この仮面の戦士に祝福を   作:ナハト02

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 皆さん、長らくお待たせしました。

 実は軽くスランプに陥っていました。
 お陰でこんなに遅くなりました。
 すみません。

 このストーリーを書くとき、頭の中に『劇場版仮面ライダーアギト project G4』が頭をよぎったのでそれを参考にして今回のストーリーを書きました。

 そして、今回晴れて御剣君が仮面ライダーになります。

 気に入っていただけたら幸いです。


外伝:この魔剣の勇者に祝福を 其の壱

 アクセルの街がある国から遥か東。

 そこには今から15年前には、国が存在した。

 当時は優れた国だった。

 人々の生活は安定し、魔法技術が発展し、冒険者をはじめ、戦う術を持つ人間がその国を守ってきた。

 

 だが、当時その国では、妙な力を持つ人間が頻繁に現れる様になった。

 

 その者、何も無い所から火を起こした。

 

 その者、物を宙に浮かせる。

 

 その者、占いが100%的中する。

 

 その者、手に持ったスプーンを曲げる事ができる。

 

 そんな者達は、男女・老若男女問わず現れ、全員に共通するのは、その力を使う際に魔力を消費しないこと。

 国はこういった力を持つ者達を集め、国の領土内に設けた施設に集め、そこで後に『超能力』と名付けられたその力の訓練を受ける事になる。

 国の新たな国防の力にするために、超能力研究機関『スーワ』が作られた。

 

 だが、新たな試みはそう簡単に行くはずもない。

 国としては、彼ら彼女らの待遇はいい物を用意したつもりだ。

 しかし、中には訓練中に力を暴走させ、周囲に被害をもたらす者。

 ある者は、急に力が使えなくなる者。

 連日の訓練に耐えきれず、施設を脱走する者。

 そう行った者が後を立たなかった。

 

 それでも『スーワ』は一定の成果を出した。

 

 ある者は、炎を自在に操る。

 

 ある者は、物体を自在に動かす。

 

 ある者は、視線の先にある物を破壊する。

 

 ある者は、数秒から数分先の未来を見る。

 

 その中でも特に目を引く能力は、『変身』の超能力だった。

 しかも、複数の人間がその力に目覚めたのだ。

 

 姿形は総じて同じだが、中には色が違っていたりする。

 その姿はまるで、人間と昆虫が融合した様な姿をしていた。

 そして腰の部分には、特徴的な装飾具が付いていた。

 のちの研究で、この装飾具を『ベルト』と呼ぶ事になった。

 『変身』の能力者は、全員この『ベルト』の中央にある石から力を得て、超人的な身体機能を獲得していた。

 この石のことは『賢者の石』と呼ばれる事になる。

 

 国はこの力を、『この国の新たな力になる』と確信していた。

 だが、能力者の中には『化け物』になってしまったと思い込み、自害する者が現れ始めた。

 そんな事態を解決するために、国が管理する教会の一部の聖職者が『スーワ』に派遣される事になった。

 協会から派遣されたシスターやプリースト達は、事前に彼らのことを聞かされていたため、驚きはしたが『そう言う力を持っている人間』という共通認識のおかげで、実際にその光景を見ても、恐怖は感じなかった。

 

 教会の聖職者達のメンタルケアのお陰で、自害する者はいなくなった。

 訓練も順調で、国の方でも国民に対して超能力者達のことを発表しようとしていた時に、悲劇が起こるのだった。

 

 超能力者達がいつもの様に訓練をしていると、突然施設の扉が吹き飛んだのだった。

 そこから現れたのは、まるで蟻の様な顔をした、人型の化け物だった。

 蟻の化物は、手当たり次第に施設の職員や研究員、そして超能力者を襲い始めた。

 戦う力を持つ超能力者はともかく、研究者や職員は瞬く間に蹂躙されていく。

 超能力者達も、戦うが蟻の化物は驚くべき数で超能力者達は一人、また一人と命を奪われていった。

 

 そして、蟻の化物達は施設だけではなく、王国にも出現していた。

 国民は容赦なく殺され、迎撃に出た騎士や冒険者達もどこからともなく現れる蟻の化物達に殺されていく。

 

 暫くすると、その国からは命の気配がなくなっていた。

 その国は、たった一日で滅びてしまったのだ。

 

