自信満々な幼馴染のライバルに旅先で絡まれる話   作:雨ざらしの鷲

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第4話 敗北

 

「ぁ……」

 

「………」

 

ついさっきメールで謝った相手にたまたま出くわすとはなんと気まずいことか。

こんなのラジオ番組の抽選で一等を当てる並の確率だ。リーフも予想外なのか完全に固まってる。

相変わらず旅をしてるとは思えないミニスカートとノースリーブのシャツで、背丈はちんちくりんな癖に成長するところはしっかり成長した体つきがたすき掛けされたバッグのせいでさらに強調されている。最近リーフと話をするだけでドキドキしてる自分がいる。

 

「………や、やあレッド!まだお月見山をうろちょろしてたの?その間に私は凄いの強いのたくさん捕まえて絶好調だよ!」

 

あまりの気まずさにリーフのやつ、いつもの自信満々な調子で何事もなかったかのようにゴリ押そうとしてる。

 

(まあ…、この方がリーフらしくて好きだけど)

 

なんか心配していた分、いつもの調子でこっちの方が安心させられる。

 

「どれどれ、レッドはどう?ちょっと見せてみてよ!行け―!ピジョン!」

 

「!?」

 

油断していたところをリーフが勝負を仕掛けてくる。

まさかの展開だがこっちもトレーナーである以上、挑まれた勝負には応えないといけない。

 

「ピカチュウ」

 

「ピカァ!」

 

「あっ、可愛い…!……じゃなくって!コ、コホン、…でんこうせっか!」

 

繰り出したピカチュウに目を輝かせるが、さすがに油断まではしてくれない。ピジョンの攻撃がピカチュウを追い詰める。

 

(…まずい…!こっちは山越え直後で余力もないのに…!)

 

お月見山の野生のポケモンに加えて怪しい黒づくめ立ちとも戦ったからこっちは万全じゃない。しかもリーフのやつ、かなりポケモンを育ててる。タイプ的には有利なはずのピカチュウが追い詰められていく。

 

「でんきショック……!」

「すなかけ!」

 

「ピッ!?」

 

「ふふん!外れ!かぜおこし!」

 

ピカチュウ得意のでんき技で形勢逆転を狙うが砂をかけられ攻撃が外れる。技の後の隙を突いてリーフのピジョンが手痛い一撃を喰らわせる。

 

「……戻れ、ピカチュウ」

 

(……無理させてごめん…。よく頑張った)

 

戦闘不能になったピカチュウをボールに戻す。お月見山でも頑張ってくれて疲れているのによく頑張ってくれた。

 

「リザード!」

 

他のポケモンもリーフのポケモン相手に戦えるほど余力はない。あとは俺のエースにすべてを託すほかない。

 

「レッドのヒトカゲも進化したんだ!でも、私のフシギソウも負けないよ!」

 

「フシャ!」

 

リザードに対してリーフはフシギソウを繰り出す。博士からもらったフシギダネが進化した、おそらくリーフにとってのエースだ。

 

「……!ひのこ!」

 

「わっ!よーし…!フシギソウ!やどりぎのタネ!」

 

リザードが先手を取り抜群の威力の攻撃を喰らわせるが、リーフのフシギソウもそれに耐える。フシギソウの蕾から種が飛び、リザードに植え付けられる。

 

「っ……!ひのこ!」

 

「耐えて!フシギソウ!」

 

「……!!フ…シャ!」

 

「よーし!次は…ねむりごな!」

 

(しまった…!)

 

リーフの狙いに気づき短期決戦を目論むも、相手の体力を奪うやどりぎのタネで回復していたフシギソウはリザードの猛攻に耐えて今度は粉を飛ばす。

フシギソウのねむりごなでリザードの動きが止まる。

 

「フシギソウ!とどめの…つるのムチ!」

 

無防備に隙を晒してしまったリザードにフシギソウの得意技がクリーンヒットする。

 

「………戻れ、リザード…」

 

「やった!私の勝ちー!」

 

手元に戦えるポケモンがいない。俺はリーフとの勝負に負けた。

 

「これでマサラでのリベンジ成功!さすが私のポケモン!」

 

「……………」

 

悔しい。

ほかならないリーフに、競い合うライバルに負けたのが悔しい。リザードもピカチュウも頑張ってくれたのに勝たせてあげられなかった。

 

(せめて万全の状態で戦ってたら……!)

 

だけどお月見山での疲労で俺のポケモンたちはベストコンディションじゃなかった。全力で戦えてたら負けてなかったはず。

 

「フシギソウ、お疲れ様。よく頑張ってくれたね」

 

(………!)

 

リーフがフシギソウに駆け寄って労う。

それを見て、今さらになってフシギソウの体にリザードが与えたものではない傷があることに気づく。

 

(リーフたちも万全の状態じゃなかった……)

 

万全なら勝てたなんて言うのが自分の驕りだということに気づかされる。それどころか戦う相手のコンディションにすら戦いが終わるまで気づけない自分に腹が立つ。

リーフはマサラでの負けをバネに、万全じゃなくとも俺に勝てるだけでの自信と実力を身に着けて勝負を挑んだ。ふんぞり返ってた俺なんて追い抜いて当然だ。

 

「ふふん!レッドがのんびりしてる間に強くなり過ぎちゃったかな?」

 

「…………」

 

悔しい。努力し続けたリーフが凄いと素直に思えるだけに悔しい。

マサラで負けた時のリーフも表に出さないだけで、こんな気持ちになってたのかもしれない。トキワで宿を取り逃すくらい遅くまで冒険してたのも俺に負けたくなかったからだったんだろう。そんな事にも気づかず天狗になってた俺は…。

 

「そ、それじゃあ…、勝ったんだから、レッドには私の言うこと、一つ聞いてもらおうかな?」

 

「………ん?」

 

「だ、だからっ、レッドには私の命令に従ってもらいますっ!………やっぱ、だめ?」

 

「………」

 

勝ったリーフの口から初めて聞くルールが発せられる。なぜか俺がリーフの命令に従うことになってる。

 

(俺は負けたんだ。負けた以上、俺にできることなら飲むか)

 

断じて、言ってみたものの不安になって上目遣いに首を傾げるリーフにやられたからじゃない。背が低いからそういう仕草が自然で威力が凄いこととは関係ない。

 

「ん…」

 

「えっ、ほんと?ほんとに!?」

 

「…??うん…」

 

俺が首を縦に振るとリーフは目を輝かせて大喜びする。

 

(………俺、何させられるんだ?)

 

わざわざ俺を巻き込むなんてどんな難題が言い渡されるのか。今更首を縦に振ったことを後悔したくなる。

 

「じゃ、じゃあね……、その…」

 

「………っ」

 

(なんか…妙に焦らすな…)

 

あのリーフが言いよどむことっていったいなんだ?怖くなってきたんだが。

 

「き、今日はもう遅いから、明日!明日の朝ね!」

 

散々焦らしておいてまさかのこの発言である。心の中でずっこけた。

 

「い、いいから明日!明日の朝、ポケモンセンターの入り口ね!じゃ、じゃあね!お休み!」

 

言うだけ言ってリーフの奴、足早にポケモンセンターの方へ去っていった。

 

「………行くか……」

 

呆気にとられたけど、ポケモンたちを休ませなきゃいけないし俺もポケモンセンターへと向かう。

 

いったい俺は明日、何をやらされるんだ?

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