特殊鹵獲小隊の日常記録   作:ノア(マウントベアーの熊の方)

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なんとなく投稿する事にした、過去に書いた鹵獲小隊の物語です。


第1話

 

ある戦場にて、2人の傭兵が立っていた。

 

「リッパーの無力化、並びに鹵獲に成功」

 

「よし、持って帰るぞ、研究素材だ」

 

「イェッサー」

 

男達は白い肌の少女の手足を縛り、無造作に担ぐと、雇い主の場所へと帰っていった。

 

雇い主の名は『グリフィン&クルーガー』。

グリフィンとして名の知れているPMCである。

彼らは、主力である戦術人形たちのバックアップをする人間の戦闘部隊、そのメンバーである。

そして敵の名は『鉄血工造』。

今はとある事件によって崩壊した、1つの戦術人形のメーカーである。

もちろん、人間の指揮官と人間の指揮官が戦っている訳では無い。

相手はAI、暴走し、人間に牙を向いた鉄血の戦術人形たちと人間の指揮官との戦いである。

もちろん、主力として鉄血の戦術人形と戦っているのは人間ではなく、I.O.Pという自律人形のメーカーが造った、戦術人形達である。

 

そして、こんな戦争でも、敵の鹵獲兵器という物は、研究され、自分たちに有利なようにデータを収集したり、自分たちの戦力として使う事がある。

 

この物語は、そんな鹵獲された人形たちを中心に繰り広げられる物語。

様々な問題を抱えながらも戦い続ける、人ならざるもの達の話である。

……なお、物語は1人の青年視点で進む模様。

 

 

「無傷のリッパーが1人…か」

 

そう言いながら椅子に座り、赤い制服を着ているのは、赤羽 隼人(アカバネ ハヤト)と言う、1人の青年だ。

この青年は、グリフィンの鹵獲小隊、『第405小隊』の指揮官をしている。

そして、指揮官であると同時に兵士でもあるのだ。

 

「とりあえず受け入れ準備を…あ、その前に言語パッチインストールして貰えるように言っとかないとめんどくさく…」

 

そう言いながら、パソコンのキーボードを叩き、鹵獲兵器の担当部署へとその趣旨のメールを飛ばす。

その後に、兵舎の準備へと取り掛かった。

なかなかそのまま使える状態での鹵獲というのは珍しいので、使用して良いと解放してもらっている宿舎がまだまだ空いている状況なのだ。

つまり、使っていないのでホコリが溜まっていたりして汚くなってしまっている。

そして、やはり元は敵と言うことで、評判や扱いも酷く、なかなか片付けでさえ手伝ってくれる人や人形もいないのが現実だ。

 

「さて…どこから片付けようか」

 

そう言いながら、用具入れからホコリ取りのモップを取り出し、とりあえず家具の上などに積もったホコリを取っていく。

その後にベッドの布団を干して叩き、ホコリを取る。

あとは床を拭き、とりあえず掃除を終了した。

 

「研究してから持ってくるらしいし…到着は明日かな」

 

そう言いながら部屋を後にし、引き継ぎ書類の制作に移る。

作っていると、誰かが部屋へと入ってきた。

少なくともグリフィンの人形やグリフィンの関係者では無いだろうと思いつつ、顔を上げると、そこには鉄血のハイエンドモデルであるデストロイヤーが立っていた。

彼女は鉄血のハイエンドモデルだが、何があったのか作戦地域内で死んでいるのをグリフィンに拾われ、そのまま鹵獲兵器としてシステムを復旧して使用されている。

もちろん、鉄血との通信システムはグリフィンとの通信システムに換装され、完全にグリフィンの戦術人形となっているのだが。

起きて直ぐに何があってああなっていたのかを聞くと、何も答えてくれない程に心を閉ざされていた。

今はと言うと―――

 

「指揮官、何してるの?何か作戦でもあるの?」

 

と、自分から話しかけてくれるまでには心を開いてくれた。

 

「ああ、新しく大した損害のない子が鹵獲されたからその引き継ぎ書類をね」

 

「ふーん、そうだ、なにか面白い話してよ!」

 

「って言われてもなぁ…僕が傭兵やってた頃に敵の頭に手榴弾が当たってそのまま爆発して相手がミンチになった話する?」

 

「あ…やっぱりいいや…」

 

「だよねぇ」

 

