頃はよく遊んでたんだよ…」
「初めて見たわよ!?天皇陛下!!」
「そうであろうな私は基本人前やらに出てこないからな。あ、今日はそんな事は気にしないで気楽にやってくれまえ。」
「…そうは言っても…天皇陛下…」
と依奈も顔が青ざめていた。と言うかほぼ全員がである。
「私で驚いていたらそこの三人はどうなるのだ?」
「さあ?」
全員が3人の女性を見た。