HUNTER×HUNTERの世界ヤッホー!! 作:斗穹 佳泉
しかし、やはり思ってたよりこの一次試験は精神的に辛いものがある。
走った距離はすでに50キロを超え、脱落者も増えてきた。
レオリオはお話と違い、まだ持っているけど、このトンネルを抜けれるかは怪しい。
これは、ゴンの竿捌きが見れますなっ!
そう嬉々としながら走ること更に5キロ。
「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ」
鞄を置き立ち止まるレオリオに近づいて、大丈夫?と尋ねる。
ちなみにクラピカには、私がレオリオを見ておくから先に行っていいよと言っておいた。
「あぁ、はぁ、はぁ、すまねぇ、シイナ、ちょっと、応援してくれねぇか?」
私の応援?
確かにさっきの走り様はすごかったからね。
んー、同じじゃつまらないよね、ASMR風に囁いてあげよう!
「ん……頑張って、レオリオ♡応援してるよ!」
「っしゃあオラァ!!!まだまだいけるぜぇ!!!」
近づいて、耳元で囁いてあげた。
レオリオにこうかはばつぐんだ!
彼はシャツを脱いで腰に巻き、大きく手を振りながら走っていく。
それを見送り、少し先で立ち止まって見ていたゴンにウィンクをすると、あはは、と苦笑いで返された。
ゴンの苦笑いかわぇ。
くそぅ、カメラがあれば永久保存してたのに!!
その後すぐにゴンはお話通り素晴らしい竿捌きを見せてくれた。
いつみてもすごい!
どうやってるんだあれ……。
「じゃあ俺たち、どっちが先にゴールできるか競走するから、また後でね、シイナさん!」
「ゴンと先に行って待ってるぜ」
「うん、私はレオリオ達と一緒に行くから、頑張ってね!」
よーい、どん!で2人ともかなりの速さで駆け抜けていく。
フフフ、お気づきだろうか。先の邂逅、さらにゴンの存在もあってキルアと仲良しになったのだ!
ゴンとキルアの絡み……もうこれは、某〇〇〇ロリもにちゃあしちゃうよ!(注:伏せ字に悪意はない)
さてと、私もはやく2人に追いつかなきゃね。
ちなみに、スピードを落としていたのは理由がある。
これから先階段になるんだ、この通路。
私は女の子でスカート、言わなくてもわかるね?
……はっ、これマフタツ山やばいよね?
飛び降りる時にはためいて中が見えるじゃないか。
……いや、料理ならそこそこできる。
なんとかメンチを納得させる物を作らないと!!
……あれ、でも作中でブハラが、「メンチを満足させる料理人なんて世界に数えるほどしかいない」って言っていたような。
そんなことを考えていると、階段に差し掛かった。
ここら辺から脱落者が急増しているので、座り込んでいる人には手刀を当てて気絶させていく。
乙女を下から覗こうとするなんて許せないからね!
と、ゆっくり気絶させながら階段を駆け上がっていると、金属音が先から響いてきた。
「ん?……!?これシャッター閉まってる音だ!」
今いる場所は、光が遥か先にちょこんと見えるくらい位置だ。
これにはさすがに焦りまくりだ。
本気を出しても私の身体能力では間に合わないだろう。
やっぱり使うしかない!
纏で留めていたオーラを練で増量させ、両手の指先に集中させる。
オーラを文字と線へ変化させ、特定の並びで魔法陣を描いていく。
私のオーラの系統は変化系。これくらいのオーラ操作は造作もない。
使うのは、伝勇伝に出てきた身体能力を向上させる魔法。
それを基に、念能力として昇華したもの。
伝勇伝のことも大大大好きな私は、彼の作品に登場する魔法陣はすべて、何も見ずに描ける。
まぁ、普段『発』として使えるのは、エスタブールとローランドの魔法だけなんだけど。
「『我・契約文を捧げ・大地に眠る悪意の聖獣を宿す』」
魔法陣の完成と共に、キーとなるワードを発する。
途端に私の体は光を帯び始め、脳のリミッターが解除された感覚が体に走る。
くっ、脱落者なんて無視して走れば使わずに済んだのに……。
身体能力上昇により、一歩踏み出す度に階段はヒビが入って砕け、何十段と飛ばして駆けて行く。
キルアの
シャッターが締まりそうになった時、スライディング気味に滑り込んで(もちろんスカートなので"気味")事なきを得た。
「間に合わないかと思った〜」
ふぅー、危ない危ない。
まさかこんなところで脱落しそうになるなんて、思いもしなかったよ。
解除、と念じて念を解く。
その場に座り込んで、ひとまず安心した。
あの
「大丈夫?シイナさん」
「あ、ありがと、ゴンくん。なんとか間に合ったよ〜」
「余裕がありそうだったので間に合うとふんでいたのだが、まさかこんなギリギリになるとは、心配したぞ」
クラピカの心配気な声に、キルアレオリオゴンの3人もうんうんと頷く。
いやぁ、だってぇ、女の子にはそれなりの理由があるんですよ!(自業自得)
「ここ、ゴールなの?」
「いいや、まだ先らしいぜ。さっきはありがとな、シイナ」
「いえいえ、あれくらいお安い御用ってやつですよ、レオリオ」
ほんとは私がいなくてもレオリオは頑張れるんだけど、あの反応見るとおもしろくてついやっちゃうよね?
