自信満々な幼馴染のライバルに旅先で絡まれる話 作:雨ざらしの鷲
夢にまで見た旅立ちの日、オーキド博士から俺のはじめてのポケモン、ヒトカゲを貰った。
「……よろしく」
「カゲッ!」
ボールから出して挨拶をすると元気に返事をしてくれる。可愛くて頼もしい奴だ。
憧れのポケモントレーナーとしての第一歩がこれから始まる。その思いを胸に研究所を後にして俺の冒険が始ま―――
「あ!待ってよ!レッド!」
「…………」
研究所を出た途端に背後から元気のいい女の子の声で呼び止められる。振り向かなくても誰かわかる。これに何年付き合わされてきたか。
「せっかくお爺ちゃんからポケモンをもらったんだよ!勝負しようよ!」
振り返ると自信満々な顔で幼馴染がボールを構えていた。
白い帽子にロングヘア、それにちょっと目のやり場に困る際どいミニスカートと、これから旅に出る女の子の格好にはあまり思えない。それも贔屓目に見ても凄く可愛い、美少女といって間違いない女の子がそんな恰好をしてるんだから相手するこっちの気持ちにもなってほしい。
(しかもなんでバッグをたすき掛けにしてるんだ……)
冒険のために用意したんであろうバッグが胸の谷間を通り、最近成長して膨らんできた胸を強調していて上半身までも思春期の男子としては目のやり場に困る。
……眼福じゃないかって?
長年一緒にいた幼馴染をそういう目で見てるなんて気づかれたら、これからどう接すればいいんだ。罪悪感が凄い。
……少し前まではリーフでそんなこと意識することなんてなかったのに、最近そう言う目で見てしまう自分が嫌になる。
「ねえ!聞いてるの~!?勝負しようよ~」
「………ん」
「へっへ~ん!そう来なくっちゃ~!行くよ!フシギダネ!」
「ダネ!!」
帽子を目深に被って視線を遮ることで何とか煩悩を振り払う。
(それに…何よりはじめてのポケモンバトル…!!夢にまで見たトレーナーとしての始まり…!)
「カゲッ!」
ボールからヒトカゲを出し、リーフのフシギダネと対峙する。
帽子を深くかぶるのは俺にとって気持ちを切り替える合図で、今の俺にはポケモンバトルのことしか見えない―――!!
「……ひっかく」
「フシギダネ!たいあたりー!」
先手を取ったのは俺のヒトカゲ。フシギダネを爪で引っ掻きダメージを与える。フシギダネも攻撃に耐えて反撃に転じる。
「……もう一度…!」
「えっ!?ああ!フシギダネ!」
すばやさではこっちが上。そう判断した俺は苛烈に攻め続ける作戦に出る。作戦が上手く嵌まったのか攻防に少しずつ差が付いていく。
「……行け…!」
「カゲェ!!」
「ああっ!そんな~!」
ヒトカゲの渾身の一撃が隙を見せたフシギダネに決まり、リーフとの勝負に勝った。
「……むぅ~~…!」
「………」
「ぷぅっ。…って何するの~!」
悔しさでほっぺを膨らませるリーフを見て、ついイタズラしたくなって指で頬をつつく。
間の抜けた声を漏らしてほっぺが萎む。楽しい。
「……よし!これからいっぱい頑張って次こそレッドに勝つからね!」
「………っ」
(近い!近い!)
リーフが前かがみになって俺の顔を覗き込んでくる。顔同士が近づいてせっかくバトルに集中して打ち払った煩悩がぶり返してくる。こいつは自分の顔の良さに自覚がないのか?
「よ~し!どんどんバトルして強くなるからね!じゃあねレッド!」
負けをバネにかえって気合が入ったリーフは俺より先にマサラを出発して走っていった。
「………ヒトカゲ、頑張ろう…」
「カゲ?」
残された俺は勝負に勝ったはずのに、なんか負けたような気持ちで突っ立ってた。それと―――
(白…)
やっぱリーフのあの格好はやめさせないと、と思った。
ポケマスのリーフ可愛い。