現実世界で神々はゲームを始めたようです~プレイヤーランキング一位のラッキーボーイは平穏に暮らしたい~   作:ササキ=サン

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いつも誤字報告ありがとうございます。とても助かっております。

ひどく長引いた支配者回も、ようやく終わりです。


三十六話 支配者⑤

 クスクス。クスクス。

 

 幼女が笑いながら、あなたに手を伸ばす。

 

 意思の力を完全に使い果たした。

 

 指一本、動かすことができず、もはやあなたには何の抵抗もできない。

 

 幸いなのは、意識が朧気であったために、状況をあまり把握できていないことだろうか。

 

 そして。

 

 ゆっくりと。

 

 小さな指があなたに触れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある異世界で、すさまじい力をもった存在がぶつかり合っていた。

 

 片方が必殺の一撃を放つ。

 

 もう片方は、その一撃を全身全霊の一打をもって、はじき返した。

 

 その必殺の攻撃は、あらぬ方向に飛んでいく。

 

 次元を超え。

 

 世界を超え。

 

 あまりに超越的な威力を持つ一撃故、世界と世界の狭間を超えてなお、その推進力を失いながらも大きな威力を保ち続け……。

 

 

 

 

 

「え」

 

 

 

 

 

 その一撃は、あなたに手を伸ばしていた幼女に直撃することになった。

 

「なん、で……?」

 

 幼女は戸惑い、そして目を見開くことになった。

 

 

 

 ――おにいさん……。

 

 

 

 あなたは朦朧とした意識の中、童子の声を聞いた。

 

 

 

 ――ごめんね、ごめんね。おにいさん。

 

 

 

 どうして謝っているのだろうか。

 

 あなたには分からなかった。

 

 悪かったのは自分だ。貴方を救えなかった。また死に追いやってしまったというのに。

 

 

 

――おにいさん、お願い……。

 

 

 

 手の平を、その童子の残滓に握られたような。そんな温もりを感じた。

 

 意思の力が少しだけ回復する。

 

 

 

 ――負けないで……っっ

 

 

 

 そう言い残して。

 

 童子の残滓は消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいたたた……あの子、中々厄介な加護を貴方につけていたようですね。おかげで痛い目に遭いました……」

 

「ですがまあ、所詮はイタチの最後っ屁。いくら足掻こうと、ゲームオーバーの時間をほんの少し引き延ばしただけです」

 

 幼女は笑う。

 

「邪魔が入りましたが、お楽しみの時間ですよ。テイク2です。くふふふ……」

 

「ふふ……?」

 

 

 

 

 

 ――空間に極大の黒い亀裂が走った。

 

 

 

 

 

 あなたを中心に、膨大な黒い亀裂が何本も世界に広がっていく。

 

 かつてないほどの巨大な崩壊事象。

 

 ――あの子が言ってくれた。

 

 あなたは立ち上がる。

 

 ――酷いことをしてしまったはずなのに、それでも言ってくれた。

 

 拳を強く握る。自身の手の平から血液が吹き出るほどに。

 

 

 

 

 

 ――負けないでって……っっ!!

 

 

 

 

 

 心が燃えさかる。

 

 どこまでも強く、強く。意思の力が湧き上がってくる。

 

 その言葉は、あなたにとってはかけがえのないものだった。

 

 いつ以来だろうか。ここまで強い動機を得ることができたのは。

 

 ここまで頑張りたいと思えたのは、母親がいなくなって以降、初めてのことだった。

 

 

 

 あなたは自分のために頑張ることが苦手だ。自身に価値を見出すことができない気質故、モチベーションが他者の存在に依存することが多い。

 

 そんなあなたにとって、自分が傷つけてしまったという、大きな罪悪感を持つ相手からの激励は、贖罪意識も合わさり、何よりも強い原動力となり得た。

 

 そして同時に、あなたの内には童子の期待に応えたいという想いもあった。

 

 応えたい誰かから期待される。それはあなたの母親以外、存在しないものだった。

 

『よく頑張ったね、緑』

 

『すごいわ、もうこんなにできるようになったのね』

 

 昔は母親に褒めてもらえるだけで、満たされていた。

 

 褒めてもらいたくて。もっとお母さんに認めてもらいたくて。

 

 でも、もういないのだ。

 

 そして今となっては。あなたは人間が苦手だ。褒めてもらえたって、嬉しくはないのだ。

 

 期待に応えたいとは、思えないのだ。

 

 

 

 でも、あの子は負けるなって言ってくれたから。

 

 湧き上がる意思の力のせいで、どこか思考がまとまらない。

 