 この出来事は、瞬く間に周辺諸国に広まり、警戒を強めるのだった。

 蟻の化物によって、たった一日で国一つが滅んだのだから。

 しかし、それ以降この化け物が現れたことはなかった。

 

 いつしかこの出来事は、忘れ去られ、現在は冒険者ギルドが運営する中継拠点(ベース)が、その国の跡地に建設されていた。

 

 だが、この殺戮から生き延びた者がいた事を、誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー現在ー

 

 僕の名前は御剣響夜。

 どこにでもいる普通の高校生だった。

 だがある日突然死んでしまい、女神アクア様の導きにより、この世界に転生した。

 この世界の魔王を倒すために、転生特典として与えられた『魔剣グラム』を使って、二人の仲間と共に自分を鍛えていた。

 

 そんな時、拠点にしていたアクセルの街に聞き覚えのある声がした。

 声のする方向に向かうと、そこには何故か檻に入れられた女神様がいた。

 何故そんな事になっているのか聞いてみると、湖の浄化の依頼を達成するために、女神様が持つ浄化の力を使ったらしい。

 檻は女神様を危険から守るための苦肉な策だったとの事。

 

 その作戦には今でも物申したい気持ちはあるが、女神様が了承したらしい。

 

 今考えても、当時の僕はちょっと・・・いや、かなり調子に乗っていただろう。

 穴があったら入りたい。

 

 作戦を考えた冒険者に掴みかかった挙句、その仲間達を勧誘する始末。

 しかもその後に勝負を挑んで負けて、『なんでも言うことを聞く』と言ったにもかかわらず、『魔剣』と言う力を手放したくないがために、『魔剣以外で頼む』と言ってしまった。

 

 その後、勇者の何たるかを僕を負かした冒険者の佐藤和真に問われ、僕は勇者としての自分に自信喪失していた。

 

 ・・・・・・本当に、過去の自分を殴ってやりたい。

 

 魔王軍幹部ベルディアとの戦いで、彼らの戦いを目の当たりにした僕は、今の自分を変えるために修行の旅に出た。

 彼らがあの仮面ライダーだったことは、僕の中ではかなりの驚きだった。

 ちなみに、『魔剣グラム』は霧島賢治に預かってもらっている。

 その際、僕は彼から餞別として時計の様なデバイス『ブランクライドウィオッチ』を渡された。

 彼曰く。

 

賢治

「一応渡しておく、もしかしたらお前の力になってくれるかも知れないからな。」

 

 と言っていた。

 僕はありがたく受け取り、武器屋で新たに剣を買い、旅に出た。

 ちなみに、フィオとクレメオとはパーティを解散した。

 僕が魔剣を預けて、修行の旅に出ると言うと、一方的に解散を突きつけてきたのだ。

 ・・・・・・まぁ、そう言う事なのだろう。

 

 色々とボロボロだが、心機一転頑張ろうと思う。

 

 そして僕は東に向かって歩き出し、途中にある複数のギルドの中継拠点を経由して、今いるのは。

 

 

 

ー東の中継拠点 コウカイー

 

キョウヤ

「すみません。 ゴブリンの討伐依頼、終わりました。」

 

受付嬢

「はい。 ありがとうございます。」

 

 僕は今日もこの中継拠点で依頼をこなしている。

 ここはアクセルから遠く離れており、出現するモンスターや魔物はレベルが高い。

 そのせいで、以前は楽にこなせていた依頼が、今はかなり難しくなった。

 そのため否応なく、自身のレベルの低さを痛感する。

 

 周りにいる他の冒険者達からスキルを教えてもらい、何とかやっていけている。

 それに。

 

キョウヤ

「報告行ってきました。 カオルさん。」

 

カオル

「あぁ、お疲れ。」

 

 今はこの人と一緒に、冒険者として活動している。

 職業は『拳闘士』で、この中継拠点を活動拠点にしている。

 僕がこの中継拠点に来て暫く経った時、声をかけてもらってからの付き合いである。

 

 寡黙で、物静かな雰囲気の男性だ。

 彼の戦い方は、拳を使った戦い方が基本で、状況次第で足技も使うし武器も使う。

 最初にこの人の戦いを見た時、素手でモンスターの頭を吹き飛ばした時は、その威力にびっくりした。

 

カオル

「・・・お前も、最初と比べると強くなったな。」

 

キョウヤ

「! 有難う御座います。」

 

