現実世界で神々はゲームを始めたようです~プレイヤーランキング一位のラッキーボーイは平穏に暮らしたい~   作:ササキ=サン

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世界の政治が動き始めますが、まだプレイヤーの存在が露見して間もないところなので、今週は大きな動きはほとんどありません。来週は結構動きがありますが、政治が本格化するのはたぶん二部以降の話ですかね。


十六話 日常への侵食

<各地で超能力者が現われる!?>

 

<「武力闘争も辞さない」ジェリナイアで超能力者がボイ人の民族自決を主張!?>

 

 

 

 コンビニの朝刊の一面。

 

「……」

 

 朝。コンビニで昼食を買うあなた。

 

 今日は学校である。あなたはいつも昼食をコンビニで購入していた。

 

 お弁当は手間がかかる。学食(学生食堂)は混み合う。購買も混み合う。

 

 選択肢は自然と一つに絞られていた。

 

 今日は何にしようか。

 

 お弁当やパンを見ながら、考える。

 

 少し逡巡して。

 

 あなたはハンバーグ弁当を選ぶことにした。

 

 そしてレジへ行く。

 

 ――袋ください。

 

 最近のコンビニでは、これを言わないといけないから少し困る。

 

 温めますか?

 

 あなたは首を横に振った。

 

 会計は携帯のアプリで済ませる。これがあると、財布を出さなくていいから少し楽だ。

 

 コンビニを出る。あなたはコンビニ袋を手提げ袋に入れた。

 

 さすがにコンビニ袋をそのまま持って登校するのはなんとなく嫌だったのだ。そのためのカモフラージュとして、教科書などを入れている鞄とは別の鞄で、購入した昼食を運ぶ。

 

 レジ袋いる?そう疑問に思うこともあるかもしれないが、あなたはなんとなく欲しかった。これは上手く言語化できない感性の問題でもあった。

 

 鞄の中に直接購入した弁当を入れるのは、なんか嫌だ。そういうものである。

 

 自転車をこいで。あなたは学校に向かう。

 

 特に何もないいつも通りの登校。

 

 世界が激しい変革の時期を迎えようと、現在のあなたはまだ平穏に過ごすことができていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 授業が暇である。

 

 最近のあなたの悩みだ。

 

 知のステータスを働かせれば、高校の授業でやる程度の内容はすぐに理解することができた。

 

 ……。

 

 そうだ。魔術開発をしよう。

 

 知のステータスが向上しても、創造力はあまり前と変わらない。

 

 創造的なアイディアを生み出すには、地道にちょっとずつ時間を使って考えていくしかないのである。

 

 ノートにアイディアを書き込んでいく。

 

 ふと、隣の席から視線を感じた。

 

 クラスメイトで、あなたへ敵対な感情をもつ人物。

 

 隣に座る彼があなたのことをチラリと盗み見る。

 

 これは……授業に集中していないことを見咎められるやつだろうか。

 

 ノートに書いた文字を見る。

 

<【延々】による時間遅延、【加速】による体感速度加速。【秘密基地(アジト)】を使って超スピードアタック。>

 

 これは……見られたら恥ずかしい。

 

 あなたは慌てて書いてあることを消しゴムで消す。

 

 ……。

 

 隣の人物の視線が少し気まずい。

 

 ……。

 

 ……!!

 

 少し考えて、思いついた。

 

 よく分からない外国語でアイディアを書けば、見られたとしても意味を理解できないだろう。

 

 プレイヤーとしての【言語】のスキルの使いどころ。

 

 以後、あなたの授業ノートは他のクラスメイトからすれば意味不明な言葉の羅列で埋め尽くされることになった。

 

 そんなあなたの様子を見て、隣の席の人物は困惑していた。

 

 ――え。なんかすげぇ変なの書いてるんだけど……。

 

 そして後日、プレイヤーという存在が社会に認知され、プレイヤーは非常に語学が堪能であるということが周知されると、隣の席の人物にノートのことを追及され、あなたはそのノートに書いていた言葉を必死に誤魔化すことになった。

 

 ――か、格好良いでしょ……?

 

 結果的に、オリジナル言語でなんか格好良いことを書こうとしていた中二病っぽいやつ。そういう解釈がされた。

 

 適当な言い訳をしたとき、嗜虐的に歪んだ隣の席の人物の顔が忘れられない。

 

 知のステータスが上がろうと、間抜けが直るわけではない。

 

 そういった事実を痛感させられた出来事であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼休み。あなたは教室を出て、一人になれる場所へ赴く。

 

 部室棟の外。ぽつんと置かれたベンチ。部活で何か用事がなければ、滅多に誰も来ないような場所。

 

 そこであなたは昼食をとる。

 

 お昼はハンバーグ弁当である。

 

 ――うん、おいしい!

