今回は少し長文になります。
裁判のパートについてはあんまり自信がありませんが、まぁ、暖かい目で見てください。
第十九話 この裁判に祝ふ・・・裁判?!
俺は霧島賢治。
元いた世界で交通事故に遭い死亡してしまう。
次に気がついた時、俺の前には女神を名乗る『エリス』という女性がいた。
彼女から異世界に転生し、その世界の魔王を倒してほしいと言われ、俺はそれを承諾する。
その際、転生特典として『仮面ライダージオウに関するすべて』をもらい、転生する。
でかいカエルや、空飛ぶキャベツと言う非常識極まりないこの世界で、俺は仲間を得る。
俺と同じ異世界から転生してきた佐藤和真。仮面ライダーゲイツ。
カズマの転生の道連れでこの世界にやってきた水の女神アクア。
紅魔族という種族で自称最強のアークウィザードであるめぐみん。仮面ライダーウォズ。
体力と頑丈さは誰にも負けないが、どんな時でも自分の性癖を優先するドMクルセイダーのダクネス、本名は、ダスティネス=フォード=ララティーナ。 仮面ライダーダークキバ。
賢治がこの世界に来て初めて会話をした女性で、命の危機を救ったドルイドのエルシャ。仮面ライダー斬月。
この世界に転生したクリム=スタインベルトが作り出した、彼の最高傑作ロイミュードNo.RRR、名前はルミ。
仮面ライダーゼロドライブ。彼女は現在修復中。
そして、前の世界での俺の恋人で栄養失調による餓死で死に、エリス様によってこの世界に転生した、沖田零子。
仮面ライダーゼロワン。
俺達はこれまでに、魔王軍の幹部であるデュラハンのベルディアを倒し、雪精の主であり国から高額懸賞金をかけられている冬将軍を退け、最近は『魔王すら逃げ出す』と言われている古代兵器・機動要塞デストロイヤーを撃破し、その中に潜んでいた、アナザーゴルドドライブこと、蛮野天十郎をグランドジオウライドウォッチによってこの世界に一時的にやってきた泊進ノ介さんとベルトさんと一緒に撃破し、シグマサーキュラー・Cの撃破に成功した。
その後、俺は零子とエルシャ、そしてアクアと正式に恋人同士になり、守りたい人ができた。
心機一転、今日も頑張ろうとギルドへ向かったはいいが、そこで。
ーアクセルの街 冒険者ギルドー
検察官
「霧島 賢治、貴様には現在、国家転覆罪の容疑がかけられている。」
賢治
「・・・・・・は?」
検察官
「一緒に署まで来てもらう。」
賢治
「・・・・・・・・・・はぁ!」
・・・・・・どうしてこうなった?
国家転覆罪?
一体なんで?
賢治
「・・・ところであなたは?」
検察官
「失礼、私は王国検察官のセナと言います。」
賢治
「それで、なんで俺に国家転覆罪の容疑が?」
セナ
「つい先日、機動要塞デストロイヤー討伐の際に起こった、全世界完全停止現象、あれを起こした張本人が貴様であると、告発があったのだ。」
賢治
「完全停止現象? ・・・あぁ、グローバルフリーズか。」
確かに、一時的にとはいえあの時確実に、世界の時間が完全に停止していたのは確かだ。
しかし、それを起こしたのが俺だと言うのはどういう暴論だ?
ダクネス
「待て! 賢治はデストロイヤー撃破の時、共に戦ったのだぞ。」
「その元凶であるシグマサーキュラーは私とそこにいる冒険者のカズマと賢治で破壊した。」
「あの現象を引き起こした張本人が、その元凶を破壊する。」
「おかしいだろ!」
確かに、もし国家転覆を企てているのなら、シグマサーキュラーを破壊するなんておかしい。
そのまま破壊せず、放置していれば全人類を管理下に置けるのだから。
破壊する理由がない。
しかし、全人類をナンバリングし、支配下に置くなんて許されないことだし、そもそもそれを行ったのは蛮野天十郎だ。
セナ
「もちろん、この街のギルドを経由して報告は受けています。」
「しかしながら、一度そういう告発を受けた以上、王国検察官としての立場上、貴方を逮捕しなければなりません。」
まぁ、俺がいた元の世界でも、警察に通報があれば動かないわけにはいかないものだ。
例えそれが間違いであったり、悪戯であったりしても。
これだから国家公務員は・・・
セナ
「それを受けて、貴方はテロリスト、もしくは魔王軍のスパイ容疑もかけられています。」
賢治
「・・・マジか。」
セナ
「手荒なことはしたくありません、署までご同行願います。」
これは仕方ないか。
ここで逃げたとしても自分の立場を悪くするだけだし、ここは大人しく捕まるか。
と思っていたのに。
アクア
「ちょっと待ちなさいよ!」
「なんでこの街を、ひいては世界を救った賢治が逮捕されるのよ?」
「納得いかないわ! そんなの横暴よ!」
賢治
「ちょ!」
なんでこの子はこんな時に余計なことを。
ダスト
「そうだ! 賢治は犯罪者なんかじゃない!」
プリースト風の男
「賢治達はこの街の英雄なんだ。 そんな奴が犯罪者なんてありえねぇ!」
戦士風の男
「こんなの国家権力の横暴だ!」
アクアのその言葉を皮切りに、周りにいる冒険者達が抗議する。
エルシャや零子が止めようとしているが、聞く耳持たない感じだ。
正直嬉しい。
しかし、状況を考えてほしい。
最悪、ここにいる冒険者全員捕まるかもしれないのに。
セナ
「・・・はぁ、国家転覆罪は主犯以外の者達にも適応される場合がある。」
「「「「「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」」」」」
セナさんが、メガネをズレを直しそう言うと、シンと静まり返った。
セナ
「彼と共に牢獄に入りたいのなら、止めはしないが?」
アクア
「・・・そ、それがどうし「わかった。」・・・え?」
賢治
「別に抵抗はしませんよ。」
「ただ、俺の持ち物を仲間達に預けさせておいていいですか?」
セナ
「えぇ、かまいません。」
アクア
「ちょっと賢治!」
零子
「アクア待って!」
アクア
「零子、貴方はなんで「黙って!」・・・!」
いまだに抗議しようとするアクアを、零子が止めた。
目に入ったが、零子の顔は相当辛そうだった。
まったく、大事な人にあんな顔をさせるなんて、自分が嫌になる。
賢治
「あぁ! ちなみに俺を告発したのは誰なんですか?」
セナ
「? 領主のアルダープ殿ですが。」
賢治
「そうですか。」
(またあの領主か! クソが!)