その後人面猿の一悶着があり、無事一次試験後半がスタート。
さて、ここで介入するか悩む。
ヒソカのくだりは、彼らの成長に必要不可欠だ。
近くで見ていたいけど、ヒソカなら私がいることに気づくだろう。
あの興奮したヒソカのことだ、絶対
それだけは御免だ。
しかも私自身、ヒソカがゴンの首を締める時に手を出しかねない。
……うん、今回はやめておこう。
「クラピカ、レオリオ、私ちょっと先に行くね。さっきのギリギリは結構堪えたから」
「おう、俺達も後から追いつくぜ!」
「あぁ、構わないぞ。気をつけてな」
「うん、2人も気をつけてね!」
その言葉の後、強く大地を踏みしめ、駆け出した。
「……はっえぇ」
「……私たちに合わせてくれていたんだな」
2人の呟きは、シイナの耳には届かなかった。
シイナはそのまま走り、先頭へ向かう。
自分たちを追い越していく銀色の乙女に見惚れていた人が、ジライダケで倒れたりサイミンチョウの餌食になっていったことなど、彼女は微塵も気にしていない。
というか、そんなモブなんて彼女の瞳には映っていなかった。
彼女が目指したのは先頭の、サトツだった。
「ねぇねぇサトツさん。サトツさんってどういう筋肉の動かし方してるの?すごい滑らかに身体動かすよね、それって私にもできたりする?」
突然隣に現れた銀の女性に驚いた様子を見せたサトツだが、さすがプロハンターというべきか、すぐに平静を取り戻す。
興味深いという目で彼女を一瞥した後、質問に言葉を返した。
「あなたは406番、シイナ=アスタールさんですね。その質問には、残念ながらお答えできません。しかしそうですね、それだけでは納得いかないでしょう。身体の重心の位置を意識することをお勧めしますよ」
「重心の位置、ですか。わかりました、ありがとうございます!!」
ニコッと微笑む彼女は、息を乱すことなくサトツのペースに付いてくる。
尚も隣を走り続ける彼女に、今年はやはり、優秀ですねとサトツは心の中で思った。
ふむ、重心の位置を意識するとはどういうことだろうか。
隣を走りながら滑らかに動くサトツさんの動きを観察する。
……が、しかし、やはりわからない。
ほんとに人の技なのだろうか……?
そんな感じでずっと思考とサトツ観察を繰り返していると、いつのまにか第二次試験会場、ビスカ森林公園へと到着した。
……はぇっ!?
ちょ、着くの早くない!?
一次試験が終わるまでにサトツさんの動きの謎を解くことはできなかった。
ちょっと悔しい。
さて、木陰で休憩しておこうかなと、いい場所を探して歩き回っていると、嫌いな人と目が合った。
カタカタカタと人には似合わない不思議な音を響かせながら動く、受験番号301番ギタラクル、もといイルミ=ゾルディックだ。
もう、とにかく嫌い。
キルアを縛ってる針、抜いてやろうかと思ったもん。
ゴンとキルアの邪魔しやがって。
だけど、イルミに今関わるのは、お話しが変わってしまう可能性があるから、関われない。
これもやはり、キルアが強くなるために必要な事だから。
だから私は我慢し、後々ゴンキルてぇてぇを満喫するのだ!
目が合いはしたが、それはたまたまという風に演技をして、いい感じの木に寄りかかる。
座っても未だイルミからの視線を感じる。
キルアと楽しそうに話しているところを見られたからだろう。
必要以上に反応しなければ何もしてこないだろう。
ふぅ、と一息吐いたところで、二次試験の内容である料理、何作ろうかと考えはじめる。
……あれ、私、豚の解体の仕方とか知らないけど!?
まさかのピンチ!?
ちょ、スーパーでバラ肉とか買ってきていいですかメンチさん!?
いや、落ち着くんだ、まだ慌てるじかnいいから
まさかこのまま丸焼きコース……?
いや、それは私の女の子としての心が許さない。
できれば豚汁とかトンテキとかみそ豚とか
いや待って……思い出した!
豚の下の方にお肉、バラって呼ばれてた気がする!
バラって豚バラのことだよね!
キャベツもあるだろうし、私の得意料理
よしっ!次の試験の対策も考えたし、さすがに疲れたから、ゴン達が来るまで少し寝ていよう。
まさか発を使うことになるとは思っていなかった。
自分のガバさを戒めつつ、私は目を閉じた。
そして、彼女はすぐに小さく寝息を立て始めた。
木に寄りかかって座り、腰まである銀の髪を風で揺らして。
美しい微笑を浮かべて静かに眠る可愛い銀の乙女。
その姿を見た他の受験者は、これまでの疲れが吹っ飛ぶような感覚を覚えたそうだ。
尊いその姿に、手を出そうなんて不埒な輩は現れなかった。
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『我・契約文を捧げ・大地に眠る悪意の聖獣を宿す』
シイナの発の一つ。系統は強化系に属する。
能力
脳のリミッターを解除し、力は常に火事場の馬鹿力状態になる。また、速さも同じく上昇させる。
魔法陣にさらに多くのオーラを込めると、そのオーラ量によって持続時間が変わる。
制約
オーラを変化させ、魔法陣を描かなければならない
発動させるには呪文を言葉に出さなくてはならない
誓約
魔法陣がなんらかの攻撃を受けると、魔法陣に使用したオーラは失われる。
使用中に行動したエネルギー(疲労)は、能力解除後5倍となって身体に降りかかる。