第十話の投稿です。
今回はワニのクエストからあの人との出会いです。
賢治とカズマが新しいウォッチを手に入れます。
今回もよろしくお願いします。
それでは、第十話をどうぞ。
賢治達は新たな仲間、ロイミュードNo.RRR『ルミ』を連れて、アクセルの街に帰ってきた。
帰り道の途中で、プロトトライドロンを置いてきた事を思い出し、取りに戻ろうと思ったが、ダクネスの持っているトライドロンキーのRのエンブレムに指を置くと、キーが起動しなんとプロトトライドロンが俺達の元に走ってきたのだ。
あの地下からどうやって?
と思ったが、深く考えないことにした。
俺は普通免許のAT限定しか持っていないが、都合よくこのプロトトライドロン、ATだった。
プロトトライドロンに乗ってアクセルまで戻った俺は、ブランクライドウォッチをプロトトライドロンに当てると、ブランクライドウォッチに吸い込まれ、新しいウォッチが生まれた。
アクセルの冒険者ギルドに入ると、カズマ・めぐみん・エルシャ・アクアが揃っていた。
だが、ルミがみんなの前に現れると、ギルド内にいる全ての人間が驚いていた。
ルミがスカートの裾をそっと掴んで、お辞儀をして挨拶する。
その淑女然とした仕草に、男女問わず『おぉ!』と声が上がった。
自己紹介が終わると、全員ルミはダクネスと姿は瓜二つだが、別人であることが分かってくれた様だ。
カズマ達には彼女が人間ではなく、機械生命体『ロイミュード』である事を話し、ダンジョン内での経緯を話した。
するとカズマが
カズマ「賢治!! テメェェェェ!!!」
と叫んで、胸ぐらを掴んできた。
まぁ、なんとなく言いたいことはわかる。
その時いつの間に後ろに回り込んだのか、ルミがカズマの後ろに回り込み
ルミ「その手をお離しください、これ以上の行為はマスターに対する敵対行為とみなし、排除します。」
カズマ「!!! ・・・・・・はい。」
カズマの首を後ろから掴み、絶対零度の声でそう言った。
カズマは顔を引き攣らせ、手を離した。
一応彼女も冒険者登録をしてみたところ、ステータスがカードに表示されたのでそれをみてみると
RUMI
LV 1 職業(無し) SP 500
体力 1120 火 50
魔力 59 水 50
力 104 土 50
知力 60 風 50
俊敏性 72 光 50
器用さ 81 闇 50
幸運 28
スキル
・潜伏
・敵感知
UQスキル
・従者(ツカエルモノ)
スキルの所持者が主人と認めた者と魔力的な繋がりを得る
主人の思考を断片的に読み取ることができる
スキル所持者の思考を主人に伝えることができる
EXスキル
・帰還契約(武器)
所持している武器が手元を離れても持ち主の任意のタイミングで手元に戻ってくる
・操糸
糸を操る
『粘糸』『綱糸』の2種類糸を生成できる
・音波探知
超音波を発生させ周囲を探る
・熱源感知
熱を発する物を感知する
視覚情報に映し出される
ロイミュードだけあってレベル1でありながら結構ステータスが高かったな。
体力なんてレベル1なのに1000超えている。
スキルもUQスキルが一つ、EXスキルが四つある。
賢治「従者(ツカエルモノ)?」
「・・・・・・試してみるか?」
俺は心の中で、『水が飲みたい』と思ってみた。
するとルミは、コップ一杯の水を持ってきてくれた。
ルミ曰く、なんとなく俺が水が欲しいと思っている様な気がしたらしい。
これは、メイドと言うか、秘書と言うか、優秀で羨ましい限りだこのイケジョ。
賢治(・・・・・・イケジョって、死語だっけ?)