ベルディアの時といい、今回といい・・・何様のつもりだあのクソ領主!
俺は、とりあえずジオウライドウォッチは手元に残し、他のウォッチは零子に預けた。
その時に。
賢治
「領主の屋敷を調べてくれるか?」ボソッ
零子
「! OK。」
と、小声で言っておいた。
そうして、俺は連行された。
ー零子sideー
ケン君が連行されてしばらくが経ち、ギルド内は静まりかえっていた。
そんな中でも、やはり納得がいかない様でカズマやめぐみん、アクアが不満を爆発させていた。
私はというと、もちろん不満はある。
しかし、ここで余計なことをしてケン君の立場をさらに悪くする訳にはいかない。
アクア達がケン君を脱獄させて、家財道具一式を持ってアクセルから逃げようと画策しているが、そんなプランに乗るつもりはないので拒否する私。
アクア
「零子! なんで反対するのよ?」
「賢治があんな目にあってるのよ!」
零子
「ケン君なら大丈夫よ。」
「そもそも、ケン君が乗るわけないでしょ。」
アクア
「でも・・・それでも・・・」
アクアの気持ちは分かる。
私だって今すぐにでも助けに行きたいのだ。
だが、私にはケン君からの頼まれ事がある。
今はそれをやろう。
私はタブレットを取り出し、マップの機能を使いアルダープの屋敷の場所を突き止めた。
物理的なスキャンをかけたところ、どうやらアルダープの屋敷の下には地下空間が広がっているようだ。
地下部分を立体的にモデリングしてみると、どうやらいくつかの通路があり、その周囲には牢屋がある。
さらに魔力的なスキャンをかけたところ、この屋敷にはアルダープの他に使用人が50人程いる。
実際はこの数より多いと思うが、今肝心なのはそこでは無い。
スキャンをかけた結果、この屋敷には人間の他に亜人が複数存在し、さらに一人だけ『魔族』らしき反応がある。
零子
「・・・マジ?!」
私は、タブレットと衛生ゼアを接続し、タブレットの検索機能にアレクセイ=バーネス=アルダープと打ち込み検索した。
すると、アルダープの事がいくつも検索結果にヒットした。
情報量が多すぎるので、検索項目に『悪事』と追加した。
そしたら埃が舞うどころか、ゴミ収集車のゴミを道路にぶち撒けたような気分だ。
はっきり言おう、アルダープはクズである。
挙げるとキリがないが、あえて挙げるなら『人身売買』『麻薬密輸』『婦女暴行』『奴隷売買』『裏工作により不正取引』etc......
どこのお笑い芸人のネタだと思った。
しかも、その悪事の中に『ランダムにモンスターを召喚する神器』と『他者と体を入れ替える神器』の二つが不当な手段で入手したとある。
零子
「・・・これって国が管理するべきものよね。」
しかも内容がやばい。
特に他者と体を入れ替えるとか、想像しただけで怖気が走る。
自分に置き換えて考えてほしい、入れ替わった自分の体をアルダープが好き勝手に弄ぶのだ。
未来永劫末代までの恥になる!
これが愛し合うもの同士なら、『俺がお前で、お前が俺』というプレイで納得できる。
零子
「・・・えへへ・・・はっ!」
(やばい、想像しちゃった。 集中しないと。)
二次創作物を嗜む人物なら誰もが一度は想像するシュチュエーションを想像してしまった私は、思わず顔がニヤけてしまった。
とにかく、アルダープが悪人であることは確実になった。
問題は、彼の元に悪魔がいるという事だ。
悪魔なんて厄介ごとの代名詞なのに、アルダープの元にいるというのは、つまり。
零子
(・・・契約を結んでいる?)
悪魔とは一度契約を交わせば、きちんと見返りを払えば契約者に力を与える存在である。
アルダープの悪事の証拠が出て来ないのも、おそらく契約した悪魔の仕業だと思う。
証拠そのものを消しているのか、事実を捻じ曲げるような特殊能力でも持っているのか?
どのみち厄介であることには変わりない。
零子
(何かのアニメで言ってたっけ?)
(『悪魔と関わると厄介なことになる』と。)
・・・いや、あれは魔族だっけ?
そもそも、深く考えた事がなかったけど魔族と悪魔の違いって?
