少女の後についていくと、学園の裏手にある旧校舎の中まで来てしまった。
昔は校舎として使われていたらしいが、今は使われてないはずだが?
「……ここです」
そう告げた少女の足はとある教室の前で止まる。
どうやら、目的の場所に着いたみたいだ。
俺は少女の告げた教室のドアには、あるプレートがかけられている。そこには……
『オカルト研究部』
とだけ書かれていた。
どうして、こんなところにオカルト研究部が? というより、この学園にオカルト研究部なんてあったんだな。
「……どうぞ」
俺がそのプレートを眺めて考え事をしていると、立ち止まっていた少女がドアを開けてくれた。
「お、おう」
俺は少女の開けてくれたドアを通り、オカルト研究部の中に入る。
すると、目の前に驚くべき人物が立っていた。
「……イッセー?」
「く、楠緒!?」
俺の目の前にはイッセーが立っていた。
イッセーは突然この部屋に俺が来たことに驚いているみたいだ。
どうやら、イッセーが昼に言っていた用とはここに来ることだったみたいだな。
って、それよりもイッセーにあの男のこと聞かないと、大丈夫だったのか!?
「なあ、イッセー「いらっしゃい。佐伯楠緒くん」……どうも」
俺がイッセーに話しかけようとした瞬間、グレモリー先輩が俺に話しかけてきて会話が遮られてしまった。
くっ、イッセーのことも気になるが今はグレモリー先輩に話を聞こう。
「突然でごめんなさいね。どうしても、あなたに聞いておかないといけないことがあったの」
「……奇遇ですね。俺もグレモリー先輩に聞きたいことがあったんだ」
「あら、そうだったの。なら、ちょうどよかったわね。それじゃあ、そっちのソファーにでも座ってちょうだい」
俺はグレモリー先輩に言われたソファーに腰を下ろす。
「粗茶です」
「……どうも」
ソファーに腰を下ろした俺に黒髪のポニーテールの女性がお茶を淹れてくれた。
確かこの人は……姫島朱乃先輩だよな。
公園からここまで歩いて来て、ちょうどのどの渇いていた俺は姫島先輩が淹れてくれたそのお茶を飲む。
「……うまい」
「あらあら、ありがとうございます」
嬉しそうに上品に笑う姫島先輩。
「みんなも座ってちょうだい」
グレモリー先輩がそう言うと、部屋に居た全員がソファーに座る。
そこには、今日教室を出るときにぶつかった木場祐斗の姿もあった。
こいつも、オカルト研究部だったのか。
「それじゃあ、あらためて自己紹介をしましょうか。私はこのオカルト研究部の部長。リアス・グレモリーよ」
「私は姫島朱乃ですわ」
「僕の名前は木場祐斗。まさか、こうしてまた逢うとは思わなかったよ」
「……塔城小猫です」
イッセーを除く全員が自分の名前を言っていく。
そうか、あの少女は塔城子猫と言うのか、そういえばイッセー達から名前だけは聞いたことがあったな。
「佐伯楠緒です」
特に自分について言うこともないので、簡単に名前だけ言って自己紹介を終える。
他の人達も名前だけだったし、問題ないだろう。
「それじゃあ、今度からは楠緒って呼んでいいかしら?」
「好きにしてください」
俺はグレモリー先輩の言葉に軽く答える。
別にイッセーみたいにあだ名があるわけでも、呼ばれ方に拘っているわけではない。
あまりにも奇抜なあだ名以外なら、なにも言うつもりはない。
「それでは、私は楠緒君と呼ばせていただきますわ」
「じゃあ、僕は佐伯君で」
「……佐伯先輩」
どうやら、イッセー以外の人達も俺をどう呼ぶのかを決めたらしい。
……それじゃあ、そろそろ本題に戻るか。
「それじゃあ、グレモリー先輩。そろそろ話を始めたいんですけど」
「そうね。それで、楠緒は私になにを聞きたいのかしら?」
「俺から話していいんですか?」
わざわざこんなところに呼びだすくらいだ、グレモリー先輩も俺に聞きたいことがあったんじゃないのか?
