Life.0 夢
あるところに、どうしようもなくエロいことで有名な少年がいました。
そんな少年に彼女などできるはずもなく、
少年は、親友たちと彼女のいない寂しい青春を送っていました。
しかし、そんな少年にある日、春が訪れました。
なんと、少年に彼女が出来たのです。
少年は喜び、親友たちはそんな彼を妬みました。
そんな、少年と彼女の初めてのデート。
少年は、もちろん気合十分です。
前々から練っていたプランを持ち出し、
昨夜から何度も歯を磨き、
オニューのパンツまで購入し、
待ち合わせ時間三時間前に現地到着をするぐらいの気合の込めようです。
そんな少年が到着した彼女に言った言葉は、
「いや、俺もいま来たところだから」でした。
…………少年は、エロいだけではなくバカだったのです。
そして、少年が待ちに待ったデートが始まりました。
彼女と手を繋ぎ、洋服の店に入ったり、
部屋を飾る小物を見たり、ファミレスでお昼を食べたり、
それは、普通のどこにでもある若者のデートでした。
しかし少年にとって、それはとても幸せな時間でした。
そして、最後に訪れた夕暮れの公園。
人気がなく、少しロマンチックな空間は今回の幸せの時間を締めくくるのに最高の場所。
…………しかし、そんな幸せな時間は長くは続きませんでした。
「死んでくれないかな」
彼女がそう言った瞬間、彼女の背中から黒い翼が生えてきました。
まるで天使のような翼でした。
しかし、その翼は天使のような白い翼ではなく、
まるで烏のように、黒く染まっていたのです。
少年は、そんな彼女を信じられないといったような目で見ました。
「楽しかったわ。あなたと過ごしたわずかな日々。初々しい子供のままごとに付き合えた感じだった」
彼女がそう口にした瞬間、
彼女の手に一本の槍のようなものが現われました。
少年は、いったいなにが起こっているのか理解できません。
そして、一瞬の風きり音が聞こえ、
少年のお腹をその槍が貫きました。
少年が槍を抜こうとした瞬間、ふっと少年のお腹から槍が消えてしまいました。
少年のお腹にポッカリと空いてしまった穴から流れ出る、血。血。血。
足元から崩れて、少年は地面に倒れこんでしまいます。
少年の意識がだんだんと薄れていきました。
この日、少年は初めてできた彼女に殺されてしまったのです……。
…………
………
……
…
『PiPiPi!! PiPiPi!!』
「……んっ……あぁ?」
朝、目覚まし時計が部屋の主を起こすために鳴り響く。
いつもなら、すぐに音を止めるのだが、今日はそんな気分になれない。
俺は目覚まし時計の音が鳴り響く中、さっきまで見ていた夢を思い出す。
夢に出てきた『少年』は、イッセーこと友達の兵藤一誠だ。
それに『彼女』の方も見覚えがある。
あれは、イッセーにこの間紹介された、名前は確か…………天野夕麻だったか?
イッセーに初めてできた彼女だ。
ただの夢だよな……だが、あの感覚。あの感覚が正しかったらあの夢は……。
……はぁ、行くしかないよな。
俺はベッドから出ると、目覚まし時計の音を止めて、街に出る準備を始めた。