まぁ、今はどうでもいいことだ。
そうとわかった以上、行動あるのみである。
零子
「めぐみん、アクア、ちょっと。」
アクア
「な、何よ?」
めぐみん
「どうしました?」
零子
「ちょっと、二人に頼みたい事があるんだけど。」
私は二人に、アルダープの屋敷に偵察に行ってほしいと言った。
「あの領主に一泡吹かせるためよ。」と言ったら、二人ともノリノリで引き受けてくれた。
さぁ、今に見ていなさいよ、あのクソ領主!
ー賢治sideー
連行された俺は、今日一日牢屋に入れられることになった。
さすが中世時代の牢屋、前の世界に比べて結構劣悪な環境だな。
・・・いや、勘違いするなよ。
何も俺が牢屋に入った事があるわけじゃないぞ。
ただのイメージである。
賢治
「それにしたってこれは無いだろ。」
鉄格子は鋼鉄製だが、床は石造でその下は普通に土である。
傍には藁が敷き詰められ、薄い毛布みたいなのが一枚あるだけである。
ここの連中は容疑者を生かすつもりが有るのだろうか?
この季節で毛布一枚って、最悪凍え死ぬぞ。
ぶっちゃけ、馬小屋の方がまだマシである。
そんな牢屋で一日過ごした俺は、次の日聴取を受けることになった。
取調室に案内されると、中には机と二つの椅子があり、反対側にはセナさんが座っていた。
セナさんの向かいに俺が座る。
セナ
「では、これから取り調べを行う。」
「言っておくが嘘は通じないぞ。 この机の上に置いてあるのは『嘘を看破する魔道具』だ。」
「嘘をつくと鳴る様に出来ている。」
そんな魔道具があるのか?
一体どんな仕組みで嘘を見破っているのだろうか?
賢治
「・・・俺は女だ。」
チーン
セナ
「・・・気は済んだか?」
賢治
「はい、いつでもどうぞ。」
まぁ、鳴るよな。
セナ
「ではまず、出身地と冒険者になる前は何をしていたのか述べよ。」
賢治
「出身地は日本で、ゲーム会社の広報部で働いてました。」
シーン
鳴らないな。 事実だし。
セナ
「ふむ、真面目に働いていたと・・・しかし、ニホンという国は聞いた事がないが?」
そりゃ、この世界には存在しない国だからな。
セナ
「ゲーム、というと娯楽を作る会社に勤めていたのか?」
賢治
「ですね。 自社商品を他社に紹介したり、世に広めたり、後は社内の雑用をやったり、いろいろです。」
「残念ながら、物作りに関しては才能がなかったので。」
シーン
これも鳴らない。
事実、俺にゲーム・・・厳密に言えば家庭用ゲームやアプリゲーム、さらに成人指定PCゲームなど。
つまり、テレビゲームの類である。
原画を描いたり、ストーリーを書いたり、色を塗ったり、プログラミングをしたり、そう言った方面でははっきり言って俺には才能がなかった。
それでも、就職したゲーム会社のために働きたくて、ホームページの制作や、外回りや雑用を引き受けてきたのだ。
セナ
「なるほど、では次に・・・冒険者になった動機は?」
賢治
「実はある日突然仮面ライダーの力を手に入れたので、この力があれば魔王も倒せるのではないかと思い、思いっ切って冒険者になりました。」
シーン
鳴らない。 セーフだったようだ。
本当は、前の世界で死んで女神エリス様にこの世界に転生してもらい、転生特典として『仮面ライダージオウに関する全て』をもらって、この世界に転生したのだ、魔王討伐もエリス様に頼まれたからだ。
この辺りはグレーゾーンなのだろうか?
それともエリス様の加護だろうか?
セナ
「・・・そうか。 では、領主に個人的に恨みとかは?」
賢治
「そんなのあるに決まってるでしょう!」
「ベルディアとの戦いでは、外壁の修理費を領主が出し渋ったせいで、俺たちのパーティが全額払うことになったんですから。」
「そして今回が国家転覆罪の疑いで牢屋に入れられて、こうやって取り調べまでされているんですよ。」
「あの領主のせいでね!」
セナ
「・・・・・・」チラッ
シーン
セナさんは魔道具を見るが、勿論鳴らない。
「クソ領主」と言わなかったのは、侮辱罪に当たると思ったからあえて飲み込んだのだ。
だって、この取り調べが始まってから俺の後ろで、羽根ペンが紙の上を走る音がするのだ。
滅多なことは言えない。
セナ
「・・・ごもっともです。 では次に」
賢治
「あの、いっその事直球で聞いてくれませんか?」
「俺は魔王軍の関係者でもなければ、テロリストでもないですから。」
シーン
当然鳴らない。
セナ
「・・・・・・やはり貴方は噂に聞いていた通りの人だったようですね。」
「私が間違っていたようです。」
賢治
「信じてくれて有難いです。」
セナ
「貴方達のことは検察官たちの間でも有名ですから。」
「貴方達が居てくれたからこそ、魔王軍幹部やデストロイヤーの脅威からアクセルを守る事ができたのですから。」
「そんな功績のある貴方を逮捕するのは・・・正直、心苦しかったです。」
「通報があれば、動かざるを得なくて・・・」
賢治
「その辺りは承知しています。」
「いろいろ大変ですね。」
セナ
「はい。」
本当に申し訳なさそうにセナさんが謝ってきた。
ふと後ろを見ると、聴取の内容を書いていた検察官の男がウンウンと頷いていた。
彼も納得いっていなかったのだろう。
セナ
「でも、よかったです。 貴方が魔王軍の関係者でもなく、ましてや、知り合いなんていないという事ですよね。」
・・・うん?