 

 ハンバーグにかかったデミグラスソースが上手い。ご飯が進む。

 

 食べながら、携帯をいじる。行儀はよくないが、娯楽と食事を同時に行える非常に優れた手段だ。

 

 

 

<プレイヤーとは!?各地で現われた超能力者の正体に迫る…!!クワモスの悲劇のヒーロー、サイティへのインタビュー!>

 

 

 

 ネットニュースの記事。あなたは憂鬱な気分でそれを読む。

 

 遊戯が始まったあの日。世界中の人々は巨大かつ非常に多面なサイコロを振る夢を見たらしい。

 

 それで1を出した人物。それがプレイヤーの正体である。

 

 ああ。やはりそうだったのか。あなたは自身に起こった事象の正体を知った。

 

 あのニュースで見たサイティという人物はプレイヤーランキング72位。下から2番目である。

 

 改めてプレイヤーランキングの生存日数を見てみると、件の【サイティ】という人物は9日目まで生存していた。

 

 こうしてみると、プレイヤーのほとんどが9日目まで生存していることになる。そして10日目のあのボスに敗れているのだろう。

 

 11日目以降生存しているのはあなたを含めないで7人。ランキング8位が11日目で、2位が49日目まで生存している。

 

 ランキングの最下位は……イツド語のプレイヤーネームで、生存日数は3日。ある意味飛び抜けた記録だ。

 

 プレイヤーの状況を把握して、自分がいかに例外的な存在であるかあなたは再度認識した。

 

 そして、世界に非常に大きな影響を与える人物であると警戒されるだろうことも。

 

 国家の安全保障を考えるのなら、現在判明している情報だけでも、非常に飛び抜けて強い存在がおり、プレイヤーの誰かは一瞬で大都市の多く人物を氷漬けにできるような人物がいるということが分かっている。

 

 どう適当に考えても、厳重で徹底的な注意が必要だろう。ましてそれが個人の意思で振るわれるのだ。安全保障が非常に不均衡な状態であるといえる。

 

 今頃、世界中の偉い人達は大混乱しているのだろうか。自分も大きく関わっているとはいえ、少し可哀想に思えてきた。

 

 ニュースを見ながら、弁当を食べ終えた。

 

 ――ごちそうさまでした。

 

 あなたは満足した様子で食事を終える。

 

 少し眠くなってきたが、そろそろ午後の授業だ。

 

 うん、頑張ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ざわざわとざわめく放課後。あまり政治に興味がない高校生とはいえ、今日のクラスは世界中に現われたプレイヤーの話題で持ちきりだった。

 

 帰る前に、少しニュースを見る。

 

 

 

<最強のプレイヤー水瓶の所属を核国が発表!?>

 

<プレイヤーランキング一位は核国人!?>

 

 

 

「……」

 

 ……??

 

 フェイクニュース?

 

 ひとまずその記事を読む。

 

 記事を要約すると、飛び抜けて生存日数が多く、最強のプレイヤーである【水瓶】は核国人であり、共産党政府に積極的に協力することを約束した。そして、【クワモスの悲劇】を収めたのもこの人物であるということ。

 

「???」

 

 あなたは混乱した。

 

 核国政府はウソをついている。

 

 しかしながら、もしあなたが普通に政府にプレイヤーであると名乗り出て、協力を要請していたらどうなるのだろうか。

 

 そう、簡単にバレるはずである。

 

 どうして簡単にバレる可能性のあるウソをつくのか。もし、実際にその実力を証明しろとなったら。

 

 実力でこちらを上回る何らかの手立てがあり、その証明の場で一位を打倒して、その権威を借りる?

 

 いや、そういった実力が個人にあるなら、わざわざ他のプレイヤーの権威を借りなくてもいいはずだ。

 

 ならば、何らかの裏工作によってその証明の場において、一位の人物を打倒する?例えば毒物や人質など。

 

 それならば、一位という実態のよく分からない怪物に対して、どうしてここまで短期的な間でそういった作戦を練ることができた?

 

 いや、そもそも政府がウソをついているのではなく、一位を名乗った人物がウソをついている可能性もある。

 

 発想が飛躍する。可能性がいくつも浮かんでは、否定されていく。

 

 つまり、よく分からない。

 

 が。

 

 

 

 ――もし、自分が名乗り出ていたら?

 

 

 

 もしかして、それが目的なのだろうか?

