ハイスクールD×D ~PSIを持った人間~   作:てんとう

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Life.34 魔王の依頼

 ギャスパーを話を終えた俺は、ギャスパーを待つために部室へと戻ってきた。

 

「楠緒! ギャスパーはどうなったんだ!?」

 

 部室に入った瞬間、ギャスパーが居ないことに気づいたイッセーが俺に詰め寄ってくる。

 

「さあな。とりあえず俺の言いたかったことは全部言ったが、あとは本人次第だ。ギャスパーが一人で扉を開けて、外に出るのを信じてやってくれ」

 

「……わかった。おまえがそう言うんなら信じるぜ」

 

 イッセーは俺の目を見つめると、笑顔でそう言って俺から離れる。

 部室の中を確信すると、どうやら部長以外全員集合しているようだ。

 全員が納得したような顔で小さく笑っている。

 

「部長も打ち合わせが終わったらすぐに戻られるって」

 

「そうか。部長が戻ってくるまでにギャスパーは外に出てくれるといいんだけどな」

 

 祐斗の話にそう答えながら、俺は扉の前に立ってギャスパーを待つ。

 みんなもギャスパーのことが気になっているようだが、部室で静かに待っている。

 しばらくして、部室の扉が鈍い音を出しながらゆっくりと開いていく。

 

「……せ、先輩。僕、がんばってあの部屋から――」

 

「ギャスパー!」

 

 まだ声は弱いが笑ってそう言ってくるギャスパーに対して、俺は言葉の途中にも関わらず嬉しさのあまり急いで駆け寄る。

 たく、こいつは……。

 

「よく頑張ったな! おまえはもう弱くなんかねぇぞ!」

 

「わっ! わっ! ど、どうしたんですかぁぁぁぁ!?」

 

 俺がお構いなしにギャスパーの頭を撫でまわす、ギャスパーは少し涙目になっている。

 

「あらあら」

 

「どうやら、もう大丈夫みたいだね」

 

「……よかったです」

 

「お二人とも、とっても仲良さそうですね」

 

「昨日よりもいい顔するようになったじゃないか。これは鍛えがいがありそうだ」

 

「ギャスパーは男だ。男なんだ。羨ましくない。羨めしくなんてない」

 

 下を向いて何やら呟いているイッセー以外のみんなは、俺に撫でまわされるギャスパーを微笑ましい感じで見守っている。

 

「みなさんも! 見てないで助けて下さいぃぃぃぃ!」

 

 そう涙目でみんなに助けを求めるギャスパーだが、言葉とは裏腹に逃げ出す様子もなければ、神器の発動も感じられない。

 そんなことをしていると、突然勢いよく部室の扉が開いて急いだ様子で部長が部室に戻ってくる。

 

「ギャスパーの様子はどうかしら!?」

 

 相当ギャスパーのことが気になっていたのか、打ち合わせが終わって急いで戻ってきたのだろう。少し息を乱している。

 しかし、部室の中に居るギャスパーの姿を見た部長は顔を綻ばせる。

 

「……ギャスパー。部屋から出てきてくれたのね」

 

「ほら、部長に言わなくちゃいけないことがあるだろ」

 

 背中を押してギャスパーを部長の前に出す。

 

「……先輩」

 

「ここまで頑張ったんだ。一人で言えるよな」

 

「はい!」

 

 俺の言葉にギャスパーは力強く答えると、真っ直ぐ部長の方を見る。

 緊張からか、怖いからか、ギャスパーの身体が僅かに震えているが、ギャスパーは逃げ出したりしない。

 ……頑張れ、おまえなら大丈夫だ。

 心の中で応援しながらギャスパーを見守る。

 

「ぶ、部長。僕、誰かを停めてしまうことは怖いですけど、がんばってこの力と向き合ってみます。も、もう逃げたりしません!」

 

 ギャスパーは少し詰まりながらもしっかりと自分の思いを伝える。

 

「ギャスパー……」

 

 部長は目に涙をためてギャスパーを思いっきり抱き締めた。

 