 この人に自分の強さを認めてもらえるのは嬉しい。

 アクセルの街を旅立ってからは、ずっと一人だったから、評価してくれる人が近くにいるのは有り難い。

 

キョウヤ

「この後はどうしますか?」

 

カオル

「・・・この後はブルータルベアの討伐依頼が控えている。」

 

キョウヤ

「ブルータルベアですか?」

 

 ブルータルベア。

 簡単に言えば、『一撃熊』の下位互換みたいな熊だ。

 一撃熊ほどの力はないが、基本2匹から3匹ほどの数が同時に現れるのだ。

 

カオル

「もう少し休憩したら行くぞ。」

 

キョウヤ

「はい!」

 

 その後、きちんと休憩をした僕達は、ブルータルベアの討伐に向かった。

 

 鬱蒼とした森の中に、川が流れる場所にブルータルベアがいた。

 数は3匹いる。

 1匹は僕が相手をし、他の2匹はカオルさんが相手をしている。

 

 『一撃熊』の下位互換とは言え、決して油断できない。

 全長は僕の身長を余裕で超えている。

 その巨体から振るわれる腕による攻撃は、直径30㎝の丸太をへし折るくらいの威力がある。

 走り出すと意外と速度があり、その速度に乗った突進を受ければ余裕で意識を刈り取るだろう。

 

 そんなブルータルベアを一人で1匹相手をするなら、油断さえしなければ今の僕なら何とかなるだろう。

 しかし、カオルさんは別だ。

 

カオル

「ぬん!」ドン!!

 

 彼がブルータルベアの腕の攻撃を掻い潜り、懐に入ったところで拳を振るう。

 すると、ブルータルベアは後ろへ吹き飛んだ。

 すかさずもう1匹のブルータルベアの元へ跳躍し、踵落としを見舞った。

 地面に叩きつけられたブルータルベアはその瞬間、顔の目や口や鼻から血を流し、動かなくなった。

 

キョウヤ

(! 相変わらず、ものすごい一撃だな。)

 

カオル

「・・・こっちを気にする余裕があるなら、目の前に集中しろ。」

 

キョウヤ

「! はい!」

 

 カオルさんはよく周りを見ている。

 ほんの少し意識を向けただけなのに、それに気付くなんて。

 僕はブルータルベアの腕の攻撃を避けて背後に回り、剣を振るった。

 

キョウヤ

「『スラッシュ』!」

 

 職業『剣士』が使うスキルを発動し、上から下に向かって剣を振り下ろす。

 しかし、ブルータルベアの毛皮と体毛のせいで思っていたほどのダメージがないように見える。

 

キョウヤ

(まるで油を吸った絨毯だな。 だが!)

「『クラッシュ』!」

 

 今度は剣で斬るのではなく、地面に叩き付けるように振るった。

 これにより、ブルータルベアは顔から地面に叩きつけられ、目を回している。

 

キョウヤ

「今だ!」

 

 僕はこの隙に、ブルータルベアの首に剣を突き立て、思いっきり突き刺した。

 

ブルータルベア

「!! ・・・・   」

 

キョウヤ

「はぁ、はぁ・・・ふぅ〜。」

 

 ブルータルベアの首から血が滲み、地面に広がる。

 この光景を見て改めて、自分は『命のやりとり』をしているんだと実感した。

 何か一つでも狂えば、自分がこうなっていても不思議ではない。

 

カオル

「・・・大丈夫か?」

 

キョウヤ

「・・・はい。」

 

 以前の僕は深く考えないで剣を振るっていたが、今は殺生をすること、冒険者といての責任を感じ始めたところだ。

 

カオル

「では、いつも通りにするぞ。」

 

キョウヤ

「はい。 後始末ですね。」

 

 後始末とはもちろん、今回狩ったブルータルベアである。

 今回は討伐で、どこかの部位を持って帰る必要はない。

 討伐できたかどうかは、冒険者カードのおかげで簡単に確認ができる。

 だから、まず火で燃やして、残った骨は地面に穴を掘って埋めるのだ。

 ちゃんと処理しておかないと、腐敗して病の元になったり、瘴気の発生の原因にもなる。

 