 

 どこに一位がいるか分からない現状をはっきりとさせる。そのためのフェイクニュースという可能性もある。

 

 ……。

 

 あなたの脳内ではそれは悪い作戦ではないと結論づけた。

 

 いわば、戦略上のジョーカーとなり得る札の所在を確認するのだ。

 

 地雷がどこにあるかを確認して、あわよくばコミュニケーションが取れれば、不意の事故でトラの尾を踏む危険性を回避できる。

 

 そして一位を名乗った人物はウソだったと謝れば、損失なくあなたの所在を確認することができる。

 

 心象は最悪かもしれないが、最悪のリスクを回避することもできる。

 

 そこまでやるの……?

 

 色々と考えた上で、あなたは寒気を覚えた。隣国の核国は既に手を打っている。

 

 あなたは現状自分がプレイヤーだと名乗り出る気はない。だから、核国以外はその真偽が分からない。

 

 本物が名乗り出たら、その所在を掴んだ上で方針を決められる。出なかったら、その威を借りて外交ができる。

 

 考えた限りでは、やはり非常に有効そうな手だ。

 

 ああ、これが国際政治というやつなのだろうか。

 

 あなたにはよく分からないが、自分よりもずっと賢くて、奇想天外な発想が飛び交っているのがこういった外交の場なのだろうか。

 

 恐ろしい。

 

 あなたは血眼になって自分を探す巨人の影を感じた。

 




○ボイ人
ナイジェリアのイボ人が元ネタ。まあよくあるアフリカの民族問題の一例。

○核国の戦略
ストーリー上、ある程度主人公に世界を感じて欲しかったので動き出した核国。このイベントのせいで、核国の指導者の動きが滅茶苦茶早いことになった。ぶっちゃけ、プレイヤーの存在が露見した翌日に1位のプレイヤーに対して作戦を実行できるのは、まず民主国家では無理な上に、独裁国家でもかなりアクティブな指導者でないと無理。
ダイス関係なくこちらの都合で核国指導者の能力を決定してしまうのは少々申し訳ないが、ある程度の介入は許して欲しい。


≪後書き≫
プレイヤーはある程度判定が既に決まっております。今回はそのデータを少し公開します。
現状他プレイヤーで決めたのは、1d100で強さの指標と性別、出身と行動判定ですね。

以下は2回目の遊戯で他のプレイヤーがどこまで奮闘したかの判定。



○7位は20日の壁を破れたか?(1d3)
結果【2】惜しい

1.無理 2.惜しい 3.突破

○6位は?(1d2)
結果【2】突破

1.惜しい 2.突破

○6位は30日目の壁を破れたか?(1d4)
結果【2】無理

1.無理 2.無理 3.惜しい 4.突破

○5位は?(1d3)
結果【2】惜しい

1.無理 2.惜しい 3.突破

○4位は?(1d2)
結果【2】突破

1.惜しい 2.突破

○4位は40日目の壁を敗れたか?(1d5)
結果【1】無理

1~3.無理 4.惜しい 5.突破

○4位の生存日数(1d8)
結果【2】⇒32日目

○3位は?(1d5)
結果【2】無理

1~3.無理 4.惜しい 5.突破

○2位は?(1d4)
結果【4】突破

1.無理 2.無理 3.惜しい 4.突破

○2位は50日の壁を破れたか?(1d6)
結果【2】無理

1~4.無理 5.惜しい 6.突破



プレイヤーの行動方針(1d10)

1.英雄願望
2.覇道邁進
3.理想実現
4.政府貢献
5.様子見
6.様子見
7.様子見
8.平穏志望
9.隠居
10.サイコパス(クレイジーな一面がある)



プレイヤー状況

ランキング8位 【11日目】
強さ【94】
出身:核国(中国)
性別:男性
行動判定:サイコパス
※九話で出会っている。

ランキング7位 【19日目】
強さ【95】
出身:ドイン(インド)
性別:男性
行動判定:サイコパス

ランキング6位 【29日目】
強さ【97】
出身:ドイン(インド)
性別:男性
行動判定:覇道邁進

ランキング5位 【29日目】
強さ【98】
出身:ジェリナイア(ナイジェリア)
性別:男性
行動判定:サイコパス

ランキング4位 【32日目】
強さ【99】
出身:メリケン(アメリカ)
性別:女性
行動判定:政府貢献

ランキング3位 【39日目】
強さ【100】
出身:核国(中国)
性別:女性
行動判定:様子見

ランキング2位 【49日目】
強さ【100】
出身:リチ(チリ)
性別:女性
行動判定:理想実現


サイコパス多くない??

この小説は見やすいように、こまめに改行を挟むようにしています。実際、それは見やすいと思いますか?今後の改善のため、感想を聞かせていただきたいです。

  • もっと改行して欲しい。
  • 今のがちょうど良い。
  • 改行は少し控えめにした方が読みやすい。
  • 改行はあまりしなくていい。
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