HUNTER×HUNTERの世界ヤッホー!! 作:斗穹 佳泉
たったそれだけのお話し。
「……ほんとに、HUNTER×HUNTERの世界だ」
この世界に来て初めて私の口から出た言葉は、それだった。
まさかまさかまさか、異世界転生するなんて微塵も思ってなかった。
しかも、自称神様に転生特典とかも貰えちゃったし?
私の大大大好きなHUNTER×HUNTERの世界だし?
そりゃもう、喜ばないわけがないわけで。
「……よっしゃあああああああ!!!!!」
オタな私が、ガッツポーズで奇声を上げないわけがないわけで。
誤って死なせてごめん?むしろ、
「フッフッフ、目指すは主人公組の友達!HUNTER×HUNTERを何十周もした私に隙はなし!とことん楽しむぞー!!!」
おー!と空に伸ばす。
周りからの視線なんて気にしない!
転生先の時間と場所まで細かく決めさせてもらったもんね、今いる場所はザバン市の定食屋前。
試験会場までは、これから定食屋で例の言葉を言うだけだ。
ガラッと勢いよく定食屋の扉を開けて、店主に言葉を投げかける。
「奥の部屋って空いてますか?」
「嬢ちゃん、らっしゃい。ご注文は?」
何気に、この世界来て初めての会話だ。
……おぉ、店主が私の初めてか。
「目から鱗が落ちるようなステーキ定食を一人前お願いします!」
「一人前ね。焼き方は?」
「弱火でじっくりコトコト飽きるまで」
「あいよ、奥の部屋どうぞ」
ありがとう、とニコッと笑顔を浮かべて、奥へ進む。
奥の部屋って、そういえばどこの部屋……?
たくさん扉あるんだけど。
「……ん?『HEH』関係者以外立ち入り禁止?」
奥から二番目の扉にそんな張り紙がしてあった。
HEH……
って、そんなわけないか。
ん~、やっぱり店主に教えてもらおう、と道を引き返していると廊下の向こうから四人分の足音が聞こえてきた。
他の受験者かな?そうだったら一緒の部屋に入ろ。
そう思ってその足音を待っていると、廊下を曲がってきた人物を見て噴き出した。
「ふぇっ!?」
何を隠そう、われらが主人公たちである。
キャー!!!
本物だよ本物!!
ゴンにクラピカにレオリオ!!
くぅー、まさかこんなに早く会えるとは!
神様ありがとう!!
心の中で神に対し謝辞を述べていると、廊下に突っ立っている私を不思議に思ったのか、案内の人が話しかけてきた。
「そこの君も受験者かい?先に店主から一人入っていったて聞いたよ。僕が案内しよう」
「……は、はい!よろしくお願いします」
ゴンたちを見すぎて少し放心していたけど、すぐに反応したから不自然じゃなかっただろう。
……私変な人に見られてないよね?
モブからはどう見られても構わないけど、ゴンたちには変な人扱いされたくないからねっ!
少し歩くと、先ほどの扉「『HEH』関係者以外立ち入り禁止」を案内人の人が開けた。
……あってたんかい!!
ちょ、安直すぎない?
もうちょっとこう、さ。なんか他にあるじゃん?
いや、でもHUNTER試験自体そもそも適当感あるし、そんなもんか。
「ここで待て」
「待てって、他の受験者は?」
「ステーキ定食楽しみだね!」
「ゴン、あれはこの部屋に通してもらうための合言葉さ」
「なーんだ、食べられないんだ」
はぅ……。尊い、尊いよぉ!!
大好きなみんなが私の目の前でしゃべっている。
それだけで嬉しい。
「ところで、あなたは?案内人を伴っていなかったようだが」
クラピカから話しかけて来てくれた!?
せ、千載一遇のチャンス!
「え、あ、えと、ひ、一人でここまで来た、から」
ば、バカバカバカ!!
緊張しすぎ!