 賢治の使う『宝物庫』が使えれば、捌いた後にその中に入れておけば腐らずにいつでも取り出せるのだが、僕やカオルさんにはそんなスキルはない。

 そうでなくても、氷結魔法が使えれば凍らせて持って帰るくらいは出来そうだが、僕達は初級の魔法すら使うことが出来ない。

 こう言う時、冒険者の佐藤和真が羨ましく見える。

 

 色々考えているうちに処理が終わり、後は帰るだけになった。

 そのはずだった。

 

カオル

「・・・うん?」

 

キョウヤ

「? カオルさん?」

 

カオル

「しっ!」

 

キョウヤ

「!?」

 

 カオルさんが静かに構えをとる。

 それを見て僕も再び剣を抜く。

 

 改めて周囲を見てみると、静まり返っており木々が風で靡く音しか聞こえない。

 こう言うのは、大体何か良くないことが起きる前兆みたいなものだ。

 背中合わせで警戒していると、そいつは現れた。

 

カオル

「!!」

 

キョウヤ

「な?! ・・・何だこいつ?」

 

 現れたのは蟻のような顔をした全身が黒い甲殻に覆われた、人型の化け物だった。

 しかも1匹だけではなく、周囲からゾロゾロとやって来る。

 そして、1匹だけ他のとは色が違う、体が赤いやつが後ろからこちらを見ている。

 

キョウヤ

(まずい、いくらカオルさんが規格外の力を持っていてもこの数は・・・)

「カオルさん! ここは一旦引きましょう。」

「・・・カオルさん?」

 

カオル

「・・・」

 

キョウヤ

「!」

 

 そこにはいつものカオルさんの顔は無かった。

 その顔は怒りで満ちていた。

 まるで、長年追っていた仇にでも出会ったような。

 

蟻の化け物

「「「ゴカアアアアアァァァ!!!」」」

 

 蟻の化け物達が一斉に襲いかかってきた。

 

カオル

「うおおおおおおぉぉぉ!!!」

 

キョウヤ

「カオルさん! っ!」ガキン!

 

 止める間も無く、カオルさんは突っ込んで行った。

 僕の方にも蟻の化け物が迫ってくる。

 応戦するが、コイツらは普通のモンスターや魔物じゃないみたいだ。

 さっきから剣で斬り付けているが、体を覆う甲殻のせいでダメージだ思ったように入らない。

 しかも、常に全周囲から他の個体が襲いかかってくる。

 

キョウヤ

「『身体強化』・『知覚強化』!」

 

 こうやって、自身の体のステータスを強化し、知覚能力を強化しないと対応できないほどに沢山いるのだ。

 

キョウヤ

「くぅ、以前は魔剣グラムで使っていたスキルだが、いけるか?」

 

 実は僕には『魔剣グラム』持っていた時に使っていたスキルがある。

 しかし、他の剣で試したことがないため、今持っている剣がどうなるか分からない。

 

キョウヤ

「・・・言ってる場合じゃないか。」

「『流星剣』!」

 

 スキルを叫ぶと、青白い光が剣に集中する。

 その状態で、横薙ぎに剣を振った。

 

キョウヤ

「うおおおおぉぉぉ!」

 

 蟻の化け物達は、剣から放たれる光の斬撃に飲まれる。

 すると、僕の目の前にいた奴らは跡形もなく消えていた。

 

キョウヤ

「よし! いけ・・・あ!」

 

 『流星剣』が効くことが分かった。

 このままの勢いで他の化け物達も片付けようと思い、剣を構え直した時。

 

キョウヤ

「うわ! ボロボロ。」

 

 僕が今使っている剣が、ボロボロになっていた。

 何とか剣としての形状は保っているが、2・3発攻撃を受けたら折れてしまいそうだ。

 一応ナイフも持っているが、戦いに使えるものではない。

 ここはやはり逃げるべきだろう。

 

キョウヤ

「カオルさん! ・・・?」

 

 カオルさんの方を見ると、両腕を腰の前でクロスさせると、ベルトのようなものが出現した。

 今日までカオルさんと一緒に依頼をこなしてきたが、あんなのを見たのは初めてだ。

 

カオル

変身!」

 

 カオルさんがそう言うと、体に変化が起きた。

 体が全体的に緑色になり、両手両足首に金色のアンクレットがはめられ、目が昆虫の複眼のように赤色になり、額には二股に別れた金の角がある。

 あの姿はまるで。

 

キョウヤ

「・・・仮面ライダー?」

 

