自信満々な幼馴染のライバルに旅先で絡まれる話 作:雨ざらしの鷲
ハナダは みずいろ しんぴのいろ
はなさく みずの まち
「出口……!」
長い洞窟を抜け、ついに俺は外に出ることができた。
険しい山道、黒づくめの服を着た怪しいガラの悪いトレーナーとの連戦でもうクタクタだ。
「………ハナダシティ…!」
洞窟の出口になっている山の中腹から次の目的地ハナダシティが一望できる。苦労の甲斐あって、多分この景色俺はずっと忘れないと思う。
(本当に…大変だった……!)
ここまでの度を振り返れば、トキワの森では半ば強引についてきたリーフに振り回された。
普段はあんなに自信満々なのに意外と怖がりなもんだから、木々が揺れて音を立てるだけで…。
『きゃっ!何!?』
『………!』
腕に抱き着いてくるし…。
『わぁ~!ピカチュウ!かわいい~っ!レッド!見て!ってどうしたの?』
『………別に』
可愛いポケモンに遭遇すれば夢中になってミニスカートでしゃがみ込むし…。
『ええい!お前ら!神聖な虫ポケの聖地で…!羨ま……やかましいぞ!!勝負しろ!』
『えっ!?ポケモン勝負!?やるやる!行くよ!フシギダネ!ほらっ、レッドも!』
騒ぎすぎて虫ポケモンを捕まえに来てたトレーナーに勝負を挑まれて目を輝かせてまたはしゃいだり…。
まあ、はじめてのダブルバトルってやつを経験できたのはありがたかったが……
『くそ~!こんなカップルに負けるなんて~』
『カップ……っ!?ぜ、全然違うから!!ねえレッド!?』
『ちくしょ~~~!!』
(……はっきり斬り捨てられるとそれはそれで傷つくな…)
駆け出しのトレーナーに負けたのがショックだったのか、虫取り少年くんは走り去ってしまった。
そんなこんなでニビシティまでたどり着けたものの、このままだとお月見山でも同じ目に合うのが予想できたので念には念を入れて釘刺しておいた。
………ただ帰ってきた返答が……
『レッドの…バカ!』
予想外だった。あいつ、そんなに怖がりだったのか。
そのまま走り去られて喧嘩別れみたいになったのでこっちまで結構凹んだ。言い過ぎたかもしれないけど、やっぱり一緒に一人前のトレーナーを目指すんだから森とか洞窟も自分とポケモンとで乗り越えて欲しかった。
それからリーフには会えずじまいだ。
その後、ニビジムリーダーのタケシと戦った時、リーフが先にバッジをもらったって言ってたから俺より先を進んでるんだろう。お月見山のふもとのポケモンセンターでも会わなかったし一人で乗り越えたみたいだ。
「……リーフ」
途中まではうんざりしてたけど、いざ会えないと少し心配だ。
(どこかではぐれたり怪我したりしてないよな?)
リーフだって女の子だ。しかも正直凄い可愛い。なにかトラブルに巻き込まれたりしてないだろうか。
(………大丈夫、だよな…?)
ポケットにしまっていたポケギアを手に取る。
洞窟を抜けて電波も届くようになったのでリーフのポケギアに「ごめん」ってメールを送ってみる。
(返事、あると良いけど……)
PIPIPIPI!
(早!)
奥ってすぐポケギアから受信音がする。
メールには一言、【ばか】と書いてあった。
(人が心配してたのに……!もういい…!)
PIPIPIPI!
「!」
ムカついてメールを消してやろうとした瞬間にまた新しいメールが届く。
今度もまたリーフからでメールには今度は二言。
【ごめん ありがと】
(………無事ならいっか)
結局いつものパターンだ。どうでもいいことで喧嘩して、どっちかが折れて謝って、いつも張り合ってる相手に謝られると謝られた方も頭が冷えて謝り返して。
幼馴染の無事も確認して一安心したことだし、山を下りる。さすがに疲れた。ハナダシティでゆっくり休もう。ポケモンたちも休ませたいし。
(今頃、リーフはどこまで行ったんだろ?どんどん行っちゃう奴だからハナダのジムバッジも貰ってヤマブキとかクチバまで行ったか?)
疲れてはいるけど、リーフに追いつかなきゃと思うと気合は湧いてくる。冒険を続けてればまたどこかでばったり会うだろうし、その時に向こうがビックリするくらい強くなってやる。
「うん、勇気出して誘ってみるよ!フシギソウ!……あ」
「………」
再会は予想以上に早かった。ハナダについた途端にまるで図られたかのように奇跡的にリーフに出くわした。
リーフは街の北から現れました。