ちょ、いつもの快活さカムバック!!
私の返答はなんとか通じたようで、クラピカもレオリオもそれはすごいと驚いていた。
「ほぇ~、そいつぁすげぇな。ここ見つけるなんて相当だぜ」
「銀色のお姉さん、お名前なんて言うの?俺はゴン!」
待って待って!
尊死する!
そりゃ友達になりたいとか思っちゃってましたけど!
心の準備が、ダメだ、落ち着け、まだ慌てる時間じゃない……。
あと、銀色のっていうのは、私が髪も服も銀色で統一しているからだ。
服は、伝勇伝のライナが来ていた服を基に、女性用にして軽鎧を除いた、実用性7おしゃれ3の服。ちなみに下はスカートです。前世だとまず着ることがなかったけど。
深呼吸をし、口を開いた。
「ありがとうございます、
仙道さんのおかげで、少し落ち着いてきた。
ひ、ひ、ふう。ひ、ひ、ふう。
しかし、私の言葉で、レオリオとクラピカの顔には、少し影が落ちた。
「失礼、シイナさん。私もレオリオもまだ名乗ってなかったのだが」
「あ゛」
やらかしである。
な、何してんの私!?
ガバガバだよ詰めが甘いよ!?
誰だ慌てる時間じゃないとか言ったやつ!!
まったく知らない人が自分の名前を知ってるっておかしいもんね!?
と、とりあえず言い訳!
「そ、それは、さっき会う前に三人の会話が聞こえて来てたから、そうかなと思って」
「まぁ確かにあの廊下は声が響くしな。改めて、クラピカだ。よろしく、シイナさん」
「おう、レオリオだぜ。よろしくなシイナさん」
なんとか、丸く収まってよかった……。
その後地下百階に着くまでこれまでの旅の話だったり、ハンターとはなんぞやという話をした。
ゴンがクラピカとレオリオにどっちのハンターを目指すかと言われてたじたじしてるの可愛かった!
まさかその後私に二人が振ってくるとは思わなかったけど……。
これはもう、友達と呼んでも差し支えないのではないだろうか?
えっと、確かこのあとトンパに出会ってゴンの野生児のおかげで下剤入りジュース飲まなくてすむんだっけ。
そうお話を思い出しながら、お豆ちゃんからプレートを受け取る。
私にプレートを渡すと、お豆ちゃんは怯えた様子で走り去ってしまった。
これは後々ゴンから聞いたことだけど、その時すごい怖い笑みを浮かべてたらしい。
私そんな怖い顔してないよ……?
だって神様と私でキャラメイクしたんだもん。
三人と談笑しながら、あたりを見回すと、トンパが近づいてくるのを発見する。
ちょっと知り合いがいたかもしれないから見てくるねと三人に告げ、その場から離れる。
くぅ、トンパとのやりとりも見たかったけど、傍で見てると手を出しそうだったから、少し離れよう。
それでフラフラしていると、突然ゾワッと、背中に氷を入れられたような感覚を覚える。
(……!これ、もしかして)
その方向へゆっくりと振り向くと、やはりそいつと、目が合う。
「やぁ、銀のお嬢さん♡」
「げっ」
その声と見た目に、思わず声が出てしまった。
「おやおや、中々な挨拶じゃないか♢」
「……あなたに声をかけられてそんな殺気を向けられたら、誰だってそうなりますよ、ヒソカさん」
「だって、君、強いだろ?それもかなり熟れた果実。今ここで殺り合いたくなってきちゃうよ♡」
やめてください見逃してください。
今ここであなたと殺り合いたくないです。
切実にそう思わずにいられない。
いくら私の基礎能力値が高いからといって、ヒソカと対等に殺り合おうなんて今は無理。
念能力も修めて発まであるけど、こんなところで暴れられてはたまったものじゃない。
「私を放っておいたら、もっと強くなる気がしません?」
苦し紛れにそう言うしかなかった。
ふむ、とヒソカは考え込む様子を見せる。
なんども床と私を視線が行き来し、少し唸った後、答えをひねり出した。
「……そうだね。君を相手にするのはまだ先に取っておこう。じゃあね、
ひぃ!?