「ええ、わざわざそっちから来てもらったんだから、そっちから話してちょうだい。私の話はその後でいいわ」
「それじゃあお言葉に甘えて……俺が聞きたいのは三つです」
ようやく本題に入った俺はさらに気を引き締めて話を始める。
「一つ目は、悪魔について。二つ目は、天野夕麻とイッセーを襲った黒い翼を持ったスーツの男が何者なのか。三つ目は、どうして、イッセーが襲われたのか、この三つのことについて教えてください」
「ち、ちょっと待て! どうして、楠緒が夕麻ちゃんやあの男のことを知ってるんだ!?」
俺の言葉を聞いていたイッセーが驚いた様子で立ち上がり問い掛けてくる。
「どうしてって、おまえが天野夕麻に襲われたとき、俺が現れたのを忘れたのか?」
「そりゃあ、憶えてるけど……おまえ、今朝俺が聞いたとき忘れてたじゃないか!」
……今朝? 廊下で話したときのことか……あれ、もしかして勘違いしてないか?
「イッセー、それはおまえの勘違いだ。確かに俺の言い方が悪かったが、別にあの日のことを忘れたわけじゃない」
「そうだったのか?」
「……ああ、しっかり憶えてるさ……あの日のことはな」
……そう。俺があの日のことを忘れることは絶対にないだろう。
「……そうか。あれ? 夕麻ちゃんはわかったけど、なんでもう一人も知ってるんだよ? あのときはいなかっただろ?」
「ああ、その話は後で話す。それよりも、グレモリー先輩、質問の答えは?」
俺はイッセーの言葉に軽く返事を返して、グレモリー先輩に視線を移す。
「私もどうしてあなたがあの堕天使の男のことを知ってるのか気になるんだけど、それは後で聞くことにして、まずはあなたの質問に答えるわね。まずは一つ目の質問だけど、私たち悪魔についてよね」
「はい」
まだ、俺は悪魔というのがどんな存在か理解していない。
それなのに、イッセーを悪魔にしてしまったんだ。
イッセーを悪魔にしてしまった責任として、しっかりと理解しておかないといけない。
「そうね。口で説明してもいいんだけど、まずは実際に見てもらった方がいいわね」
グレモリー先輩がそういうと、俺とイッセーを除く全員がその場に立つ。
すると次の瞬間、俺を除く全員の背中からなにかが生える。
あの天野夕麻やコートの男から生えていた黒い翼とは違い、コウモリのような翼だ。
「う、うわぁ! また背中から!」
そのコウモリのような翼はイッセーからもしっかりと生えている。
当の本人は自分から生えた翼に戸惑っているみたいだが……。
「これが見た目で一番わかりやすいかしら、人間にはこんな翼はないものね。後は、私たち悪魔はこんなこともできるわ」
そう言ってグレモリー先輩が手のひらを差し出すと、手のひらの上に紅い塊のようなものが出てくる。
その紅い塊に少し驚いたが、俺よりもイッセーの方がその塊に驚いている。
「これは魔力と言って、私たち悪魔が使う力よ。それ以外にも、この紙みたいに私たちを召喚するためのものも存在するわ。実際に、この前いきなりあなたたちの前に現れたのも、この紙によるものね」
グレモリー先輩は手のひらの紅い塊を消すと、一枚の紙を取り出して俺に渡してくる。
その紙を受け取り、なにが書かれているのか見てみると紙の中心に魔方陣みたいなものが描かれていて、空いているスペースに『あなたの願いを叶えます!』と胡散臭い謳い文句が書かれていた。
「そして、ここから大事なことなんだけど、悪魔には大まかに分けて二種類がいるわ。一つは私みたいな純粋な悪魔。そしてもう一つはここに居る私以外のみんなのように他の生物から悪魔に転生した転生悪魔の二種類ね」
「転生悪魔ですか?」
「ええ。少し長くなるけど、純粋な悪魔は昔の戦争で多くが亡くなってしまったのよ。そのため、悪魔は必然的に下僕を集めるようになったの。まあ、以前のような軍勢も率いるほどの力も威厳も消失してしまったけれど。それで新しい悪魔を増やさなくいけなくなった。悪魔にも人間同様性別はあるから悪魔の男女の間に子供は生まれるわ。でも、悪魔と言う存在は極端に出産率が低いのよ。そこで素質のありそうな人間を下僕として引き込むことにしたわけ」
グレモリー先輩の説明を受けて、俺は少し考える。
どうやら、悪魔にも色々事情があるみたいだな、まあその事情のおかげでイッセーを助けることは出来たんだが……下僕か。
俺は改めてイッセーの人生を狂わせてしまったことに深くため息を吐いてしまう。
「楠緒。あなたがそんな表情する必要はないわ。別にあのときあなたがイッセーを転生させることを拒んだとしても、私はきっとイッセーを自分の下僕にしていたわ。それに、このことはさっきイッセーに話したけど、彼は悪魔になってしまってことで別にあなたを怨んでないわよ。それよりも今は喜んでいると言った方がいいかしら?」
「……はぁ?」
グレモリー先輩の言葉に俺は気の抜けた声を出してしまう。
って、そうじゃない!
