現実世界で神々はゲームを始めたようです~プレイヤーランキング一位のラッキーボーイは平穏に暮らしたい~   作:ササキ=サン

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短いですが、次への足がかりとして投稿です。

あ、たくさんの評価ありがとうございました。前の話を投稿して以降、評価がたくさん飛んできて、とても励みになりました。


四十四話 拒絶

 木曜日、午後。

 

 一人の女性がアパートの階段を上っていた。

 

 彼女の名前は戸也(となり) (あゆみ)。最近、あなたにひどく関心を寄せる教師である。

 

 彼女はあなたのことをひどく心配していた。以前からあなたに対して危ういものがあると感じていた彼女は、火曜日のあなたを見た時、その心配を一層膨らませることになった。

 

 火曜日のあなたは、あなたのことをいつも注意深く見つめる者にとっては、ひどく憔悴しているように見えた。

 

 表情はいつも通りの無表情だが、瞳の明るさや声の張り具合など、分かる人にはしっかり分かるほどに、あなたは元気がない様子だった。

 

 彼女は一度、その様子を心配して、何かあったら相談にのるといったことを告げたが、結局悩みを打ち明けられることはなかった。

 

 まだあなたと信頼関係を上手く結べていないのだと、彼女は少し悲しい気持ちになった。

 

 そして同時に、あなたが自殺をしてしまわないか、過去の経験もあり、彼女はひどく心配になった。

 

 だからこそ、彼女は水曜日のあなたを見た時に安心した気持ちになっていた。

 

 前日に比べると、ずっと良い顔色をしている。

 

 職員室で伝えられた、幼い子を救ったという朗報も、きっと彼に良い影響を与えたのだろう。

 

 彼女はあなたを優しく見守っていた。

 

 しかし、今日あなたは学校を休んだ。

 

 前日の夜、不幸な事故で救った幼い子の母親が亡くなったという事件を聞いて、もしかしてそれと何か関係があるのではないかと疑問をもった。

 

 彼女は以前、親しい友人が自殺してしまった経験がある。

 

 その経験の影響があって、些細な、気のせいかもしれない小さな兆候も見逃すことができない。

 

 最悪の想像をした彼女は、プリントを届ける、及び体調を崩した一人暮らしの生徒の様子を見てくるという名目で、あなたの家に訪れることにした。

 

 彼女はインターホンを押す。

 

 それから数秒経って。

 

 ガチャリと、あなたは扉を開けた。

 

 

 

「こんにちは、高梨くん。プリントを届けに来たよ」

 

 彼女はあなたに向けて微笑み、一度表情を凍り付かせた。

 

 彼女は読み取ったのだ。あなたから漏れ出る、深い絶望の色を。

 

 だから彼女は表情を凍り付かせた。

 

 しかし。

 

 同時にあなたもその表情を見た。

 

 何かとんでもないものを見た表情と、彼女がいつもあなたに向ける心配のオーラ。あなたの特殊な瞳を通して見ることができるそれが、一瞬で増大した。

 

 だからあなたは、冷静に自分の様子を客観視することができた。

 

 何か自分に変なところがある。それを自覚した上で、自己の様子を振り返る。

 

 そしてあなたは、自身がまるで世界一不幸なことありましたといわんばかりの、非常に陰気な雰囲気を纏っていることに気づいた。

 

 それを自覚すると、あなたは自分自身にどうしようもないほど怒りが湧いた。

 

 

 

 なんだその辛そうな顔は。

 

 全部お前のせいだろ。

 

 誰かに心配してもらいたいのか?

 

 誰かに救ってもらいたいのか?

 

 違うだろう。

 

 

 

 だから、あなたは魔法を使う。

 

 ゴギッと。自分そのものをねじ曲げる。

 

 気づけば、そこにはいつも通りのあなたがいた。

 

 平穏を好み、そこそこに人生を楽しむ、数週間前のあなただ。

 

 

 

(……?)

 

 

 

 彼女は一瞬の豹変に、思わず自分の目を疑う。

 

 あまりに早すぎる、一瞬の雰囲気の変化に、プレイヤーという超人の想定をしていなかった彼女は、先ほどの様子は夢幻(ゆめまぼろし)を見たのではないかと考えた。

 

 そこから簡単な雑談をしたが、結局彼女はあなたの闇を感じることはなかった。

 

 むしろ、あなたのアパートから帰る頃には、思ったよりも元気になっていたという印象を抱いて、むしろ安堵の気持ちを深めていた。

 

 無能?いいや、それは違う。

 

 一般人の延長線上にある彼女が、心理に関する防衛機制を象った魔法を持つあなたに、さらにプレイヤーとしての超常の知覚能力を持つあなたに、その心象を正確に読み取るというのはあまりにも無理がある話なのだ。

 

 

 

 

 

 

 去って行く彼女を見つめながら、あなたは思う。

 

 あの人は本当に、自分のことを心配してくれている。

 

 こんな罪深い、愚かな自分のことを、心配してくれているのだ。

 

 本当に、あの先生は良い人なのだろう。

 

 だからその関心が、その救いが、自分のようなクズではない、もっと他のよりよい人物に向けられなければいけないと、あなたは強く実感した。

 

 ――ごめんなさい。

 

 思わずあなたは謝った。どうしようもなく迷惑をかけてしまったことを、心配させてしまったことを。

 

 

 

『貴方は救われるべき人間です! 自分を卑下してはいけません、貴方もまた、主の目には尊い存在なのです!』 

 

 

 

 救恤(チャリティー)の言葉を思い出す。

 

 ああ、本当にこの世界は優しい世界なのだろう。こんな自分にすら、多くの救いの手が差し伸べられている。

 

 だから、しっかりと自制しなければならない。

 

 楽な方向に流れないように。自分の罪を忘れてしまわぬように。

 

 あなた自身は、決してあなたを赦さないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メリケン合衆国。ホワイトハウス。

 

「大統領……」

 

「どうしたの?」

 

「ソフィア様が……」

 

 少し前。メリケンでは、大きな騒動が起きていた。

 

 

 

「ソフィア様が、置き手紙と共に行方をくらませたそうです」

 

「何してるの姉さん!?」

 

 姉。そう、メリケン最強のプレイヤーであるソフィアの本名は、ソフィア・マルティネス。

 

 彼女は大統領であるミア・マルティネスの姉であった。

 

 慌てて彼女は、姉が残した置き手紙の内容を確認する。

 

 

 

 

 

『ガブリエル様のお告げがあったから、和国に行ってくるわ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『頼みましたよ、ソフィア……』

 

 閉ざされた空間の中、救恤(チャリティー)は一人呟く。

 

『強き意思を持つプレイヤーに敬虔な主の信徒がいたのは、僥倖(ぎょうこう)でした』

 

 そして彼女は祈る。

 

『主よ、どうか緑に救いを……』

 

 

 

 

○学校に行く?(1d2)

結果【2】行かない

 

1.行く 2.行かない

 

○先生のチャンスパート2(1d5)

結果【3】失敗

 

1~4.失敗 5.成功

 

※関係性が希薄なため、成功率が低い

 




○ガブリエル
マリア様に、あなたキリストを孕みました告げた天使。神の言葉を伝える役目を持っている。なお、救恤(博愛)という美徳に象徴される天使だとか?

○学校に行った場合
やべーやつ「休みとか、聞いてないじゃん」
こいつに絡まれる。
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