そんな会話をしつつ、書類を書き終えてミスがないかチェックする。

そしてチェックし終えて時計を見ると、18時過ぎになっていた。

 

「デストロイヤー、一緒に食堂に行こうか、そろそろお腹も空いたろう?」

 

「うん!」

 

そう言い、デストロイヤーと一緒に基地の中にある食堂へと向かう。

ここはグリフィンの基地だが、IOP製の人形たちのいる基地とは離れたところに作られており、悪い言い方をすれば"隔離"されている。

そして正規の部隊を出撃させるには危険な任務へと出撃させられるのだ。

 

そんな忌み嫌われているこの基地だが、少なくとも数人だけでも理解を示してくれている人や人形もいる。

そのうちの一人として、この基地の中にある食堂に務めてくれている女性がいる。

名を"今井 キョウコ"と言い、グリフィンの栄養士である。

彼女は他の職員がやりたがらない中、自ら進んでこの基地務めになってくれた、心優しい人なのだ。

 

食堂へ着くと、他の鉄血鹵獲人形が揃って、先にご飯を食べていた。

元から小さな基地ではあるが、今の人数はデストロイヤーを含めて4人と大変少なく、実際のところは部屋のほとんどが空室となっている。

前までは10人ほどいたのだが、前の任務で大半が死んでしまったのだ。

敵性鉄血人形に出会った場合は、やはり鉄血でも識別信号でもあるのかすぐに敵と見なして攻撃をしてくる。

彼女たちは正規の部隊の人形達とは違い、ハイエンドモデルしかマインドマップを取って貰えておらず、死んだらそれまでとなっているのだ。

しかも鹵獲人形という都合上、ダミー人形が用意できないため、損失率は格段に跳ね上がる。

そして、捨て駒として扱われる都合上、さらに損失率が加算され、生きて帰ることすら難しい片道切符の任務が多いのが現実である。

この4人の人形も、僕が戦場に出てなんとか救出できた人形たちなのだ。

 

悔やんでいても仕方ないと思い、とりあえず晩御飯を注文しにカウンターへと向かう。

そしてキョウコさんに注文し、味噌汁と白米、チキン南蛮の定食を受け取り、椅子まで運び食べ始めた。

 

「やっぱりキョウコさんの作るご飯は美味しいなぁ…」

 

「本当よね、指揮官もこのくらい作れたらいいんだけど」

 

「味噌汁と白米なら…」

 

「それ作れるに入らないわよ」

 

「そっかー…」

 

そんな会話をしていると、先に食べていた戦術人形の1人であるイェーガーがやってきた。

基地の中ではみんな鉄血人形にありがちな仮面は外しているので、なかなかにクールな印象の顔が見えている。

 

「こんばんは指揮官、さっきまでお仕事ですか?」

 

「まあね、多分明日あたりに1人増えるから」

 

「なるほど、種類はどれですか?」

 

「リッパーだね、他のみんなが死んでから初めてのリッパーだよ」

 

「今度こそ守らないと…ですね」

 

そう言って、少し暗い雰囲気になってしまう。

このイェーガーは後方からみんなが殺されていく様を見ていたから尚更だろう。

やはり敵地のど真ん中の偵察任務などが多いので、ヘリでの輸送は目標から離れた場所までが多く、長距離行軍させられ、その疲労の中の戦闘が多く、その分判断も鈍ってしまう。

なので、敵の攻撃をかわしきれずに撃たれてしまう仲間をよく見る立場にいるのだ。

 

「だね…」

 

「あ、すみません、お食事中なのに…」

 

「いやいいよ、コミュニケーションを取るのも重要だしね」

 

「すみません…ありがとうございます、では私はこれで」

 

そう言い、イェーガーは部屋へと戻って行った。

その後もご飯を食べていると、他の鉄血人形達も話しかけてきたりして、食べるのに時間がかかってしまった。

 

「人気者は辛いわね、ねぇ?指揮官?」

 

そう言って、デストロイヤーがじっとジト目で睨んでくる。

 

「うう…相手しなかったの悪かったって…」

 

「別にそんなのじゃないもーん」

 

そんな会話をしつつ、食器を片付けてデストロイヤーと別れて、部屋へと戻る。

そして風呂へと入り、その日は眠りについた。




いかがでしたか?
ではまた次回、お会いしましょう。
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