「な、なんで!?」
俺は意味がわからずグレモリー先輩に詰め寄る。
「少し落ち着きなさい。実は転生悪魔にはあるチャンスがあるのよ。力さえあれば爵位を授けよう――と。爵位と言うのは悪魔の階級のことね。イッセーは爵位を貰って自分の下僕でハーレムが作れると喜んでいたわ。ねぇ? イッセー」
「はい! 楠緒、現実世界じゃ、人間のままじゃあ、ハーレムなんてなかなか作れない。木場くらいムカつくイケメンじゃないと女の子の群れなんて作るのは不可能だ! だけど、いまなら! いまなら! それができる! いつか爵位をもらえればそれができるんだ! 夢にまで見たハーレムが! 楠緒! 俺は! 俺は! ハーレム王に俺はなるっ!」
イッセーは座っている場所から立ちあがり、凄まじい迫力で叫ぶ。
俺はそんなイッセーの様子を見て空いた口が塞がらなかった。なぜなら……。
「……え~っと、つまり……その……あれか。おまえは、その爵位を貰えれば、は、ハーレムを作ることが出来るから、悪魔になれてよかったと……そういうことか?」
「ああ! どうせ、人間には戻れないんだ! なら、このまま突き進む!」
「……」
あぁ~、そうだった。イッセーって、こういうバカだったよな……ホントに忘れてたわ……。
まあ、イッセーが悪魔になってしまったことを怨まれなくてよかったとしよう……だが……。
「えっ、く、楠緒。いきなり俺の肩を掴んでどうしたんだ? って、イタタタタ!!」
「イッセー……俺はなこの数日、頭が割れるような頭痛と40℃を超える高熱にうなされながら、ず~っとおまえを助けることができなくて悪魔にしてしまったことを考えていたんだ……それが、実際話を聞いてみるとなんだ……ハーレム? イッセー。それを聞いたときの俺の気持ちがわかるか?」
「あ、あの? く、楠緒?」
「ああ、わかってる。おまえはなにも悪くない。だからな、イッセー……一発でいい。一発でいいから本気で殴られてくれ」
「ちょ! おちつけ! おまえの本気は洒落になら……グハッ!」
なにか喋っているイッセーを本気で殴り飛ばした俺はなんと言ったらいいのか分からない感情のまま、さっきまで座っていた場所に再び腰を下ろした。
「……なんだよ。ハーレムって?」
イッセーを殴り飛ばした後、俺はソファーに項垂れながらそんなことを呟いた。
ついでに、イッセーは俺の一撃で完全にKOしている。
「……ドンマイ」
「……あんがと、塔城」
そんな俺を励ますつもりなのか、隣に座っている塔城が俺の方に手を置いてそう言ってきた。
一応、お礼を言ってがイッセーを殴ったのも完全に俺の都合だから励まされるのもおかしいんだけどな。
「イッセーはそのまま少し寝かしておきましょうか……それじゃあ、質問の続きだけど、二つ目は天野夕麻とイッセーと黒いスーツの男についてだったわよね」
「……はい。そうです」
グレモリー先輩が話を再開したので、俺も座る姿勢を正して話に集中する。
「まず、あなたの言う天野夕麻とスーツの男は俗に堕天使を呼べれる存在よ」
「……堕天使ですか」
「ええ。堕天使とは元々神に仕えていた天使が、邪な感情を持っていたため、地獄に堕ちてしまった存在。私達悪魔の敵でもあるわ……もう少しくわしく話してもいいのだけれど、これは各勢力の対立関係になるから、二つ目の質問の答えはこれでいいかしら?」
