現実世界で神々はゲームを始めたようです~プレイヤーランキング一位のラッキーボーイは平穏に暮らしたい~   作:ササキ=サン

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ガチャは好きですか。私は大好きです。

まあ、現在プリコネのネネカガチャに爆死中なんですけどね(憤怒)

プリンセスヒヨリに振り袖ペコリーヌと続いて、振り袖ネネカという期間限定かつ人気、さらに強さまで兼ね備えた恐怖の三連星三連発。プリコネの年末年始はやばいわよ!(満身創痍)


二十八話 エーテルガチャ

 501日目。あなたはついに、積年の蓄財を解き放とうとしていた。

 

 エーテルガチャ。そう呼ばれるものがある。

 

 いわゆる装備品のガチャなのだが、これを一回まわすには非常に莫大な量のエーテルを使う。

 

 おおむね、エネミーを倒すといくらかのエーテルがもらえるのだが、前回の遊戯で500日まで戦い続けて地道に貯めたエーテルと、今回の遊戯で500日まで同じく戦い続けて貯めたエーテル。そして500日目のボスを倒したことでもらえた莫大なエーテル。それらを合算して、本日ようやく10連ガチャを引けるようになった。

 

 なぜここまでしてエーテルを貯めたのか。エーテルはアプリの<エーテルショップ>の項目から、非常に多彩な品揃えの中から様々なものと引き替えることができるが、装備に関してはそこで買える品質には上限があった。

 

 プレイヤーで作れということなのか、ダンジョンなどの宝箱に期待しろと言うことなのか。それともガチャで手に入れろということなのか。

 

 この遊戯を設計した人物の意図がどういうことかは分からないが、魔法を行使するレベルの戦闘で有効に機能する装備品は<エーテルショップ>には存在しなかったのだ。

 

 ガチャには色々と細かい仕様があり、あなたが今まで観察してきたことがらをまとめる。

 

 まず10日ごとに現われるボスを倒すとガチャの内容が更新される。特に500日目のボスを倒してからは、☆5の装備がガチャに追加された。

 

 つまり、☆5の装備はあの深淵魔法を使う人物との戦闘でも役に立つ可能性が高いのではないか。あなたはそんなことを考えていた。

 

 次に、ガチャに消費するエーテルはガチャの内容が更新されると同時に値上がりする。あなたがダンジョンでエネミーと戦えば、そのエネミーの強さに応じてたくさんのエーテルを稼げるが、ガチャの内容が豪華になるほど、ガチャを回すために請求されるエーテルが増額されるのだ。

 

 故に、ガチャを回すためのエーテルは中々貯まらない。

 

 また、10連ガチャで一番重視したい点は、10連ガチャの最後の一回は☆4が確定するということである。

 

 あなたの現在のガチャの☆4装備の排出率は10%である。500日突破前は☆3装備の排出率が10%で、10連で☆3装備が一つ確定だったのが、500日目のボスの突破でガチャ内容が劇的に変わったのだ。おかげでガチャの値段も同時に上がっているのだが。

 

 ☆4の装備がどれほど有用なのかをあなたは知らないが、100日目のボスを倒すと同時に☆4装備がガチャに追加されていたことから、おそらく魔法を使う戦闘で役に立つレベルの代物なのではないかとあなたは予測していた。

 

 話を戻すと、あなたは10連ガチャをすると10%程度の確率の装備が一つ確定するということを、非常に素晴らしいものだと捉えていた。現実世界でガチャの沼に苦しめられてきたあなただからこそ、少しでも合理的にガチャを引きたかったのだ。

 

 故に、10連ガチャを引けるように頑張ってエーテルをため込んできたのである。

 

 

<エーテルショップ>

 

 

<エーテルガチャ>

 

 

<10連>

 

 

<10連ガチャを引きますか?>

 

 

<はい>

 

 

 おおよそ3年近い我慢の成果。1000日近い蓄財の日々がようやく報われようとしていた。

 

 あなたの目の前に光が集い、輝き出す。演出としてはどこか見たことがある。まるでソーシャルゲームのガチャのようだ。

 

 銅色の輝き。光の色が変わる。

 

 あ。これはあんまりレアじゃないやつだ。色々なガチャを回しているあなたは、なんとなく結果を察する。

 

<【☆2.魔術師の杖】を獲得した>

 

 いまいち迫力感のない杖のイラストが書かれた銅色のカードがあなたの目の前に現われた。

 

 ふむ。

 

 ……?

