現実世界で神々はゲームを始めたようです~プレイヤーランキング一位のラッキーボーイは平穏に暮らしたい~   作:ササキ=サン

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タイトル通り、蝗害の後処理的なお話です。今回は人の温もりがない話です。


四十話 蝗害事件の影響

<ヒーロー登場!? 謎のプレイヤーが食糧危機を一瞬で解決>

 

 

 新聞の見出し。ネットニュースにも記事は書かれ、あなたの功績が代々的に公表される。

 

 

『あの時はすごいことが起きたんだ。バッタの体から急に花が生えてきて、いつの間にかバッタが全て、花になっていたんだよ』

 

『なんだか奇妙な花だと思ったら、その花が急に枯れ出したんだ。びっくりすることの連続で、もう言葉が出なかったよ』

 

 

 現地の黒人へのインタビュー映像が流れる。

 

 メディアはプレイヤーのその功績を取り上げると同時に、その力への脅威を語る。

 

 

『このような力がもし人間を対象に振るわれることになったら、間違いなくそれは人類への脅威となります』

 

 

 和国のメディアは、主にプレイヤーがもたらした功績を取り上げつつも、基本的にはその脅威が大きなものであることを主張した。

 

 その度合いとプレイヤーの今後の展望には、右派左派の会社の特色ごとにある程度ばらつきはあるものの、全体的な意見としては、プレイヤーは恐ろしいものであるという主張が強かった。

 

 特に左派系のメディアはプレイヤーの脅威を大いに誇張して、プレイヤーのあまりに大過ぎる暴力が個人の意思で振るわれることの危うさを声高に主張した。

 

 つまるところ、メディア全般としては和国国内のプレイヤーへのイメージダウンを狙っていたのだ。

 

 なぜメディアがそのようなことを狙っているのか。それは彼らが国外の様々な組織から影響を受けているからである。ぶっちゃけると、売国奴に近い行いをしていた。

 

 各国はある意味、共同戦線を築いた。目的は言わずもがな、和国から世界一位を引き抜くことである。

 

 故に、和国における大衆のプレイヤーへのイメージが悪くなり、プレイヤーに対する偏見等が増すことになれば、一位の愛国心は低下していき、いずれ和国を離れることになるのではないかという目論見があった。

 

 そういった工作を和国に仕掛けると同時に、各国は自国の影響力が及ぶメディアには、プレイヤーのイメージを良くするような工作をした。

 

 プレイヤーへの国民の印象が良好な国家と、悪い国家。もし勧誘されてその国家に所属するならどちらが良いだろうか。

 

 そういった住み心地がプレイヤーの勧誘に関わってくるだろうと予測した組織は、既にいくつかの根回しを始めていたのだ。

 

 また、敵対的な国家においては、和国と同様にプレイヤーへのイメージダウン戦略を行なっていたが、それらの力の入れ具合は、流石に和国ほどではない。

 

 特に核国メディアなどは外資の影響を受けづらく、共産党政府に従順な存在なので、そういった独裁的な国家であるほど、上からのプレイヤーへのイメージ戦略は大きな功績をあげた。

 

 顕著なのは、メリケンや核国、ルーシーと……イツドの国家だろうか。

 

 メリケンは言わずもがな、天才的な大統領の手腕によって、メディアやSNSを利用する……特に大統領が直々にツイッターでプレイヤーを褒め称えることなどで、プレイヤーへのイメージは非常に良好なものとなった。

 

 核国は独裁的な権限のごり押しで、プレイヤーへの印象操作を行ない、また蝗害が頻繁に起こる国ということもあって、そのプレイヤーの功績を大衆自身が評価することができ、核国内のプレイヤーへの好感度は上昇した。

 

 ルーシーも同じように独裁国家的な風潮があったが、何よりもクワモス事件解決の功績があり、自国の危機を一度プレイヤーに救われているということもあって、プレイヤーへの好感度は非常に強かった。

 

 そして以外なのはイツドの国家だが、この国は単純に首相が有能だった。ただそれだけの話である。

 

 首相の指揮のもと、うまく影響力をやりくりして、プレイヤーへの国内世論を好印象なものに落ち着けた。

 

 逆に様々な国家の工作を受けた和国であったが、それでもプレイヤーの印象が大きく下がることはなかった。

 

 以前、大量のエターナルコアが寄付されたというプレイヤーの行いがあり、概ねプレイヤーは危険な存在ではないという認識が広まっていたおかげである。

 

 また、ある程度アニメやゲーム、漫画といったファンタジーな創作に触れることが多くある人物は、その脅威を論じるというよりは、創作的なことが現実でも起きたということに夢中であった。

 

 さらに近年の政治への無関心も相まって、正直に言ってしまえばあまりプレイヤーの脅威などには興味がなかったのだ。

 

 この傾向は若い人ほど顕著に現われ、高齢の人々は本気でプレイヤーを脅威と捉える人物が多くなり、年齢が下がるにつれてその意見は変わっていくことになった。

 

 

<核国が謝罪。プレイヤー一位が所属しているというのは誤報であり、連絡の不手際だった>

 

 

 また、核国も以前発表したフェイクニュースが本来の目的を達成できるものではないと判断したら、すぐさま損切りをした。

 

 おそらく核国の誰かが今回の件で責任を取ることになるのだろうが、もとから国家の信用性がそこまでではない核国では、国家全体の利益で言えば、メンツが少し傷つく程度で大きな損失はなかった。

 

 むしろ余計な嘘をつき続けることで、不利益を被る可能性があるので、そこは合理的な判断を下すことができたのだ。

 

 また、蝗害事件以降、和国のメディアにはよく他国の窮状が放送されるようになる。

 