ちなみにルミは、自分の職業を『諜報士』という職業にした。
本人は『メイド』という職業が無いことを不満に思っていた。
そして、カズマとエルシャは再度『キールダンジョン』を攻略し、カズマはレベルが上がり、エルシャも同じくレベルが上がり、新しい装備も手に入ったようだ。
上は、緑色のロングスリーブで前面にジッパーが付いた、ハイレグカットのボディスーツに肩と腹部に鋼のプレートがついている。
その上に、茶色のレーザーマントを羽織っている。
下は、茶色のツールベルトがついた黒のショートパンツに、両サイドに菱形の格子状に編まれた緑のリボンがついた黒のニーハイブーツを履いていた。
両手は黒のハーフフィンガーグローブ、腰には、短剣と背中に細長い棒状の武器、スタッフと言う武器を背負っていた。
能力透視で見てみると、どうやらボディスーツとショートパンツとグローブは三つでワンセットみたいだ。
○深緑の聖衣
・破壊鈍化
このスキルを持つ武具は破壊されにくくなる
・深緑の加護
水属性のエレメント耐性が25上昇する
地属性のエレメント耐性が25上昇する
○陽光のマント
・破壊鈍化
・自然治癒強化
自然治癒能力が強化される
○聖命のブーツ
・破壊鈍化
・大地の祝福
両足が地についているとき治癒速度が上昇する
○鋭斬刀
・破壊鈍化
・鋭利化
刃物の切れ味をよくする
○曙光のスタッフ
・破壊不可
・回復魔法階級上昇
回復系の魔法を使用した時その回復魔法の階級を上昇させる
・深緑魔法『ガイア・ブレス』
各エレメント耐性を50上昇させる
各ステータスが25%上昇する
どれもいい装備ばかりだ。
武器のスタッフには『深緑魔法』という魔法が使えるみたいだ。
ただ、ボディスーツに関しては・・・結構エロくないか?
めぐみんとアクアは、予定通りデュラハンのことを調べてもらった。
おかげで奴の事が色々わかった。
これで後はデュラハンに挑むだけなのだが、一週間後まで残り1日のところで
アクア「お願い! このクエスト手伝って!」
アクアのこの一言から、俺達は彼女が持ってきたクエストに挑むことになった。
内容は、湖の浄化だ。
どうやら、湖の水質が悪くなって『ブルータルアリゲーター』と言うワニ型のモンスターが住み着いてしまったようだ。
だが、湖の浄化が成功すればモンスターは生息地を他に移すので、討伐はしなくていいらしい。
報酬は300000エリス。
ただ湖を浄化するだけなら簡単だが、浄化の最中にモンスターが寄ってくるかもしれないので、守って欲しいとのこと。
まぁ、アクアも借金返済のために金を稼がないといけないので、必死なのだろう。
賢治「・・・はぁ、仕方ないな。」
カズマ「けど、そもそも浄化ってどうやるんだ?」
アクア「え? 私ほどの女神なら、水に触れているだけで浄化できるけど。」
賢治「あ! そういえばアクア女神だっけ。」
アクア「ちょ! 忘れないでよ!!」
カズマ「なるほど・・・なぁアクア、多分安全に浄化ができるいい方法があるんだが?」
アクア「え?」
こうして俺達は、湖の浄化クエストを引き受けたのだ。
カズマの言ういい方法とは、『アクアを檻に入れて湖に放り込む』と言う作戦である。
これで安全な檻の中から湖の浄化ができるのだ。
さらにここで、俺がアクアにビルドライドウォッチから取り出した『ジーニアスボトル』を渡した。
ジーニアスボトルが持つ浄化能力なら、アクアの浄化能力の相乗効果でさらに早く浄化が終わるだろう。
今の自分の状況をアクアは
アクア「・・・・・・私、今から売られる希少モンスターか、出汁を取られる紅茶のティーパックの気分なんだけど。」
と言っていた。
ー湖周辺ー
アクセルから依頼の場所の湖に到着した俺達は、檻に入ったアクアを湖に放り込んで、少し離れたところから見守っていた。
・・・・・・決して、使えない女神を湖に投棄しにきたわけではない。・・・決して!!
こちらの読み通り、アクア本人の浄化能力にジーニアスボトルの浄化能力がプラスされて、アクア曰く
『浄化は予想以上に進んでいるわよ!』 と言う言葉が返ってきた。
しかし、やっぱり時間がかかるので俺とエルシャとめぐみんがアクアの様子を見て、残ったカズマとダクネスとルミは変身して戦闘訓練をしている。
元がロイミュードなので、変身後がゼロドライブでも1人で2人を相手にしても余裕そうだ。
その次にカズマの仮面ライダーゲイツだ。
確かにレベルが上がって戦闘経験も積んできたカズマだが、対人戦闘に関しては、まだ今回を入れて二回しか経験していない。
今カズマが使えるウォッチは『ガタック』『メテオ』『バロン』のウォッチだが、この分ならもう幾つか渡しておいてもよさそうだな。
一方のダクネスは、1番苦戦している。
超・デットヒートドライブは、ドライブ系の仮面ライダーの中で1番性能の低い仮面ライダーなのだ。
未だに、ドライバーとキーへの戦闘データの蓄積が足りないのか、各部位の装甲がなく剥き出しの状態のままだ。
いずれは、もっとマシになると思うが。
俺達見守り組は、俺が初級魔法で沸かしたお湯に粉末コーヒーを入れてコーヒーブレイク中である。
賢治「・・・・・・おーいアクア! 水に浸かりっぱなしで大丈夫か〜? トイレ行きたくなったら言えよ〜!」
アクア「!! アークプリーストはトイレなんて行かないし!!」
昔にアイドルのようなことを言い出す女神様。
今度日帰りでは終わらないクエストを受けて、本当にトイレに行かないか確かめてみるか?
