ー 船坂夢結 ー
自身の回想にて
ホログラムを起動し空中に投影する。出てきたこの人物こそ防衛海軍第二艦隊司令官、天野天馬中将だ。
「お久しぶりです、天野天馬中将」
『昇進おめでとう、船坂百之助中将。…と言ってもまあ昼間無線で会話したけどな。で?どうした?』
理事長代行が、百之助の代わりに作戦を説明した。
「それは私が。…実はカクカクシカジカで…」
『なるほど…しかしそれではそちらの生徒が…』
「ですがやらねば艦隊が全滅なんて事になりかねません…リスクは分担したほうが良いかと。」
『しかし…』
流石に天野中将は難色を示した。何せたった2名のリリィをネストに放り込むと言うのだから。これにゴネた百之助が天野中将に食ってかかる。
「お言葉ですが天野中将、中将が戦死なさった場合は天葉になんと説明すればよろしいので?ヒュージネストと差し違えましたとか言った瞬間、彼女ふさぎ込みますよ?それにまだ中将の奥方の件で未だに怒ってますし。それに硫黄島の件もまだ気にしてますよ?言っておきますが硫黄島の件はぼかして伝えてますからね?」
『うぐ…』
天葉には激甘な中将だけに面白いほど狼狽していた。もはや軍人と言うよりただのオヤジである。
「それだけではありませんよ中将、あなたが乗られている第二艦隊旗艦の武蔵は陛下の御召艦です。それを沈めたらどうなるかおわかりでしょうな?それに艦隊戦以外で艦艇を失うのは防衛戦略上極めて痛手だと思いますが?」
ほぼ脅迫である。
『一理ある…が、流石に…』
「ハインリヒの腕を信じられないと?」
『そうではないが…良いのか?貴官の妹と想い人だろう?』
「言っておきますが妹は防衛陸軍関東軍司令官一柳中将の義理の娘ですし、想い人の方は防衛海軍第三艦隊司令の白井中将の娘ですよ。…まあこの場合全く関係ありませんが…帰ってくると二人を信じてますよ。」
『貴官がそう言うならそうなんだろう…しかしまぁ…なんと無謀な作戦を考えるな…やはり血は争えないということか…その無謀な作戦で死者があまり出ないことがいいのか…運なのか…」
「両方だと言っておきます。」
『了解した、…船坂中将、娘を頼む。出来れば早めに孫の顔が見たい。』
「それ、軍以外で言ったらセクハラですよ。もちろん天葉に対してです。」
『ハハハ!…以後気を付けることとしよう。では、次は式場かな?』
「そうですね。互いに陸で会いましょう」
『互いにな、その為にはまずは生き残らねばならぬ。戦死はお預けだな。』
「はい、ご武運を!」
『フッ…そうだな』
そう言って、敬礼の後、互いに通信を切った。