 ~~で大規模な洪水が起きた。~~で噴火が起きた。

 

 まるで助けて欲しいと言わんばかりに、世界中の様々な苦境が和国のメディアを通して国民に伝えられた。

 

 そう、近い将来、あなたは自身の行動の責任を取ることになる。

 

 助けてくれると認識してしまった人類から、あなたは逃れることはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 メリケン合衆国。ホワイトハウス。

 

「CIAの分析です」

 

「そう、ありがとう」

 

 ミア大統領は手渡された資料を読み、やっぱりね。と声をもらした。

 

 ――メディアのニュースが報道された時間などから推測して、Mr.ファーストはやはり和国にいる可能性が高い。

 

 レポートには他にも、様々なことがまとめられていた。

 

 フリカア大陸おける魔術の影響範囲とその効力について。

 

 これに関しては、クワモス事件の時にも既に発覚していたことだが、今回の事件を通して、プレイヤーの持つ攻撃手段の凶悪性がより明らかになった。

 

 蝗害を引き起こした、数百億から千億近いといわれていたサバクトビバッタを一瞬で花に変える。

 

 これは言い換えれば、人間を一瞬で花に変えることができる可能性を示唆していた。

 

 その攻撃がどのようにして行なわれたのかすらも把握できていない現状においては、国防的な観点からは、一位の存在はとてつもない脅威であり、何らかの迅速な対応が必要な存在であった。

 

 平和に話し合えば何とかなると思うから、そこまで躍起になって対策を考える必要がないのでは?

 

 そういうことを考える人物は、あまりにもナンセンスだ。

 

 そんな脳内お花畑理論で人類の歴史が動くならば、莫大な予算を軍事費に掛けたりはしない。

 

 まず、人類は共同体ではないのだ。仲良しでもない。だからこそ互いの利益が衝突したとき、冷静に話し合いをするにしても、常にIFの可能性がつきまとう。

 

 つまり、既に軍事力で圧倒的に負けている状態だと、いざとなったら武力で殴り飛ばせば何とかなるとなれば、交渉がまともにできるわけがないのだ。

 

 例をあげるなら、のび太とジャイアンが対等に交渉できるだろうか。そう、できないのである。のび太は常にジャイアンの暴力に怯えながら、交渉をすることを強いられるのだ。

 

 だからこそ大統領はその不均衡を大いに懸念する。

 

 それ故に、彼女は一位に対抗しえるかもしれないプレイヤーを素早く確保しようとしているのだ。

 

 さらに資料には驚くべきことが書かれていた。

 

 和国にプレイヤーが住んでいるとなると、前回のクワモス事件の際に凄まじい速度で移動したことになるが、その移動の痕跡を一切見つけられなかったというのだ。

 

 衛星や和国のメリケン軍基地のレーダーしかり、メリケンにある最先端技術を駆使してなお、高速で移動する物体を一切発見できなかったと報告されている。

 

 つまりだ。プレイヤーはその移動の痕跡でさえ察知できないような、高速かつ隠密的移動手段を保持していることになるのだ。

 

 ――また国防省が発狂しそうな報告ね……。

 

 さらに、資料には一位が残した枯れた花に関する科学的な分析結果が出ており、現代科学を通してプレイヤーを見た際の、非常に多くの驚くべき事実が書かれていた。

 

 まず、バッタを肥やしに育った花に関しては、明らかにバッタの質量よりも大きな花が咲いていることに、質量保存の法則等からその異常性を示していた。

 

 花の組成を分析した結果、バッタの体の質量を全て花に変換した上で、それに+αして植物として成立しえるための、いくらかの成分が追加されているのではないかという考察がされていた。

 

 他にも様々な科学的見地から考察がされていたが、そこは一旦置いておくとしよう。

 

 それから。

 

 資料を素早く読み終えた彼女は、思索にふける。

 

 数秒の沈黙。

 

「決めたわ」

 

 彼女は決断した。

 

「CIA長官に伝えて頂戴。今後、和国のあらゆるメディア、SNSを監視し、そして警察組織と事件に関する情報の共有をしっかりするようにと」

 

 そして彼女はいつも通り、自信満々な笑みを浮かべる。

 

「世界の救済にここまで積極的なら、身近なことにも当然、その力を使う可能性が出てくるわ」

 

 彼女は予見した。きっと一位の尻尾は、早期に掴めるだろうと。

 

「プレイヤーが起こす不可思議を決して見逃さないように。頼むわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

≪リザルト≫

 

○指導者有能度(1d100)

核国【59】

 

○核国指導者の目標(1d5)

結果【2】国家の経済

 

1.覇権獲得

2.国家の経済

3.国民の生活

4.個人の幸福、名声

5.特定の民族・グループの繁栄

 

 

 

○指導者有能度(1d100)

ルーシー(ロシア)【21】

 

○ルーシー指導者の目標(1d5)

【3】国民の生活

 

 

 

○指導者有能度(1d100)

イツド(ドイツ)【84】

 

○イツド指導者目標(1d100)

【3】国民の生活

 

 

 

○和国におけるプレイヤーへのイメージ(1d100)

結果【64】少し良い

↓各国のデバフ-20

結果【44】普通




アメリカのレポートによると、日本のメディアは中国の影響をあまり受けていないらしいですね。この世界においては、全方位から殴られているので完全敗北状態ですが。

メディア戦略は大変重要なのが分かる一幕です。なので作者は慣れないツイッターを始めたのですが。

ツイッターを始めたので、良ければフォローをどうぞ。使い方をよく知りませんが、これから勉強していきたいですね。

https://twitter.com/QdxzfbdboLzVQKB
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