やめてよその顔!
鳥肌すごいわ!
我女の子ぞ!?
しかも何気に私の名前知ってるし!?
なんで!?
と、とにかくこの場から逃げよう。
その後変態から無事逃げ切り、またぶらついていると、今度もまた相手の方から近づいてきた。
「お、見ない顔だね。新人かい?」
そう、
ピシッと怒りマークが可愛い顔に出るところだった。
しかし、先ほど変態に迫られた鬱憤を晴らすいい機会だ。
声をかけてきた
「あんまり私の推しに手ぇ出してんじゃねぇ。殺されたいのか?」
「ヒッ……!?」
殺気を含めた囁きは、きっと彼の脳にこびりついたことだろう。
ざまぁみそ漬け。
フー、スッキリした。
うっぷん晴らしで気が晴れた私は、向けられた視線に気づくのに少し時間がかかった。
「お姉さん、おもしろいね」
「~♪……ハッ、えと、……ハッ!!?」
不意にかけられた声の方を向くと、白髪の、スケボーを持った少年が声の主だった。
き、き、キルア!!!???
まさかのキルアに二度見で驚いた。
それを面白く思ったのか、キルアは噴き出す。
「ぷ、あははっ、お姉さん、反応面白いって言われない?」
「うっ、それは、まぁ、そうなんだけど……っていうか、君は?」
フフッ、今度は名前を言うミスをしなかったぞ!
心の中で密かにドヤる。
「俺はキルア。お姉さんは?」
「私はシイナ。よろしくね、キルア君」
「そうだ、お姉さん。殺し屋?」
「ふぇっ!?ち、違うよ!」
あっれ~、そうなの?気のせいかなぁ。とキルアは首を傾げる。
転生の時に無駄にハイスペックにしたから、もしかして殺気がトンパ以外に漏れてたんだろうか。
あぁもう、てか早くゴンとキルアの絡みを見たい!!
この二人の絡みが私は好きなんだよ!!
キルアとの立ち話が終わると、彼はジュースを貰いに
さて、と。
お話しも一段落(ヒソカとキルアが話しかけてくるのは想定外)したから、三人のところに戻ろっかな。
三人とも結構目立つので、すぐに見つけられた。
変態に絡まれたと言ったらすごい心配されたよ。
そしてなんやかんやで第一次試験開始。
そう、漫画とかアニメで軽く40キロとか走ってるけど、純粋に考えてあれやばいよね。ヌメール湿原も含めると、100キロくらい走ってるんじゃないだろうか。
サトツさんって、いったいどんな体の構造してるんだろ?
アニメのサトツさん、めっちゃ滑らかに走ってたからなぁ。
ふふっと思い出し笑いをしていると、隣からきつそうな声が。
「ふ、ふ、な、中々余裕じゃねぇか、シイナ」
「あー、うん、確かにまだまだ余裕かも」
余裕とはいえ、疲れてはきている。
ほら、なんとこの世界の私はそこそこあるからさ、ちょっと重い。
いや、何がとは言わないけどね、なにがとは。
「レオリオさん大丈夫?その鞄持っておこうか?
「ふ、ふ、お、女の子に荷物持ちなんてさせちゃ、男が廃るぜ!」
「えっと、じゃあ……
レオリオ、頑張って(⋈◍>◡<◍)。✧♡」
応援するつもりでニコっと笑みを浮かべて言う。
突如、私の隣に暴走機関車が現れた。
彼はものすごい勢いで前の人達をぐんぐん抜いていく。
その様子に、一緒に走っていたクラピカと笑いながら、追いつくようにペースを少し上げた。
暇つぶしに書き始めたので次乞うご期待(勝手なハードル上げ