 そう、まるで昭和の仮面ライダー、仮面ライダー1号に似ているような気がした。

 だが、1号より体格がマッシブな感じで、目の部分が小さく、ベルトの形も違う。

 

 カオルさんは変身したことで、生身の時とは別次元の強さになった。

 化け物達はカオルさんのパンチとキックの前に、次々と吹き飛んでいく。

 攻撃する瞬間に、緑色のオーラみたいなものを纏っている。

 そのおかげなのか、吹き飛んだ化け物達は爆発して消滅した。

 

 さらにカオルさんは構を取り、すると顔の口の部分が開き、その下の牙が出現する。

 足元に緑色の紋章が浮かび、次第に右足に集中していく。

 

カオル

「・・・ハッ!」

 

 カオルさんが化け物達に向かってジャンプし、右足を突き出す。

 右足に緑のオーラを纏い、目の前の化け物にキックが炸裂する。

 その化け物が吹き飛び、その背後にいた他の化け物も巻き込み、爆発に巻き込まれ消滅する。

 

キョウヤ

「カオルさん!」

 

カオル

「キョウヤ!」

 

 僕とカオルさんは、互いに近づき、背中合わせになる。

 

キョウヤ

「大丈夫ですか?」

 

カオル

「問題ない。」

「それにしても、意外だな。」

 

キョウヤ

「? 何がですか?」

 

カオル

「この姿を見て何とも思わないのか?」

 

キョウヤ

「? その姿は、仮面ライダーですよね。」

 

カオル

「? 仮面ライダー?」

 

 カオルさんは自分の姿のことを知らないのだろうか?

 カオルさんの姿は、僕は見たことはないが、どこからどう見ても仮面ライダーだ。

 

カオル

「まぁいい、今はこの場をどうにかするぞ。」

 

キョウヤ

「はい!」

 

 だが、見たところまだかなりの数の化け物達がいる。

 このままここに留まり、戦い続けても果たして勝てるかどうか?

 やはりここは、生き残る事を第一に考えたほうがいいだろう。

 と、その時である。

 僕の右のポケットの中にある物が熱く光っていた。

 

キョウヤ

「!? 熱っ!」

 

 取り出してみると、それは霧島賢治から渡された、『ブランクライドウォッチ』だった。

 熱と光がおさまると、ウォッチは外装が黒く、前面についているベゼルは銀色になっており、ウィンドウには2001と表示されていた。

 

キョウヤ

「変わってる!」

 

 僕はベゼルを回す。

 するとそこには、銀色の角に青い目の仮面ライダーの顔があった。

 上部のスターターを押すと、音声が流れた。

 

 『G4!』

 

 音声が鳴ると、僕の腰にベルトが巻かれた。

 さらに、ウォッチが形状を変え、横向きのゲージのようなクリアパーツが付いたバックルの形になった。

 バックルの上部にはスイッチがある。

 

キョウヤ

(・・・わかるぞ! これの使い方。)

 

 僕はバックルのスイッチを押す。

 

 『 Ready. I will wait(準備完了。待機します)!』

 

 バックルから音声が流れ、待機状態になる。

 僕はカオルさんや彼らが言っていたあの言葉を叫んだ。

 

キョウヤ

「変身!」

 

 バックルをベルトに装着する。

 

 『Deploy the G4 system(G4システム、起動します)!』

 

 ベルトを中心に、黒のインナージャケットが装着され、その周囲に黒の装甲が展開される。

 足元から順番に装着され、最後に僕の顔を覆うヘルメットが装着される。

 一瞬、ヘルメットの目の部分が青く光る。

 その瞬間、G4システム、仮面ライダーG4がこの世界に誕生したのだ。

 

カオル

「キョウヤ!?」

 

キョウヤ

「カオルさん、これで僕も戦えます。」

「まずは生き残ることを考えましょう。」

 

カオル

「・・・分かった。」

 

 それから僕とカオルさんは蟻の化け物達を相手に戦い始める。

 

 この姿になって初めて分かったが、このG4システムという仮面ライダーはとても優秀だ。

 格闘戦でも生身ではとても出せないようなパンチ力とキック力が出せる他、右太ももにマウントされている銃『GMー01改4式』がとんでも無い威力だ。  

 銃なんて初めて使うが、G4のシステムのおかげで照準がぶれることなく、撃つ全ての弾が百発百中だ。

 しかも銃口から放たれる弾丸は特殊強化弾だ。

 それが72発装填されており、特殊な液化ガスと電磁力で発射されるから初速が速く威力が高い。

 

キョウヤ

(こんな銃、僕の元いた世界の軍隊でも使っていないんじゃ無いだろうか?)