待てよ、この質問は・・・
賢治
「・・・まぁ、必ずしもないとは言い切れませんけど。」
セナ
「?! どういう事ですか?」
賢治
「だって、俺がそうだと知らない内に魔王軍の幹部やらスパイやらと、知り合っている可能性は否定できませんから。」
「少なくとも、俺は魔王軍とは一切関係はありません。」
シーン
鳴らない。
よし! うまく乗り切った。
だって俺、魔王軍幹部のウィズと知り合いだし。
取り敢えず嘘は言っていないからな。
セナ
「なんだ、そういう事ですか。」
「脅かさないでください。」
賢治
「すみません。」
セナ
「とにかく、貴方が無実だということはわかりました。」
「私はアルダープ殿側でありますが、貴方が無罪になれるように善処します。」
賢治
「有難う御座います。」
取り調べが終わり、検察官に連れられて牢屋に戻ろうとしたとき、セナさんが呼び止めてきた。
セナ
「あ! あの、少し待ってください。」
賢治
「はい? なんですか?」
セナ
「その・・・実は私、貴方のファンなんです!」
「よかったら、こちらにサインをいただけますか?」//////
そう言って、懐から手帳を開いて出してきた。
・・・俺はアイドルじゃないんだが、悪い気はしない。
俺は羽根ペンを拝借し、KENJI KIRISHIMA と筆記体で書いた。
こんな所で小学校高学年の時に必死に練習した筆記体が役に立つとはな。
賢治
「これで良いですか?」
セナ
「はい! 有難う御座います。」
(やった!)
随分嬉しそうだ。
そうして、俺は今日も牢屋の中で過ごすのだった。
そしてついに裁判の日がやってきた。
この世界の裁判は検察官が集めた証拠を提示し、それに対して弁護人が反論し、それを見た上で裁判官が判断を下す。
というのが、大まかな流れである。
被告人の弁護人は基本、その人物の知人が引き受けるのだが、俺の弁護を買って出たのは、カズマと零子である。
正直意外だった。
アクアなら弁護したがると思っていたのだが?
彼女に任せると確実に有罪になりそうだが、当人のアクアはさっきから両手を組んでまるで祈りを捧げている様に両目を閉じている。
賢治
「よろしくな、二人とも。」
カズマ
「おう、まかせろ。」
零子
「絶対ケン君を有罪になんかさせないから。」
頼もしい限りだ。
そもそも、無罪であることは証明すること自体は可能である。
しかし、相手は領主である。
何をして来るか分かったもんじゃない。
裁判官
「静粛に! これより、国家転覆罪に問われている被告人、霧島賢治の裁判を開始する。」
「告発人は、アレクセイ=バーネス=アルダープ!」
裁判官がそう言うと、肥えた体格を男が入ってくる。
初めて見たが、あの男がアルダープのようだ。
見た目はいかにも悪徳領主といった外見をしている。
裁判官
「検察官は前へ、彼の起訴状を読み上げてください。」
「嘘を看破する魔道具があるので、正直に分かり易く述べるように。」
セナさんが立ち上がり、懐から出した紙の内容を読み上げる。
セナ
「まず最初に、デストロイヤー襲撃の際に起こった完全停止現象、これを行ったのは被告人である霧島賢治であること申しておきます。」
「被告人、霧島賢治はデストロイヤー襲撃の際、仲間の冒険者達と結託し、デストロイヤー内部に設置されていた完全停止現象を引き起こす魔道具を発動し、世界を混乱に陥れました。」
「幸いにも一時的なものでした。 とは言え、このような事態を引き起こした人物を放っておくわけにはいきません。」
「よって被告人、霧島賢治に国家転覆罪の適用を求めます。」
「私からは以上です。」
裁判官
「では次に、弁護人による発言をお願いします。」
カズマ
「では、述べさせていただきます。」
裁判官の言葉を聞いて、カズマが立ち上がる。
カズマ
「被告人、霧島賢治とその仲間の自分達は、デストロイヤー破壊のためにあの場にいました。」
「デストロイヤーが活動を停止したと同時に、グローバルフリーズ・・・あぁ、完全停止現象が起きたので、俺達はデストロイヤー内部へ侵入し、元凶の対処をしただけです。」
「決して、国家転覆を企てたわけではありません。」
「それに、その現象を引き起こした張本人は蛮野天十郎という、錬金術師であり俺達は全く関係ありません。」
なんかカズマが本物の弁護士のように見える。
カズマのいう通りである。
本来なら、デストロイヤーの動きを止めて、コロナタイトを宇宙に捨て、デストロイヤー本体の爆発も氷結魔法で対処するという段取りを組んでいた。
蛮野天十郎の事がなければ、全てうまくいっていたことだ。
裁判官
「弁護人の発言は以上ですね。 それでは検察官、証拠の提示を。」
セナ
「はい。 証人は前へ。」
そこへ現れたのは、なんと御剣響夜だった。
この街の戻って来ていたのか?
心なしか、少し面構えが以前より良くなったような気がする。
セナ
「御剣さん、貴方は以前被告人に魔剣を奪われ、返して欲しければ全財産を寄越せと脅されたと聞きましたが。」
「間違いありませんか?」
ちょっと待て!
そんなことしてないぞ?