めぐみん「何か碌でもない事を考えていませんか?」
賢治「ハハハ、まさか。」
めぐみん「・・・・・・まぁ、いいです。」
めぐみんは本当に鋭いな。
さすが紅魔族といったところか。
ー2時間経過ー
あれから2時間が経過した。
カズマ達も訓練が一段落したので、一緒にコーヒーを飲んでまったりしている。
心なしか、さっきより湖が綺麗になっているような気がする。
エルシャ「・・・ワニ、出てこないわね。」
ルミ「そうですね。 このまま何事もなく終わればいいのですけど。」
カズマ「ちょっ!! そんなフラグになりそうな台詞を!」
確かに、こんな状況でルミみたいな台詞を言うと、決まってワニが出てきそうだが?
そんなことを思っていると
アクア「アアアアアアアアアァァァ!!!」
「「「「「「!!?」」」」」」
いきなりアクアが叫び出した。
見てみると、アクアが入っている檻の周囲からワニのモンスター『ブルータルアリゲーター』が近寄ってきていた。
自分達の住処を浄化という行為で荒らされたことで、怒っているようだ。
アクア「なんか出た!! なんか出てきたあああぁぁぁ!!!」
「助けて!! みんな助けてえええぇぇぇ!!!」
ー10分後ー
出てきたワニ達は、檻に噛み付いたり、体当たりしたりして檻を破壊しようとしている。
中にいるアクアは、女神としての浄化能力だけでなく、一心不乱に浄化魔法を使いまくって、もう必死だった。
アクア「ピュリフィケーション! ピュリフィケーション! ピュリフィケーション!」
だが、そうするとワニ達は余計に怒るわけで、さらに激しく檻に攻撃してきた。
次第に檻から異音が響き始める。
アクア「ヒイイイィィィ!! ピュリフィケーション! ピュリフィケーション!」
賢治「・・・・・・おーいアクア! ギブアップなら言えよー!」
めぐみん「そうですよー! すぐに鎖を引っ張って助けますからー!」
見ていてなんだか可哀想に見えてきたので、念のために助け舟を出す。
だがアクアは
アクア「い・・・嫌よ!! ここで諦めたら、報酬がもらえないじゃない!」
こう言って諦めようとしない。
すると、檻にかじりついていたワニが、力を込めて顎を閉じると
ギギギッ! メキメキ!
鋼鉄製の格子が音を立てて曲がり始めたのだ。
アクア「イヤアアアァァァ!!! メキッっていった!! 今、檻から鳴っちゃいけない音がしたあああぁぁぁ!!」
このままじゃアクアにまた余計なトラウマを植え付けてしまいそうだな。
なんだかんだ言って、俺もアクアに甘いな。
賢治「はぁ、しょうがないな。」『ジカンギレード・ケン!』
俺はジカンギレードを出して、ワニに向かって駆け出した。
カズマ「おい!? 賢治何するんだ?」
賢治「うん? ワニを討伐するんだよ。」
カズマ「いや、そんな事しなくても、湖が浄化されればあいつらは生息地を移すんだから、このままアクアに頑張ってもらおうぜ。」
カズマの言うことも一理ある。けど
賢治「あいつらを討伐すれば、追加報酬が出るだろう。」
「わざわざ逃すのも勿体ない。 それに」
カズマ「それに?」
賢治「・・・やっぱアクアが可哀想だろ? 助けてやろうぜ。」
カズマ「・・・はぁ、しょうがねぇーな。」
めぐみん「では、行きましょうか。」
エルシャ「そうね。」
ルミ「では、私のスキル操糸でワニ達を捕まえて引っ張りますので、その隙に仕留めてください。」
賢治「わかった! よろしくなルミ!」
ルミ「お任せください。」
それから俺達は、ルミの作戦通り糸に絡め取られ、一本釣りのように宙に舞い上がったワニを1匹1匹確実に仕留めていった。
賢治「アクアどうだ? まだ頑張れそうか?」
アクア「ここまで来て引き下がれますか! やってやるわよ!」
カズマ「よ〜し、もう少し頑張れ! アリゲーターホイホイ。」
アクア「なっ!! 誰がアリゲーターホイホイよ!!」
そんな、どこか余裕が感じられるやりとりをしながらワニを仕留めていくこと、約1時間。
意外に表面の皮が硬く、仕留めるのに苦労したが、アクアに寄って来るワニは全て仕留めた。
その数10匹。
うち1匹はこの場でいただく予定だ。