「ありがとう。あなたがそう言ってくれて本当にうれしいわ。私もあなたの『王』として相応しい主になってみせるわ。一緒に頑張りましょうね」

 

「はい!」

 

 ……ギャスパー、おまえの思いは俺たちにもちゃんと伝わったぞ。俺もギャスパーに負けてられないな。一緒に強くなっていこうな。

 部長に力強く答えるギャスパーを見つめながら俺はそう思うのだった。

 

 

 

 

 

 次の休日。俺は部長に呼び出されて、なぜか部長に呼び出されて学園に赴いていた。

 

「おはようございます。部長」

 

「おはよう。ゴメンなさいね。わざわざ休みの日に呼び出して」

 

「気にしないでください。それよりも一体なんの用なんですか?」

 

 部長と合流した俺は挨拶をすると、自分がなぜ呼び出されたのか訊ねる。

 今日は例の会談の最終的な打ち合わせが行われる予定のはずだ。

 そんな大事な時になぜ俺が呼び出されたのだろうか?

 

「それがお兄さまがあなたに話があるみたいなの」

 

「サーゼクスさまが?」

 

 サーゼクスさまがこのタイミングで俺に話とは一体?

 そんなことを考えていると、俺はふとあることに気がつく。

 

「あれ? そういえば、姫島先輩が居ないみたいですけど、どうしたんですか?」

 

 部長の女王である姫島先輩なら、てっきりこんな大事なときには補佐としてついていると思ったのだが? 見たところ姫島先輩の姿が確認できない。ちょうど、席を外しているだけだろうか?

 

「朱乃なら別の用事で今日はここにいないわよ。会えなくて残念だったわね」

 

 部長がなぜかジト目で俺のことを睨んでくる。

 なにか気に障ることでも言ってしまっただろうか?

 

「いやいや、別にそういう意味じゃないですから」

 

「こっちはグレイフィアもフォローしてくれるから問題ないわ。それに今日は朱乃の方が大事な用事なのよ。打ち合わせが終わったら合流する予定だから、楠緒も一緒に来てちょうだい」

 

「わかりました」

 

 部長のお願いに特に悩むことなく頷く。

 しかし、打ち合わせ以上の大事な用事というのは少し気になる。

 まあ、姫島先輩なら心配することないんだろうけどさ……。

 

「それじゃあ行きましょうか。部室でお兄さまが待ってるわ」

 

「はい」

 

 部長の後をついて部室に入ると、部室の中にはサーゼクスさまとグレイフィアさんが待っていた。

 

「やあ、休日なのに呼び出してわるかったね」

 

 ソファーに座っているサーゼクスさまが片手をあげて笑顔で出迎えてくれる。

 

「俺の方こそお待たせしてすいませんでした」

 

「呼び出したのはこちらなんだから気にしないでくれ。ほら、いつまでもそんなところに立っていないで、二人ともこっちにきて座ってくれないか」

 

 俺と部長はサーゼクスさまに促されるまま、サーゼクスさまの前にあるソファーに座る。

 

「どうぞ」

 

「ありがとう」

 

「ありがとうございます」

 

 ソファーに座った瞬間、お茶を出してくれたグレイフィアさんにお礼を言ってサーゼクスさまの方を見る。

 

「それで今日俺が呼ばれた理由はなんですか?」

 

 俺は単刀直入に優雅に紅茶を飲んでソファーに座っているサーゼクスさまに問い掛ける。

 サーゼクスさまは飲んでいた紅茶のカップを机に置くと、一息吐いて口を開く。

 

「実は今度開かれる会談のことでキミに頼みたいことがあってね」

 

「俺に頼みたいことですか?」

 

 サーゼクスさま直々に俺に頼みたいことって、一体どういうことだ?

 三すくみのトップ会談なんて舞台で俺にできることなんてないと思うのだが……。

 サーゼクスさまは俺の様子を見て小さく笑う。

 

「そんなに不安そうな顔をすることはないよ。別にそんなに難しいことではないからね」

 

「は、はぁ……」

 

 サーゼクスさまはそう言うが、内容がわからないのでは不安になるのは仕方ない。

 一体、サーゼクスさまは俺になにをさせるつもりなのだろうか?