やった事と言えば、壊した檻の弁償をさせただけだ。
キョウヤ
「いいえ違います。」
「まず魔剣に関しては、奪われてはいません。」
「彼に勝負を挑んだ時、彼が勝ったらなんでも言う事を聞くという条件を出したの僕で、それで魔剣を持っていかれそうになりましたが、それがダメなら僕が壊した檻の弁償をすることで、落ち着きました。」
「全財産を寄越せと、脅されたことは一切ありません。」
「それに、彼と彼の仲間には感謝しています。 調子に乗っていた当時の僕の目を覚まさせてくれたのです。」
「感謝こそすれ、恨んだことはありません。」
それで、キョウヤの発言を終わった。
すると、セナは視線を俺に向けウィンクをし、キョウヤは小さく頷いた。
おそらく二人は協力関係なのだろう。
俺の評判を落とすと見せかけて、裁判官に好印象を与えようと言う作戦だろう。
アルダープ
「はぁ〜、もう良いだろ。」
「そいつは魔王軍の関係者だ。 さっさと死刑にしろ。」
そんなことをアルダープは言ってきた。
しかし、これは使える。
賢治
「そうか。 じゃあ、聞け!」
「俺は魔王軍の関係者でも、テロリストでもない!」
シーン
裁判所全体が静まり返る。
魔道具は勿論鳴らない。
裁判官
「これではとてもではありませんが、罪人と罰することはできませんね。」
「被告人、霧島賢治は嫌疑不十分とし」
アルダープ
「いや、そいつは魔王軍の関係者だ。 さっさと処刑しろ。」
賢治
「は?」
あの領主は何を言っているんだ?
実際俺は魔王軍の関係者じゃない。
それは魔道具でも証明されている。
なのにこの後に及んで、なんでそんなことが言えるのだ?
裁判官
「しかし、怪我人や死者も出ておらず、嫌疑不十分な人物を死刑にはできません。」
アルダープ
「儂に恥をかかせるつもりか?」
おいこのおっさん、裁判官を脅迫してきたぞ。
いくら領主だからって、それはないだろう。
裁判官
「・・・アルダープ殿、それは私を脅迫しているのですかな?」
アルダープ
「・・・は?」
裁判官
「私はベルセルク王国に仕えている裁判官の一人ですよ。」
「その私を脅迫するとは、つまり国王に対して脅迫しているのと同じだということは、貴方も知っていると思っていましたが?」
アルダープ
「は?! いや・・・え?」
賢治
「うん?」
アルダープの様子すが明らかに挙動不審だ。
まるで、物事が思うように行かなくてあたふたしているようだ。
零子
「裁判官、私からも弁護をしてよろしいでしょうか?」
すると、零子が手を上げてそんなことを言ってきた。
裁判官
「・・・良いでしょう。 弁護を認めます。」
零子
「有難う御座います。」
「さて、アルダープさん。」
アルダープ
「な、なんだ。」
零子
「貴方、とんだ悪人よね。」
アルダープ
「・・・はぁ!?」
零子
「貴方の事はすでに調べはついてるわ。」
「これまで行ってきた数々の悪事の証拠も、今私の手の中にあるわよ。」
「それを棚に上げて霧島賢治が国家転覆を企てているって、いったいどうしたらそんな妄想が思い浮かぶのかしら?」
アルダープ
「な! 儂が悪事を働いているだと、どこにそんな証拠がある?」
「それに、こいつはデストロイヤー襲撃の時にその場にいたのだろう!」
「おまけに妙な力も使うようではないか、十分に疑いをかけられて当然だ!」
一体どこをどう理論展開したらそんな結果が導き出されるのか、あのおっさんの頭の中はどうなっているんだ?
それにしても、零子のやつ本当だろうか?
領主の悪事の証拠を掴んでいるというのは?
零子
「だったら証拠を見せてみなさいよ!」
「彼が完全停止現象を引き起こしたという証拠を! 彼が魔王軍の関係者であるという証拠を!」
アルダープ
「ぐぅ・・・」
確かに証拠と呼べるものはアルダープ側にはない。
さっきセナさんが言ったことは、ただのでっち上げ。
俺を助けるために用意したものだ。
魔道具でも俺が無関係であることは証明されている。
そもそもアルダープ、裁判をするにしては明らかに準備不足な気がするのだが?