 

 何これ。少し疑問に思いながら、あなたは目の前でふわふわと浮いているカードを手に取る。

 

 すると、再び光が集い、輝き出した。そして同時にあなたが持っていたカードはどこかに消えた。

 

 

<プレゼントボックスに転送します>

 

 

 あなたは携帯のアプリを開いて<プレゼントボックス>の項目を見ると、中に【魔術師の杖】が項目にあった。

 

 なるほど、そういう仕様なのか。

 

 まるでソーシャルゲームを現実に無理矢理導入したようだ。あなたはそんな感想を抱いた。

 

 意識をガチャの輝きに戻すと、輝きは銅色に変わっていた。

 

 ……爆死は嫌だなぁ。

 

 その後も二連続銅色の輝きだった。四連続☆2である。

 

「……」

 

 あなたの目が死に始めている。

 

 爆死は嫌だ、爆死は嫌だ。

 

 過去の苦い思い出を想起して、カタカタと震え始めるあなた。

 

 最低保障のみ。サイゲのガチャは10連目は遊ぶから。麻婆豆腐。うんこたれ。

 

 う、頭が。

 

 そして5回目の輝き。

 

 

――金色。

 

 

 !!!!!!

 

 思わず。最近大人しめだったあなたのアホ毛が天を突く。

 

 そして光の輝きが頂点に達し、その内容を露わにする。

 

 

<【☆4.異形のパンツ】を獲得した>

 

 

「……」

 

??????????

 

 困惑しながら、あなたは目の前に現われたカードを手に取る。

 

 

<【異形のパンツ】にあなたは呪われた>

 

 

 ??????????

 

 なんで? 思わずあなたの口から戸惑いがこぼれた。

 

 カードが強く輝く。風が吹き荒れた。

 

 いつの間にか、目の前には異形の存在がいた。

 

 黒い。その濃淡にはグラデーションを挟みつつ、人のような姿にも見えなくはない。口だろうか。いや、あれは穴であり、捕食器官であり、決して人の持つ口というものではない。なぜならそれは無数にあり、全身の黒い何かそのもの全てが捕食器官である穴だからだ。

 

 形すら定かではない。カゲロウのごとく揺らめいている不定形。

 

 あなたはそれを見ているだけで、どこか心が不確かになるような感覚を覚えた。

 

 精神干渉を受けている。あなたはそれを自覚した。

 

 だから、その刹那。

 

 

――魔法【防衛機制(ディフェンス・メカニズム)

 

――【逃避(ウィズドロール)秘密基地(アジト)

 

――魔術【加速】

 

――魔術【延々】

 

 

――必殺【降臨する黒き奈落(アドヴェント・オブ・アバドン)

 

 

 あなたは異形の存在へ必殺技を叩き込んだ。

 

 黒い渦が炸裂し、異形の存在を呑み込み、崩壊させていく。

 

 異形の存在の断末魔。それはあまりに奇っ怪で理解できない音声であり、あなたは思わず顔をしかめた。

 

 ゾワリ。何かが自身の内側に入り込もうとする感覚。凄まじい異物感を感じて、思わずあなたは魔法を発動させる。

 

 

――魔法【防衛機制(ディフェンス・メカニズム)

 

――【同一視(アイデンティフィケーション)勝利を求める男(ミスターヴィクトリー)

 

 

 自身の内側に張り込もうとする何かに打ち勝つ(・・・・)

 

 パァンッッと、何かをはじき出したような感覚。いつの間にかあなたの両耳から、どこかドロリとした黒い液体が飛び散っていた。

 

 そして、異形の存在はその身を粒子に変え、消滅した。

 

 最後の断末魔は、異形による何らかの寄生的な技だったのだろうか。そのおぞましさにあなたは冷や汗をかいた。

 

「……」

 

 え。ガチャってこんなのもあるの。

 

 ガチャの金色の輝きに喜ぶも、そこから排出されたとんでもない外れクジに、あなたはガチャを引くことそのものが怖くなった。

 

 ガチャの演出が再開されたのか、再び光が集い、輝きだした。

 

 とりあえず、あなたは何が出ても良いようにしっかりと身構えていることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 結論から言うと、その後のガチャは比較的普通の結果に終わった。☆3の装備が4つと、☆4の装備が一つである。

 

 今回ガチャを手に入れた中で、今後役に立つであろう一覧が以下の通りである。

 

 

 

・☆2勇者の指輪…心ステータスを100向上させる。

・☆2疾風の指輪…速ステータスを85向上させる。

・☆3音速のソックス…速ステータスを42%向上させる。

・☆4雨中の秘本…世界を雨の世界に塗り替える。

 

 

 

 基本的にあなたの戦闘レベルだと、☆3以下の装備は耐久力が不安である。

 