 

「実はキミにも人間代表として会談で席に着いてもらいたいんだ」

 

「はぁ!?」

 

「お兄さま!?」

 

 サーゼクスさまのお願いの内容に驚いた俺と部長は、ソファーから立ち上がって声をあげてしまった。

 

「いやいやいやいや! なにが難しいことじゃないですか!? 俺ごときがそんな立場できるわけないじゃないですか!?」

 

「そうです! どうして楠緒がそんなことをしないといけないんですか!?」

 

 慌てて抗議する俺と部長をサーゼクスさまはなんでもないように笑って見てくる。

 この人は自分の言った内容が重大性がわかってないのか?

 

「ハハハ、ゴメンゴメン。説明が足りなかったね。楠緒くんは会談では席に座ってくれているだけでいいんだ。話自体は予定通り私たちで行うからね」

 

「……それだと、一層俺がそんな立場になる必要はないですよね? 元々、会談自体にはオカルト研究部として部長たちと出席することになっていますし」

 

 サーゼクスさまの言葉にそう聞き返しながら首を傾げる。

 特になにも発言する必要がないのなら、わざわざ俺がそんな立場になる必要はないはずだ。

 それなら当初の予定通り、部長たちと一緒に出席すればいいだけではないのか?

 

「今回の会談がどんな結果になろうと、この世界には甚大な影響を及ぼすかもしれないからね。それなのに、この世界に住む人間を蔑ろにして会談を行うのもどうかという話になってね。体裁を整えるためにもキミには参加してほしいんだよ」

 

「……っ」

 

 部長はサーゼクスさまの言葉を聞いてソファーに座ってしまう。

 俺は立ったままサーゼクスさまの言った言葉の意味を考える。

 果たしてそれが意味あるのかどうかはわからないが、サーゼクスさまたちも人間のことを考えてくれているようだ。

 

「もちろん、こちらから頼むのだからそれなりのお礼はするよ。でも、キミがどうしても嫌なら断ってくれて構わない。どうかな?」

 

「……少し考えさせて下さい」

 

 俺はサーゼクスさまにそう告げてソファーに座って悩む。

 どうしたものか、確かになにも発言しなくていいのなら心配ないのだろうが、俺がそんな立場に立ってもいいものだろうか?

 しかし、サーゼクスさまには今まで色々お世話になっているし……。

 

「……楠緒」

 

 部長は俺の名前を呟くと静かに俺を見守ってくれている。

 どうやら俺の選択を尊重してくれるのだろうか。

 誰も口を開かず、部室が静寂に満たされていく。

 ……俺が決めるしかないんだよな。

 決心した俺はその静寂の中で口を開く。

 

「わかりました。俺なんかでよければ、会談で席に着かせていただきます」

 

 俺はそう答えを告げて頭を下げる。

 

「そうかありがとう。すまないね急にこんなことを頼んでしまって」

 

「いえ、それでサーゼクスさまの力になれるなら、喜んで手を貸しますよ」

 

「……そう言ってもらえると助かるよ。では、私はこのことを各陣営のトップに伝えてくる。会談の最終的な打ち合わせはグレイフィアと行ってくれ」

 

 サーゼクスさまは一度微笑むと部室をあとにしてしまった。

 

「我が主の頼みを受けてくださり、ありがとうございます」

 

 サーゼクスさまが部室から居なくなったあと、グレイフィアさんがそう言って俺に頭を下げてくる。

 

「頭を上げてください。それよりも早く打ち合わせをしませんか? 実際に会議がどういう風に行われるのかわからないので、教えてもらえると助かるんですが?」

 

「かしこまりました。それではお嬢さま。打ち合わせを行いましょう」

 

 俺の言葉を聞いて頭を上げたグレイフィアさんが部長に話しかけるが、部長は顔を伏せてなにかを考えている様子だ。

 どうしたのだろうか?