賢治「・・・ふぅ、アクア大丈夫か?」
アクア「うぅぅ、なんとか。」
ワニに群がられている間、アクアは本当によくやったと思う。
時には上下左右に振り回されたり、時には絶叫マシーンみたいにグルングルン回転したり。
ただ、浄化にはもう少しかかるみたいだ。
賢治「それじゃあ、もうしばらく頼むな。」
アクア「えぇ、後もう少しだもの。 頑張るわ。」
その間に俺は、仕留めたワニ達を1匹だけ残してアイテムゲートの中に放り込んでおいた。
このワニをどうするのかと言うと。
賢治「よし、早速料理するか。」
「「「「「「え?!」」」」」」
まず血抜きをし、その次に皮を剥き、腹を捌き内臓を傷つけないように丁寧に切り落としてクリエイトウォーターで水洗いをした。
次に肉を適当な大きさに切り出し、念のためにアクアに浄化魔法をかけてもらう。
浄化魔法のおかげか、臭みも一緒に無くなってありがたかった。
次に、肉をミンチ状になるまで切り刻み、塩と胡椒で軽く味付けをし、一センチくらいの厚さの円形に整形した。
前回のダンジョンにあった調理器具を参考に作った、携帯コンロの上にフライパンを置き、油を少し垂らして肉を焼き始める。
この時点でもうまそうだが、まだ出来上がりではない。
人数分の肉を焼いている間に、アイテムゲートに予め仕舞っておいたパンと胡瓜のピクルス、スライスチーズとケチャップとレタスを出しておいた。
胡瓜のピクルスはある可能性は感じていたが、スライスチーズがあったのはビックリだ。
ここまできたら、何を作ろうとしているのかわかるはず。
カズマ「お・・・おい賢治、これって!」
アクア「もしかして! あれを作ってるの!?」
ダクネス「? 2人には何を作っているのかわかるのか?」
賢治「もうちょっと待ってな。 もうすぐだから。」
肉が焼き上がると、香ばしい香りが広がり、食欲を掻き立ててくる。
まず、パンを敷き、その上にレタスを敷き肉を乗せる、その上にケチャップをかけピクルスとチーズを乗せ、最後にパンを乗せて挟んだ。
そう、俺が作ったのはワニの肉を使った『バーガー』だ。
賢治「お待たせ、『アリゲーターバーガー』の出来上がりだ。」
カズマ「やっぱりバーガーか!!」
アクア「この世界でまさかのジャンクフード!!」
ダクネス「これは、バーガーというのか?」
エルシャ ジュルッ 「すごく美味しそう。」
バーガーを知っているカズマとアクアは、久しぶりにジャンクフードにテンションが上がっている。
他のみんなは、初めてみるバーガーに興味深そうに凝視している。
賢治「じゃあ、食べるか。」
カズマ「おう!」
アクア「いただきまーす!」
俺たち異世界転生組は迷うことなく同時にバーガーに齧り付いた。
次に俺達から出てきたのは
「「「・・・うんま〜い!!!」」」
声を大にしてそう叫んだ。
賢治「これだよこれ!!」
カズマ「最高だぜ! ワニの肉って美味いな!」
アクア「ふぅぅぅ・・・この味、久しく忘れていた味だわ。 これでコーラでもあったら最強ね!」
カズマ「おお! 解るぞ、その気持ち! やっぱバーガーにはコーラだよな。」
アクア「うんうん!!」
久しぶりのバーガーの味は、懐かしい転生前の記憶を思い出させてくれる。
俺達の食べっぷりを見て、他の皆んなは『ゴクリッ』と喉を鳴らして、一口齧ってみる。
すると
「「「「・・・!!! うま〜〜い!!!」」」」
と、俺達異世界転生組と同じように叫んだ。
そこからは皆んな貪るようにバーガーに食らい付いていた。
気がつくと、ワニは骨だけになっており、隅々まで残すことなく食べ切っていた。
ちょうどその時、アクアの浄化も終わり、思っていたよりずっと早く済んだ。
アクア本人の浄化能力もそうだが、ジーニアスボトルの浄化能力も半端ないな。
目的は達成したので、アクアを檻から出してあげようとしたのだが
賢治「・・・あれ? 鍵がない?」
アクア「え?!」
念のために他のみんなにも鍵を持っていないか聞いたが、誰も持っていなかった。
どうやら無くしてしまったらしい。
曲がった格子の隙間から出れないかアクアに聞いてみたが