零子
「それにね、証拠っていうのはこういうものを言うのよ!」
すると零子は掌からビー玉サイズの銀色の球体を三つ机の上に転がした。
その球体から光が照射され、立体的な映像が浮かび上がった。
そこに映っていたのは。
蛮野
『この世界には魔王が居るらしいが、そんなものは関係ない。』
『シグマの進化完了まで後わずか・・・いよいよ私の理想世界の誕生だ!!』
『今度はこの世界で、私の計画を達成させて見せる!』
アルダープ
「な?!」
そこに映し出されたのは、アナザーゴルドドライブとなった蛮野天十郎の姿だった。
これは、俺達がデストロイヤー内部に突入した時のだ。
蛮野
『このデストロイヤーを見つけた時、私は歓喜したぞ!』
『デストロイヤーには私が探し求めていた物があったのだからな。』
ダクネス
『探し求めていたもの?』
賢治
『・・・コロナタイトか?!』
蛮野
『そうだ! デストロイヤーのコロナタイトがあれば、わざわざ超進化体ロイミュードを4体揃える必要もない。』
『あの無尽蔵のエネルギーなら、シグマの進化に必要なエネルギーを集めるのも簡単だ!』
『デストロイヤーが破壊されたのは計算外だったがまぁいい、シグマが進化し、このデストロイヤーと融合すれば、最強の人類支配装置の完成だ!!』
『魔王など恐るるに足りん。』
『私こそこの世界の支配者になるのだ!!』
『ハハハハハハハハハハハハ!!!』
映像はそこで終わった。
それを見ていた裁判所の中にいた人達は、ざわめいていた。
先ほどの映像もそうだが、問題はその内容である。
零子
「いい、これが証拠というものよ。」
「完全停止現象を引き起こすキッカケを作ったのは、さっきの金色の怪人の姿をした蛮野天十郎という錬金術師で、そいつを霧島賢治と仲間達は倒した。」
「だから一時的なもので済んだのよ。」
アルダープ
「こ! こんなの出鱈目だ! 都合のいい作り物だ!」
零子
「あら? これだけの証拠が揃っているのに、何を言ってるの?」
アルダープ
「うるさい! うるさい!! どうせ貴様も魔王軍の関係者なんだろ!」
「だからこの男を庇おうとするのだろう!」
「処刑! 即刻処刑しろ!!」
零子
「・・・はぁ〜、だから、証拠を見せなさいって言ってるでしょ。」
「貴方のそれはね、『こうだったら良いな』っていうただの願望なのよ。」
「そんなの誰も信じないし、誰も聞こうとしないわよ。」
アルダープ
「き・・・貴様あああ!!!」
カーン! カーン!
裁判官
「静粛に!」
裁判官のその一言で、一応静かになった。
それを待って、裁判官はこう言った。
裁判官
「判決を言い渡す。」
「被告人、霧島賢治は証拠不十分とみなし、無罪とする。」
「これにて閉廷。」
こうして俺は、処刑を免れたのだ。
ーアルダープsideー
アルダープ
「くそ! くそ! くそおおお!!」
アルダープは自分の屋敷に戻ってきていた。
しかし彼は自室に戻るではなく、屋敷の地下に向かっている。
地下室にはいくつか通路があり、周囲の状況がわかる程度には明かりがついている。
いくつもの牢屋があり、その中には奴隷として売り飛ばす予定の人間や亜人が捕らえられている。
アルダープはそんな彼等彼女等には目もくれず、真ん中の通路の一番奥に向かった。
そこに居たのは。
アルダープ
「おいマクス! 一体どういうことだ!?」
マクス
「ヒュー、ヒュー、・・・やぁ、アルダープ。」
「一体どうしたんだい?」
そこに居たのは、長髪に眼鏡の美青年だった。
しかし、感情が抜け落ちた様な表情をしており、後頭部は陥没したかの様に凹んでいる。
また、喘息の様な呼吸音を発している。
そう彼こそ、アルダープが『ランダムにモンスターを召喚する』神器で召喚した悪魔『マクスウェル』なのだ。
アルダープ
「どうしたじゃない! なぜお前の力が発動しなかったんだ!」
「お陰で儂は大恥を書いたんだぞ!」
そう、アルダープの今までの悪事は全てこの悪魔によって、揉み消してきたのだ。
『事実を捻じ曲げる』それがこの悪魔の能力なのである。
彼はアルダープと契約を交わした時、彼が好む絶望や恐怖の悪感情を決まった年月分放ち続ける事を代価として契約し、アルダープはその力が使えるようになったのだ。
しかし、今回の裁判ではその力が発動しなかったのだ。
・・・いや、正確に言うと発動はしていた。
マクス
「力は発動していたよ。 ただ・・・」
アルダープ
「ただ、なんだ?」
マクス
「とてつもなく強力な聖なる力に邪魔されたのさ。」
「あれは、俺の力ではどうにもならないね。」
そう。
あの裁判でマクスウェルの力は間違いなく発動していた。
ただ、アクアの祈りにより結界が張られており、打ち消してしまったのだ。
そのことを知らないアルダープは、いつもの様にマクスウェルの力で、事実をなじ曲げようとしていたのだ。
それも、今回に限っては失敗に終わったが。
アルダープ
「聖なる力だと? どこにそんな奴がいたんだ?」
マクス
「さぁ? そこまでは分からないよ。」
アルダープ
「えぇい! 役立たずめ!」
そう言い放ち、マクスウェルに八つ当たりをし始める。
だが、マクスウェルは特に何かをするでもなく、ただされるがままだった。
マクス
「ヒュー、ところでアルダープ、今回の代価をくれよ。」
アルダープ
「あぁ? そんなもん、儂がこの屋敷を出る前に払っただろ!」
マスク
「あれ? そうだっけ?」
アルダープ
「そうだ!」
勿論、嘘である。
マクスウェルは知能が低く、そのレベルは赤ん坊同然で物事を記憶することができないのだ。
アルダープはそれを良いことに、本来彼に支払う悪感情を踏み倒しているのだ。
払うものが悪感情とは言え、彼は『支払う』と言う行為がしたくなく、今日まで騙しているのだ。