 

「……お嬢さま」

 

「えっ、あっ、ゴメンなさい。なにかしら?」

 

 グレイフィアさんの声が届いたのか部長が少し驚きながら聞いてくる。

 どうやら、さっきの俺とグレイフィアさんの会話は耳に入っていなかったみたいだ。

 

「会談の打ち合わせを行ってもよろしいでしょうか?」

 

 グレイフィアさんは無表情のまま若干呆れた様子で部長に話しかける。

 

「ええ、そうね。始めましょう」

 

 少し様子がおかしい部長のことを心配しながらも、部長とグレイフィアさんに色々教えてもらいながら打ち合わせが行われた。

 

 

 

 

 

 会談の打ち合わせを無事に終えた俺と部長は、姫島先輩と合流するために町外れにある神社に向かっていた。

 最初聞いたときは悪魔である部長たちが神社に行くのはどうかと思ったが、部長の話では特別な約定が執り行われていて、悪魔でも入れるという話と、サーゼクスさまの参拝風景を思い出して納得してしまった。

 

「それにしても大変なことになりましたね」

 

 俺はさっきまでの打ち合わせを思い出しながら、隣を歩く部長に話しかける。

 

「ええ、お兄さまには困ったものだわ。ゴメンなさいね、いきなりあんな大変な役目を任せることになって」

 

「いやいや、部長が謝ることじゃないですよ。サーゼクスさまの頼みを引き受けたのは俺ですから、まあ、結局やることは座ってるだけみたいなんで、元の予定とあまり変わりませんし」

 

 部長の謝罪に俺は少し苦笑いをしながら答える。

 さっきの打ち合わせで俺がどうすればいいのかも確認したが、サーゼクスさまの言う通り座っているだけでよさそうだった。それなら特に問題は起こらないだろう。

 

「でも、どうして引き受けたの? お兄さまの言う通り、別に断ってもよかったのよ?」

 

「そうですね。まあ、サーゼクスさまには前に色々とお世話になりましたから、その恩を返すにはちょうどいいと思っただけですよ」

 

 サーゼクスさまはあのときの代価はもう貰ったと言っていたが、やはりそれでは俺の気が済まないからな。今回のことで少しでも代価を払えるなら安いものだ。

 

「……その恩って、あの婚約パーティーのときのことよね?」

 

 俺の話を聞いた部長がすまなそうな表情で問い掛けてくる。

 ……しまったな。わざわざ部長の前でする話じゃなかったな。

 

「まあ、そうですけど……あれは俺が勝手にやったことですから、部長は気にしないでください?」

 

「……そういう訳にもいかないわよ」

 

 部長は複雑そうな顔をしてそう呟く。

 並んで歩く俺と部長の間に微妙な空気が流れてしまう。

 ……やっちまったな。この空気はどうしたものか?

 

「ええっと……そう言えば! 姫島先輩のことですけど、別の用事で居ないって言ってましたけど、神社になんの用があるんですか?」

 

 俺は空気を変えるために部長に別の話題を振る。

 いくらなんでも悪魔が神社で用事があるのは相当なことだと思うのだが……。

 

「朱乃にはある方を出迎えを頼んだのよ」

 

「出迎えって、凄い方なんですか?」

 

 わざわざ姫島先輩が打ち合わせに来ずに出迎える程だ。相当凄い方なのだろうと思うが?

 

「確かに凄いわね。なにせ相手は天使のトップであるミカエルなのよ」

 

 部長の口から出た大物の名前に思わず驚いてしまう。

 凄い方だとは思っていたが、流石に相手がそんな大物だとは思わなかった。

 

「それにしてもミカエルを出迎えるって、一体なにをするためなんですか?」

 

 この時期に出迎えてまでミカエルと会う理由が気になった俺は部長に質問する。

 

「実は天使側から友好の証にある有名な聖剣をイッセーが受け取ることになったのよ。その聖剣を使えるようにするために今から向かう神社で最終調整を行っていたのよ」

 

「……聖剣ですか? でも、なんでそんな大層なものをイッセーなんかに? 普通ならサーゼクスさまとか他の魔王さまに渡すのでは?」

 