賢治「・・・どうだ? 出れそうか?」
アクア「うぎぎぎぎぎぎっ・・・・だめ、頭は出るけど胸がつっかえちゃう。」
他のところも試してみたが、やはり胸がつっかえてしまうみたいだ。
仕方がないので、ギルドに戻るまで中にいてもらうことにした。
ただ、1人だと辛いと思うから、入れそうな隙間を見つけて、俺も檻の中に入った。
すると『だったら自分も』と言って、エルシャも入ってきた。
珍しくアクアが申し訳なさそうにしていた。
アクセルの街に着くまで退屈しないように、三人でトランプでカードゲームをしていた。
おかげで檻の中だが、楽しく過ごせた。
その時の俺は、アクセルの街である出会いが待っていることを、この時は知らなかった。
ー???sideー
僕の名前は御剣響夜(ミツルギキョウヤ)。
どこにでもいる普通の高校生だった。
だがある日、自分でも訳がわからない内に命を落としてしまった。
そんな時、美しい女神と出会い『魔剣グラム』を与えられこの世界に転生した。
今は、ギルドの上級者クエストの『エンシャントドラゴンの討伐』を終えて、ギルドに報告をしにいっている途中である。
???「さすが私のキョウヤだよね。 エンシャンとドラゴンを一撃で倒しちゃうんだから。」
今僕に話しかけてきたのは、パーティメンバーで盗賊のフィオ。
???「な!! ちょっと、誰があなたのものよ! キョウヤは私のモノなんだから!」
そう言った彼女は、同じくパーティメンバーの戦士のクレメオ。
慕ってくれるのは嬉しいが、事ある毎に喧嘩はしないでほしいな。
そんな2人と一緒に日々冒険者として頑張っている。
必ずこの世界を救ってみせる。
女神様との約束だから。
キョウヤ「・・・・・・うん?」
その時、僕の耳に声が聞こえてきた。
???「よ〜し、勝負よ!」
キョウヤ「この声は?」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
声のする方向に走っていくと、そこには荷車に檻を乗せた数人の冒険者の姿があった。
檻の中には男が1人と女が2人入っていた。
だが、中にいる三人は楽しそうにトランプでゲームをしていた。
そのうちの1人は、僕がよく知っている人だった。
キョウヤ「め・・・女神様あああぁぁぁ!!!」
ー賢治sideー
アクア「よ〜し、勝負よ!」
賢治「いいのか?」
アクア「女神に二言はないわ。」
エルシャ「じゃあ、私も。」
お互い、手札の5枚のカードで勝負を決める。
俺がキングのフォーカード
エルシャがエースのスリーカード
そしてアクアが
アクア「また負けたあああぁぁぁ!!」
5のワンペアだった。
これで一体何回勝負したかわからないが、俺とエルシャは僅差で俺が勝っている。
ていうか、アクアの奴よくワンペアで勝てると思ったな。
めぐみん「そもそも、こういう運が絡むゲームでアクアが勝つことは難しいのでわ?」
カズマ「あ〜、あいつ絶望的に運が無かったっけ。」
まぁ、幸運値1じゃまず無理だな。
その時後ろから
???「女神様!! 女神様じゃないですか!!」
「「「「「「「?!」」」」」」」
そう言って、俺たちが入っている檻の柵を素手で強引に広げた。
カズマ「な?!」
ダクネス「おい! この檻は鋼鉄製だぞ!」
・・・まぁ、それくらいなら俺でも出来るが、後でコイツには壊した檻の弁償をしてもらわないとな。
賢治「なぁ、あいつアクアの関係者じゃないのか? 女神って言ってたし。」
アクア「え〜っと・・・・・・とりあえず話を聞いてみるわ。」
おい、まさか覚えていないのか?
状況からコイツは転生者だろう。
こっちの世界に送り込んでおいて、覚えていないってどういう事だよ。
アクアは広がった檻の隙間から出ると、目の前の転生者に向き直って。
アクア「それで、私に何の用かしら? ・・・・・・ていうか、あんた誰?」
???「な! 僕ですよ。 御剣響夜です。」
「貴女にこの魔剣グラムをいただき、この世界に転生した御剣響夜です。」
アクア「え?」
キョウヤ「え?!」
賢治・カズマ「え?」
アクアの奴本気で覚えていないのか?