 心のステータスが制御する以上に、今のあなたの意思の力は凄まじいものとなっていた。

 

 それでもまとまらない思考をなんとか動かして、打開策を講じる。

 

 今のエネルギーをぶつけても、相手を破壊するだけで、決定打にはなり得ない。

 

 何か特別な方法がいる。

 

 スキルを使うか?ではどのようにすれば相手の転生能力を封じて、勝利することができるだろうか。

 

 ……勝利(・・)

 

 あなたは思いついた。

 

「あぁ……本当に、尊い……。こほん。さて、それでは私を倒すことはできませんよ。次は一体どんなことをやってみせるんですか?」

 

 幼女は恍惚とした表情を浮かべながら、それでも嘲るように言う。

 

 あなたの尋常ならざる意思の力にも顔色一つ変えず、余裕を持った態度を示している。

 

――魔法【防衛機制(ディフェンス・メカニズム)

 

 そんな中、あなたが使用したのは魔法であった。

 

 ??

 

 ここにきて、魔法?超越スキルではなく?

 

 幼女は疑問に思う。だからこそ予想外であり、その発動を阻害することができなかった。

 

 

 

――【同一視(アイデンティフィケーション)勝利を求める男(ミスターヴィクトリー)

 

 

 

「まじですか?」

 

 幼女は引き攣った笑みを浮かべる。

 

 そしてしまったと、内心で自己の失態を認める。

 

 そう、幼女は失態を認めた。つまり、その手法は確かに現状を打開しうるものであり――

 

 

 

――黒い輝きをまとう槍。

 

 

 

 あなたの手の中に、絶対勝利の槍が顕現した。

 

 そしてその槍に、あなたの全てを意思の力をのせる。

 

 勝ちたい。勝ちたい。

 

 あの子の望みを叶えたい。おじさんに勝利した人物として、誇れる人物でありたい。洗脳されたくない。誰も殺したくはない。あの子を傷つけたくない。

 

 だから、勝ちたいっっ。

 

 黒い極光をまとい、あなたの全てをのせて。

 

 ――穿て……

 

 

 

 

 

――模倣・深淵魔法【栄光もたらす勝利の槍(アブソリュート・グングニル)

 

 

 

 

 

 黒い閃光。槍が放たれ、幼女に向かって飛翔する。

 

 その時点で、勝利が確定した。

 

 それが深淵魔法である。あらゆる法則、因果を破壊し、その術式がまとうただ一つの思いを実現させる。

 

 勝利である。小細工をもっては、その術式を破ることはできない。

 

 例え幼女が【転生の宝珠】を使おうと、あなたがそれを認識している限り、その道具ごと打ち砕かれ、あなたの望む勝利がそこに実現される。

 

 故にその一撃が幼女の命を完璧に奪い尽くすまで、その絶対性を失うことはない。

 

 唯一の問題となるのは、出力である。あなたの意思の力が、鍔迫り合う幼女の何らかの(すべ)の出力に打ち勝つことができるか。

 

 幼女は笑う。余裕を崩さない。

 

 だが、負けない。負けたくない。

 

 あなたは覚悟を決める。

 

 例えここで精神の全てがぐしゃぐしゃになろうと、全てを絞り尽くして、絶対に勝利してみせる。

 

 そんな様子を見た幼女は、フフッ……と穏やかに笑った。

 

 そして両手を広げて。

 

 

 

 ――無防備にその一撃を受け入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――どうして、抵抗しなかったんですか?

 

 あなたは問いかける。

 

 ――あなたは様々な道具を持っていた。それらを使えば、何らかの抵抗が成立したはずです。それに、あれだけ高度な技術を持っているんです。あなた自身の深淵魔法だって、あったはずなのに。

 

「ふふっ……やけに、饒舌ですね」

 

 どこかうろたえた様子のあなたを、幼女は慈しむように見つめる。

 

「単純ですよ……あなたの輝きを、穢したくはなかった。そして、味わってみたかった。ただそれだけです」

 

 ???