「前の戦争で一度だけ三大勢力が力を合わせたことがあったらしいの、それが赤と白の龍を倒したときらしいわ。ミカエルはあのときのように再び手を取り合うことを願って、赤龍帝の力を宿したイッセーに願をかけたのではないかしら?」

 

 なるほど、そういう理由ならイッセーに送るのも不思議ではないのか。

 俺は部長の説明を聞いてイッセーに聖剣が贈られる理由に納得する。

 さっきまでの微妙な空気はなくなってきたところで、漸く神社まで続く石段まで辿り着いた。

 石段が伸びる先には赤い鳥居が見え、そこに神社があることを示している。

 

「漸く着いたわね。それじゃあ、あまり待たせるのもわるいし、早く登ってしまいましょうか」

 

「はい」

 

 俺は部長に返事をして、神社へと続く石段を上って行く。

 石段を上りきって鳥居を抜けた俺は、部長に連れられて境内にある家に足を運んだ。

 石段を上っている最中に部長から聞いた話だと、この神社には朱乃さんが暮らしているらしい。

 その話を聞いて、俺はなぜこの神社で朱乃さんがミカエルを出迎えた理由がわかった。

 確か姫島先輩の二つ名は『雷の巫女』だったはずだが、それもここから来ているのかもしれないな。

 そんなことを考えていると、部長が家の玄関についているインターフォンを鳴らす。

 そのまま姫島先輩が出てきてくれるのを待っていると、家の中から誰かが近づいてくる足音が聞こえてくる。

 

「お待ちしてましたわ」

 

 家のドアが開いて中から姫島先輩が出てきた。

 

「ゴメンなさい。予想外のことがあって、予定よりも時間がかかってしまったわ」

 

 部長の言う予想外のこととは間違いなく俺のことだ。

 俺への説明が増えてしまったため、予定よりも時間がかかってしまったのだろう。

 俺は心の中でゴメンなさいと部長に謝罪をする。

 

「楠緒くんも、いらっしゃい」

 

「おはようございます」

 

 姫島先輩に軽く頭を下げる。

 そんなことよりも俺は姫島先輩の身に纏っている巫女衣装に目を奪われる。

 神社に住んでいるのなら恰好としてはおかしくないのかもしれないが、すげぇ似合ってるな。

 

「あらあら、そんなに見つめられると照れてしまいますわ」

 

「あっ、すいません! 珍しかったんで、つい」

 

 どうやら思ってた以上に見てしまっていたのか、姫島先輩の指摘に慌てて謝る。

 

「うふふ、別に楠緒くんが見たいというのであれば、いくらでも見てもいいですわよ」

 

「い、いや、流石にそれは遠慮しておきます」

 

「朱乃……早く家にあげてくれないかしら?」

 

 部長が不機嫌そうにそう言いながら、俺と姫島先輩の間に入ってくる。

 

「あらあら、わかりましたわ。では、二人とも遠慮なさらずに家の中にあがってください」

 

 姫島先輩は少し困ったように微笑みながらそう言うと、ドアを開けたまま家の中に入っていく。

 

「行くわよ」

 

「……はい」

 

 俺は少し不機嫌なままの部長の後を追って姫島先輩の家に上がる。

 そのまま姫島先輩に和室に通されると、和室の中にはイッセー以外にももう一人、豪華な白ローブに身を包んだ端正な顔立ちの青年が綺麗な姿勢でお茶を飲んでいた。

 青年の頭部の上には金色の輪っかが漂い、俺はその輪っかからその青年が誰であるのか予想を立てる。

 

「お待ちしてましたよ、リアス・グレモリーさん――それと、初めましてあなたが佐伯楠緒くんだね」

 

 どうやら向こうも俺の名前を知っているようだ。

 青年はその場から立ち上がると優しげな笑みを浮かべて俺に近づき、片手を差し出して握手を求めてくる。

 

「私はミカエル。天使の長をしております」

 

 俺は背中に十二枚の金色の翼を持つ青年――ミカエルの差し出す手を取ることしかできなかった。

 

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