普通こんなことをされれば、自身の力を使って事実をねじ曲げ、契約前の状態に戻してもおかしくないのだが、マクスウェルはそうしない。
記憶できないと言うのもあるが、彼はどんなに暴力を振るわれても、どれだけ代価を踏み倒されてもアルダープのことを嫌ってはおらず、むしろ好いているのだ。
アルダープ
「チッ、あの冒険者供め、今に見てろ!」
アルダープはそう言ってその場を後にしたのだった。
ー賢治sideー
俺は裁判で無罪となった。
その後で零子に調べてもらったことを聞いた。
そしたら、アルダープの所には悪魔がいることが分かった。
アルダープの屋敷に偵察に行っていためぐみんとアクアが既に確認済みだ。
アクア
「間違いないわ。 あの屋敷から悪魔の気配を感じたわ。」
女神のアクアが言うのだから間違い無いだろう。
裁判の時も、悪魔の力が及ばないように、自身の力で結界を張っていたのだ。
アルダープのあの妙な自信はそれが原因か。
それがわかっただけでも上出来だ。
そいして、俺達は屋敷へと戻ってきた。
だが、その時複数人の騎士たちがやってきて、屋敷の中の物を押収していってしまった。
一緒に来ていたセナさん曰く、未だに俺に対する疑いが完全に晴れていない様で、あの領主が裁判所を通して、『身の潔白を証明したいのなら、ギルドからの使命依頼を受けろ』と言ってきたのだ。
俺達の屋敷や私物が押収されたのは、そう言うことである。
俺自身は私物はそんなになかったから良いけど、そもそも大事なものは宝物庫に入れてあるからな。
アクアは隠しておいたお酒を持っていかれたことがショックだったようで、ボロ泣きしている。
ダクネスも流石に頭にきたのか、「一度実家に帰ってアルダープに抗議して来る」と言って帰っていった。
なんとなく気付いていたが、やはりダクネスは貴族だったようだ。
しかもこの国の懐刀と言われている、ダスティネス家の娘らしい。
本名はダスティネス=フォード=ララティーナ。
その名前を聞いた時、俺達は思わず「ララティーナ」と呼んでしまい、それを聞いたダクネスが「その名前で呼ぶなー!」と叫んだ。
賢治
「あの領主め、ふざけるなよ!」
めぐみん
「ダクネスは大丈夫でしょうか?」
カズマ
「・・・まぁ、待つしかないな。」
賢治
「しかし、これからどうしたものか?」
屋敷の中のものは押収され、寝ることもままならない。
その時、零子が言った。
零子
「じゃあ、私の家に来る?」
と。
そう言えば零子は、自分の家を持っていると言っていた。
一体どこにあるのだろうか?
俺達が零子についていくと、目の前には屋敷の倉庫があった。
賢治
「え? 零子、まさか倉庫に住んでいるのか?」
零子
「まさか。 でも、当たらずとも遠からずね。」
「「「「「???」」」」」
零子に連れられて、俺達は倉庫の中に入る。
倉庫の中に入ると、零子は内側から鍵を掛け、壁に指をタッチし始めた。
よく見ると、微かにボタンみたいな出っ張りが見える。
零子
「ポッ・ピー・ピ・ポ・パ・ポっと。」
賢治
「え?! それって」
すると、壁が横にスライドし銀色の小部屋が出てきた。
零子
「さぁ、みんな入って。」
俺達全員が入ったのを確認すると、零子が今度は⬇️と表示されたボタンを押す。
扉が閉まり、部屋が動き出す。
どうやら下に向かって降りているようだ。
カズマ
「なぁ、これってさ。」
賢治
「あぁ、エレベーターだな。」
アクア
「なんでこの世界にエレベーターがあるの?!」
めぐみん・エルシャ
「エレベーター?」
しばらくすると、エレベーターの下降が止まった。
零子
「はい! 全員回れ右して。」
「「「「「え?」」」」」
零子に言われて回れ右すると、後ろの壁がスライドした。
どうやら出口は後ろに造られているようだ。
・・・零子の奴、わかってるじゃないか。
???
『お帰りなさいませ、零子様。』
零子
「ただいま。 今日はお客さんもいるわよ。」
そう言って、エレベーターから出ていく零子。
その先は、白い部屋だった。
真正面には机が置いてある。
なんとなく、会社の社長室という雰囲気がある。
そして左側には何かを作る工作室みたいな部屋がガラス越しに見える。
今も忙しなく機械が動いている。
・・・機械?!
賢治
「いや零子! この機械はなんなんだ?」
「明らかにこの世界にはないテクノロジーじゃないか?」
零子
「そりゃそうでしょ、これも私の転生特典だもの。」
カズマ
「これが?!」
零子
「改めて、ようこそ! 私の家兼ラボへ。」
零子の話だと、彼女の転生特典は『仮面ライダーゼロワンに関する全て』と言ったらしい。
すると、ゼロワンドライバーだけでなく、この部屋・・・というより建物もついてきたのだ。
さあすがに近代的なこの建物をこの世界に立てるわけにはいかないから、俺達が住んでいる屋敷の地下に作ったらしい。
零子も転生した時、この建物のこの部屋にいてびっくりしたらしい。
この建物は飛電インテリジェンスと言われる、人工知能搭載人型ロボット「ヒューマギア」を開発・派遣するサービスを展開している大企業そのものらしい。
だが、今の所人工知能の生産や量産をする予定はないみたいだ。
今の所、4体だけスリープモードで待機しているヒューマギアがいるらしい。
他にも、ここではライズフォンという俺達の元の世界で言うスマートフォンを作ることもできる。
勿論、兵器の類も作れるみたいで、いずれ零子はこの国にそれらを売り出す腹積りでいる。
一体何を売るつもりなのだろうか?
そんな時扉が開き、そこから出てきたのは。
キョウヤ
「やぁ、みんな。」
賢治
「キョウヤ?!」
御剣響夜だった。
彼はあの裁判の後ここにきていたらしい。
しかし、正規のルートではなく、アクセルの街に点在する裏ルートから入ってきたらしい。
そんなものまでこの街に作っているのか?