「……ああ。でも、一つだけさっき天使と言ってたけど、その天使も対立関係に入っているんですか?」
俺はグレモリー先輩の答えから気になったことを質問してみる。
「ええ、察しがいいわね。天使もそれに含まれるは太古の昔からその三すくみで争っているわ」
「……なるほど」
悪魔と堕天使と天使か。いまさらだけど、まるでファンタジーの世界の話だな。
……まあ、俺もあまり人のことは言えないんだけどな。
「それじゃあ、三つ目の質問に答えるわね。これもイッセーにはさっき話したことなんだけど、イッセーが襲われたのは運がなかったからよ」
「なんだと!?」
運がなかったからって、どうしてそんな理由で二回も命を狙われないといけないんだよ!
グレモリー先輩の口から出た衝撃的な言葉に、つい敬語を忘れて素の口調で返してしまう。
「落ち着きなさい。話を続けるわよ。実はイッセーの身体には神器と呼ばれるものが宿っているの」
「……神器? なんですか、それ?」
俺は初めて聞く単語に、つい聞き返してしまう。
「神器とは、特定の人間の身に宿る、規格外の力。たとえば、歴史上に残る人物の多くがその神器所有者だと言われているんだ。神器の力で歴史に名を残した」
「現在でも体に神器を宿す人々はいるのよ。世界的に活躍する方々がいらっしゃるでしょう? あの方々の多くも体に神器を有しているのです」
俺の質問に木場と姫島先輩が答えてくれる。
そして、グレモリー先輩がその後に続く。
「大半の人間は人間社会規模でしか機能しないものばかり。ところが、中には私たち悪魔や堕天使の存在を脅かすほどの力を持った神器があるの。イッセーちょっと見せてあげなさい」
「っ……は、はい! 楠緒。見て驚くなよ」
グレモリー先輩の声を聞いて、目を覚ましたイッセーが慌てて席を立つ。
そして、イッセーは開いた両手を上下に合わせて前に突き出す格好をとった。
おいおい、それってドラグ・ソボールの空孫悟のドラゴン波の構えじゃあ? まさか、そのままドラゴン波とか言わないよな。
「ドラゴン波!」
言ったよ! てか、出るの! ドラゴン波!
そう思った瞬間、イッセーの左腕が光り出す。
なっ……マジかよ! マジで出るのか!?
しかし、実際にドラゴン波は出ることなく、光はしだいに形を成していき、イッセーの左腕を覆っていく。
そして、光が止んだとき、イッセーの左腕には赤色の籠手らしきものが装着されていた。
かなり凝った装飾が施されていて、手も甲部分には丸い宝石か宝玉のようなものがはめ込まれている。
「……こ、これが」
これが神器。
これのせいでイッセーは堕天使たちに命を狙われたのか。
「それが神器。イッセーはその神器を危険視されて、堕天使――天野夕麻に殺されたの」
これがそんなに危険なものだって言うのか?
見た目はただの立派なコスプレアイテムだ。
「こいつのせいで……イッセーちょっと触ってみてもいいか?」
「ん? ああ、いいぜ」
俺はイッセーの許可を貰ってその籠手に触れる。
そして、その籠手に意識を集中した瞬間。
『ほう。俺の意識を覗こうとするとは、小僧おまえは一体なにものだ?』
「ッ!!」
その声が俺の頭に届くと同時にその籠手から圧倒的な力を感じる。
俺はその力に怯え、慌ててその籠手から手を離す。
……なんだ、今のは?