 

 さらに、このG4システム自体も優れている。

 頭部のヘルメットには高性能AIと全周囲高感度センサーが取り付けられており、敵がどこから来るの逐一か知らせてくれるのだ。

 その範囲は地中も例外ではなく、この化け物達は地中か襲って来る場合があったが、僕にはその奇襲は効かない。

 

 ただ、このシステムにも厄介なところがある。

 

キョウヤ

「! うわっ!」

 

 今しがた、上空から襲ってきた化け物が僕の蹴りによって吹き飛ばされた。

 だが、これは僕の意志ではない。

 これはG4システムが勝手に僕の体を動かしているのだ。

 システムがいくら警告を促しても、それら全てに対応できるわけではない。

 その場合は、G4の高性能AIが僕の体をシステムの力で勝手に動かし、迎撃するのだ。

 ただ、稀に普通の人間では出来ないような挙動で攻撃を回避したり、攻撃したりするから装着者である僕に負担がかかるようになっている。

 

キョウヤ

「くぅ、また勝手に・・・」

 

 だが、それに助けられているのだから強く文句を言えない。

 しかし、それでもだ。

 もう少し装着者のことを考えて欲しい。

 

 そんなことを考えながら戦っていると、あれだけ沢山いた蟻の化物は今目の前にいるのが最後の1匹になっていた。

 いや、正確に言うとカオルさんが体の赤い化け物を相手にしており、僕は他に沢山いた同じ姿形のありの化け物の最後の一匹を相手にしている。

 

キョウヤ

「フッ! ハァ!」

 

蟻の化物

「グッ! ギギッ!」

 

 パンチとキックを織り混ぜ相手を吹き飛ばし、GMー01でヘッドショットを決める。

 ドサッ! と化け物が倒れ、爆発して消滅した。

 

キョウヤ

「よし、後はあいつだけだ。」

 

 残っているのは、カオルさんが相手をしている赤い体の化け物だけだ。

 僕はG4システムに搭載されている武器を呼び出した。

 どう言う原理なのかわからないが、マスクの画面に表示された武器を選ぶと、バックルの部分から飛び出してきた。

 それは 4本のミサイルが搭載されている武器だ。

 正式名称は『G4型強化体携行用多目的巡航ミサイル』、通称『ギガント』と呼ばれる大型の武器だ。

 

 ベルトの右側にある『ウェポンアタッチメントポイント』のコネクタとギガントをケーブルで繋ぎ、左側にある『エナジーボリューム』のダイヤルを回し、電力を供給する。

 ターゲットをロックし自動追尾モードをONにする。

 

キョウヤ

「カオルさん! そいつから離れてください!」

 

カオル

「!」

 

 カオルさんが一瞬こっちをみると、化け物から離れる。

 その瞬間、僕はギガントの引き金を引いた。

 すると、搭載されている 4本のミサイルが化け物に向けて発射された。

 

赤い蟻の化け物

「ギィ!!」

 

 ミサイルが命中し、周囲に熱と風圧が押し寄せる。

 普通に考えれば、今のであの化物は跡形もなく消滅したと思うだろう。

 しかし、僕は何か違和感を感じた。

 ギガントをしまい、GMー01を構えた状態で、爆心地に近づく。

 するとそこには。

 

キョウヤ

「・・・あっ!」

 

カオル

「どうした?」

 

キョウヤ

「カオルさん、これを見たください。」

 

カオル

「ん?」

 

 そこの地面には人一人が入れる大きさの穴があった。

 

カオル

「まさか・・・あの瞬間に穴を掘って逃げたのか?」

 

キョウヤ

「そのようですね。」

 

 あの化け物が地面に穴を掘れることはわかっていたが、あの紙一重の状況で穴を掘って逃げるなんて。

 しかし、それでも僕のG4システムのセンサーはあの化け物を追跡していた。

 

キョウヤ

「カオルさん、こっちです!」

 

カオル

「? わかるのか?」

 

 僕はカオルさんと一緒に、逃げた化け物を追跡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 それから20分くらい移動し、たどり着いたのは洞窟だった。

 入り口は広く、高さは3メートルくらいあるだろうか?

