ー 帝政大日本帝国総理大臣桂大輝 ー
ー 国の対策会議場にて ー
「何!?近衛軍が反逆しただと!?」
「国防大臣、反逆ではありません。我々が賊軍になったのです。」
国防大臣の言葉に船坂景雲元帥は、こう答えた。
「このままでは我々が世界から爪弾きにされるのだぞ!?」
「分かっていてやっているのですよ。」
「何という事だ…」
「近衛軍は陛下の命令なら玉砕するまで戦いますよ。文字どうり旧大日本帝国軍よろしく…死を選びますからね…」
「不味いのではないかね…士気と練度が違いすぎる」
「仰る通りです。総理…」
この総理と言われた初老の男性こそ元国防陸軍元帥桂大輝である。彼が元軍人であるがゆえに状況がわかっていた。
「加えて、言いたくないのですが…ヒュージと、一柳梨璃を匿っているのは…近衛軍第一師団です。」
「なん…だと…」
これには国防大臣も絶句するしか無い。
「確か…船坂百之助少将だったね。」
「はい、総理…」
「と言うことは…天羽々斬は…」
「少将が持っています。」
「これは…ふむ…どうしたものか…」
天羽々斬を持つとどれだけの血が流れるか各閣僚たちはよく分かっていた。
「加えて…彼の持つチャームは、最大火力で戦術核に匹敵します。」
「手の出しようが無いではないか!?」
「国防大臣…落ち着き給え…」
「しかし…」
「我々では手が出せんな…」
これには全員が黙る他無かった。
「私は分かってますよ?近衛軍がなぜこのような事をするのか。」
元帥の言葉に全員が注目した。
「それは…何故だ?」
「一柳結梨がヒュージと認定された場合、近衛軍に所属する運命の囚人全員がヒュージと言うことになってしまうからです。」
「なに?」
「運命の囚人は、基本的にヒュージのなり損ないです。ゆえにスキラー数値が非常に高く戦闘能力が高いのです。」
「だが…人の遺伝子ではないか。」
「問題はそこなのですよ…ヒュージから作った人間が人の遺伝子を持っているかどうか…持っていたらこの件はなかったことにしたほうがいいでしょう。」
「しかし…それは…」
「国防大臣…魔史学というのはご存知ですか?」
「いいや?初耳だが…」
「では軽く説明しましょう。神話時代…陰陽師…魔女狩り…そして、ヒュージとリリィ。これは共通なのです。」
全員が首を傾げる。
「まず最初に神話時代…これをファーストエンゲージ期と言います。我が国で言う天羽々斬や三種の神器がこれに当たります。」
「君の家や天皇家のことだな。」
「そのとおりです。次に魔女狩りや陰陽師、悪魔や妖怪が出てきた頃ですね。これをセカンドエンゲージと言います。」
「ギン嬢の事であるな…」
「そうですそして最後が…」
「ヒュージ、リリィのサードエンゲージか…」
「共通点は一つ…マギです。」
「そういうことか!」
総理が分かった顔をした。
「昔からマギは存在したのです。古い時代から…そしてエンゲージ期には、必ず脅威に対して対抗する為に新しい力を持つものが現れますそれが異能です。」
「なるほど…異能とはマギを使える者たちのことか…」
「いえ…神話世代に関して言えば乗能力者…つまり身体的な者も居ますので必ずしもマギとは限りません。」
「と…言うことは…船坂少将は…」
「ファーストエンゲージ期と、サードエンゲージ期のハイブリットですね。」
「とても…不味いな…」
「船坂少将の場合、ファーストエンゲージ期のもう一つの力がありますよ?それは…吸血鬼の真祖としての力です。」
「つまり?」
爆弾を投下した。
「原子力潜水艦に核ミサイルと核魚雷が満載と言う事です。しかも全てツァーリ・ボンバ級のが」
「例えが…」
これには全員が頭を悩ませた。
「手が出せないではないか…」
「とりあえず現状維持ですな…」
「どうなるかは…近衛軍に掛かってるな…」
と、膠着状態に陥った。