アクア「・・・・・・ちょっと待って。」
そういうとアクアは、どこから取り出したのか、手のひらサイズの手帳を取り出しパラパラとめくっていく。
アクア「ミツルギ・・・ミツルギ・・・あ! あったわ。」
「確かに私がこの世界に転生させているわね。 ごめんなさい、かなりの数の人を転生させたから、すっかり忘れていたわ。」
キョウヤ「あ〜、はい、そうですか。」
「お久しぶりです、女神様。 ところで、女神様はどうして檻の中に?」
出るに出られない理由があったのだが、とりあえず事情を説明した。
キョウヤ「・・・はあ!! 女神様をこの世界に連れてきただけでなく、檻に閉じ込めて湖につけた!!」
「君は一体何を考えているのですか?!」
と言って俺の胸ぐらを掴んできた。
この世界にアクアを連れてきたのはカズマだが、今回のクエストに関してはアクアも了承していたから、文句を言われる謂れはないのだが。
アクア「ちょっ、私としてはこの世界に連れてこられたことはもうそんなに気にしてないし、毎日楽しい日々を過ごせているし、今回のクエストだって私が言い出した事だから。」
キョウヤ「女神様、この男にどう唆されたか知りませんが、あなたは女神ですよ。 それがこんな・・・」
言いたい放題だな。
それに、いったいいつ俺がアクアを唆したんだよ。
俺達のこと何も知らないくせに。
相手が年下とはいえ、カチンときたぞ。
キョウヤ「ちなみに女神様は、どこで寝泊まりをしているのですか?」
アクア「え? え〜っと、馬小屋で・・・」
キョウヤ「はあ!!」
と、驚いた様子で、さらにキツく締めてきた。
アクア「! ちょっと」
ダクネス「おい貴様、いい加減にしろ。 初対面の人間相手に、失礼だぞ。」
いい加減我慢ができなくなったのか、ダクネスが御剣の手を掴んで止めようとする。
ダクネス達の方うをみた御剣は
キョウヤ「君達は・・・クルセイダーにアークウィザード、それに冒険者にドルイド、後諜報士か・・・なるほど、パーティメンバーには恵まれているようだね。
「君はこんな優秀な人達がいるのに、女神様を馬小屋なんかに寝泊まりさせて、恥ずかしく思わないのかい。」
? コイツ今なんつった?
『馬小屋なんか』って言ったか?
コイツ本気か?
そもそも稼ぎの少ない冒険者が馬小屋で生活するなんて、むしろ普通だ。
宿で寝泊まりできるのは、一部の金を持っている冒険者だけだ。
それがわからない辺り、コイツは転生特典で貰った魔剣グラムで大抵のことはなんとかなってきたのだろう。
そんな苦労を知らない奴が、さっきみたいな事を言ったら、ほとんどの冒険者を敵に回すだろうな。
キョウヤ「君達、今日からはソードマスターの僕の元に来ないかい?」
「高級な装備も買いよろえてあげるよ。」
あまつさえ、今度はこっちのメンバーを勧誘し始めた。
「「「「「「・・・・・・」」」」」」
アクア「ねぇ、あの人ヤバくない? ナルシス入ってる系でヤバいんですけど。」
ダクネス「どうしよう、あの男は生理的に受け付けない。」
「責めるよりも受ける方が得意な私だが、あの男だけは無性に殴ってやりたい。」
めぐみん「・・・最大出力で撃っていいですか?」
エルシャ「『魔剣の勇者』なんて言われているらしいけど、実際は大したことないのね。」
ルミ「問題外ですね。 私はマスターの側を離れる気はありません。」
カズマ「・・・そもそも魔剣持ちのチーターが、いまだにこの駆け出しの街にいる時点でたかが知れているな。」
不評の嵐が吹いた。
まぁ、当然だろう。
仮に俺も誘われたとしても、願い下げだ。
賢治「と言う事で、全員一致でお前のところには行きたくないと言っているので、これで失礼する。」
そう言ってその場から去ろうと踵を返すと
キョウヤ「! 待て!」
賢治「うん?」
俺達の前に回り込んで、道を塞いできた。
賢治「まだ何か用か?」
キョウヤ「悪いが、女神様をこんな今日においては置けない。」
コイツは本当にしつこいな。
この後の展開はなんとなく想像つくが・・・
キョウヤ「僕と勝負だ!」
やっぱりな。
キョウヤ「僕が勝ったら、女神様はこちらに引き渡してもらう。」
「僕が負けたら、そっちの言う事をなんでも聞こうじゃないか。」
勝手に話を進めやがって。
そもそも、アクアを物扱いしている時点で許し難い。
いっその事
???(殺してしまうか?)
賢治「うん?」
今何か聞こえたぞ。
???(変身して戦え! そうすれば奴も身の程を弁えるだろう。)
またか?
これってもしかして?
賢治「・・・・・・」
(それは駄目だ。 仮面ライダーの力は殺しのために使う物じゃない。)
(人々の愛と平和を守るものだ。 お前は本当に殺した方がいいと思っているのか?)
???(・・・ふん!)
