十二ライダー大戦   作:那由多 ユラ

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『メロン』の戦士――『絞って救う』斬月」
本名・神木大樹(かみきたいじゅ)。八月八日生まれ。身長179センチ、体重71キロ。かつてとある計画のプロジェクトリーダーとして世界の外敵『ヘルヘイムの森』と抗戦していた傍ら、計画で救える最大人数である十億人にまで人口を絞る計画も進めていた。絞って救うとは、これが由縁だ。しかし計画は一人の英雄により破綻し、外敵の驚異も打ち払われた。仲間には基本的に温かく接し、カリスマも持つリーダー気質。家庭では妹、神木苗の為に家事もこなす人として出来過ぎた兄でもある。好物はスイカ。



第四戦 恋をするなら臓まで

 

1

 

 

(十二大戦参加者を単純な戦闘力で順位付けするならば、間違いなく俺は十位以下になるだろう)と、『メロン』の戦士、斬月は思う。(同じ製造元であるバロンとですらあれほどに差がつけられているのだから、救う覚悟をした英雄というのは末恐ろしい)否、そんな精神論だけで完成する戦力差では無いだろう。由来も出自も原料も意義も価値も仕組みも違うのだから、結局それら全ては『運』でしかないのだ。スタート地点の展望室で他の十一人の戦士を観察したとき、かつての戦友とは似ても似つかぬ、あの己が滅ぼしかけた街には一人として居なかった戦士が多く居たがしかしそれは別段、彼ら自身にしてみれば、異様でも奇矯でも無いのだろう。自分が戦士として凡才で、他の戦士達が戦士として逸脱しているのだと、考えるまでもないことを考えた。最も、斬月は決してそのことを悲観なんてしていない。向こうからしてみても凡才たる斬月は異様であり、正体不明なのだから。取られたアドバンテージはこちらも持っていると言える。(正体不明といえば、一人正体不明を体現したような戦士がいたな。体格も性別も変身方法も一切不明の、桃色の戦士……)斬月はあの場にいた戦士達を想起しつつ、どう行動したものかと計画を練る。(バロンは放置だ。俺があいつに勝てる通りはない)そのバロンをして敗者としたあの英雄の末恐ろしさと言ったら、やはり異様だ。(やはりこういう時は弱いものから順に倒していくのが順当か)

 

 

 

2

 

 

元来最前線でこそ力を発揮する斬月に隠密行動は向いていない。目撃されずに行動するくらいなら目撃者を消したほうが早いとは、誰の言葉だったか。それはさておき、斬月は探索を初めて十分後には足を止めることになった(見たことの無い人間だ。紛れ込んだ一般人か?)ゴーストタウン内の公園のベンチで、携帯ゲーム機で遊んでいる女性……。(いや、女性か? 体格は男に近いような……)一般人だったら保護、戦士だったら戦闘。その覚悟を決め、ベルトと錠前を手に斬月は迂闊に近づいた。女性(?)は近づいてきた斬月に気がつき、顔をあげる。

 

「……『恋』の戦士――『可愛く救う』ポッピー」

 

ガシャット♪ バグルアップ……!

 

戦士の声は女性にしては低く、男性にしては高い、微妙な声だ。(戦士だったか!!)恋の戦士は別のゲーム機のようなものを取り出し腰に当て、ピンク色のアイテムを斜めに刺した。

 

「『メロン』の戦士――『絞って救う』斬月!」

 

メロン……!

 

斬月もメロンロックシードを戦国ドライバーに掛けた。

 

ドリーミングガール♪ 恋のシュミレーション♪ 乙女はいつもときめきクライシス♪

 

メロンアームズ! 天・下・御免!

 

互いに異形というか、異様な戦士だと思った。片やゲームキャラのような桃色の髪に異様なほど大きな赤い目。片やメロンを被った白い武将。どちらも容姿を凝視し、身動きを取らない。(この人、イケメンだったなぁ)(……なんだこいつは。本当に戦士か?)埒が明かないが、油断するわけもいかないと、斬月は会話を試みる。「あんた、名前は?」「ポッピーピポパポ。仮面ライダー、ポッピー」(真面目にやる気はなし、か)斬月は無双セイバーを抜いた。「悪いが、お前はここで倒す」「そう。……でも、あなたはここでゲームオーバー」ポッピーは変身に使った携帯ゲーム機、バグルドライバーⅡを武装した。チェーンソーのようなものが伸びる。斬月とポッピーはほぼ同じタイミングで切り掛かった。ギャリギャリと、耳が痛くなりそうな騒音が公園に鳴り響いた。

 

メロンスカッシュ!