 あなたは回避に優れた魔法や想顕武術を所持しているが、魔法には時折必中の効果を持つものがあり、そういったものに対しては魔法の競合に打ち勝って無理矢理回避するより、素直に攻撃を受けた方が消耗は少ない。

 

 【木精転身】の魔術により、何らかの特殊な効果を持つ攻撃でなければあなたはほぼ無限に体を再生することができる。

 

 ただし、それはあくまで肉体とそれに付随した術式で作った簡易的な衣装に限った話であり、こういった装備は再生させることができない。

 

 つまり、どれだけ有用な装備でも、いざという時破損する可能性を考慮すると、中々有用というわけにはいかないのだ。

 

 そういった観点で考えると、いくつかの装備は便利でもあまり装備しようとは思わなかった。

 

 ことさら、手に持つ関連の装備はあなたの必殺技の【降臨する黒き奈落(アドヴェント・オブ・アバドン)】と相性が悪く、よほど重要なものでない限りは装備する気が無かった。

 

 なぜなら、あなたの必殺技は非常に強力で、魔法レベルな一撃でぶち破る効果がある反面、反動で自分の腕がまるごと消し飛ぶ。つまり装備も一緒に消し飛んでしまうのだ。

 

故に、あなたにとって腕に関する装備は重要度が一層低いものであった。

 

 また、同時に向上するステータスを考慮する必要がある。例えばあなたは力や体のステータスが上がる装備はあまり必要としない。

 

 それらの事情を総合的に考慮すると、今回のガチャで有用だったのは上記の4つだったのである。

 

 まず、指輪に関しては素直に指に着けていると必殺技の発動で消し飛ぶので、適当に頑丈そうな紐を<エーテルショップ>で購入し、それをネックレスのようにして、そこに指輪をぶら下げた。

 

 装飾品を着け慣れないあなたにとっては、それを着けることは若干の違和感があったが、そこは諦めることにした。

 

 また、それで装備していることになるのか少し不安だったが、特に問題なくステータスは向上した。あとは胴体部分を消し飛ばされないように気を付けなければいけない。

 

 ソックスに関しては、足を消し飛ばされると効果がなくなるのだが、それ以上にステータス向上が便利すぎた。故に、足を消し飛ばされないように注意しながら戦っていく必要があるだろう。

 

 そして、☆4の雨中の秘本なのだが……。

 

 ぶっちゃけるとゴミであった。

 

「……」

 

 あなたの目が死んでいる。

 

 ざーっと、雨が降っていた。

 

 あなたが手に持っているのは開かれた状態の秘本。

 

 その雨が降っている状態を維持するためにも、あなたの意思の力がガリガリと削られていた。

 

「……」

 

 使用用途がないとは言わない。効果は実質心象領域の展開だが、魔法使いのあなたにとって雨を降らす以外の副次が効果のない心象を展開する意味が無い。素直に自身の心象を展開する方がよっぽど戦局を有利に進めることができる。

 

 強いて活用例を挙げるなら、魔法が使えない人物の意思の力を活用して、心象領域の展開合戦に打ち勝つという場合は有効だが、今後も単独行動を続ける予定のあなたにとっては、やはり使い道がないとしか言いようがなかった。

 

 つまり、つまりである。

 

 今回のガチャの結果は、実質爆死であったのだ。

 




私が爆死したので、お前も爆死しろ(私怨)

実際、幸運と座敷童子の祝福バフが掛かっているので、私より確率はずっと上なはずなんですけどね……。

なお、今回の呪いの装備は異形じゃなければ主人公はいつも通りの倫理感を発揮して、瞬殺はしませんでしたし、【降臨する黒き奈落(アドヴェント・オブ・アバドン)】で倒さなければ装備は残りました。

ただ、異形で明らかにヤバイ奴なので、初手で全力。かつこの必殺技そのものの破壊力が半端ないので、呪いの装備ごと敵を破壊してしまったというやつですね。

破壊していなければ主として認める判定があったのですが……たぶん認められてもこんなやばそうなパンツは履かないでしょうね。



≪ガチャ判定≫

○ガチャ結果(1d100)

一回目【10】☆2
二回目【12】☆2
三回目【4】 ☆2
四回目【10】☆2
五回目【79】☆4
六回目【47】☆3
七回目【60】☆3
八回目【47】☆3
九回目【49】☆3
十回目【10】☆4

※幸運スキル+祝福バフにより、結果を+14で判定
※10連ガチャなので、10回目は☆4以上確定

1~50 :☆2(下位装備:ステータス固定値上昇)
51~89:☆3(上位装備:ステータス割合上昇)
90~99:☆4(魔法戦闘級装備:魔法クラスの戦闘レベルで、戦局を有利にできる)
100  :☆5(深淵魔法級装備:深淵魔法クラスの戦闘レベルで、戦局を有利にできる)