 

 どこが単純なのだろうか。あなたは首をかしげた。

 

「それに私の深淵魔法は……戦闘向きではありませんから。まあ、手加減してたのは事実ですが、そこは価値観の違いです」

 

 あなたはこの幼女がよく分からなくなった。

 

 この人物の心が、感情がどす黒く濁っているのは事実であるのだが……。

 

「分からなくていいんですよ。私は、あなたの歩みを美しいと感じた。ただ、それだけですから」

 

 ……。

 

 ……。

 

 あなたの顔色が少し赤くなった。

 

「ふふっ、ざまぁーみやがれ、です。プロデューサーとしての実力も、圧倒的に私の方が、上なんです。ちょっと先に会っただけのおっさんなんか、すぐに上書きしてやるんですから……」

 

 あなたは首をかしげる。この幼女は本当によく分からないことばかり言う。

 

「ああ、もう少し近寄ってもらってもいいですか。頑張ったご褒美に、秘密を教えてあげます」

 

 徐々に虚ろな目をし始める幼女が、あなたへ向かって手招きした。

 

 僅かな警戒心。あなたには幼女に近づくことを躊躇う気持ちがあったが、絶対勝利の槍が直撃した今、もう特に警戒することはないだろうと考えた。

 

 幼女に近寄って、顔を覗き込む。

 

 

 

 ガバッ

 

 

 

 凄まじい勢いで幼女が起き上がる。

 

 しまったっ。

 

 油断。

 

 その隙を突かれ、あなたは――

 

 

 

 ――キスをされた。

 

 

 

 !??!??!??!??

 

 しかも濃厚である。舌が入ってきた。

 

 唇が触れてからほぼ間のない舌の挿入。とてつもない早業である。本当にこの幼女は死にかけなのだろうか。

 

 ――魔術【延々】

 

 あなたは驚愕しながら、咄嗟に魔術で距離を取る。

 

 そして瞬時に水の魔術をもって口をゆすぐ。

 

 恋愛的な思考回路があまり働かないあなたにとって、接吻という粘膜接触は色恋という要素よりも、何らかの魔術的な仕掛けやその他スキルなどのようなものが施されたと考える方が先に来る。

 

 そもそも自身を洗脳すると言っていた(やから)である。そういった可能性を真っ先に思いつくのは、ある意味当然の話だろう。

 

 警戒を怠ったのは、とんでもない失態だった。あなたはそんなことを考えた。

 

 そのまま流れるようにあなたは心象領域を限定的に展開し、自身にかかる害のある可能性を探知した。

 

「いや、そこまで全力で拒否されるとマジで凹むのですが」

 

 幼女は泣いた。どう考えても日頃の行いが悪かったのが原因だろう。

 

「まあ、良いでしょう」

 

 幼女は笑い、最期に言い残す。

 

「また会いましょう」

 

 そう言って、幼女は消えていった。

 

 

 

 

 ――二度と会いたくないです。

 

 あなたは幼女が残した宝箱を見ながら、そう言い返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪リザルト≫

 

〇第二勝敗判定(1d10)

結果【8】敗北

 

1~9.敗北 10.勝利

 

 

 

<【座敷童の献身】発動>

 

 

 

〇第三勝敗判定(1d2)

結果【1】勝利

 

1.勝利 2.自害

 

 

 

≪600日ボス報酬≫

 

○戦闘報酬(1d10)

結果【3】装備

 

1.アイテム

2.アイテム

3.装備

4.スキル

5.魔術書

6.魔術書

7.武術書

8.コミュニケ―ションイベント

9.特殊アイテム

10.???

 

○装備一覧(1d3)

結果【2】防具

 

1.武器

2.防具

3.装飾品

 

○防具一覧(1d7)

結果【3】鎧系統

 

1.帽子系統

2.服

3.鎧系統

4.ローブとかマント、外套系統?

5.手袋、籠手

6.靴

7.下着(ネタ)

 

○鎧一覧(1d10)

結果【6】軽鎧(革製)

 

1.軽鎧(革製)

2.軽鎧(金属製)

3.重鎧(金属製)

4.全身鎧(金属製)

5.成長する系

6.軽鎧(革製)

7.軽鎧(金属製)

8.重鎧(金属製)

9.全身鎧(金属製)

10.生きてる…

 

○品質判定(1d100)

結果【7】魔法級下位

↓幸運バフ(+5)座敷童子バフ(+9)

結果【21】魔法級下位

 

1     :呪いの装備

2~50  :魔法級下位

51~75 :魔法級上位

76~90 :深淵魔法級下位

91~100:深淵魔法級上位

 

※600日目のボスの強さから逆算して、最低限魔法級の強さを持つ装備が出ることが確定。

 

○鎧の効果(1d5)

結果【4】デバフ系

 

1.防御系 2.バフ系 3.攻撃系 4.デバフ系 5.回復系

 

○利便性(1d100)

結果【21】悪い

↓幸運バフ(+5)座敷童子バフ(+9)

結果【35】少し悪い

 

 

 

鬼胎(きたい)の革鎧を獲得した>

 

 

 