 僕達は慎重に内部に入っていった。

 それからさらに歩くと、センサーが捉えていた反応が動きを止めた。

 

キョウヤ

「? この辺りのはず・・・何ですけど?」

 

カオル

「ん?」

 

 確かに反応はここで止まっている。

 だが周りを見ても、この先は行き止まりで広い空間があるくらいだ。

 

カオル

「・・・うん? キョウヤ、こっちだ。」

 

キョウヤ

「! はい。」

 

カオル

「・・・ここを見ろ。」

 

 カオルさんが指差したのは、地面だった。

 そこを見ると、穴が空いていた。

 覗き込んでみると、そこには。

 

キョウヤ

「・・・・・・!!?」

 

 そこは、ここよりも広い空間があり、その中は先ほど戦った蟻の化物達で埋めつくされていた。

 先ほど逃げた赤い体の化け物も、その空間の中央付近におり、そのすぐそばに三叉の槍を持った他の蟻の化物とは明らかに違う個体がいた。

 まるで女王蟻のようだ。

 そいつも問題だが、一番の問題はやはり周りにいる同じ姿をした蟻の化物達だ。

 ざっくりと見ただけでも100近い数がいる。

 

カオル

「・・・」トントン

 

キョウヤ

「!?」

 

カオル

「・・・」クイ!

 

キョウヤ

「・・・」コクリ

 

 カオルさんに肩を軽く叩かれ、振り返った。

 僕はカオルさんが言わんとしていることを察し、この洞窟から去るのだった。

 

 洞窟の入口まで戻ってきた僕達は、そこで一旦止まる。

 

キョウヤ

「カオルさん、どうしましょう?」

 

カオル

「これは・・・俺達だけで解決できる問題ではないな。」

「かと言って、冒険者達に協力を要請するにしても、ほとんど太刀打ちできないだろう。」

 

 確かに、仮面ライダーになれない時の僕でもかなり苦戦した。

 普通の冒険者達では、かえって被害が拡大してしまう可能性がある。

 なら、ここはやっぱり。

 

キョウヤ

「・・・カオルさん、僕はアクセルに戻ります。」

 

カオル

「? あの駆け出しの街か?」

 

キョウヤ

「はい。 そこに協力してくれるかもしれない人たちがいます。」

 

 僕がこの時思い出していたのは、もちろん彼等だった。

 魔王軍幹部ベルディアを倒した霧島賢治達、あの仮面ライダー達だ。

 

カオル

「・・・しかし、そんなに時間が無いかも知れん。」

「あの様子だと、いずれ外に出てくるだろう。」

 

キョウヤ

「分かってます。 できるだけ早く助っ人を連れて帰ってきます。」

 

カオル

「・・・分かった。 頼むぞ。」

 

キョウヤ

「はい!」

 

 僕はG4システムの武器システムの中にある、ある乗り物を呼び出した。

 それはバイクである。

 このバイクは仮面ライダーG3またはG3ーXが搭乗するバイク、『ガードチェイサー』だ。

 だが、本来のガードチェイサーとは違い、ブルーの部分がスカイブルーになり、ホワイトの部分がシルバーにカラーチェンジしている。

 このバイクがあればアクセルの街まで時間はそんなにかからないだろう。

 

カオル

「それは、乗り物か?」

 

キョウヤ

「はい。 では、行って来ます。」

 

 僕はガードチェイサーにまたがり、エンジンをかける。

 アクセルを蒸し、駆け出しの冒険者の街、アクセルに向かって走り出した。

 

カオル

「・・・・・・いいな、あれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 僕は途中で変身を解除し、バイクで走っていた。

 この調子なら、アクセルの街まで思っていた以上に早く着きそうだ。

 しかし、その途中で奇妙な現象に見舞われた。

 目の前が一瞬光ったと思ったら。

 

キョウヤ

「あれ? なんだ?」

 

 急に、ゆっくりにしか動けなくなったのだ。

 しばらくすると、今度は完全に動けなくなった。

 しかし、1時間半位すると、再び動けるようになった。

 危うく転倒しそうになったが、何とか持ち直したため、怪我はなかった。

 

 この時の現象を、僕はアクセルの街に着いた時に、知ることになる。

 そして、その街にいる仮面ライダー達が起動要塞デストロイヤーを撃破したことも。

 