「お、おい! どうしたんだ楠緒! 大丈夫か?」
イッセーは俺の態度に驚いて、左腕から籠手を消すとすぐに俺に駆け寄ってきた。
「あ、ああ。大丈夫だ」
俺は力を使った代償の頭痛に耐えながら、イッセーに返事をする。
俺はさっきまで座っていた場所に再び座ると、軽く深呼吸をして意識を整えた。
「本当に大丈夫なの?」
グレモリー先輩が心配そうに俺に尋ねてくる。
「ええ、大丈夫です。それより、俺の話はもういいです。それに、グレモリー先輩も俺に聞きたいことがあるんですよね」
「ええ、なら今度は私が質問させてもらうわ。まず最初に楠緒……あなたは本当に人間なの?」
グレモリー先輩の言葉に部屋中が静かになる。
……本当に人間なの? か、久しぶりに言われたな。
「ぶ、部長! いくらなんでも、そのいいか「いいんだ。イッセー」……楠緒!?」
まあ、そういう風に聞かれるのはわかってたしな。
「……まあ、一応聞きたいんですけど、どうして俺が人間じゃないと思ったんですか?」
さすがにこれくらいは聞く権利があるだろう。
いきなり人外呼ばわりされたんだからな。
「それはいくつか理由があるわ。まず、イッセーから聞いた話によれば、イッセーが最初に堕天使に襲われたのは公園と教えてもらったの。だけど、あなたが呼び出されたのは公園ではなく街中、イッセーに聞いても、いきなり移動してわからないって言ったわ。最初はあなたは魔術師かと思ったのだけど、あなたは魔力のことを知らなかったみたいだし、なによりあの日あの付近で魔力が使われたのを感じなかったから」
「なるほど」
「それに、イッセーの話ではいきなり堕天使の動きが止まって、どこかに吹き飛んでいったとも聞いたは、どうやったのかは分からないけど、それもあなたのやったことなんでしょ。神器も魔術も知らない普通の人間にそんなことをするのは無理よ。そして、もうひとつあなたは知らないはずの男の堕天使を知っていた。理由としてはこれでどうかしら」
……なるほど、それだけ知っていて俺が普通の人間って思える方がおかしいか。
「十分ですよ。確かに、それだけ理由があれば俺だって、そいつのことを人間だって思いませんよ」
「言い方が気に障ったのなら謝るわ」
「別にいいんですけどね。まあ、俺は一応普通の人間の親から生まれた人間ですよ……普通と違うってことは自覚してますけど」
そう、普通の人間はあんな力なんて持っていない。
「その理由は話してくれるのかしら?」
「ええ、グレモリー先輩だって自分が悪魔だって正直に話してくれたんです。これで俺は話さないなんてことはしませんよ」
俺は一度話を区切ると、軽く深呼吸をして口を開く。
「それじゃあ、わかりやすいように一つ一つ説明していきましょうか。まず、なぜイッセーが天野夕麻に殺されるのを知っているかは“予知夢や未来視”と言われるもの。そして天野夕麻の動きを止め、吹き飛ばした力は“テレキネシスや念動力”言われるものです。ほら、こんな風に」
そう言うと、俺は自分の前にあるコップを触らずに浮かせる。
全員がそのコップを驚いた表情で見つめている。
俺はその様子に少し笑うと、コップを元の位置に戻して話を続ける。
「そして、イッセーを連れて公園から街中に移動した力は“テレポーテーションや瞬間移動”って言われる力。あと、なんでしたっけ……ああ、男の堕天使のことを知っているのは“サイコメトリーや過去視”と言われる力。これはさっきイッセーの神器に触ったときにも使いました。あと、塔城にはついさっき公園で“テレパシー”を使いましたね」
俺は今までの話の間で使った力を一通り説明して話すのを止める。
部屋の中に静寂が訪れる。
誰も声を出すことなく俺の顔を驚いた表情で見つめている。
俺はその静寂に耐えかねて再び口を開く。
「まあ、そんなわけで俺は人間だけど、普通の人間じゃない。テレビとかでよく言われている、サイキッカーや超能力者って言われる存在です」
こうして、俺は初めて他人に自分の最大の秘密を打ち明けた。