「懐かしの我が家だ…」
「厳密には高等部だがな」
二人は百合ヶ丘の門を潜り構内を歩いていた。勿論気配を消していた為誰にも気付かれてはいない。理由は男だからである。
途中で騒ぎがある事を知ったのでそちらに向かった。すると二人のリリィが立っておりその周りに野次馬が集まっていた。
「中等部以来お久しぶりです。夢結様」
「何か御用ですか?遠藤さん」
「亜羅那と呼んで頂けませんか?そして入学のお祝いにチャームを交えて頂きたいんです」
「相変わらずの猪だな…」
「言うな…虚しくなるから。」
伊吹と百之助は亜羅那にあきれていた。すぐ近くに見慣れた顔を見たため後ろから声を掛けた。
「やあ、久しいな天葉。」
「は?え!幽霊!?」
この金髪の少女は、天野天葉だ。
「何でそうなるんだ…」
「冗談だよ。冗談」
「でも久しぶりに見たなあの猪」
「そう言わないであげて」
「へいへい」
「あの…何で男の人が居るんですか?」
と銀髪の少女が聞く。
その問いに答えたのは天葉だった。
「白襷隊の【アサルトリリィ】て聞いたことない?」
「ありますけど…」
「本人!」
「ええ!?都市伝説じゃ無いんですか!?」
「そっち!?」
そんな話をしていたら話が進んでしまっていた。
「お退きなさい時間の無駄よ。」
「ならその気になって頂きます。」
亜羅那は、言うが早いかチャームを起動する。
斧の形状に変化したそれはリリィ専用の兵器だ。
「あーあ」
「手加減はしないわよ?」
「お〜怖〜いゾクゾクしちゃう。」
そこに闖入者が参上する。
「は〜いそこ、お待ちになって。私を差し置いて勝手なことなさらないで貰えます?」
「何?貴方。」
亜羅那は、声のトーンが下がった。闖入者は。それを無視した。
「お目に掛かり光栄です。楓・J・ヌーベルと申します。夢結様には、私のシュツエンゲルになって頂きたく存じております。」
「しゃしゃり出てきてなんのつもり!?それとも夢結様の前座と言うわけ?」
「上等ですわ!」
闖入者改めヌーベルがチャームを抜こうとする。がそこでピンク髪の闖入者が現れた。
このスキに伊吹と百之助がそれぞれのライフルに着剣し、ちょうど真ん中に背中合わせで対峙し。ライフルの引き金を引く。
ターン
ダーン
「「そこまでだ」」
流石にこれには周りは困惑する。百之助は、フード付きのコートを空にぶん投げた。
「これ以上は白襷隊の【アサルトリリィ】が相手してやるが双方如何に!」
亜羅那に百之助は、99式を向ける。
「な…」
「男!?」
「アサルトリリィ!?」
周りはこの際無視する。
「邪魔しないでもらえますか?百之助様!伊吹様!」
「黙れ!猪!そもそもこっちは退院したばかりだっての!」
「なら引っ込んでもらいましょう。」
「やなこった!こっちは体訛りすぎて準備運動が欲しかったところでね」
「流石に分が悪いですね。ここは引きましょう。」
亜羅那は。チャームを仕舞った。
そのまま反対側の夢結の方に99式を向け180度ターンし伊吹と入れ替わった。
「で?ゆーゆは?どうする…!?」
夢結は、持っていたチャームを落とし。真っ直ぐ走り込んで百之助を押し倒し馬乗りになり、そして
バチーン
平手打ちをぶちかました。この時点で周りは困惑して静まり返っていた。
「お前!こちとら病み上がりだぞ!?死んだらどうしてくれるんだ!」
「貴方なんて…貴方なんて!死んでしまえば良かったんですよ!そしたら…こんなに…辛くなかったのに!」
見れば夢結の目から涙がポタポタと滴り落ちていた。
「済まなかった。」
「…一人に…しないで…お願い…」
これを上目遣いで言われてしまうと何も言え無くなってしまった。なので行動で示すことにした。具体的には唇にキスをした。
周りから黄色い変えが聞こえるが無視する。
しばらくして立ち上がったが。腕の中に夢結を抱いていたところに。生徒会のメンバーである出江史房がきた。
「何をなさっているの!…あなた達…」
視線の先には。百之助と夢結がいた。そして事情を察した。
「帰ってくるなら連絡ぐらいしなさい」
「忘れてた!」
「はぁ…変わらないわね。…それよりも!校内の研究施設からヒュージが逃げ出した。と報告が入りました。出撃可能な皆さんは、これを捕獲してもらいます。」
「分かりました。」
こう言ったのは、まさかの夢結だった。そして百之助の腕から抜け、行こうとしたときに止められた。
「待ちなさい夢結さん。単独行動は禁じます。」
「何故です?)
「このヒュージは、周りに擬態するとの情報があります。必ずペアで行動してください。」
「必要ありません。足手まといです。」
「貴方には、足手まといが必要でしょう。」
「なら俺が行こう。トミーあとそこの二人!付いて来い!」
「了解」
「「分かりました。」」
そうしてヒュージ探しに出かけた。