そう聞くと、声は聞こえなくなった。
改めて、返事をしようとすると
カズマ「賢治、こんな奴お前が相手する必要ないぜ。」
賢治「カズマ?」
カズマ「俺にやらせてくれ。」
そう言ったカズマの顔は、怒りで満ちていた。
特に止める理由がないので、ここは任せるか。
そもそも俺が本気でやったら、本当に死ぬかも知れないし。
賢治「じゃあ、任せていいか?」
カズマ「おう!」
キョウヤ「僕は構わないよ。 仲間に任せてしまえば、恥をかくこともないからね。」
アクア「ムゥ! カズマ、私が許可するわ。 思いっきりヤッテおしまい!!」
カズマ「アラホラサッサー!! ってか。」
タ○ムボカンかよ!
懐かしいな。
まぁ、カズマでも大丈夫だろう。
職業が冒険者の彼だが、仮面ライダーになれる恩恵か、普通の冒険者に比べてステータスはかなり高めである。
御剣も職業がソードマスターだけあって、高レベル・高ステータスだが、今のカズマとそんなに差はない。
戦い方を工夫すれば、十分勝てる相手だ。
そう思っている間に、御剣が自慢の魔剣グラムでカズマに斬りかかる。
しかし、カズマはジカンザックスを片手に、余裕で回避している。
回避され続け、焦って大振りの一撃を振り下ろした時、カズマがジカンザックで魔剣グラムを地面に叩きつけて抜けないようにする。
キョウヤ「何?! ・・・!!」
カズマ「勝負アリだな。」
すかさず、カズマがジカンザックを御剣の首の数センチ前におく。
誰から見ても勝負はカズマの勝ちなのだが
???「ひ・・・卑怯者!!」
「「「「「「「うん?」」」」」」」
???「卑怯者! 卑怯者! 卑怯者!!!」
賢治「はい?」
御剣のパーティメンバーだろうか?
戦士っぽい子と、盗賊っぽい子がカズマを卑怯者呼ばわりしてきた。
どこからどう見ても、カズマの勝ちだと思うが?
キョウヤ「フィオ! クレメオ! 何を?!」
カズマ「あんた達コイツの仲間か?」
クレメオ「そうよ! この卑怯者!!」
賢治「は? どこが卑怯なんだよ?」
さっきから2人の戦いを見ていたが、どこも卑怯なところはなかったと思うぞ。
フィオ「さっきから避けてばっかで、戦おうとしてないじゃない!!」
クレメオ「そうよ! 正々堂々と戦いなさいよ!!」
そんなことでカズマを卑怯者呼ばわりか?
コイツら命のやりとりをなんだと思っているんだ?
カズマ「あのな、そもそも魔剣持ちのソードマスターが、巷じゃ最弱職と呼ばれている冒険者相手に勝負を挑む方が卑怯じゃないか?」
ダクネス「それにこの男は、決着の付け方をろくに説明していなかった。」
「客観的に見ても、カズマの方が勝者と見て間違い無いだろう。」
「お前はどうなのだ? 『卑怯な手段で自分は負けた』と思っているのか?」
キョウヤ「・・・いや、彼は卑怯なことなんて一切していない。」
「僕の負けだ。」
クレメオ・フィオ「キョウヤ!!」
意外と潔いな。
カズマ「じゃあ、とりあえず・・・その魔剣でもいただこうか。」
キョウヤ「え!!」
カズマ「? なんだよ?」
キョウヤ「いや・・・その・・・すまい! できればこの魔剣以外で頼めないだろうか?」
と言って頭を下げてきた。
『言う事をなんでも聞く』と言っておいてそれかよ。
カズマ「けどお前、負けたななんでも言う事を聞くって言ってたよな。」
キョウヤ「うっ、それは・・・」
カズマ「なのに後になって『魔剣以外で』なんて筋が通らないじゃないか?」
キョウヤ「うぅ・・・」
ぐうの音もでないとはこの事だな。
・・・いや、ちょっと待てよ。
賢治「カズマ、とりあえず魔剣はやめて、『檻の修理費を払う』にしとけ。」
カズマ「え? なんでだよ?」
賢治「明日にはあいつがこの街にやってくるはずだ、その時に戦力は必要だ。」
「そいつは魔剣がないと正直カズマより弱いからな。」
カズマ「え?!」
キョウヤ「はぁ!」
そう、実は俺は能力透視であいつのステータスを見ていた。
確かにレベルやステータスの数値自体はカズマより上だが、あいつの持っているスキルは、『魔剣使いLv1』と『鑑定』の二つしか持っていないのだ。
正直、こんなステータスで勇者を名乗るなんて馬鹿馬鹿しい。
それを伝えると
カズマ「お前! そんなんで自分を勇者とか言ってんのかよ!」
キョウヤ「いや、しかし・・・これまでは、特に問題は無かったんだが?」
カズマ「巫山戯んじゃねぇよ!! 腐っても勇者を名乗るならもっと沢山スキルを覚えておけよ!」