 

鍔迫り合っているまま、斬月はカッティングブレードを倒した。無双セイバーの斬撃が強化される。「……ダメだよ、ヒーローがいきなり必殺技なんて使ったら。……ポパピプペナルティ、退場」「退場?」ポッピーは斬月の攻撃をものともしていない。力任せに斬月を振り払い、ポッピーが放ったのは、シンプルなパンチ。斬月の顔面に吸い込まれるかのように当たり、地面にめり込ませた。アスファルトほどでは無いが硬い地面に、小さなクレーターが出来るほどだ。斬月に動く様子は見えないが、まだ十二大戦ガイアメモリは排出されない。(まだ死なないの? でも、無抵抗の敵を痛ぶるのは楽しく無いし……)ポッピーが犬神家状態の斬月を前に首を傾げていると、斬月に動きがあった。手探りに、ベルトを操作する斬月。斬月にそんなことを気にする余裕は無いだろうが、とても滑稽だ。

 

スイカ!

 

天より、クレーターを優に超える巨大なスイカが、斬月を押しつぶした。「……自殺?」ポッピーの思いと裏腹に、転がり、敵に襲い掛かった。「は?」

 

スイカアームズ! 大玉ビックバン!

 

くのいちの如く飛び去ろうとしたポッピーだったが、巨大なロボに変形した斬月・スイカアームズ・ヨロイモードにはたき落された。「ヒーローはやめてくれ。俺はそんな器じゃ無い」「……こんなの、ありなの?」十二大戦参加者以外にも数多くいるライダーの中でも屈指の、並外れた、人外じみた身体能力を持つポッピーをして、流石に巨大な鎧との共闘経験はあれど、戦闘経験はなかった。「もうお前のことなど、性別も容姿も、どうでもいい。迅速に尽殺する」巨大な薙刀をバトンのように振り回す斬月。仮面で見えずとも、斬月の感情に疑問や困惑がなくなっている事に、ポッピーは気が付く。「切り刻む!」「楽しいね!」

 

 

 

3

 

 

 

スイカスカッシュ!

 

クリティカル・サクリファイス!

 

何度もぶつかり合う斬撃と斬撃。出力にさしたる差はなく、広場がズタボロになろうとも戦士達に外傷はない。

 

スイカスカッシュ!

 

クリティカル・サクリファイス!

 

スイカスカッシュ!

 

クリティカル・サクリファイス!

 

スイカスカッシュ!

 

クリティカル・サクリファイス!

 

スイカスカッシュ!

 

クリティカル・サクリファイス!

 

スイカスカッシュ!

 

クリティカル・サクリファイス!

 

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

スイカスカッシュ!

クリティカル・サクリファイス!

 

幾度となく放たれる必殺技に、必殺技が幾度となく放たれる。飛ぶ戦士に跳ぶ戦士。浮遊し斬撃する斬月に対し、周囲の木やビルを足場に戦うポッピーでは明らかに不利であったが、決着はあっけなくついた。戦闘を楽しむポッピーにしてみれば、あっけないどころか味気ない味な勝利であった。斬月の敗因は、スイカアームズの燃料切れ。元々一度使うと燃料切れを起こすスイカアームズが計23回の必殺技で燃料を使い果たすのは当然の事であった。それに凡才であるからこそ異様な強さを誇る斬月が、異様な戦士が驚くほどに異様なスイカアームズで戦うというのは、アドバンテージの放棄ですらあった。結局、冷静さを欠いたが故の敗北なのだ。斬月は、ポッピーの根比べ(ナンパ)に乗ってしまったのだ。「ハァァァアアア!!」ポッピーのチェーンソーが、スイカアームズを斬月諸共細切れにした。

 

十二大戦 マキシマムドライブ!

 

ポッピーは変身を解き、傷一つなく眠る斬月から排出された十二大戦ガイアメモリを回収した。「ゲームにも飽きたし、そろそろ殺戮を開始しようかな」眠る斬月とは対照的に疲労を一切見せないポッピーは、次の対戦相手を求めて動き出した。

 

 

(●メロン―恋◯)

(第四戦――終)

 

 

 

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