現実世界で神々はゲームを始めたようです~プレイヤーランキング一位のラッキーボーイは平穏に暮らしたい~ 作:ササキ=サン
500日目 深夜
0時。おそらくボスとの戦いが始まるであろう時間。
あなたは魔法を使用した状態で待機していた。
100日目に現われたボスは人間であった。あなたはその時、人との接触を嫌がって、魔法を使い戦わずにやり過ごした。
それ以降、あなたは心を持つ存在との戦いは避けていた。一部例外は存在したが。
なぜかと言われれば、単純にあなたは人が苦手だからである。そして、積極的に人と戦いたいとも思わなかったからだ。
だから、100日目のボスと接触することを避けて以降、あなたは基本的に対話すら諦めた。この世界の存在はどれも好戦的であり、平和的に話しかけたとして、結局のところ争いになるような気がしたのだ。
だからこそあなたは方針を、心を持つ存在との接触は避けるように定めた。
500日までのボスの傾向としては、主に100の倍数の日数のボスは必ず心を持つ人であった。また、300日以降は、10の倍数の日付のボスも心を持つ存在であった。
感情を視覚的に、オーラのように感じ取ることができるあなたの目をもって見て、そういった感情の揺らぎを感じたのだ。時に人の形をしていない存在もいたが、おそらく彼らも知性を持ち、心を持つ存在なのだろう。
基本的にこの世界に存在するマネキンのようなエネミーたちは感情を、心を持っていない。
そんな存在と日夜戦闘を繰り広げながらも、時折見ることになる心を持つ存在は、ある意味話しかけたくなるような新鮮さを持ってはいたが、座敷童子の件があなたの心に
もし話しかけ、普通に会話できたとして、あの子のように急に戦闘になるのではないか。相手の戦意を対話で収めることができたとして、あの子のように自害するのではないか。
つまるところ、あなたはこの遊戯世界の住人と対話をすることに一種のトラウマを持っているとも言える。
人への忌避とトラウマ。二重の要因を抱えたあなたは他者の存在を避け、遊戯世界での日々を孤独に過ごしていた。
そして、今日は500日目。ほぼ確実に心を持つ存在が現われる日である。
あなたは嫌いな授業がある日の登校のようなどんよりとした気持ちで、その時を迎えた。
――時が来た。
あなたは固有の空間に転送された。
白い地平線がどこまでも続く、純粋な闘争のための空間。
ここは100日ごとに現われるボスとの固有の戦闘空間であった。
「ああ…またか」
そこに立っていた人物は……見覚えがある。彼はおそらく、100日目の時に邂逅したボス的な立ち位置の人物だ。
「なんとなく分かったぜ。たぶん、引きこもり系の魔法使いだな」
ギクリ。
的を射た指摘に、あなたは思わずうめき声をあげる。
「前回も結局戦うこともなく終わっちまったからなぁ……」
男は呆れたようにため息をつき、腕を組む。
「――だがしかし」
男は不敵な笑みを浮かべた。
「理由はよく分かんねえけど、今の俺なら俺を見る視線を感じることができる」
悪寒。
男の雰囲気が一気により好戦的なものに変わる。
「どこにいるか分からねえが、相手がどこかにいると分かったのなら、勝負はもう始まっている」
男の魔力が膨れ上がる。
空間が揺れる。まるで男に怯えるように。まるで男を拒絶するように。
ピキッ、ピキッと。世界が崩れるように、空間に黒い罅が走った。
「いくぜ」
それは前兆。
どうしようもない攻撃が放たれる、終わりの前触れ。
――まずい。まずいまずいまずい。
あなたの魔法は便利だ。これを使えば、あらゆる攻撃はまずあなたに届かないだろう。
それは飛ぶ鳥の影を攻撃しようと、鳥には攻撃が当たらないように。
違う次元に在るあなたには、あの攻撃は届かないはずであるのに。
本能が。直感が。あなたに存在するあらゆる感覚が。
あれが放たれたら、絶対に終わりであることを叫んでいた。
迷い。逡巡。
そして、あなたは。
――決意を抱く。
――魔術【火矢】
時間がなかった。だから、それは単純な魔術にした。
代わりに、ありったけの魔力を込めた。
――轟炎。
それはもはや国すらも焼き払うような膨大な熱量であった。
視界を埋め尽くし、地平線を炎で焼き尽くす。
「よぉ、初めましてだな、坊主」
目の前にはあの男がいた。
―――ッッ!?