≪好感度上昇判定≫

 

主人公が勝った、有効打を一発入れたという点を含めて、4分の3の確率で好感度が上昇することとする。

 

○好感度判定(1d4)

結果【1】上がらない

 

1.上がらない 2~4.上がる

 

※100日ごとに会えるボスの好感度がカンストすると、特別な品がもらえる。

 

 

 

≪相性上昇判定≫

 

主人公の嫌悪感が強いので上昇なし

 




良いところまで書き終えたので、評価やお気に入りなどがいただけたら幸いです。
ぶっちゃけ、主人公がぼこぼこにされている話のところは低評価が多かったので、ちょっと凹んでいたりします。

基本低評価する人は、最新話まで読まずに1~4話くらいのところだけで低評価していく人が多いので、全部読んではいないし、多少はね?そこら辺を読ませるようにしなければなぁ…と前向きに考えられるのですが、最近は最新話に低評価がつくことが多かったので、まって、ちゃんと良い感じになるから……! と思っていたりしました。


○後書き
運良く、無事切り抜けることができましたね。
600日目のボスの好感度がここまで高くなければ起こらなかった悲劇ですが、ワンチャン洗脳からの人類意志さんに助けてもらうルートや、虐殺をぶちかましてライナー(進撃)みたいに銃フェ…こほん、罪悪感に苛まれてもらう展開も悪くはないと思っていました。

まあ、【座敷童子の献身】があったので、主人公の誰かのための方が力が発揮できる性質も合わさって、悲劇の回避はできたのですが。

一応、主人公は現状でも600日目のボスに勝つ方法はあります。はい。倉庫番になっている強欲さんが鍵ですね。強欲さんの4ステップくらいある覚醒方法の内、Bルートだと主人公は4分の3くらい条件を満たしています。これを使って上手くやれば、正攻法で600日目のボスに勝つことも可能ですね。

○600日目のボスについて
600日目のボスが何を考えているかは、現状ではよく分からないものだと思いますが、個人的にはそういうミステリアスなキャラの方が好きです。今回の戦いは、滅茶苦茶手加減された上での勝利なので、本来はここまで上手くいきません。好感度が高かったおかげでようやく勝ち目が出てきたって感じです。

そもそも100日ごとのボスはプレイヤーが徒党を組んで倒すことが前提の設計ですし、この遊戯自体そうサクサク進める難易度ではなく、何回か敗北した末に倒せる。つまり数千日近い修行を積んだ末に倒せるかなーという設計なので、むしろ恩情で突破した主人公の方が遊戯の設計上異端でしょう。つまりですね、好感度がさして高くもない700日目のボスは…察してください。

○深淵魔法のコピー
ぶっちゃけると、今回のイベント戦限定です。深淵魔法という技自体をコピーすることができても、今回のように強い勝利への執念がなければ、深淵魔法を発動する燃料が足りません。主人公の気質的に、現状では深淵魔法を自発的に使えるような強い動機はまだありません。しかし逆に考えれば、毎回座敷童子に応援してもらえば深淵魔法撃ち放題……?

○主人公の性質
好きな人、関係が深い人に応援されると頑張っちゃうタイプ。自分で自分を卑下する性格のため、自分のために頑張るのが苦手。下手すると作中で最もヤンデレ適性が高い。二番目は600日目のボスだったりするかも?

○座敷童子の献身
二十一話でメンヘラショタが自分の魂を削るレベルで無理してつけた加護。深淵魔法レベルにやばい代物であり、主人公のピンチの際に、一度だけその運命を幸運によってひっくり返す。使い切りタイプなので、以後この効果は消失した。
なぜここまで強いのかというと、第一に、愛じゃよ。という一面もあるが、神様に近い、いわゆる空想上の存在である座敷童子特有のスキルを、魂削ったり意思の力でブーストした結果、超越スキルに近い効果を発揮したから。

○好感度判定
4分の3で外すクズ運。しかしながら、600日目のボスの好感度は99で、これ以上上がってしまうとヤンデレ判定などが入ってくるため、ある意味幸運だったのかもしれない。ヤンデレ判定は通常3分の1の確率だが、600日目のボスは2分の1で判定される模様。

この小説のどういった部分が一番面白いですか?②

  • バトル展開
  • 世界の政治
  • 対人関係
  • 登場人物の奇抜さ
  • 主人公の戦闘面での成長
  • 主人公の心理面での成長
  • 主人公の個性・性格
  • 魔法やステータスなどの世界観設定
  • ダイスによる展開の読めなさ
  • ダイスによって良い目が出た時
  • その他
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