○品質判定結果(1d100)

一回目【50】☆2:少し有用
二回目【88】☆2:人権
三回目【71】☆2:有用
四回目【27】☆2:普通
五回目【1】 ☆4:呪いの装備
六回目【28】☆3:普通
七回目【16】☆3:あまり使えない
八回目【39】☆3:普通
九回目【69】☆3:有用
十回目【15】☆4:あまり使えない

※幸運スキル+祝福バフにより、結果を+14で判定

1    :呪いの装備(幸運バフがあろうと、1が出たら効果を無効化する)
2~10 :ゴミ。普通の下の等級の装備の方がよっぽど役に立つ
11~25:使えない。普通の下の等級の装備の方が役に立つ。
26~40:あまり使えない。有用な下の等級の装備の方が役に立つ。
41~60:普通。
61~75:少し有用。
76~90:有用。
91~99:かなり有用
100  :人権

※☆2装備の少し有用以下は今後の戦闘に役立たないので、詳しい設定は作らない。
※☆3装備の普通以下は今後の戦闘に役立たないので、詳しい設定は作らない。



○☆3有用装備判定(1d3)
結果【2】防具

1.武器
2.防具
3.装飾品

○防具一覧(1d7)
結果【7】下着(ネタ)

1.頭部系統
2.服系統
3.鎧系統
4.ローブとかマント、外套系統?
5.手袋、籠手系統
6.靴系統
7.下着(ネタ)

○下着一覧
結果【4】靴下系統

1.大胸筋サポーター
2.パンツ(男性)
3.シャツ
4.靴下系統
5.パンツ(女性)

○靴下系統(1d5)
結果【1】普通

1~4.普通  5.ネタ

○上昇ステータス(1d10)
結果【6】速

1.力
2.体
3.技
4.感
5.知
6.速
7.魔
8.心
9.2種
10.3種



○あまり使えない☆4装備はなぜ使えないのか(1d3)
結果【1】効果がしょぼい

1.効果がしょぼい
2.分野が違う
3.主人公が使いたがらない



≪呪いの装備判定≫

○呪いの装備は捨てられる?(1d3)
結果【3】触った時点でアウト

1.捨てられる 2.捨てられない 3.触った時点でアウト

○破壊可能?(1d10)
結果【1】可能

1~9.可能 10.無理

○効果判定
結果【8】生きてる(敵対的)

1.ステータスが下がる
2.状態異常付加
3.見た目
4.対人関係に悪影響
5.精神に干渉
6.常に力を吸われる
7.怨霊
8.生きてる(敵対的)
9.戦闘中の妨害
10.死ぬ

○呪いの装備エネミー特性(1d4)
結果【3】覚醒スキルを使う

1.魔法を使う
2.想顕武術を使う
3.覚醒スキルを使う
4.複合

○戦闘相性(1d100)
結果【61】少し良い

○覚醒スキル習熟度(1d4)
結果【1】普通

1.下 2.中 3.上 4.!?

○勝敗判定(1d4)
結果【2】勝利

1~3.勝利 4.強欲(グリード)

※習熟度が普通なので、基本主人公がかなり有利。



○呪いの装備判定(1d3)
結果【2】防具

1.武器
2.防具
3.装飾品

○防具一覧(1d7)
結果【7】下着(ネタ)

1.頭部系統
2.服系統
3.鎧系統
4.ローブとかマント、外套系統?
5.手袋、籠手系統
6.靴系統
7.下着(ネタ)

○下着一覧
結果【2】パンツ(男性)

1.大胸筋サポーター
2.パンツ(男性)
3.シャツ
4.靴下系統
5.パンツ(女性)



≪ガチャエネミー設定表≫
○容姿(1d4)
結果【1】異形
1.異形 2.怪物 3.動物 4.人型


≪ガチャ結果≫
・☆2人権装備:勇者の指輪…心ステータスを100向上させる。
・☆2有用装備:疾風の指輪…速ステータスを85向上させる。
・☆3有用装備:音速のソックス…速ステータスを42%向上させる。
・☆4あまり使えない装備:雨中の秘本…世界を雨の世界に塗り替える。
・☆4呪いの装備:異形のパンツ
・その他が5個。

この小説のどういった部分が一番面白いですか?

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  • 世界の政治事情
  • 対人関係
  • ダイスによる展開の読めなさ
  • 世界観やステータス、魔法などの設定

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