とんできたのは炎を纏った拳。
それはあなたが先ほど放った【火矢】の魔術よりも
――魔術【延々】
「むっ…?」
その拳は届かない。
――術式具現化
数キロ。そこから遠く離れた場所にあなたは転移する。
「なるほど……面白れぇ魔術だな」
男に
そんな男の心をあなたの目は映した。
今更対話でどうにかできそうにはない。
諦観。だからあなたは魔術を構築する。
最初は分析。男は何が得意で、何が苦手なのか。それを見出す。
展開したのは無数の魔術。火、水、氷、土、風、木、雷、光、闇。
あなたの習得した全ての魔術の属性を使い、様々な魔術を展開した。
頭をフル回転させる。
魔術はぶつかると威力が相殺される。ゲームの世界のように、攻撃が重なっても多重に攻撃が当たるようなことはない。
だから効率的に、効果的にその展開を考えなければいけない。
――無数の魔術が放たれた。
男を囲むように、四方八方から波状攻撃を仕掛ける。
「ほうほう、坊主は魔術主体の戦い方か……」
男は仕掛けられた魔術を捌く。
時に躱し、時に拳で相殺し、時にその身で防ぐ。
追加の魔術を展開しながら、あなたは男の傾向を分析する。
まずは対処方法を統計する。どの魔術を躱したか、どの魔術を防いだか。それにより、この魔術は苦手なのか、こういった攻撃方法には対処が得意なのかを分析する。
しかし、結論から言うとそれは無駄に終わった。男は何かが得意だからそう対処しているのではない。
おそらく、なんとなく気分でその場の対処法を選んでいるのだ。集まったデータの無作為さが、そういった傾向を示していた。
同時に進めていた分析。
男は何が優れているのか。ステータスの傾向を読み取る。
分析した結果、男は主に力、技、感のステータスが高いとみられ、それ以外は満遍なくステータスが割り振られているような印象を受ける。
そもそもボスのステータスがどのようなシステムで決められているのかをあなたは知らないが、おおよその傾向は掴むことができた。
――なら、強みを活かす。
おそらく、あなたの方が知のステータスは高い。
様々な魔術に対する対処の方法が、非常に場当たり的で、効率性、合理性、そういったものがあまり見受けられない。
だから、罠を仕掛けるように、相手の感ステータスを誤魔化すように、相手の不意を突くことを目的として魔術を展開する。
「なるほど、賢いじゃねぇか坊主」
男は呟いた。
「だが、
――!?
男の動きが急に変わった。
それは非常に合理性に満ちており、様々なあなたの仕掛けすらも、見抜いた上で華麗に対処してみせた。
この事象は何らかの魔術やスキルなどが使われたのだろうか。
急激に知のステータスを上げることができる。それを想定して、あなたは戦術を組み直した。
――なら、速さで上回る。
発動するのは、【雷】の魔術。
【土】の魔術で特製の弾丸を構築し、男までの空間に多重に【加速】の魔術を展開する。そして同時に【風】の魔術を展開し、通り道に真空を形成する。
――混合魔術【多重加速電磁砲】
使う魔術は、いわゆるレールガン。それを加速の魔術を用いて、限りなく高速で射出する。
――ファイア!
弾丸が放たれた。
それは真空を通ることにより、一切の空気抵抗なく真っ直ぐに飛翔する。
そして多重に展開された【加速】の術式の魔法陣を通ることにより、何重にも加速され、限りなく光速に近い速度まで加速する。
物体は光速に近づくほど、無限に近いエネルギーを持つようになる。
弾丸に込められたエネルギーは凄まじい威力を持って、男に炸裂――
「――
――しなかった。
轟音。
それはあなたが射出した弾丸が着弾した音ではない。
気づけば、あなたは腹を殴られていたのだ。
――あ。
千切れた下半身が、あなたの視界に写った。
第一フェイズ判定
結果【1】立ち向かう
1.立ち向かう 2.諦める
第二フェイズ判定
結果【?】
1.立ち上がる 2.諦める
この小説は見やすいように、こまめに改行を挟むようにしています。実際、それは見やすいと思いますか?今後の改善のため、感想を聞かせていただきたいです。
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もっと改行して欲しい。
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今のがちょうど良い。
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改行は少し控えめにした方が読みやすい。
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改行はあまりしなくていい。