「どうせお前、その魔剣グラムとやらで今までゴリ押しでやってきたんだろ!!」
「そんなんでこれから先、どうやって魔王軍幹部や魔王と戦おうってんだ?」
キョウヤ「そ・・・それは・・・」
カズマ「いいか、どんな困難にも恐れず立ち向かい、偉業を成し遂げる者。」
「それが勇者なんだよ! 今のお前は果たして勇気ある者なのかよ!!」
キョウヤ「!!」
カズマのやつも言うようになったもんだ。
そしてどうやら、今のでカズマが使えるウォッチが増えたようだ。
これまでのカズマでは使えなかったから預かっていたが、そのウォッチが光だして色がつき始めた。
それは、砂時計のような形のウォッチだった。
それから俺達は、御剣達と一緒にギルドに行き、壊した檻の弁償代200000エリスを払わせ、クエスト終了の報告を済ませた。
御剣は、さっきのカズマの言葉を聞いてから、妙に思い詰めていた。
仲間の女の子2人が話しかけるが、ほとんど反応がない。
俺は一応、明日はこの街に居るように言ったが、彼はそのままギルドを出て行った。
まぁ、あとは御剣次第だろう。
あと、カズマにゲイツリバイブウォッチを渡しておいた。
これでカズマも、ゲイツリバイブに変身することができる。
夜になって解散したあと、宿屋に戻った俺はあの時の声が気になり心の中で語りかけてみた。
賢治(・・・なぁ、もしかして、お前は俺か?)
???(・・・あぁ、そうだ。 俺はお前だ。)
やっぱりもう1人の俺か。
ジオウⅡを手にした時の総悟もミラーワールドで裏総悟に会ってたし。
裏賢治(お前は本当に甘いな、あの時魔剣グラムを取り上げておけばいいのにな。)
賢治(あの時言った通りさ、御剣にも戦力として頑張ってもらうためだ。)
裏の俺が言った事は、考えなかったわけじゃない。
正直に言うと、どっちも本心だ。
裏賢治(はっ! どれだけ策を用意しても、結局全部無駄かも知れないぞ。)
(お前は知っているはずだ、そもそも人間は自分勝手な生き物だってことがな。)
(前の世界にもいただろう、どいつもこいつも周りを見ず、自分のことしか考えていない。)
(こっちの世界でも同じだ。 そんな奴らのために俺達が何かをする必要があるのか?)
その通りだ。
前の世界でも、いくら自分がいい事をしても、理不尽な理由でそれをなかったことにされたこともある。
困っているのに助けてくれなかった事もある。
世界は決して自分に優しくは無い。
上手くいかない事ばかりが起こる。
けど、それでも・・・
賢治(・・・・・・それでも、俺は信じたい。)
(世界には、決してそんな人ばかりじゃ無いってことを、生きていればきっといいことがあるって。)
(だからお前も、俺と一緒に生きよう。)
裏賢治(・・・・・・ふん、後悔するなよ。)
(お前がこの世界でどう生きるのか、お前の中から見させてもらうぜ。)
それ以降は、もう1人の俺の声は聞こえて来なかった。
目を開けると、俺の手の中にはジオウⅡのライドウォッチが握られていた。
今までは、D’9スロットにはめ込むグリッターウィンドウが黒一色だったが、今は金色の色がついている。
これで、ジオウⅡが使えるようになった。
あとは、明日を待つだけだ。
・・・来るとは思うが、一応来なかったらこっちから出向かないっとな。
ー翌日ー
俺達は、ギルドに集まっていた。
軽く常時も済ませ、いつでも動けるようにしていた。
すると
ルナ「緊急!! 緊急!! 冒険者の皆さんは大至急正門前に集まってください。」
「特に、霧島賢治さん御一行は、大至急でお願いします。」
どうやら来たようだ。
正門前には前回と同じように冒険者たちが集まっていた。
俺はあえて姿が見えないように、後ろの方から様子を伺うことにした。
みんなの目線の先には、あの時のデュラハンの姿があった。
馬に跨っているデュラハンは、今回も体をプルプル振るわせていた。
デュラハン「・・・何故・・・・・・何故城に来ないのだ?!!」
「この・・・人でなしどもがああああああああああああああぁぁぁ!!!」
このセリフを聞いた時、ルミを除く俺たちのパーティ全員は
((((((・・・・・・ほんとに言ったよ。))))))
と思っていた。
いかがだったでしょうか。
御剣やそのパーティの女の子たちについては、あんまり知識がないので、雑な感じがしますが今回も読んでくれてありがとうございます。
6月9日にPSO2:NGSがサービス開始されるので、楽しみです。
それではまた次回