カズマ
「なんでここに?」
キョウヤ
「実は、頼みがあって戻ってきたんだ。」
キョウヤはつい最近までカオルという冒険者とパーティを組んで自分を鍛えていたらしい。
しかし、三日ほど前蟻の様な怪人を発見し、その怪人と戦っていた時にキョウヤも仮面ライダーに返信できる様になった。
まさか仮面ライダーG4に変身するなんて、予想外だ。
そして、そのカオルという人も変身できるみたいで、姿格好を聞く限り、どう考えても仮面ライダーアナザーアギトと特徴が一致する。
常盤総悟の世界の破壊と再生の余波でこの世界にやってきたアナザーアギトの力が、そのカオルという人に宿ったのか、またはこの世界の人間にもアギトの可能性を持っているのか。
とにかく、その戦いで大量の蟻の怪人、おそらくアンノウン、蟻の姿ということはアントロードだと思う。
奴らは『劇場版仮面ライダーアギト projectG4』に登場するアンノウンだ。
奴らを殲滅するには、確かに二人だけでは戦力不足だな。
零子
「じゃあ、ヒューマギアを二人連れていく?」
キョウヤ
「ヒューマギア?」
零子
「すぐに動かせるのは四人だけだけど、二人連れて行くだけでも十分だと思うわ。」
そう言って零子は、タブレットを操作する。
すると、部屋隣の工作室のカプセルの中が開いた。
中から出てきたのは、二人のヒューマギア。
見た目は人間と区別がつかないが、耳の部分がヘッドセットになっている。
二人とも黒いスーツ姿だが、一人は額に黒地に紫のラインが入ったバンダナを額に巻き、腰には刀を指している。
もう一人は金髪の髪に、右手にオレンジのリストバンドをつけている。
零子
「滅、雷、おはよう。」
滅
「あぁ、おはよう。」
雷
「いや〜、よく寝たぜ。 で社長、俺と滅を起こして、緊急事態か?」
零子
「みんな紹介するわね。 刀を持っているのが滅、金髪の方が雷よ。」
滅
「滅だ。」
雷
「俺は雷だ。 よろしくな。」
この後、お互いに自己紹介を済ませ、零子は彼らを起こした理由を話す。
滅
「つまり、そのアンノウンを倒すために、俺と雷の力を借りたい。」
「そういうことか?」
キョウヤ
「はい。 よろしくお願いします。」
雷
「なるほど。 まぁ、俺と滅、そしてさらに二人の仮面ライダーがいればなんとかなるだろ。」
ずいぶん自信があるようだ。
零子の話だと、この二人も仮面ライダーになれるみたいだし、大丈夫だろう。
その後、滅と雷は準備を整えて、キョウヤと一緒にバイクに乗り、東の中継拠点 コウカイへ向けて出発したのだった。
キョウヤを見送った後、改めてこの建物の案内をしてもらう事になった俺達は、その時気づいた。
アクアがいない事に。
何処にいるのかと慌てていると、先ほどの音声・・・零子はこの声のことを『イズ』と呼んでいた。
イズによると、社長室から二階下のバーカウンターにいるとのこと。
イズの言う通り、その買いに行ってみると、そこには酒を飲んで酔っ払っているアクアがいた。
アクア
「あらみんな〜。」
カズマ
「お前、何してんだよ?」
アクア
「このビル最高ね〜。 いろんなお酒があって飲みきれないわぁ〜。」
そんなに飲んで大丈夫だろうか?
アクアのやつ、飲む割に弱かったりするからな。
よく飲みすぎて裏路地で戻しているところを見るけど。
エルシャ
「よくこんなところを見つけたわね。」
アクア
「暇だったから散策してたのよ〜。」
「それに〜、私のお酒が全部持っていかれたのよ〜、少しくらいここのお酒を飲んでもいいでしょ〜。」
零子
「う〜ん、まぁ、いいけど。」
賢治
「程々にしとけよ。」
アクア
「えへへ〜、いざとなったら〜、賢治が介抱してくれるでしょ〜。」
そう言って俺にもたれかかってくる。
正直酒臭い。
賢治
「はぁ、しょうがないな。」
アクア
「賢治の〜、そう言う優しい所す〜き〜。」ギュー
やれやれだ。
せっかくなので、俺達もここのお酒を飲んでいく事にした。
めぐみんとエルシャは未成年だからジュース、またはノンアルコールの飲み物を。
案の定、アクアは飲み過ぎて近くのトイレで戻す事になった。
明日のことを考えると、気が滅入るがやるしかないか。
なんとかして身の潔白を証明しないと。
今日は飛電インテリジェンスの居住階層の一室を使う事になった。
俺達転生者とアクアは久しぶりのフカフカのベッドに飛び込んでぐっすり眠ることができた。
めぐみんとエルシャは、こんなにフカフカのベッドは初めてなのかすごく興奮していた。
二人のもれなく熟睡したのだった。
賢治
「・・・あのクソ領主、今に見てろ。」
そう言って俺も眠るのだった。
いかがだったでしょうか?
この小説では、主人公は無罪になっています。
零子の弁護パートは、勘のいい人は気づいていると思いますが、元ネタは転スラです。
本来ならこの話をコラボストーリーの前に投稿したかったのですが、順序が逆になりました。
次はボッチ紅魔族の登場回です。
またよろしくお願いします。
次も頑張ります。