 そして、なぜか裁判に出廷し、証人になって欲しいと頼まれることになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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スペック紹介

 

○仮面ライダーG4

 

装着者(変身者):御剣響夜

 

■身長:198cm

■体重:187kg

■パンチ力:5t

■キック力:14t

■ジャンプ力:一跳び27m

■走力:100mを8.0秒

■防御力:硬度10.5

 

○搭載機能

 

■高性能AI

■全周囲高感度センサー

■装備粒子化展開システム

■パーフェクター

 

○搭載武器

 

■ GM-01改4式

■ G4型強化体携行用多目的巡航ミサイル『ギガント』

■ガードチェイサー

 

○備考

 原作『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』に登場する仮面ライダーG4が独自のシステムを搭載してこの世界に誕生した。

 基本的なスペックも原作と比べて少し上昇している。

 

 通常、Gトレーラー内で手動で装着と脱着を行うが、このG4は全ての装備がバックル内に粒子化されて収納されている。

 変身時はまず、『G4ジャケット』と言うインナージャケットが装着され、周囲にG4の装甲が展開される。

 足元から順番に、装着者に装備されるようになっている。

 しかし、手動での着脱も可能で、Gトレーラーのような後方支援車両があれば、その場で修理とメンテナンスが可能。

 変身を完全に解除すると、G4ライドウォッチに戻る。

 

 本来の仮面ライダーG4はバッテリーで動いているが、この世界のG4はバッテリーではなく装着者の魔力で動いている。

 ギガントへのエネルギー供給も、ベルトを経由して御剣響夜本人の魔力を用いている。

 

 仮面ライダーG3・G3ーX・G3マイルドが使う武器の全てを使用することができる。

 しかし、現在は肝心の装備が初期装備のGMー01改4式・ギガント・ガードチェイサーの三つしかない。

 装備粒子化展開システムにより装備を粒子化しバックル内に収納できる。

 

 予知能力者と連動することで敵の行動を先読みできるESPシステムは搭載されていない。

 その代わりに、全周囲高感度センサーにより、敵の攻撃がどこからくるのかを感知し装着者に知らせることができる。

 装着者が対応できない時は、高性能AIが装着者の代わりに迎撃と回避行動をとる。

 しかし、装着者の限界を超えた挙動をする場合があるので、このシステムに頼り切るのは身の破滅を招く。

 

 ヘルメットに搭載されている『パーフェクター』により、水中では水から酸素を作り、一酸化炭素や毒ガスを無害化し猛火の中でも新鮮な空気を装着者に供給できる。

 これにより、水中戦仕様の装備があれば水中でも戦闘行動が可能である。

 

 高性能ゆえに、一回の戦闘ごとに必ずメンテナンスを行う必要があり、一度変身を解除すると一日は再変身ができない。

 変身の強制解除が行われた時も例外ではない。

 ただ、上記に記した通り、後方支援車両があれば変身を解除しなければ修理やメンテナンスを行なった後に、再戦闘は可能である。

 

 ガードチェイサーは、変身解除後もライドウォッチから呼び出して使用する事が出来る。




 いかがだったでしょうか?

 最初は、御剣君を仮面ライダーアギトに変身させようと思っていましたが、『このすば』でも御剣君は主人公ではないので、『1号ライダーはなんか違うかな?』
 と思い、御剣君には仮面ライダーG4になってもらいました。

 これは御剣君がこの状況から無事生還できる力を欲したのと、皆さんお気づきでしょうけど蟻の化物、アンノウンの出現、共に戦うカオルさん(元ネタはもちろん木野薫)が変身するアナザーアギトが近くにいたことで、ブランクライドウォッチが反応し、G4ライドウォッチに変化したのです。

 G4は後の展開で必要になる仮面ライダーだったので、いつか出そうと思っていたので今回出しました。
 今回登場したG4は、色々追加の設定がありますが、作者的に結構気に入っています。
 変身の仕方はイメージ的に仮面ライダーバルカンアサルトウルフの変身が一番近いイメージです。

 ちなみに、超能力研究所にいた他の変身の能力者は全員仮面ライダーギルスです。

 この話はまだ続きますが、本筋を進めつつ間に外伝を挟みますので、またしばらくお待ちください。

 それでは、また次回会いましょう。

 読んでくれて、有難う御座いました。
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